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よくわかるIATF16949自動車セクター規格のすべて

定価(税込)  3,024円

著者
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サイズ B5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07658-9
コード C3034
発行月 2017年01月
ジャンル 生産管理

内容

IATF16949は、品質マネジメントシステムに関する規格ISO9001に自動車業界固有の要求事項を加え拡張したもの。ISO9001:2015では「トップマネジメントの関与の強化」「組織の事業プロセスへのQMSやEMSの要求事項の統合等」、経営との統合を目指した大幅改定が行われているほか、TSについては、各メーカー個別の要求事項を再検討・編成し、より業界共通の要求事項を厚くしている。1999年に登場した同規格は、今回の改訂に伴い従来のISO/TS16949から改名となった。

長谷川武英  著者プロフィール

(はせがわ たけひで)
クォリテック品質・環境システムリサーチ代表(マネジメントシステム・コンサルティング、企業教育・研修)
資格:・JAB(日本適合性認定協会)認定審査員(品質マネジメントシステム、航空宇宙品質マネジメントシステム、環境マネジメントシステム、エネルギーマネジメントシステム)、試験所技術専門家、検査機関技術専門家
   ・IAF/PAC(国際認定機関フォーラム/太平洋地域認定協力機構)国際相互承認のための登録相互評価員(Peer Evaluator)
   ・ASQ(アメリカ品質学会)自動車部門正会員
経歴:・元日本自動車工業会/品質システムWG副主査/海外技術管理部会メンバー
   ・元本田技研工業株式会社 技術主幹
    本田技研在職中は、法規認証、開発管理、品質管理・保証・監査、製造品質、市場品質など自動車の「開発―製造―市場」の品質全領域を約28年実践。
    欧州駐在員として合計10年、ISO製品規格のWG活動支援、EEC指令の調査・分析、製品認証、英国ローバーグループへの品質改善支援リーダー、英国工場でQMS構築リーダー等の経験を経て、ホンダのQMSグローバルモデル初期構築に成果をあげる。
   ・本田技研在職中、日本自動車工業会の推薦を得て、JAB技術専門家(自動車)、JAB認定審査員として認証機関の認定審査活動で現在に至る。
    国際レベルでの豊富な経験をベースに、TQM及びQA理論に裏付けられた手法、及び現場、現物を重視した指導には定評がある。重大品質問題(リコール)リスク分析の指導を自動車部品メーカーに実施。
   ・JAB主催「ISO9001:2015改定に関する認証制度関係機関向けセミナー」講師
著書:ISOマネジメント誌に「ISO/TS16949早分かり」、「内部監査実践法」の連載、単行本「ISO9001:2000内部品質監査員の実務入門」、「よくわかるISO/TS16949自動車セクター規格のすべて」、「目からうろこ ホンダ流企業品質50のヒント」(日刊工業新聞社)等がある。

西脇 孝  著者プロフィール

(にしわき たかし)
日本検査キューエイ株式会社(JICQA)取締役 審査本部長
(株式会社SRI-JICQAコーポレーション代表取締役社長を兼任)
資格:・ISO9001、ISO14001主任審査員
   ・ISO/TS16949(IATF16949)フルグリーン審査員
経歴:・1976年株式会社神戸製鋼所に入社し、線材・棒鋼の圧延技術者として自動車用鋼材の品質改善や生産技術開発を担当した。この間、イギリスやフランスの鉄鋼メーカーに対する技術協力や米国オハイオ州のUSスチール製鉄所の勤務などを経験した。
   ・1998年に日本検査キューエイ株式会社(JICQA)に入社し、ISO 9001、ISO 14001審査のほか自動車セクター規格QS-9000審査員として数多くの審査を経験してきた。
   ・2003年に米国ペンシルベニア州ピッツバーグのISO認証機関SRI社のスポンサーシップにより、新しい自動車セクター規格ISO/TS 16949審査員資格を取得した。
   ・現在はSRIとの合弁会社株式会社SRI-JICQAコーポレーション(2008年に設立)の代表取締役社長を務める一方で、日本検査キューエイ株式会社(JICQA)取締役・審査本部長としてQMS及びEMS審査の品質維持向上に取り組んでいる。
その他・月間アイソス誌「ISO9001:2015年版への移行対応」(No.219 2016年2月号)など特集記事を執筆。
   ・アセアン各国の若手官僚・企業リーダー向けISO9001/ISO14001統合MSセミナー(JICAがシンガポールで開催)の主任講師を担当。
   ・日本鋳造工学会や鉄鋼協会品質管理部会等でISO9001に関する講演や特集記事の執筆。

