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<解析塾秘伝>CAEを使いこなすために必要な基礎工学!
現場技術者の構造解析、熱伝導解析、樹脂流動解析活用ノウハウ

定価(税込)  2,376円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07644-2
コード C3053
発行月 2017年01月
ジャンル 機械

内容

これから機械系のCAEを活用しようとする機械設計者向けに、基礎工学である材料力学、伝熱工学、樹脂成形の基本と、構造解析、熱伝導解析、樹脂流動解析活用ノウハウを紹介する入門書。「CAEと実験結果があわない」「CAEより得られた結果をどう活用してよいかわからない」といった読者のために、「CAEがどこまで基礎工学を反映した計算をしており、設計でCAEを活用するためにどのような設定やCAEの解析結果の評価をすればよいか」を丁寧に解説している。

岡田 浩  著者プロフィール

(おかだ ひろし)
 1965年生まれ 福岡県出身。技術士(機械部門)。
 1991年に電機メーカーに入社。金属・樹脂材料の加工の影響を考慮した強度・疲労寿命予測、電子機器の放熱対策などに取り組むとともに、構造・熱・樹脂流動CAEの社内外の教育・推進に従事した。現在は、「金属・樹脂製品の加工法の研究・開発」「CAEを用いた設計・生産工程革新活動」に従事している。
 社外では、NPO法人CAE懇話会の関西支部幹事などでCAE推進活動にも携わっている。
 著書に『設計検討って、どないすんねん!』、『塾長秘伝 有限要素法の学び方!』(共著:日刊工業新聞社刊)がある。

目次

はじめに

第1章 材料力学・機械力学(固有値解析)編
(構造解析および固有値解析用CAEを対象)
1.1 材料力学・固有値計算の機械設計における役割
1.2 材料力学・固有値計算の基礎
1.2.1 負荷のかかり方
1.2.2 引張り(圧縮)応力とひずみ・縦弾性係数(ヤング率)
1.2.3 せん断応力とせん断ひずみ・横弾性係数(せん断弾性係数)
1.2.4 ポアソン比
1.2.5 曲げ応力とたわみ
1.2.6 ねじり
1.2.7 応力―ひずみ線図と材料定数(ヤング率、降伏応力、引張り強さ)
1.2.8 材料の特性
1.2.9 疲労(平均応力と応力振幅、疲労限度)
1.2.10 主応力
1.2.11 相当応力(Von Mises応力)
1.2.12 共振(固有振動数)
1.2.13 応力集中
1.2.14 座屈
1.3 材料力学・固有値計算を用いた強度評価のポイント
1.3.1 静荷重がかかる場合
1.3.2 衝突のような荷重がかかる場合
1.3.3 繰り返し荷重の場合
   (1) 一定の繰り返し荷重がかかる場合
    (a) 共振を避ける・共振を押さえる設計
    (b) 繰り返し荷重に耐える設計
     〇高サイクル疲労の場合
     〇低サイクル疲労の場合
   (2) 不規則な荷重の繰り返しに耐える設計
   (3) 疲労破壊を避けるその他の対策
    (a) 表面状態、環境の影響
    (b) 寸法効果の影響
    (c) 温度の影響
1.3.4 応力集中への対応
1.4 材料力学・固有値計算とCAE(構造解析・固有値解析)の関係。
CAE活用時の注意点
1.4.1 CAEとは?
1.4.2 構造解析CAEと材料力学の関係
1.4.3 CAEと材料力学・固有値計算との比較
   (1) 曲げの場合
   (2) せん断の場合
   (3) 固有振動数の場合
   (4) 応力集中箇所を持つ平板の場合
1.4.4 CAEを設計で活用する上での注意点
   (1) 固定(拘束)条件について
   (2) 設計における加工の影響
第1章復習テスト

