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技術大全シリーズ
機械構造用鋼・工具鋼大全

定価(税込)  3,456円

著者
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サイズ A5判
ページ数 304頁
ISBNコード 978-4-526-07680-0
コード C3057
発行月 2017年03月
ジャンル 金属

内容

構造材料として最も多く使われる鉄鋼材料の中でも機械構造用鋼および工具鋼は、自動車、産業機械の重要部品、およびそれらを加工する金型に必須の素材である。機械工業において最も重要な素材である機械構造用鋼・工具鋼の材料特性、種々の加工特性を解説する。

日原 政彦  著者プロフィール

(ひはら まさひこ)
技術士(金属部門)・工学博士(東京大学)
1946年、山梨県に生まれる。科学技術庁金属材料技術研究所(現・独立行政法人物質・材料研究機構)、山梨県工業技術センター、ウッデホルム㈱勤務を経て、九州工業大学大学院情報工学院客員教授、日原技術士事務所所長。

●著 書
「ダイカスト金型の寿命向上と対策」(日刊工業新聞社)、「金型高品質化のための表面改質」(監修)(日刊工業新聞社)、「金型の品質向上のための材料選択と事例」(日本工業出版)

鈴木 裕  著者プロフィール

(すずき ひろし)
工学博士(北海道大学)
1951年、北海道に生まれる。1981年、北海道大学大学院工学研究科博士後期課程修了。豊橋技術科学大学生産システム工学科、九州工業大学工学部機械工学科教授、九州工業大学先端金型センター長、名誉教授を経て、(一社)ものづくりネットワーク九州理事長。

●著 書
「金型技術シリーズⅠ:プラスチック用射出成形用金型」(共著)(素形材センター)、「工作機械─要素と制御─」(共著)(コロナ社)

目次

目次

はじめに

第1章 鉄鋼の基礎知識
1.1 鉄鋼材料とモノづくり
1.2 鉄鋼産業の動向
1.3 金属の基本特性
1.4 JIS記号の分類と質別記号および規格表示
1.5 鉄鋼材料の製造方法
 1.5.1 構造用鋼および工具鋼の製鋼法
 1.5.2 鋼片・鋼材の名称と特性
 1.5.3 連続鋳造法とTMCP鋼
 1.5.4 特殊溶解法
 1.5.5 粉末冶金製法
1.6 鉄および鋼の諸特性
 1.6.1 鉄鋼材料の分類と役割
 1.6.2 鉄-炭素系状態図
 1.6.3 金属の結晶化のメカニズム
 1.6.4 金属材料の強化機構
 1.6.5 金属材料の加工と再結晶のメカニズム
1.7 鉄鋼材料の材料特性
 1.7.1 機械的特性
 1.7.2 物理的特性
 1.7.3 化学的特性

第2章 機械構造用鋼の材料特性
2.1 構造用鋼の分類、用途
 2.1.1 鉄鋼の添加元素
 2.1.2 鉄鋼材料のJIS規格と製品の関係
 2.1.3 構造用鋼の分類
 2.1.4 機械構造用鋼に関するJISの改正点
2.2 機械構造用炭素鋼
 2.2.1 一般構造用鋼
 2.2.2 プレス用の被加工材用鋼
2.3 機械構造用合金鋼
 2.3.1 機械構造用合金鋼に求められる特性
 2.3.2 焼入れ性を保証した構造用鋼
 2.3.2 硬さと機械的性質の関係
2.4 その他の鋼種
 2.4.1 鋳鋼と鍛鋼
 2.4.2 快削鋼
 2.4.3 肌焼鋼
 2.4.4 軸受鋼
 2.4.5 ばね鋼

第3章 工具鋼の材料特性
3.1 工具鋼の概要と要求特性
3.2 プラスチック成形用工具鋼
 3.2.1 プラスチックの種類と要求特性
 3.2.2 プラスチック成形用金型の要求特性
 3.2.3 プラスチック成形用工具鋼の種類と特性
 3.2.4 金型の耐食性・耐摩耗性・磨き特性
3.3 冷間用工具鋼
 3.3.1 冷間用工具鋼の鋼種
 3.3.2 冷間用工具鋼のJIS規格と用途
 3.3.3 粉末工具鋼の特性
 3.3.4 超硬材料の特性
3.4 熱間用工具鋼
 3.4.1 熱間用工具鋼の要求特性
 3.4.2 鍛造用工具鋼の特性

第4章 熱処理
4.1 熱処理技術の概要
 4.1.1 なぜ熱処理が必要か
 4.1.2 基本的な熱処理
 4.1.3 熱処理手法とその特徴
4.2 炭素鋼、機械構造用鋼、工具鋼の熱処理方法と諸特性
4.3 真空熱処理の方法と事例
 4.3.1 真空ガス加圧熱処理
 4.3.2 大型金型用部材の熱処理
4.4 構造用鋼と工具鋼の熱処理トラブル
 4.4.1 熱処理で発生する問題
 4.4.2 焼入れ変形
 4.4.3 冷却速度の違いと寸法変化
 4.4.4 焼入れ性
 4.4.5 脱炭層
 4.4.6 熱処理炉内への設置問題
 4.4.7 表面の酸化と脱炭
 4.4.8 硬さ不良
 4.4.9 熱処理時の変形・変寸
 4.4.10 焼割れ

