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数学フリーの「無機化学」

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 150頁
ISBNコード 978-4-526-07664-0
コード C3043
発行月 2017年02月
ジャンル 化学

内容

化学を難しい数学の知識を使わずに紹介する「数学フリー」シリーズ第5弾。無機化学は、物理化学(理論化学)、有機化学とともに化学の3本柱の1つとも言われる化学の基礎。無機化学が研究する事象も、化学反応だけでなく、固体、液体、気体という状態の構造とその相互変化、溶液の性質、あるいは酸・塩基、酸化・還元と広範囲になる。本書は、数学の知識がない読者でも理解できる「無機化学」の基礎を教える本。

齋藤勝裕  著者プロフィール

【著者紹介】

齋藤 勝裕(さいとう かつひろ)
1945年生まれ。1974年東北大学大学院理学研究科化学専攻博士課程修了。
現在は愛知学院大学客員教授、中京大学非常勤講師、名古屋工業大学名誉教授などを兼務。
理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。
著書は「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『レアメタルのふしぎ』『マンガでわかる有機化学』『マンガでわかる元素118』(以上、SBクリエイティブ)、『生きて動いている「化学」がわかる』『元素がわかると化学がわかる』(以上、ベレ出版)、『すごい! iPS細胞』(日本実業出版社)、『数学フリーの「物理化学」』『数学フリーの「化学結合」』『数学フリーの「有機化学」』『数学フリーの「高分子化学」』(以上、日刊工業新聞社)など多数。

目次

目 次

はじめに

第1章 原子の構造と性質  
1-1 原子の大きさと原子構造  
1-2 原子量とモルとアボガドロ定数  
1-3 電子殻とエネルギー  
1-4 軌道とエネルギー  
1-5 電子配置-1  
1-6 電子配置-2  
 
第2章 周期表が教えてくれるもの  
2-1 周期表と電子配置  
2-2 族と周期  
2-3 軌道エネルギーの交差  
2-4 典型元素と遷移元素  
2-5 イオン化  
2-6 元素の性質の周期性  
 
第3章 無機分子の結合と構造  
3-1 イオン結合  
3-2 金属結合  
3-3 共有結合  
3-4 結合のイオン性  
3-5 混成軌道  
3-6 sp3混成軌道を使った分子の結合状態  
3-7 アンモニウムイオンとヒドロニウムイオン  

第4章 物質の状態と性質  
4-1 物質の三態  
4-2 結晶の種類と性質  
4-3 アモルファス  
4-4 伝導性と超伝導性  
4-5 磁性  
4-6 磁場と磁性体  

第5章 酸・塩基と酸化・還元  
5-1 酸・塩基の定義  
5-2 酸性酸化物と塩基性酸化物  
5-3 水素イオン指数  
5-4 中和反応と塩  
5-5 酸化数と酸化・還元  
5-6 酸化・還元/酸化剤・還元剤  

第6章 電気化学  
6-1 金属の溶解  
6-2 化学電池  
6-3 イオン濃淡電池と神経伝達  
6-4 太陽電池  
6-5 電気分解と電気めっき  

第7章 典型元素の種類と性質  
7-1 1族元素の性質  
7-2 2族、12族元素の性質  
7-3 13族元素の性質  
7-4 14族元素の性質  
7-5 15、16族元素の性質  
7-6 17族、18族元素の性質  

第8章 遷移元素の種類と性質  
8-1 d軌道を含めた電子配置  
8-2 dブロック元素とfブロック元素  
8-3 3~5族元素の性質  
8-4 6~7族元素の性質  
8-5 鉄族元素  
8-6 白金属元素  
8-7 11族元素  

第9章 レアメタル・レアアースの化学  
9-1 レアメタルの定義と種類  
9-2 レアメタルの産出国と用途  
9-3 レアアースの定義と性質  
9-4 レアアースの生産  
9-5 レアアースの用途  
9-6 レアメタルに代わるもの  

第10章 放射性元素と原子力  
10-1 超ウラン元素と放射性元素  
10-2 原子核反応と放射線  
10-3 核融合と核分裂  
10-4 原子力発電と原子炉  
10-5 原子力発電の問題点  
10-6 高速増殖炉  

はじめに

はじめに

 『数学フリーの化学』シリーズ第五弾の『数学フリーの無機化学』をお届けします。
 本シリーズはその標題の通り『数学フリー』すなわち、数学を用いない、数学が出てこない化学の解説書です。化学は科学の一種です。科学の共通言語は数学です。科学では複雑な現象の解析、その結果の記述を数学、数式を用いて行います。化学も同様です。
 しかし、化学には化学独特の解析、表現手段があります。それが化学式です。化学式とそれを解説する文章があれば、数式を用いた解説と同等の内容を表現することができます。本書はこのような化学の特殊性を最大限に生かして、数学なしで化学の全てを解説しようとする画期的な本です。
 『無機化学』はもともと数学とは無縁の分野であり、ことさらに仰々しく「数学フリー」などと強調することもあるまい、とお思いになる方も見えるでしょう。確かに高校の化学教科書の「無機物質」の部分を開いて見ると、およそ数学といえるような数式はもちろん、数学的な記述もありません。出てくるのは化学式と反応式ばかりです。
 しかしそれは、「無機物質」だけを扱った部分だからであり、本書が扱う『無機化学』は無機物質だけを扱うのではありません。無機化学では無機物質も重要ですが、それと同時に「物質の状態」、「伝導性・磁性」、「酸・塩基」、「酸化・還元」、「電気化学」など、物理化学的、結合論的な部分も非常に重要となります。
 このような物理化学的な分野を研究するのには、数学なしでは務まりません。特に無機化合物の結合、構造、物性、反応性の理解には量子化学に基づいた配位子場理論や結晶場理論がないと十分な研究はできません。
 本書は「高校化学の無機物質」の部分を「無難になぞる」ことを目的としたものではありません。もちろん、高校化学を復習することから始めますが、行き着く先は現代無機化学の最先端の紹介と理解です。そのためには本来ならば、高等数学に裏打ちされた量子化学の知識がないと困難です。本書の標題を『数学フリーの無機化学』としたのは、数学の助けを借りることなしに無機化学の全体像、更には最先端の無機化学をも紹介したということを強調したいためなのです。
 しかし、本書を読むのに基礎知識は一切必要ありません。必要なことは全て本書の中に書いてあります。しかも、数学は全く用いません。みなさんは本書に導かれるままに読み進んでください。そうすれば、ご自分で気づかないうちにモノスゴイ知識が溜まってくるはずです。そしてきっと「無機化学は面白い」と思われるでしょう。それこそが、著者の望外な喜びです。
 最後に本書の作製に並々ならぬ努力を払って下さった日刊工業新聞社の鈴木徹氏、並びに参考にさせて頂いた書籍の出版社、著者に感謝申し上げます。

2016年12月 齋藤 勝裕

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