第2章 伝熱工学・熱応力編
(熱伝導・熱応力解析用CAEを対象)
2.1 伝熱工学・熱応力の機械設計における役割
2.2 伝熱工学・熱応力の基礎
2.2.1 熱移動の3要素
2.2.2 定常状態と非定常状態
2.2.3 熱伝導(フーリエの法則)
2.2.4 熱伝達
2.2.5 熱伝達率
   (1) 対流熱伝達率の算出方法
    (a) 自然対流(層流)の場合
    (b) 自然対流(乱流)の場合
    (c) 強制対流(層流)の場合
    (d) 強制対流(乱流)の場合
   (2) 放射熱伝達率の算出方法
2.2.6 熱応力
2.3 伝熱工学を用いた放熱設計と熱応力対策のポイント
2.3.1 論理計算・CAEと実測の誤差
2.3.2 放熱対策
2.3.3 熱応力対策
2.4 伝熱工学とCAE(熱伝導解析)の関係、熱応力とCAE(熱応力解析)の関係とCAE解析事例
2.4.1 伝熱工学とCAE(熱伝導解析)の関係
2.4.2 熱応力とCAE(熱応力解析)の関係
2.4.3 伝熱工学CAE事例(実測との比較)
2.4.4 熱応力CAE事例(論理計算との比較)
2.4.5 熱伝導・熱応力連成CAE事例
第2章復習テスト

第3章 樹脂成形編(樹脂流動解析用CAEを対象)
3.1 樹脂流動の機械設計における役割
3.2 樹脂成形(充填・保圧・収縮計算)の基礎
3.2.1 樹脂材料
   (1) 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
   (2) 結晶性材料と非晶性材料
   (3) 汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック(エンプラ)
   (4) 添加剤・改質剤など
3.2.2 成形法と金型
   (1) 射出成形
   (2) 射出圧縮成形
   (3) 圧縮成形
   (4) 押し出し成形
   (5) ブロー成形
   (6) 注型
   (7) 発泡成形
3.2.3 射出成形工程と充填計算方法、保圧・冷却過程での収縮の考え方
   (1) 材料の可塑化
   (2) 充填過程
    ◎充填計算手順
   (3) 保圧・冷却過程
 (4) 自然冷却過程
3.3 成形不良とその対策。樹脂材料・成形加工を考慮した設計検討とアドバイス
3.3.1 成形不良とその対策
   (1) ショートショット
   (2) ウエルドライン
   (3) ジェッティング
   (4) フローマーク
   (5) バリ
   (6) ヒケ・ボイド
   (7) そり
   (8) 白化
3.3.2 樹脂材料・成形加工を考慮した設計検討とアドバイス
   (1) 樹脂材料活用のメリットと選定時の留意点
    (a) 樹脂材料を活用するメリット
    (b) 樹脂材料選定時の留意点
   (2) 成形加工を考慮した設計検討
    (a) 充填性の良い設計を心がける
    (b) 成形品は薄肉、かつ均厚が基本
    (c) 抜き勾配の考慮
    (d) ウエルドラインの考慮
    (e) そりを防ぐ製品形状
    (f) 金型構造を考えた製品形状
3.4 樹脂成形とCAE(樹脂流動解析)の関係。CAEの有効な使い方
3.4.1 樹脂成形とCAE(樹脂流動解析)の関係
3.4.2 充填計算における論理計算とCAEの比較
   (1) 論理計算
   (2) CAE解析結果
3.4.3 樹脂流動CAE解析の有効な使い方と注意点
   (1) CAEの有効な使い方
   (2) CAE活用上の注意点
第3章復習テスト

第4章 品質のバラツキ原因と対策
4.1 基礎工学の数式から読み取れる、バラツキ原因の影響と評価方法
   (1) たわみd0の相対誤差
   (2) 応力v0の相対誤差
4.2 基礎工学・CAEだけでは評価できない品質のバラツキ原因と対策
4.2.1 実験の計測誤差
   (1) 構造・固有値に関する試験法
   (2) 熱・温度に関する計測
   (3) 樹脂材料の粘性等の計測
4.2.2 樹脂の粘性データの計測範囲
4.2.3 材料定数等の有効桁から想定できる誤差(例:ヤング率について)
4.2.4 CAEでは解決できない誤差
第4章復習テスト

