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連続流れ化学分析法
オートアナライザーの実用知識

定価(税込)  2,160円

編者
サイズ A5判
ページ数 202頁
ISBNコード 978-4-526-07675-6
コード C3043
発行月 2017年02月
ジャンル 化学

内容

現在、環境、農業、食品、化学、医薬品などの広範な分野で1,000項目以上にわたる各種分析が行われている。これらの分析に用いる装置にアメリカ・テク二コン社が「連続流れ分析法」と呼ばれる原理を用いて「オートアナライザー」を開発・実用化した。これをモデルに「連続流れ分析装置」が我が国でも開発製造され、分析現場での研究目的や手法の多様化が一段と進化している。ただ、この装置は極めてシンプルな構成でありながら、シンプルさゆえに奥が深くわかりにくいとの指摘も併せ持つ。本書では、この流れ分析装置の基本概念や基本構造を解説するとともに、検査、分析、管理用など各分野で使用するに当たって実務者が知るべき操作手順や保守管理の要点をわかりやすい表現で解説。

目次

目  次

推薦のことば
まえがき

第1章 連続流れ分析装置(CFA)とは
1.1 自動分析の始まり
1.2 連続流れ分析装置(CFA分析装置)の基本概念
1.3 分 類  
1.4 CFA分析装置(オートアナライザー)の主な用途   
1.5 CFA分析装置の基本構造と概略   
 1.5.1 概略  
 1.5.2 基本装置  
 1.5.3 CFA分析装置と手分析操作の比較  
1.6 CFA分析装置の操作手順  
1.7 CFA分析における気泡の役割  
 1.7.1 気泡分節の効果   
 1.7.2 分節空気による試薬とサンプルの効率的な混合  
 1.7.3 空気分節を用いた共洗い効果   
1.8 サンプルと洗浄水の関係   
1.9 CFA分析装置のフローダイアグラム  
 1.9.1 フローダイアグラムの見方  
1.10 空気分節の概要   

第2章 連続流れ分析法の装置
2.1 オートサンプラー   
2.2 秤量ポンプ(プロポーショニングポンプ)およびポンプチューブ  
 2.2.1 秤量ポンプ   
 2.2.2 ポンプチューブ  
2.3 分析カートリッジ  
2.4 検出器  
 2.4.1 比色計(分光光度計)  
 2.4.2 比色計の原理   
 2.4.3 デバブル(気泡除去)とバブルスルー   
 2.4.4 炎光光度計  
 2.4.5 紫外吸光光度計(UV計)  
 2.4.6 蛍光光度計  
2.5 データ処理装置   
 2.5.1 キャリーオーバーと補正方法   

第3章 CFA分析法と比色分析法の基礎概念
3.1 比色分析法(吸光光度法)   
3.2 実際のサンプル測定時における拡散律速と反応律速   
 3.2.1 海水などの共存物質を多く含むサンプルでの注意点   
3.3 ステディ・ステイトと反応時間および攪拌(完全反応・完全混合)  
3.4 空気分節による混合促進   
3.5 検量線について   
3.6 検量線の種類   
3.7 シュリーレン現象   
 3.7.1 海水などの密度の異なるサンプルのシュリーレン現象   
 3.7.2 密度の異なるサンプルのシュリーレン現象と対策   
 3.7.3 実サンプルでのシュリーレン現象と分析精度   

第4章 CFA分析法により自動化されたオプション技法
4.1 連続蒸留装置   
4.2 溶媒抽出技法   
4.3 連続オートクレーブ   
4.4 CFA分析装置によるpH、電気伝導率の測定   
4.5 水蒸気式連続蒸留技法   
4.6 自動再検・自動希釈機構   

第5章 CFA分析装置の信頼性および精度の管理
5.1 連続流れ分析装置のチャートデータと機器の精度・信頼性管理   
5.2 連続流れ分析法における精度管理の手法
5.3 検量線とCFA分析データの信頼性   
5.4 CFA分析における分析のバリデーションについて  
5.5 精度管理の目的(精密性と正確性)   
5.6 コントロールサーベイと精度管理   
5.7 コントロールサーベイの結果を基にした測定施設へのフィードバック   
5.8 自動分析装置の信頼度   
5.9 CFA分析装置における検出限界および定量限界   
 5.9.1 検出限界   
 5.9.2 定量限界   
 5.9.3 定量下限値  
 5.9.4 測定レンジ
 5.9.5 ダイナミックレンジ   
5.10 装置の設置環境   
5.11 装置の経年劣化   