目次

まえがき

序章 IATF16949の目指すもの
 0.1 IATF16949の主要変化点に関する考察
 0.2 事業プロセスとQMSの統合という観点

第1章 自動車産業と品質マネジメントシステム
 1.1 進化する自動車産業と自動車の製品特性
 1.2 世界における日本の自動車産業
 1.3 自動車産業の品質マネジメントシステム規格の歴史と進化
 1.4 IATF16949への移行

第2章 ISO9001とIATF16949の基本
 2.1 品質マネジメントシステム(QMS)とは
 2.2 品質マネジメントの7原則
 2.3 品質マネジメントシステムの有効性
 2.4 プロセスアプローチ
 2.5 リスクに基づく考え方
 2.6 事業プロセスと品質マネジメントシステムの統合
 2.7 自動車産業QMSの特有事項
 [コラム]わが国におけるTQMの歴史と品質マネジメントの原則

第3章 ISO9001及びIATF16949要求事項の要点と対応
 3.1 両規格の注目すべき規格の要点
 3.2 要求事項の要点と対応
    4. 組織の状況
    5. リーダーシップ
    6. 計画
    7. 支援
    8.1 運用の計画及び管理
    8.2 製品及びサービスに関する要求事項
    8.3 製品及びサービスの設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理
    8.5 製造及びサービス提供
    8.6 製品及びサービスのリリース
    9. パフォーマンス評価
    10.1 一般

第4章 内部監査と第2者監査
 4.1 内部監査は効果的な経営ツール
 4.2 ISO19011(JIS Q 19011)マネジメントシステム監査のための指針
 4.3 内部監査員の力量と選定
 4.4 内部監査員の教育
 4.5 ISO/IATFで要求されている内部監査
 4.6 内部監査プロセスのフロー
 4.7 プロセスアプローチ型内部監査
 4.8 監査プログラム
 4.9 監査チームが行う監査準備
 4.10 内部監査の実施
 [コラム]海外生産拠点に対する内部監査の重要性
 4.11 内部監査のテクニック
 4.12 有効な指摘
 4.13 暫定処置(封じ込め)、是正処置及びフォローアップ
 4.14 品質リスク予防の内部監査アプローチ
 4.15 内部監査プログラムの有効性
 4.16 マネジメントレビュー

第5章 IATF16949の認証制度
 5.1 IATF16949認証制度の特徴
 5.2 IATF16949の認証審査について
 5.3 IATF16949審査の焦点

第6章 品質コアツールの活用
 6.1 品質コアツールについて
 6.2 故障モード影響解析
  ケーススタディ  自動車のDFMEA
 6.3 統計的工程管理手法
 6.4 測定解析

第7章 自動車産業の社会的責任(CSR)と
リコール(回収、無償修理)
 7.1 自動車のリコール
 7.2 安全基準に対する認識
 7.3 製品安全のための開発
 7.4 リコール事例にみる問題分析
 [コラム]アメリカの自動車リコールシステム

