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図面って、どない描くねん!LEVEL2 第2版
はじめての幾何公差設計法(GD&T)

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07643-5
コード C3053
発行月 2017年01月
ジャンル 機械

内容

「幾何公差を理解することは製図を極めることである」と信じる著者による「はじめての幾何公差」の本。第2版では、新JISの内容に対応したほかに、JISの製図ルールの解説だけにとどまらず、設計者として必要な知識、ノウハウをさりげなく盛り込んで設計実務により役立つ本になっている。また、この幾何公差を使って図面を描くことを「GD&T(Geometric Dimensioning &Tolerancing:幾何公差設計法)」と呼ぶが、本書では幾何公差に特化して、実務設計の中で戦略的に幾何公差を活用できるように記入の作法から使い方、代表的な計測方法までわかりやすく、やさしく解説する。

山田 学  著者プロフィール

●著者紹介
山田 学(やまだ まなぶ)
 S38年生まれ、兵庫県出身。 ラブノーツ 代表取締役。
 著書として、『図面って、どない描くねん! 第2版』、『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、『図解力・製図力 おちゃのこさいさい』、『めっちゃ、メカメカ! リンク機構99→∞』、『メカ基礎バイブル〈読んで調べる!〉設計製図リストブック』、『図面って、どない描くねん! Plus+』、『図面って、どない読むねん! LEVEL00』、『めっちゃ、メカメカ!2 ばねの設計と計算の作法』、『最大実体公差』、『設計センスを磨く空間認識力“モチアゲ”』、『図面って、どない描くねん!バイリンガル』共著として『CADって、どない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『設計検討って、どないすんねん!』(山田学 編著)などがある。

目次

グローバルに通用する図面 ~設計意図を伝える最終手段~

第1章 サイズと幾何特性って、なにがちゃうねん!
1-1 寸法の公差表示方式
1-2 GD&T(幾何公差設計法)
1-3 独立の原則
1-4 包絡の条件

第2章 なんで加工と計測の知識が要るねん!
2-1 加工でカタチが崩れる理屈
2-2 計測器の種類と測定原理

第3章 基準を意味するデータムって、なんやねん!
3-1 データムの図示と設計意図
3-2 図面や計測におけるデータムの解釈
3-3 データムターゲット
3-4 データムにも必要な幾何公差

第4章 幾何特性って、なんやねん!
4-1 幾何公差の基本概念
4-2 公差記入枠の図示
4-3 幾何公差の適用範囲
4-4 幾何公差の示す領域
4-5 幾何公差に併記する記号
4-6 普通幾何公差

第5章 サイズでは表現でけへん形状偏差って、なんやねん!
5-1 形状偏差とは
5-2 真直度の領域と表記と検証原理
5-3 平面度の領域と表記と検証原理
5-4 真円度の領域と表記と検証原理
5-5 円筒度の領域と表記と検証原理
5-6 線の輪郭度の領域と表記と検証原理
5-7 面の輪郭度の領域と表記と検証原理

第6章 角度の代わりに使える姿勢偏差って、どない使うねん!
6-1 姿勢偏差とは
6-2 平行度の領域と表記と検証原理
6-3 直角度の領域と表記と検証原理
6-4 傾斜度の領域と表記と検証原理

第7章 位置は寸法の公差を使わず位置偏差で表すねん!
7-1 位置偏差とは
7-2 同軸度/同心度の領域と表記と検証原理
7-3 対称度の領域と表記と検証原理
7-4 位置度の領域と表記と検証原理
7-5 線の輪郭度の領域と表記と検証原理
7-6 面の輪郭度の領域と表記と検証原理

第8章 回転部品に使う振れ偏差って、どこに使うねん!
8-1 振れ偏差とは
8-2 円周振れの領域と表記と検証原理
8-3 全振れの領域と表記と検証原理

第9章 幾何公差を効果的に使うテクニックって、なんやねん!
9-1 最大実体公差方式
9-2 最小実体公差方式
9-3 突出公差域
9-4 自由状態(非剛性部品)

品質とコストのトレードオフ

はじめに

グローバルに通用する図面 ~設計意図を伝える最終手段~

 コストを意識しつつ必要最低限のサイズ公差(従来の寸法公差の意)を記入した図面を出図し、できてきた部品を組もうとすると、どうもうまく組み立てられません。
「あっちゃー!」 設計ミスあるいは図面ミスが頭をよぎります…。
 ブルーな気分で恐る恐る図面を確認してみますが、何度見直しても特に問題はありません。とりあえず、ホッとして、組立者に強気の発言が口から自然と飛び出します。
「これ、部品不良やで!」( ̄ー ̄+きらっ
「ほんまか?ほな、部品検査係を呼んで調べてもらおう。」
 設計ミスや図面ミスによって、組立不良や機能不良が出ると、設計者は関連部門から非難を浴び、応急処置で追加工をお願いするか、図面を作り直して特急で部品を作ってもらうよう現場に行って頭を下げるしか選択肢はありません。
 しかし、その悪さが部品とわかると設計者は俄然強くなります。

「いや~? サイズはちゃんと公差内に入ってるで…。」
 検査係の声に自分の耳を疑います。
「この部品、ちょっと反りがあるけど一般幾何公差内やから不良にはでけへん! 図面に反りの許容差を指示してないから、図面不良やな…。」
「ソ、ソ、ソリノキョヨウサ?」ヾ(〃°▽°)ノアセアセ