[付録]復習テスト―答え 
おわりに(本書のまとめ) 
参考文献 
索引

はじめに

 有限要素法(FEM)などを用いたCAE(Computer Aided Engineering:コンピュータ支援工学)と呼ばれる解析ソフトが世に出て、本格的に活用されはじめて50年以上が経ちました。私が学生だったころは、3次元CAD(Computer Aided Design:コンピュータによるデザイン)やCAEの開発そのものが研究の一つとなり、論文になった時代でしたが、この半世紀でCAEは飛躍的に進歩してきました。
 当初は企業の設計者や生産技術者がCAEを活用しようと思っても、ソフトウェア・ハードウェアが高価、操作メニューがわかりにくい、節点や要素など、CAEのベースとなる有限要素法の特有な設定や専門知識が必要と、さまざまな障害がありました。しかし、約20年前に、Windows上で稼働し、かつ3次元CAD上で使用できる操作性の良いCAEが出現したこと、汎用CAEの操作メニューも見やすくなったこと、マルチフィジックスと呼ばれる複数の工学計算を同時に行えるようになったことなどから、CAEの操作性や計算精度が向上し、徐々にではありますが、CAEは我々の身近なものになりつつあります。さらに最近は、ソフトウェア・ハードウェアの低価格化や、クラウド、スーパーコンピュータの活用が容易になったことにより、企業でのCAEの導入が活発になっています。
 それでもなお、CAEを活用する設計者・生産技術者の多くから、「CAEを用いて計算する時に、自分が行った設定が正しいかわからない」「CAEより得られた結果をどう評価してよいかわからない」「CAEと実験結果が合わない(CAEがどこまで実態を反映しているかがわからない)」などの声をよく聞きます。私は、CAEに対する設計・生産技術者の期待は図1の3項目であると思います。
 前述した課題を解決し、図1に対して、設計者・生産技術者自身がCAEを使いこなすためには何が必要なのでしょうか? 私は、図2に示すようなことがCAEを活用するために必要だと考えています。
 CAEの利用環境の整備は、CAEソフトベンダー(CAEのソフトを販売・サポートしている専用メーカー)様か、社内のシステム管理者にお願いすればよいでしょう。CAE特有の計算力学のノウハウ(K/H)は、CAEベンダーの技術者に聞けばなんとかなるでしょう。しかし、設計は活用する技術者自身で行わなければなりません。CAEと実験の相関を取り、CAEにより得られた結果を評価しながら、設計者・生産技術者自らがCAEを使いこなさないといけないのです。そのために身につけなければならないのは、「設計・生産技術開発に必要なCAE活用ノウハウ」、「CAEを使いこなすために必要な、実践的な基礎工学」だと考えています。
 そこで、本書では、「実践型の基礎工学」をできるだけわかりやすく学んでいただくことを目的に作成しました。また、冒頭で述べた「CAEと論理計算・実験との誤差」の原因にもふれたいと思いました。ただ、すべての工学分野を網羅するのは大変ですので、本書は、世間でもよく活用されており、かつ、私が今までに執筆してきた材料力学・伝熱工学・樹脂成形に関する書籍や専門書の記事の中から、「CAEを活用する設計者・生産技術者」にこれだけは知っておいてもらいたい基礎工学を抜粋・加筆するとともに、主に私がよく使用する薄板を例に、「CAEと論理計算・実測との誤差」についても言及してみたいと思います。少しでも、みなさまのお力になれれば幸いです。
 なお、各章末に復習の○×問題も加えました。楽しみながら、解いてみていただければと思います。

2016年8月4日 本書の執筆にあたって。
岡田 浩

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