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実際の設計選書
続・実際の設計 [改訂新版] 機械設計に必要な知識とモデル

定価(税込)  4,320円

編著
著者
サイズ A5判
ページ数 492頁
ISBNコード 978-4-526-07679-4
コード C3053
発行月 2017年03月
ジャンル 機械

内容

92年に刊行した同名書籍の改訂版(旧版は17刷)。目的の機械を設計する際、どんな構造・寸法・材料・強度にするか、どんな要素を選び、どんな加工を指示し、どう図面に表現するかなど、設計実務のフローと各段階で決めなければならない事柄をわかりやすく解説している。リニューアルに際しては、制御やソフトなど新しい要素が加わわった最近の設計を踏まえ、さらに様々な知識を実際の設計に生かしていくために、設計者が具備すべき種々の“モデル”の提供を目指した。

畑村 洋太郎  著者プロフィール

(はたむら ようたろう)
1964 年学部卒,1966 年修士課程修了
㈱日立製作所勤務,東京大学工学部産業機械工学科教授の後,現在工学院大学教授,工学博士,㈱畑村創造工学研究所代表.元福島原発事故政府事故調委員長,消費者庁消費者安全調査委員会元委員長.科学技術振興機構 プログラムマネージャー養成講座担当.設計・生産学,生産加工学,失敗学,危険学,創造学の研究に従事.

実際の設計研究会  著者プロフィール

米山  猛1979 年学部卒,1981 年修士課程修了,1984 年博士課程修了
金沢大学理工研究域機械工学系教授 工学博士,塑性加工,金属光造形金型,CFRP 成形,スポーツ工学,医療機器開発の研究に従事.

笠原 直人1982 年学部卒,1984 年修士課程修了,1998 年論文博士
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構勤務の後,現在東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻教授,専門は,構造解析,高温強度,高速炉.

稲城 正高1983 年学部卒
コニカミノルタ㈱生産技術開発センター勤務.精密加工,金型,CAD/CAM/CAE,工場系IT などの生産技術開発に従事.

濱口 哲也1984 年学部卒,1986 年修士課程修了
㈱日立製作所を経て,現在東京大学機械工学専攻特任教授.㈱濱口企画 代表取締役,博士(工学)

松岡 茂樹1984 年学部卒,1986 年修士課程修了
東急車輛製造㈱勤務を経て,現在㈱総合車両製作所勤務,技術士(機械部門).鉄道車両と部品の研究・開発・設計,研究開発・知財管理,国際標準化,製品保存,商品企画,経営企画に従事.

松本  潔1985 年学部卒,1987 年修士課程修了
㈱日立製作所勤務,東京大学情報理工学系研究科助教授,東京大学IRT 研究機構特任教授の後,現在東洋大学工学部教授,
博士(工学),マイクロシステム,センサ,ロボットシステムの研究に従事.

宮崎 英樹1987 年学部卒,1989 年修士課程修了
浜松ホトニクス㈱,東京大学先端科学技術研究センター助手等を経て,現在物質・材料研究機構勤務.博士(工学).ナノフォトニクスの研究に従事.

藤田 和彦1988 年学部卒(京都大学工学部資源工学科)
富士通㈱入社.トランザクション処理,データベースシステム等のミドルウェア,クラウドコンピューティング,ビッグデータ処理等の基盤ソフトウェアの企画・開発に従事.2007年より危険学プロジェクトに参画.2016 年末より内閣府消
費者委員会専門委員.

安河内正也1988 年学部卒(九州大学 理学部 物理学科)
㈱日立製作所入社,現在,㈱日立ハイテクノロジーズに勤務.磁気共鳴診断装置,半導体計測装置などの設計に従事.技術士(電気電子部門).

一木 克則1992 年学部卒,1994 年修士課程修了
㈱荏原総合研究所にてナノ・マイクロ加工装置の研究開発を実施.現在,㈱荏原製作所にてカスタムポンプの生産技術に従事.

土屋 健介1997 年学部卒,1999 年修士課程修了
現在,東京大学生産技術研究所准教授,博士(工学).2014年スタンフォード大学客員准教授.微細加工・組立,精密加工,品質工学の研究に従事.

高橋 宏知1998 年学部卒,2000 年修士課程修了,2003 年博士課程修了
東京大学先端科学技術研究センター講師,博士(工学).脳科学,神経工学,福祉工学など,医学と工学の境界領域の研究に従事.

