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創造力を鍛える マインドワンダリング
モヤモヤから価値を生み出す東大流トレーニング

定価(税込)  1,728円

著者
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サイズ A5判
ページ数 152頁
ISBNコード 978-4-526-07674-9
コード C3034
発行月 2017年02月
ジャンル ビジネス

内容

本書は、ユニークで価値ある考えやアイデアを生み出し、それを具現化する能力を養う本。独創的なアイデアとは、どんなときに生まれ、より多くそれを生み出すためにどんな準備が必要なのか、実際のアイデアノートやワークを紹介しながら今日から何をすべきかがわかる本。

中尾政之  著者プロフィール

(なかお まさゆき)
1983年、東京大学工学系研究科修士課程修了。同年、日立金属株式会社勤務、1992年東京大学工学系研究科産業機械工学専攻助教授、2001年同教授。
専門は生産技術、ナノ・マイクロ加工、加工の知能化、創造設計と脳科学、失敗学。
著書に「設計のナレッジマネジメント」(日刊工業新聞社)、「生産の技術」(養賢堂)、「失敗百選」「続・失敗百選」「続々・失敗百選」(森北出版)など。

上田一貴  著者プロフィール

(うえだ かずたか)
2004年、広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。博士(学術)。
東京大学先端科学技術研究センターを経て、現在、東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻特任講師。専門は認知神経科学、感性工学など。所属学会/Society for Neuroscience、日本臨床神経生理学会、日本認知心理学会、ヒューマンインタフェース学会など。

井熊 均  著者プロフィール

(いくま ひとし)
1983年、早稲田大学大学院理工学研究科修了。
三菱重工業を経て、1990年、株式会社日本総合研究所入社。㈱アイエスブイ・ジャパン取締役、㈱イーキュービック取締役などを歴任し、2006年日本総合研究所執行役員、2014年には同常務執行役員に就任。環境・エネルギー分野におけるベンチャービジネス、公共分野におけるPFI事業、中国・東南アジアにおけるスマートシティ事業の立ち上げなどに関わり、新たな事業スキームの提案。公共政策、環境、エネルギー、農業などの分野で60冊の著書を持つ。

木通秀樹  著者プロフィール

(きどおし ひでき)
1997年、慶応義塾大学理工学研究科後期博士課程修了。博士(工学)。
石川島播磨重工業(現IHI)を経て、現在、株式会社日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト。専門は新市場開拓を目指したスマート社会インフラシステム構想プロジェクト開発、および、再生可能エネルギー等の技術政策の立案。著書に「IoTが拓く次世代農業-アグリカルチャー4.0の時代-」、「なぜ、トヨタは700万円で『ミライ』を売ることができたか?」(共著/日刊工業新聞社)など。

劉 磊  著者プロフィール

(りゅう らい)
2004年、東北大学工学部卒。東北大学大学院工学研究科博士後期課程終了。工学博士。
GEヘルスケア・ジャパン株式会社にて研究開発職を経て、現在株式会社日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト。IoT、ビッグデータ活用の企業コンサルティング業務の傍ら、社会問題解決に向けた公民連携コンソーシアム活動に従事。

目次

はじめに

目  次

序 章 自説形成/自己実現には準備期間が必要だ
1 創造力を脳科学で分析し始めた
2 アブダクション(abduction、仮説推量)を試みてみよう
3 創造すると人生が楽しくなる
4 モヤモヤから何か引き出してみよう
コラム1 チャレンジャーにはモヤモヤが必要だった
   1 志を想い起こしベンチャー上場へ
   2 才能が開花しNPO代表に
   3 10年の時を経て実現したインキュベーション
   4 農業への志が拓いた農業再生への道
   5 自己実現を実現する人生を送りたい
   6 「自己実現欲求」への茨の道
   7 自己実現の達成が企業と日本の将来を決める
   8 企業価値を高める経営
   9 自己実現応援経営/政策

第1章 積極的に脳から自説を出力しよう
1 東大生は勉強に集中して、知識を脳に入力することに長けている
2 21世紀になるとお手本がなくなり、創造が必要になった
3 ちょっと息を抜いて創造してみよう
4 日々の仕事の中に創造する時間を作ろう
コラム2 東大生は反復継続の仕事が得意?!
   1 東大生は内向的・独善的で反復継続の仕事に最適
   2 東大生に内向的・独善的な性格の子が集まるのは受験勉強のせい?
   3 心を折られる技術者
   4 「秀才」の意味
   5 「心ある秀才」が発想家を育てる