第5章 表面処理・表面改質
5.1 表面処理の概要
 5.1.1 表面処理、表面改質とは
 5.1.2 表面処理および表面改質の要求特性
5.2 鉄鋼材料への表面処理の種類と適合性
5.3 拡散系処理
 5.3.1 浸炭・浸炭窒化処理
 5.3.2 窒化・浸硫窒化処理
 5.3.3 拡散系処理層の熱的挙動
 5.3.4 複合窒化、繰返し窒化処理
 5.3.5 工具鋼へのピーニング処理との複合化処理
5.4 皮膜系処理
 5.4.1 皮膜系処理方法と特性
 5.4.2 表面処理事例

第6章 機械加工
6.1 切削加工
 6.1.1 切削工具材料
 6.1.2 切削工具
 6.1.3 切削方法
 6.1.4 工具鋼を用いた3次元加工
6.2 研削加工
 6.2.1 研削砥石の構造
 6.2.2 研削状態の分類
 6.2.3 研削加工の種類
 6.2.4 研削加工例
6.3 加工面の品質、材料挙動
 6.3.1 加工面の粗さ
 6.3.2 加工面のうねり
 6.3.3 加工変質層
6.4 切削加工のトラブル
 6.4.1 びびり振動
 6.4.2 構成刃先
 6.4.3 工具摩耗
6.5 放電加工
 6.5.1 切削加工と放電加工の比較
 6.5.2 放電加工の特性
 6.5.3 放電加工面の変形挙動
 6.5.4 放電加工面の組織観察
 6.5.5 放電加工面の材料特性の変化
 6.5.6 放電加工面の残留応力
 6.5.7 放電加工面の改質処理

第7章 溶接
7.1 溶接加工の概要
7.2 溶接加工法
7.3 構造用鋼の溶接特性
 7.3.1 低炭素鋼
 7.3.2 高張力鋼
 7.3.3 低温用鋼
7.4 工具鋼の溶接特性
 7.4.1 工具鋼における溶接の必要性
 7.4.2 各工具鋼における溶接特性
 7.4.3 プラスチック成形用工具鋼の溶接
 7.4.4 冷間用工具鋼の溶接
 7.4.5 熱間用工具鋼の溶接

索 引

はじめに

はじめに



 製品や部品、構造物には必ずといってよいほど金属材料が使用されている。有史以来、鉄鋼材料は営々と用いられ社会生活には必要不可欠な物質になっている。なかでも、製品を多量に生産するための金型には各種の金型用材料(工具鋼)が使用されている。

 構造用鋼および工具鋼は非常に多くの産業用機材や装置に用いられ、産業の発展には欠かすことのできない素材になっている。日本でのモノづくりに関わる生産レベル(品質・精度)は世界的にも高く、多くの産業分野の製品や部品製造にとって金型は必要不可欠で最も重要なツールになっている。構造用鋼ならびに工具鋼にとって切削加工、研削加工、磨き、放電加工、溶接加工、熱処理、表面処理などは各製造や処理過程において製品品質や安定化に大きく影響を及ぼす。特に工具鋼は各種の加工工程を経て「金型」として用いられ多品種少量生産型の製品として多くの産業分野で使用されている。

 構造用鋼や工具鋼は使用条件、方法や加工技術が低いと安易なトラブルが発生し、生産段階で品質安定性を損なう事例が多く認められる。近年の金属材料の切削加工技術は著しい発展を遂げており、超鏡面性、高硬度材料の直彫り加工、シミュレーション技術や工具の高機能化が進んでいる。

 構造用鋼の適用・使用範囲は非常に広いことから、本書では機械構造用鋼および工具鋼について、大学生の教育用および中堅技術者にとって設計段階における選択方法や問題点を紹介し、効果的な使用法や有効な利用法を提案している。

 本書の各項目で述べている内容は現場技術者が従来から経験的に認識している機械構造用材料および金型材料の技術的な理解度を高めてもらうことを念頭に置いて記述している。また、これらの材料において避けて通れない関連技術の熱処理、表面処理、溶融凝固のメカニズムを取る放電加工、溶接加工の安定な加工法やトラブル事例も各項目の中で紹介し、金属材料を主体にした各メカニズムの現象解明、特性評価およびメンテナンス技術に利用できる内容に編集している。

 材料の領域は比較的地味な技術分野であるが、本書により問題解決のアイデアになるような内容の構成に努めた。長年加工業務を経験した技術者や中堅技術者が今後さらに高品質な製品製造の改善に有効に使用されることを希望する。

 本書が理論や実践を経験してきた技術者ならびに中堅技術者にとって各構造用鋼や工具鋼の理解度をさらに高め自己知識をさらに発展させる資料として、加工品の品質安定化や新規の開発技術の一助になれば幸いである。なお、機械加工分野については、加工現象やマシニングセンタの加工や解析を専門に研究されてきた九州工業大学情報工学部名誉教授・鈴木裕先生に記述をお願いした。金属材料の適用にとってより実践技術と最新技術動向の紹介が付加されて内容の濃い記述になり感謝している。

 終わりに、日刊工業新聞社出版局森山郁也様には厚く感謝申し上げます。


2017年3月    
日原 政彦

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