藤岡 聡太2000 年学部卒,2002 年修士課程修了.実際の設計研究会幹事.
2002 年~㈱インクス,2010 年~㈱メディオクリタス,2015年シングス合同会社を設立,同社代表.設計・製造の技術の形式知化とIT を活用した仕組み構築,「実際の設計」の考え方・手法・知識の教育,技術開発支援等をソリューションとして展開.㈱O2 プリンシパルを兼務.

辻  直志2002 年学部卒,2007 年カーネギーメロン大学修士課程修了
㈱東芝勤務.ネットワーク,セキュリティ,遠隔管理技術を活用した,ノートPC のBIOS および組込機器向けソフトウェアの設計・開発を経て,新規事業開発に従事.2011 年より危険学プロジェクトに参画.

長藤 圭介2004 年学部卒,2006 年修士課程修了,2009 年博士課程修了,
博士(工学).
東京大学工学部機械工学科 助教,講師を経て2015 年より准教授.2012~2013 年カールスルーエ工科大学客員研究員.研究分野はナノマイクロ加工,光学素子,燃料電池.

田中  文2009 年学部卒,2011 年修士課程修了
三菱電機㈱に勤務.人工衛星の設計開発に従事.

池島 翔太2011 年学部卒,2013 年修士課程修了コンチネンタル・オートモーティブ㈱に勤務.自動運転支援システム開発に従事.

瓜屋  祐2011 年学部卒,2013 年修士課程修了,2016 年博士課程修了,博士(工学).
日産自動車㈱に勤務.音振関連の先行技術開発に従事.

若林  秀2011 年学部卒,2013 年修士課程修了
㈱総合車両製作所に勤務.鉄道車両の開発・設計に従事.

畑村 太郎2012 年学部卒(早稲田大学文化構想学部)
㈱畑村創造工学研究所勤務の後,富士通㈱勤務.新規事業企画に従事.

唐澤 宏之2015 年学部卒,2017 年修士課程修了
2017 年より博士課程に進学(環境学).研究分野はウェアラブルインターフェイス,機械状態計測.

目次

目次


はじめに

第1章 設計に必要な知識とモデル
1.1 本章の特徴と使い方 ~要求機能から設計知識を理解する~
1.2 各章の内容と活用方法 ~機械システム設計に必要な要素とは~
1.3  頭に物理現象モデルを持つことの意義
~生きた設計知識を得るために~
1.4 物理現象モデルを獲得する方法 ~本書活用の先に~

第2章 形状と寸法
2.1 形状要素
2.2 機能と形状
2.3 形状の思考演算
2.4 形状とデザイン
2.5 頭の中に持つべき形状知識とモデル
2.6 寸法

第3章 強さ
3.1 強さの概念
3.2 剛性
3.3 強度
3.4 破損防止策

第4章 材料
4.1 材料選定方法
4.2 鉄系材料
4.3 非鉄金属材料
4.4 非金属材料

第5章 製作法
5.1 切削加工法
5.2 研削加工
5.3 放電加工
5.4 溶接
5.5 板金加工
5.6 塑性加工
5.7 鋳造
5.8 表面処理
5.9 測定・検査
5.10 組立

第6章 機械要素
6.1 締結ねじ
6.2 軸受
6.3 直動要素
6.4 歯車
6.5 ばね
6.6 シール
6.7 軸継手
6.8 止め輪
6.9 キーとキー溝
6.10 空気圧・油圧機器
6.11 配管要素

第7章 電気要素
7.1 モータ
7.2 センサ
7.3 ケーブル
7.4 コネクタ
7.5 圧着端子と端子台

第8章 エレクトロニクス
8.1 モータ制御回路の思考展開
8.2 エレクトロニクスの回路モデル
8.3 抵抗,コイル,コンデンサ
8.4 半導体
8.5 アナログ信号とデジタルデータの変換
8.6 マイコンとデジタル回路
8.7 アース

第9章 システムとソフトウェア
9.1 ソフトウェアで扱うモデル
9.2 必要となる前提知識
9.3 ユースケースモデル
9.4 アーキテクチャモデル
9.5 機構・構造モデル
9.6 状態モデル
9.7 シーケンスモデル
9.8 よくある失敗
9.9 システムの堅牢性と信頼性