第2章 マインドワンダリングしながらモヤモヤを
ノートに書き留めてみよう
1 イノベーションや創造を生み出す“お作法”を知りたい
2 イノベーションや創造を生み出すまでの時間は長い
3 設計の目的まで遡ると、別の設計解が見つかる
4 困ったときは、設計過程の上流に遡って考え直せ
5 要求機能を列記したあとに、設計解を考える
6 設計の上流になるほど、アブダクションが求められる
7 アブダクションで思考をジャンプさせる
8 呼吸を数えるうちにマインドワンダリング状態に入っていく
9 自説形成法を教育で用いてみよう
コラム3 東大生よりもワトソン君のほうが賢くなる?!
   1 恐ろしい速度でAIが進化している
   2 人間は意志を持つから面白いし、そこがコンピュータとは異なる
   3 企業の中ではすべての人間が優先的に意志を示せるわけではない

第3章 創造的思考の科学的アプローチ
1 閃きはどのようにして生まれるのか?
2 あなたの無意識を可視化する脳科学
3 脳のいろいろな思考状態を可視化する
4 創造的思考時の脳活動を測ってみると
5 創造性とはものを結びつける能力である
6 創造性の源泉をマインドワンダリングで活性化
7 世界のエグゼクティブが瞑想にはまるわけ
8 楽しんでマインドワンダリングをしよう
コラム4 自分の脳波をモニタリングして、脳をコントロールしよう
   1 自分の脳の状態を簡単にモニタリングする
   2 ニューロフィードバックで自分の脳をコントロールする
   3 集中しているとき、瞑想しているときの脳活動をモニタリングする

第4章 物を描き、本を読み、人に会い、
事を計り、旅に出て、運を占おう
1 違和感や感動が思考の起点になる
2 キッカケを起点に思考を進めて、設計解候補を準備する
3 何も考えることがなかったら、とにかく外に出てみよう
4 ほかにも、キッカケを得る方法がある
5 違和感を捉えられない人は“まさか”の失敗を“想定外”と呼ぶ
6 短期間の講習会で自説形成に磨きをかけられないか

第5章 自説形成のキッカケを研修で掴もう
1 非日常で掴む自説へのキッカケ
2 第一歩は日常の中の非日常の発見
3 自説形成のプロセスと機能分解
4 スティーブ・ジョブズの自説形成プロセス
5 5つの基盤能力を自己認識し、呼び起こす手段
6 5つの基盤能力を研修で体験し、修行の疑似体験をしよう
7 キッカケを掴む「基盤のトレーニング」
  (1)感性基盤トレーニング
  (2)情報基盤トレーニング
  (3)価値観基盤トレーニング
  (4)経験基盤トレーニング
  (5)手法基盤トレーニング
8 脳の基盤の見える化
9 トレーニングで日々の生活をキッカケの場に
コラム5 自説の価値を理解してくれるまで他人に説明する
   1 ニーズ発想の幻想
   2 教えられたことを確実に行う秀才が横並びを生み出す
   3 差別化を考えたことがない秀才
   4 偉大な商品はイメージから生まれた
   5 未来のニーズを捉える
   6 ニーズ型開発とプロダクトアウト型開発の究極の一致
   7 どうすれば未来のニーズを捉えられるか
   8 未来のニーズはなぜ企業の中で認められたのか
 9 官僚を増やし過ぎた日本企業
  10 未来型商品を開発できるようになるための3つの取り組み
  11 インキュベーション・コンソーシアムでの体験
  12 技術とマーケティングの両方を経験する

第6章 自説を作って一歩踏み出せば
創造が近づいてくる
1 自説を作れば、それがイノベーションや創造に直接、繋がるのか
  (1)ニーズ主導型:顧客から要求機能を提示されたときに、設計解として、たまたま過去に考えていた自説が流用できる場合
  (2)交渉補正型:イチオシの自説を顧客に提示し、顧客の顔色を見ながら変更・補正していったら、顧客も譲歩して要求機能を多少、補正してくれて、その結果、両者が満足する設計解を選出できた場合
  (3)シーズ主導型:イチオシの自説に投資してくれそうな人を探し、熱心に自説を説明し、その熱意に負けた顧客を強引にプロジェクトに引きずり込んでビジネスにつなげる場合
2 日本のイノベーションや創造に合う方法は交渉補正型である
3 自説をたくさん考えてニーズ主導型のビジネスを進めよう
4 自説が本当にイノベーションや創造を生んで、価値に変換できたか
コラム6 一流の経営者は皆、確固たる自説を持っている
   1 成功者は変わっていない
   2 成功者は多趣味である
   3 20年かけて培った趣味には価値がある
   4 救いを感じる偉大な経営者の生き様
   5 誰にでも偉大な経営者と同じ種子がある