第6章 CFA分析装置の保守とトラブル対策
6.1 日常の操作の注意点   
 6.1.1 作業前の点検   
 6.1.2 作業後の保守   
 6.1.3 その他、点検整備ポイント   
6.2 CFA分析装置の保守詳細   
 6.2.1 化学的な保守   
 6.2.2 機械的な保守   
 6.2.3 その他   
6.3 清 掃   
6.4 システムの洗浄   
 6.4.1 測定後の装置の洗浄   
 6.4.2 一般的な洗浄方法   
 6.4.3 栄養塩(硝酸、亜硝酸、アンモニア、リン酸、シリカ)分析装置の洗浄   
 6.4.4 全窒素・全リン分析装置の洗浄   
 6.4.5 シアン、フェノール、フッ素分析装置の洗浄   
 6.4.6 陰イオン界面活性剤分析装置の洗浄   
 6.4.7 その他の洗浄方法   
 6.4.8 フローセル単独の洗浄方法   
6.5 トラブルシューティング   
6.6 設置上の注意   
6.7 ベースラインの乱れ原因と対策   
6.8 全体の流れを見るときの注意点   
6.9 試薬に関する注意点および保存期間   
 6.9.1 試薬に関する注意点   
 6.9.2 試薬の保存   
 6.9.3 試薬洗浄液の注意点   
 6.9.4 注意すべき試薬の推奨保管方法   
 6.9.5 その他、使用方法の注意点   
 6.9.6 粉末試薬の注意点   
 6.9.7 界面活性剤の用途と使用上の注意点   
6.10 主なトラブル原因と主たる対処法   

第7 章 連続流れ分析(CFA分析技法)の用途
7.1 窒素、リンの測定   
 7.1.1 栄養塩測定   
 7.1.2 全窒素、全リン自動分析システム   
 7.1.3 ガス透過法を用いたアンモニアの超微量測定   
 7.1.4 栄養塩類の海域調査と参照物質   
7.2 環境汚染物質の測定   
 7.2.1 蒸留操作を必要とするシアン、フッ素、フェノール類の測定   
 7.2.2 六価クロム、ホウ素の測定   
 7.2.3 化学的酸素要求量(COD)の測定   
 7.2.4 CFA分析装置を用いたオンライン測定   
 7.2.5 陰イオン界面活性剤の測定   
7.3 CFA分析装置によるボイラー水・冷却水の測定   
 7.3.1 ボイラー水・冷却水・給水・原水の測定項目   
 7.3.2 ボイラーの給水およびボイラー水質試験方法JIS B 8224(2016)に採用されたCFA法   
 7.3.3 SO4 硫酸イオン   
 7.3.4 全 鉄   
 7.3.5 給水用高感度メソッド   
7.4 CFA分析装置による農業分野での利用   
 7.4.1 土壌抽出液中の窒素、リン酸、ホウ素、ケイ酸の測定   
 7.4.2 米のアミロース測定   
 7.4.3 低アミロ小麦の判別   
7.5 CFA分析装置による肥料の測定   
 7.5.1 CFA分析装置による主な肥料測定成分   
 7.5.2 CFA分析装置による主な分析方法   
7.6 CFA分析技法の医薬・バイオインダストリー分野への応用   
 7.6.1 CFA分析装置による生体サンプル中のヒスタミン測定   
 7.6.2 CFA分析装置による酵素活性の測定   
7.7 食品産業での活用   
 7.7.1 ニンヒドリン反応を用いたアミノ態窒素の定量   
 7.7.2 各種アミノ酸の定量   
 7.7.3 還元糖および全糖の測定   
 7.7.4 ビールおよび麦汁に含まれるイソフムロンの定量   
 7.7.5 お茶に含まれるタンニン(カテキン)の定量   
 7.7.6 Fキット試薬(酵素試薬)を用いた測定   
7.8 接触分析法を用いた微量金属元素の測定   
7.9  地球温暖化の一因である炭酸ガス濃度とCFA 分析装置
 7.9.1 地球温暖化調査と微量栄養塩の測定   

第8章 新たにCFA分析法を作成する方法(自動化技法)
8.1 手分析の自動化プロセス   
8.2 使用する部品の材質適合性の評価   
8.3 分析に用いるチューブ、モジュール、付属品などのモジュールの選択   
8.4 分析に要求される感度および分析法、試薬の選択   
8.5 最適な状態で作動するように調整   