第10章 メカトロニクスの実践
10.1 メカトロシステムの構成
10.2 センサ・アクチュエータの種類とA/D・D/A 変換
10.3  メカトロを実装するためのパソコンをベースとした制御システムの例
10.4 メカトロを設計するためのプログラム
10.5  デジタル入力とデジタル出力
(フォトダイオードと発光ダイオード)
10.6 アナログ入力とアナログ出力(ポテンショメータとDC モータ)
10.7 信号とパワーの区別
10.8  オープンループ制御とフィードバック制御
(ステッピングモータとDC モータ)
10.9 メカトロを簡単に実装するためのマイコンボード
10.10 画像処理
10.11 おわりに(メカトロ時代の設計者へのメッセージ)

第11章 安 全
11.1 安全設計の全体像 ~設計者が考えるべき事柄~
11.2 設計思想 ~まずは安全設計の考え方を知ろう~
11.3 分析・評価 ~自分の設計の危険を検討する方法~
11.4 対策 ~自分の設計をより安全にする方法~
11.5 点検・保全 ~顧客が使い終わるまでの安全の維持~
11.6 知識化・伝承 ~同じ危険を繰り返さないために~

第12章 IT の活用と設計の将来
12.1 CAD・CAE・CAM の活用
12.2 設計知識のデータベース化と設計者の教育
12.3 設計のシステム化の方向性

おわりに
索 引

よもやま話
技術者はどこまで考えるべきか ~『サピエンス全史』を読んで~
同じ話?違う話?
スキーのサイドカーブとたわみ
力と応力
ガラスの強化
物理現象の相似則
シミュレーション結果確認の勘所
鉄と鋼
焼入れしたら合金鋼のほうが炭素鋼よりも硬くなる?
過共析鋼の焼ならし温度はなぜA1 以上ではなくAcm 以上なのか
過共析鋼の焼入れ温度はなぜA1 以上でよいのか
S45C の機械的性質は?
ステンレス鋼におけるクロムの働き
アルミ合金のこれから
透明な樹脂は結晶性か非晶質性
ペットボトルはリサイクルしないほうがエコ
日本のペットボトル文化はガラパゴス
溶接できる鉄系材料の出現は戦後
メタマテリアル
不等ピッチねじ
歯がない歯車
ゴムが発明される前のオイルシール
機械と薬と細胞壁
2 枚ともめねじでも締まることがある
O リングとグリス
量産製品の部品は規格無視
水ポンプのインペラは下に設置すべし
ヒートポンプ
真空ポンプはコンプレッサと同じ機能
ウィスカーの脅威
曜変天目(ようへんてんもく)
ケーブルの締付け不良で焼損事故
分電盤の配線は慎重に
ノイズ対策の実状
静電気にご用心
ソフト屋の苦しい境遇
ソフトの世界から見えることをすべてだと思うな
ハードとソフトで数値処理が食い違った
アジャイル