付録 要求事項への適合証拠となる活動及び文書
4. 組織の状況
5. リーダーシップ
6. 計画
7. 支援
8. 運用
9. パフォーマンス評価
10. 改善

引用・参考文献
索 引

はじめに

 2010年に発刊された「よくわかるISO/TS16949自動車セクター規格のすべて 第2版(2009年版対応)」から6年余り、また初版(2002年版対応)からは11年の月日が経った。その間、読者諸氏からは有意義なコメントを数多くいただいた。この度、これらの叱咤激励の結果も踏まえ、新規格となった「IATF16949」に対応する本書を発刊できたことに対し、読者並びに関係者の皆様に深く感謝したい。
 今、自動車産業はIoT(モノのインターネット)化により歴史的な転換期を迎えており、自動車の存在価値や概念さえもが変わろうとしている。自動車がスマホ化するコネクティッドカーをはじめ、AI(人工知能)によって画像認識をしながら走る自動運転車では、レベル2*1と言われる部分的な自動化が実現し、市販車もすでに登場している。自動車メーカーや総合部品メーカーが生き延びていくためには、googleやAppleをはじめとしたIT関連企業のもつ技術を取り込むことが不可欠だと言われており、すでに両者の提携が世界中で始まっている。こうした背景から自動車用電子部品は今後大きく成長する分野だと目されている。センサー、組込みソフトを利用した自動車のIoT化は、メカ部品の設計・開発にも大きな影響を与える。例えば電波を妨げない高精度ガラスの開発など、IoTに対応する部品自体の技術開発の重要性が増してくるからだ。
 他方、地球環境という面では、地球温暖化防止の動きが見逃せない。CO2削減が世界的な枠組みで議論されており、化石燃料から電気エネルギー(EV:電気自動車)、水素エネルギー(FCV:燃料電池車)への乗り換えが加速している。米国カリフォルニア州の「ZEV規制」*2が実施されれば各国による環境規制は一気に加速する。そのほか、行政の対応は、自動車安全基準、自動運転に対応する交通関連法規制、水素に対する高圧ガス保存法など、社会のインフラストラクチャーにも大きく関わってくる。さらにここにきて、自動車の使われ方の変化が自動車産業全体に大きなインパクトをもたらすことが予想されている。マイカー(所有)からライドシェア(共有)(ウーバー等)によるビジネスモデルの変化の動きがそれである。
 IoT化、AI化という社会の大きな変化の中で、自動車産業の「モビリティー革命」はすでに始まっている。
 このような時代を迎え、自動車セクター規格が、ISO/TS16949から新たな名称「IATF16949」として2016年10月に発行された。
 IATF16949では、ISO9001:2015品質マネジメントシステム規格(JISQ9001:2015、2015年9月15日発行)を補足する自動車産業QMS規格として、市場で起きている様々な問題に対応した「自動車固有要求事項」、「監査で指摘が多い事項」、および「IATF顧客固有要求事項(CSR)で共通的な事項」の追加や具体化を取り込み、要求事項が大きく変化した。
 ISO9001:2015では事業プロセスと品質マネジメントシステム(QMS)の統合がトップマネジメントの役割として追加され、プロセスアプローチとPDCAに加えて「リスクに基づく考え方」が導入された。この意義は、QMSを事業マネジメントと一体化して運用することで、形骸的なQMSから脱却することにある。
 タカタのエアーバッグリコール(2014年)、独VWのディーゼル車の排ガス不正(2015年)、三菱自動車の燃費不正(2016年)等、ここ数年、過去に例を見ないメガサイズの製品リコールや企業不祥事が相次いで発覚している。これらの問題は、いずれも法規制の重大な違反であり、品質活動に従事している要員の不備というより、経営管理層のマネジメントの問題やコンプライアンスに対する企業体質も原因の一つと言える。ISO9001やISO/TS16949等QMSの認証を維持していても、問題の防止に役立たなかったとみる向きもあった。新規格に盛り込まれたQMSと事業マネジメントのプロセスの統合は、形骸的なQMSを廃し、このような問題に対してもリスクに基づく考え方を適用することで予防処置として機能することが期待されている。
 この点について本書では、自動車リコールに関する事例の掘り下げを第7章で扱うとともに、第4章の内部監査では、潜在的なリスク検出方法についても解説している。
 本書は、IATF16949の基本的な知識を提供することを目的としている。ISO/TS16949からIATF16949への認証移行を計画している企業、または自動車産業への新規参入を目標にISO9001の更なる改善を望む組織に対しても、自動車産業の成熟したQMSの運用方法を紹介し、ヒントを提供することを意図している。特に、対象としたい読者は、経営層、プロセスオーナー、内部監査員、第2者監査員、品質部門要員であり、各章の冒頭に、読者層に対する“おすすめ度”を表示してある。
 著者(長谷川武英)は、日本適合性認定協会(JAB)が実施した「ISO9001:2015改定に関する認証制度関係機関向けセミナー」の講師を務めており、その経験を活かしISO9001:2015移行審査からの事例、および自動車部品企業の内部監査教育の経験も取り入れて全般を解説する。一方、共著者である西脇孝は、IATF16949の審査会社SRI-JICQAコーポレーション代表取締役社長であり、現役の認証審査員としても活躍している。ISO/TS16949の豊富な審査経験から得られた有益な情報をもとに第5章で審査関連事項を解説すると共に、第3、第4章において審査での視点を加筆している。
 本書が自動車産業QMSについての新たな発見、そしてIATF16949認証の有効なガイドとなれば著者として、このうえない喜びである。
2017年1月吉日
長谷川武英 

*1 自動運転のレベル定義
レベル1安全運転支援加速、操縦、ブレーキのうち1つの操作をシステムがおこなう
レベル2部分的な自動化加速、操縦、ブレーキのうち複数の操作をシステムがおこなう
レベル3条件付きの自動化加速、操縦、ブレーキの全操作をシステムがおこない、システムが要請した際にドライバーが対応する
レベル4完全自動運転ドライバーが運転に関与せず、フルタイムでシステムが運転作業をおこなう
*2 ZEV(Zero Emission Vehicle)
カリフォルニア州の規制で、販売台数が2万台以上のメーカーが対象で、ZEVと定義されるEV、FCVを一定比率以上販売することが要求される。ZEV比率は大規模メーカーと中規模メーカーで異なり、2018年モデルイヤーから夫々4.5%、2.9%から2025年の22%、9.2%と段階的に強化される。ハイブリッド車はZEV対象とはならないが、クレジットが低いTZEVという新カテゴリでPHB(プラグインハイブリッド車)及びレンジエクスエクステンダー付きEVが含まれる。

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