第9章 連続流れ分析法の誕生   

付 録
【各種ポンプチューブの種類】   
【Nutrients(栄養塩類)換算表】   

あとがき  

はじめに

まえがき

 連続流れ分析装置は1955年、アメリカの生化学者Dr. Leonard T. Skeggsにより提唱され、アメリカ・テクニコン社が実用化した装置である。世界で最初に市販された自動化学分析装置であることから、テクニコン社はこの装置を「オートアナライザー」(Auto Analyzer)と命名した。
 誕生から60年が経ち、この「オートアナライザー」は医療の現場から、製薬、農業、化学工業、環境化学まで幅広い分野で利用されるようになった。
 我が国においても、環境分野をはじめ多くの分野で、合わせて約1,800台以上の「テクニコン・オートアナライザー」が実稼働している(臨床分野を除く)。
 この連続流れ分析装置自体は、1本の細管の中を空気で分節されたサンプルと試薬が混ざり合いながら検出器に流れていくという極めてシンプルな構成を持つものであるが、これを様々な分野で実用化するに当たっては、多くのノウハウが組み込まれている。それゆえこの「流れ分析技法」は奥が深く、時には分かり難いとの指摘がある。確かに、この単純な構造の連続流れ分析装置は、ノウハウを持たないものが、何もない所から正確に組み立てて使うまでは困難を伴う装置である。
 連続流れ分析技法は、単純に見えても様々なノウハウを必要とする。本書では国内で幅広く使用されているテクニコン・オートアナライザーの延長線上にあるモデルを基に「連続流れ分析装置」を紹介している。
 最後に国土交通省の「河川水質試験方法(案)」1997年度版より、このモデルについての表記を参考までに下記に引用する。

 《1955年、アメリカの生化学者L. Skeggsが「連続流れ方式(CFA:Continuous F1ow Ana1ysis)の基本的な原理」を提起して以来である。彼の提案したもので試料採取、ピペット操作、希釈、混合、ろ過、加熱、蒸留、反応検出といった基本操作を行う装置を配列し、1本の流路で連結したもので、この方法による最初のシステムは、血液中の尿素とグルコース分析のために設計された。これがテクニコン社のオートアナライザーで、それ以来、市販自動分析計の中で最も普及した装置となっている。》

 《開発されてから長い歴史と多くのユーザーに支えられ、臨床検査用、水質分析用、プロセス管理用、品質管理用など、多方面の分野で依然活躍しており、本書の他、環境庁編「環境測定分析法註解」、気象庁編「海洋観測指針」および(社)日本水質汚濁研究協会(現日本水環境学会)編「湖沼環境調査指針」においてリン、アンモニウム態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素などの自動分析法として採用されている。》

 本書は連続流れ分析装置を使用するに当たって実務者が知るべき概略や保守管理を解説した。そのためできる限り数式や難解な表現を排し、最も一般的で分かりやすい記述を心掛けた。
 また、本書の内容はビーエルテック株式会社の技術資料およびオートアナライザーのユーザー発表文献を参照、引用してまとめて編集した。

 最後に、空気分節法を採用したオートアナライザーは既に実用化された分析装置であり、有用性はユーザーサイドで確認され、その有用性は「論より証拠」である。

注)「 テクニコン・オートアナライザー」は現在イギリス・シール社が商標を承継している。
 本書では空気分節式の連続流れ方式(CFA:Continuous F1ow Ana1ysis)をCFAと表記する。

2017年1月
ビーエルテック株式会社
編集者 山下 宗孝


〈2016年現在において、連続流れ分析法が収載されている主な事例(抜粋)〉
1)経済産業省      JIS0170
2)環境省        告示:10号、17号、18号、19号、39号、46号、55号、59号、64号
            環境測定分析法注解(環境庁監修, 日本環境測定分析協会)
            湖沼環境調査指針(日本水質汚濁研究協会編)
3)厚生労働省      上水試験方法(2001)
4)国土交通省      河川水質試験方法(案)
            下水試験方法(日本下水道協会)
5)気象庁        海洋観測指針
6)日本分析化学協会編  環境分析ガイドブック
7)日本海洋学会     海洋観測ガイドライン

アメリカで連続流れ分析法が公定法に採用された主な機関
1)EPA(Environmental Protection Agency)
2)Standard Methods(published by ASTM)
3)AOAC(Association of Official Analytical Chemists)

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