はじめに

はじめに
 
本書『続・実際の設計~機械設計に必要な知識とモデル~』は前著『続・実際の設計~機械設計に必要な知識とデータ~』を改訂し,改訂新版として著したものである.前著は1992 年に出版され,その4 年前に出版された『実際の設計~機械設計の考え方と方法~』と併せて使用され,この2 冊の本さえあれば自分が作りたい機械の設計を完遂できることを目指したもので,著者達の卒業した研究室や卒業後に就職した職場において実験装置を設計する際にその目標が実現していた.
 しかし,前著が出版されてから20 余年が経過し,機械設計を取り巻く環境は大きく変化した.その変化は主に情報システムの発達とメカトロニクスの進展によるものである.CAD,CAE,CAM が発達して設計の手段が一変すると共に,設計対象である機械そのものが,単にハードとしてのメカニクスに制御系としてのエレクトロニクスを付加したというようなものから,ハードとソフトが融合し,はじめからそれらを一体のものとして設計するようなものに変わってきた.
 そこで当「実際の設計研究会」は第1 巻の『実際の設計』の改訂を決意し,2014 年末に改訂新版として上梓した.本書はこの第1 巻の改訂に対応するもので,旧版と同じく改訂1 巻と本書の2 冊を熟読玩味してその内容を実行すれば,初心者でも自分の作りたい機械の設計ができ,実物が作れるようになることを目指している.
 このような観点からその内容を見直してみると,改訂前の本の副題である「機械設計に必要な知識とデータ」は現状にそぐわないように思えてきた.情報環境の発達により,データは「いつでも・どこでも・だれでも」容易に入手可能になっているからである.そのような状況の中で設計者に求められているのは,利用可能な状態で自分の頭の中にモデルを持っていることであるということに気付き,本書の副題を「機械設計に必要な知識とモデル」に改めるとともに内容を作り替えることとした.
 以上の経過から,本書では,実際の設計に当たって設計者が持つべき基本的な知識と,その知識を今自分が設計している対象に当てはめるときに有効なモデルを提示する.設計対象の構成要素と構造,内部で起こっている現象や全体の挙動を把握するためには,頭の中に適切なモデルを持っていることが必要である.設計対象の内部で起こる現象や挙動をモデルとして把握することは,言い換えれば,マイクロメカニズムとマクロメカニズムを把握するということである.そして,起こっている現象や挙動をモデルで表現・提示することによって今設計しているものの主要なパラメータを把握できると共に,これから生じる未来の現象も予め提示できるようになる.
 世の中の多くの人は設計しようとするものについての知識を十分に持っていれば適切な設計ができるハズと思い込んでいるが,実はそうではないと著者達は考えている.設計者は単なる抽象的な知識や数式を知っているだけでは不十分であり,物の具体的な形や大きさなどを図の形で具体的に頭の中に思い浮かべると共に,パラメータ相互の関係をグラフの形で思い浮かべなければ適切な設計はできないのである.
 このような考えの下にできあがった本書であるが,旧版を使用した25 年間(四半世紀)の経験から,必須となる知識とモデルを抽出し,旧版の目指した「この本の中身を理解して実践すれば中あたらずといえども遠からずの設計ができる」に必要となる知識と頭の中に持つべきモデルを網羅したつもりである.
 このような目論見を実現するため,本書は次のような構成になっている.はじめに総論として設計に必要な知識やモデルがどのようなもので,設計にどう関わるかを説明し,本書の目指すものを述べる.次に,前著と同じく機械設計の本質である形状・寸法,強さ,機械材料,機械の製作法,機械要素,電気要素を取り扱う.次いで本書で初めて追加したエレクトロニクス,ソフトウェア,メカトロニクスの実践を取り扱い,さらに前著と同じく機械と安全を取り扱った後に最後に設計ツールとしてのCAD・CAM・CAE を取り扱った.
 取り扱った内容は,本書が既刊の『実際の設計 改訂新版』と一体運用されることを想定し,重複を避けると共に相互の関連を意識したものとなっている.
 第1章“設計に必要な知識とモデル”では,機械の設計に必要な知識の構成として実物の機械の例を挙げ,機能から機構に結びつける思考展開法を用いて説明すると共に,頭の中に持つべきモデルなどについて説明する.
 第2章“形状と寸法”では,機械設計では形状と寸法を決めることが重要である.実際の設計では基本の形状を組み合わせて一つの形状を作り,その大きさを定める.そのとき考えるべき機能と形状との関係,頭の中に持つべき知識とモデルなどを説明する.
 第3章“強さ”では,機械が壊れずに機能を果たすのに求められるのは強さである,強さとはどのようなものか,どうすれば評価できるのかについて説明する.
 第4章“材料”では,機械を構成する材料のうち,金属材料として主要な鉄鋼材料についてその基本構造がどうなっているか,必要な性質を付与するのにどのような処理を行い,処理によって起こるミクロな変化を説明する.また,具体的な材料にどのようなものがあるかを説明する.
 第5章“製作法”では,部品を作るのにどのような加工法が使われ,そこで起こる基本現象はどのようなものか,作られた部品をどう組み立てて全体の機械ができ上がるのかを説明する.