終 章 自説形成の方法を習得すれば、
歳を取ってもアイデアを創出できる
1 考えるのが楽しくなったらシメタものである
2 歳をとるほどアイデアが出る
3 筋肉は衰え、頭は冴える
4 脳の機能を高めたと思われるトレーニング
5 結局は向上心ということ

索引

はじめに

はじめに

 筆者の一人の中尾は、今年、初めて東大機械系の就職担当になった。多くの企業の人事担当者と面談すると、学生を専門知識だけでなく、「地頭」で採用を決めるという。「地頭」とは何か。辞書で調べると、それは「大学の教育で与えられたのでない、本来の頭の良さ」とある。つまり大学で学んだ知識の多寡でなく、それ以外のコンピテンシー(仕事に必要な能力)で選ぶらしい。具体的には、論理性、発言力、協調性、創造性、粘り強さ、などを見る。
 
 つい最近の2009年のリーマンショック以前は、企業は専門知識だけを見て、機械系が学科推薦した学生を選り好みせずに採用してくれた。しかし、状況は一変した。グローバルに展開している企業ほどその変化が大きく、面接の結果、新商品や新市場の開発能力が無いと判断すれば、翌日に不合格メールを送る。1時間程度の面接で開発能力がわかるとは、筆者はとても思えないが、要は「自分で考えて自説を形成し、それを他人に説明できるか」という能力らしい。教員も、卒業論文の試問練習のときに「君の意見を言え」と学生に迫ってしごいているが、一朝一夕には変わらない。
 
 この自説形成能力が役立つ対象は、高尚な発明発見だけではない。日々の課題にも適用でき、人生を楽しくさせる。たとえば、明日の献立、週末の娯楽、ボーナスの支出、今年の抱負、住まいの購入、出世の見立てのような、自分の意志で答えが180度変わるような課題には、すべて自説が必要である。ここで、自分の頭を使わずに、グーグルで情報を探し、ツイッターで友人に聞いて、サイコロで決めると、仮にその通りになっても自分の気持ちは晴れない。人間の脳は自分で生成した仮説が立証できたときに、「やっぱり自分は賢かったンだ」と思って満足する。他人の仮説ではない。
 
脳科学によると、自説形成は、何かに集中しているときでなく、無意識にいろいろな記憶を思い起こして脳の中のアチコチが発火している、「マインドワンダリング(心の彷徨)」のときに起きるらしい。自説形成には、演繹や帰納のような論理性は必要なく、脳内で想起している記憶群を使った直観、つまり「アブダクション(仮説生成)」だけで十分である。たとえば、今日の筆者の自説であるが、「かた焼きそばに黒酢をかけると美味くなる」「50歳の映画主人公も自分と同じ58歳になれば、続編を作るとしたらこうなる」「あと5mでなく、2mの位置に旗を渡せば背泳ぎのターンで腕をぶつけなくなる」のような他愛のない仮説も自説であり、論理性は不要である。日本人は、高校生までの教育において、基礎的な思考方法がしっかりと刷り込まれているので、思い付きの仮説でも結構、実現可能で面白いものが多い。
 
現代は、脳波が正確に測れるようになって、自分の脳が今、マインドワンダリング状態に入ったことがリアルタイムで見て取れる。このときに、違和感や感動をキッカケにして、閃きやアイデア、直観、夢、抱負のような仮説を立てる。さらに立証は後でやるとして、忘れないうちにノートにメモしておけばよい。自説を多く「貯金」している人ほど、イザというときの交渉の場(学生ならば採用面接)で、過去に考えておいたものを取り出すだけで気のきいた解を短時間で提案でき、相手は「この人は地頭が良い」と感じるであろう。
 本書は、このような脳の状態に自ら制御して持ち込もうと、前半で筆者らが試した方法を紹介する。やってみると、普通の人は毎日を変化無しで暮らしているので、そもそも考えたくても思考のキッカケが掴めないから考えないことがわかった。筆者も偉そうなことを言っても雑用で忙しく、3日に1回くらいしか自説形成に時間を割けなかった。そこで、自説形成のために強制的に思考のキッカケを与えるような演習を設計して、この2年間で筆者らの同僚や学生に頼んで試してみた。後半にその実験方法と結果を示す。
 
本書をキッカケに、読者も、自分流儀の自説形成にチャレンジしてみたらどうだろうか。1年間も続けてセッセと自説をノートに書いていれば、必ず、「面白いことを考え付く」クリエーターとして、読者も見られるようになる。

 
2017年2月
                        
著者代表 中尾 政之

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