 サイズ公差さえ指示しておけば、その公差が適用される物理的領域内に部品の輪郭が収まっていると勘違いしている設計者も多いと思います。
 それどころか、部品に反りやねじれなどの変形が発生することすら想像もしない設計者も多いことでしょう。

図面という2次元平面上のマジックにより、四角い形状の部品を製作する場合、設計者は四角い形状を保ち、サイズ公差内で相似形の部品が製作されるという錯覚に陥っています。
 ところが、一般的にサイズは局所的な2点間の直線距離がサイズ公差内に入っていればOKと判断するため、崩れた形状でも部品が合格になることがあります。


 上図の右側は大げさに描いていますが、2次元平面で考えただけでもこれだけの形状誤差が出るのですから、奥行きのある立体部品であれば、それらを積み重ねていくと、真っ直ぐ立たない不安定な組品ができあがることは容易に想像できますね。
 それでは、サイズ公差だけでは表しきれない形状誤差はどのように規制すればよいのでしょうか。サイズ公差は長さのばらつきを決めるパラメータであり、形状誤差を決めるパラメータが幾何公差です。

 技術の高度化、加工技術の発展に伴い、部品の高精密化、低コスト化が要求されて久しくなります。精密さを要求する図面において、それを描いた設計者と、それを見る加工者や検査者との間に一義性が無ければ判断があいまいになります。
 そのため、ずいぶんと以前から幾何公差の重要性が訴えられてきましたが、国内製造業者の技術力の高さと段取りの正確さによってサイズ公差だけの図面を描いていても形状誤差のほとんどない部品が納入されてきました。そのため、設計者は幾何公差の必要性について意識することはありませんでした。


 ところが、産業のグローバル化に伴い、全世界で開発が同時進行し、日本で描いた図面を用いて、その日のうちに世界のどこかで加工するような時代になりました。
 サイズ公差だけの図面では、形状があいまいに定義されるため、幾何公差を用いたあいまいさのない図面定義が必要とされ、GPS(製品の幾何特性仕様)がISOで審議されてきました。つまり、人によって解釈が異なるようなあいまいさを排除し、検査・検証方法まで定義した“世界共通言語”の幾何公差の指示は避けて通れないのです。

 アメリカの企業では、業務を数日間中断させてまでエンジニアに幾何公差の講習会を受講させ、レベルアップに努めているのです。そのくらい、幾何公差は重要だと海外の企業は認識しています。
 近年、やっと日本の設計現場でも、幾何公差の重要性が認められつつあり、設計教育の中に取り入れられ始めました。
 ところが、幾何公差を記入することでコストアップの懸念が生じ、幾何公差に否定的な上司が存在することも事実です。
 また、幾何公差は設計だけが理解できればよいという代物ではありません。部品を加工する製造部門や生産技術部門、そしてできあがった部品を測定する検査部門までが理解することではじめて全社的な品質保証システムが確立するのです。

 実務の中では幾何公差を指示した図面も多々ありますが、経緯や根拠を明確に説明することができず、過去の図面を真似して現在に至っているのが現状です。そう、幾何公差は機械設計者にとって、触れてはいけない“パンドラの箱”であったのです。
 幾何公差という言葉を聞いて、なんとなく難しくて拒否反応を示す設計者も多いでしょう。幾何公差をどう使えばよいのかよくわからない、たとえ図面に記入したところで、どうやって検査するのかもわからない…。


 グローバル対応の図面を描きたくても、OJTで身につくこともなければ、しっかりと教えてくれる指導者もいない…。
 担当者のモヤモヤ感が募るばかりです。
 思わず、「え~いっ、どないせーっちゅーねん!」(ノー"ー)ノ ┫ ゜・∵
と叫びたくなりますよね。

「幾何公差って、サイズ公差の厳しい精密な切削部品に使うものであって、板金や樹脂成形品、ましてや電気部品であるプリント基板には無縁なツール」と思っていませんか?
 幾何公差というツールは、板金や樹脂成形品、プリント基板に使っても問題ありませんし、それらにこそ使うべきなのです。
 なぜなら、サイズ公差の厳しい超精密部品ほど加工する際に細心の注意を払いながらワークを固定し、形状誤差が少なくなる手順に従い加工されるため、自ずと形状誤差のほとんどない部品ができあがります。
 逆に、板金部品や樹脂成形品は形状誤差があって当たり前という感覚で部品ができあがるので、このような部品にこそ幾何公差が効果的に使えるのです。しかも、幾何公差の数値は、加工能力を考慮して0.5や0.8あるいは1.5のような大きな公差値を記入しても恥ずかしくないのです。


 設計者として幾何公差を理解することは、製図を極めることを意味します。
 この幾何公差を使って図面を描くことを「GD&T(Geometric Dimensioning & Tolerancing:幾何公差設計法)」と呼びます。
 本書は幾何公差に特化して、実務設計の中で戦略的に幾何公差を活用できるように記入の作法から使い方、代表的な計測方法までわかりやすく、やさしく解説します。

 読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでも良いものにしたいと念じております。

「Lab notes by六自由度」
書籍サポートページ
http://www.labnotes.jp/

 最後に、本書の執筆にあたり、加工や計測の情報提供や写真撮影にご協力いただいたポリテクカレッジ滋賀の皆様と京都府織物・機械金属振興センターの皆様、ならびに日刊工業新聞社出版局にお礼を申し上げます。

2017年1月
山田 学

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