 第6章“機械要素”では,機械を構成するのに必ず使用されるねじ・軸受・シール.ばねなどにどのようなものがあり,それぞれに求められる機能がどのようなメカニズムで発揮されるのか,具体的にはどのようなものがあるかを説明する.また,歯車がどのようなものかを説明する.なお,本章の内容は旧版の内容をほぼそのまま引き継いでいる.それは,機械技術は歴史の長いもので基本的に大きく変わらないためである.
 第7章“電気要素”では,機械の動力源として使用されるモータにどのようなものがあり,その特性はどうなのか,位置の検出やケーブルの接続をどうすればよいか,について説明する.
 第8章“エレクトロニクス”では,機械の動きを制御するためのエレクトロニクスの基本原理はどのようなものか,また半導体の動作原理を半導体物理の立場から説明するだけではなく,実務で重要になるノイズやアースの取り扱いにも言及する.
 第9章“システムとソフトウェア”では,機械全体を一つのシステムと見たとき,ハードを基盤としてその上に信号やエネルギの伝達経路としてエレキの層が載り,さらにその上に情報としてのソフトの層が載っていると見ることができる.このソフトの層について,筆者らはメカニクスと同様に思考展開法における機能と機構の対応構造と考えるので,具体例を挙げて思考展開法を用いて説明する.
 第10章“メカトロニクスの実践”では,第6 章~第9 章で説明した考え方に基づいて,外部から制御することによって所望の動きを実現するメカトロニクスシステムの実践例を取り上げる.なおこの例は現在(2017 年)東京大学工学部機械工学科の学部3 年生用の演習で行っているものである.
 第11章“安全”では,機械設計と安全との関係を考える.安全性の高い機械を作るには,事故や失敗に繋がるシナリオを予め見つけて,失敗や事故の発現を回避する設計を考えなければならないが,そのような設計に必要になる考え方を本章で述べる.また,機械設計で多用される安全率の意味,まずくなっても事故にならない本質安全を目指す設計の基本思想,などについても説明する.
 第12章“IT の活用と設計の将来”では,本書の“はじめに”でも述べたCAD,CAE,CAM がどんどん進歩したとき機械設計はどうなり,社会への影響はどうなるのか,について考える.そこでは,設計に必要とされる知識やモデルは大きくは変わらないのではないかとの著者らの考えを紹介する.
 なお,旧版では最後に付録として,元素と物質の性質,代表的な金属材料とその性質などのデータを掲載していたが,本書ではそれらをすべて削除し,日刊工業新聞社のホームページのサイト(下記QR コードから)に掲載した.読者諸氏は必要なときにはこちらを参照いただきたい(QR コードはタブレットPC 推奨).
 http://pub.nikkan.co.jp/html/furoku
 本書の編集に際して想定した読者は,基本的には既刊の『実際の設計 改訂新版』と同じく,初めて実物の機械設計を行う人達である.本書1 冊があれば,ほかの規格書や参考書等がなくても,自分が作ろうとしているものがどのような状態で動作し,機械の内部ではどのようなことが起こるのか,またその機械を作る過程でどのようなことが起こっているのかを理解できるようになることを意図した.また,先に述べたように,本書と先に出版した『実際の設計 改訂新版』の2 冊があれば,目的とする機械の具体的な設計をやり遂げられることも意図している.また,本書の目的は,日常,機械設計業務に携わる人々にも十分役立つものになっていると考えている.
 したがって,具体的には次のような読者に使っていただくことを想定している.
 (ⅰ) 大学などで初めて設計を学ぶ人
 (ⅱ) 大学・大学院などで初めて実際に使用する実験装置などを設計する人
 (ⅲ) 企業の設計・研究・開発部門などで初めて機械の設計を始める人
 (ⅳ) 企業の設計や生産技術部門などで日常業務として設計をしていて,自らの仕事のやり方を見直そうとしている人
 (ⅴ) 企業の設計・大学の研究室・ソフトウェア開発企業などで創造的機械設計を支援するためのCAD システムの構築を目指している人
 この本の執筆者の多くは,旧版の『続・実際の設計』の執筆に携わったものではなく,旧版の出版以降に新たに研究会に加わった者である.彼らの多くは『実際の設計 改訂新版』も執筆したが,主に東京大学工学部機械系3 学科の旧・畑村研究室およびそれを引き継いだ中尾研究室を卒業した者達である.これらの者は,当研究室で行っていた設計のガイダンスを受けたか,その後実際の設計研究会の活動に参加して設計そのものについて深く研究し,企業の中で生産活動,すなわち広義の設計に従事している.また,それ以外のメンバーも他分野で設計者として活躍している者達である.

著者一覧
畑村洋太郎,米山猛,笠原直人,稲城正高,濱口哲也,松岡茂樹,松本潔,宮崎英樹,藤田和彦,安河内正也,一木克則,土屋健介,高橋宏知,藤岡聡太,辻直志,長藤圭介,田中文,池島翔太,瓜屋祐,若林秀,畑村太郎,唐澤宏之
 以上に述べたように,この本は全く新しい機械設計の考え方および知識と頭の中に持つべきモデルの提供とを目指したものである.本書が筆者らの目論見の通り実際の設計に活かされ,それによって読者の方々がたやすく設計できるようになれば,執筆者一同望外の喜びである.
2017 年3 月
実際の設計研究会 
執筆者一同 

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