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おもしろサイエンス
繊維の科学

定価(税込)  1,728円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07641-1
コード C3034
発行月 2016年12月
ジャンル ビジネス 化学

内容

古くて新しい素材と言われ、服飾や建築、自動車、医療など衣食住のさまざまな場面で使われる「繊維」の知られざる機能や進化の方向、働きなどを図解とともにわかりやすく紹介。材料としての繊維から用途、加工法、製品化技術において注目すべきキーテクロジーを取り上げる。

日本繊維技術士センター  著者プロフィール

●執筆者一覧

新井直樹 一般社団法人日本繊維技術士センター 評議員
井塚淑夫 一般社団法人日本繊維技術士センター 理事長
今田邦彦 一般社団法人日本繊維技術士センター 理事
齋藤磯雄 一般社団法人日本繊維技術士センター 相談役
城山義見 一般社団法人日本繊維技術士センター 評議員
長江芳章 一般社団法人日本繊維技術士センター 評議員
中野 廣 一般社団法人日本繊維技術士センター 参与
中村 勤 一般社団法人日本繊維技術士センター 理事
福西範樹 一般社団法人日本繊維技術士センター 評議員
保城秀樹 一般社団法人日本繊維技術士センター 評議員
松永伸洋 一般社団法人日本繊維技術士センター 評議員
松本三男 一般社団法人日本繊維技術士センター 執行役員
溝口隆久 一般社団法人日本繊維技術士センター 理事
村山定光 一般社団法人日本繊維技術士センター 執行役員
八木健吉 一般社団法人日本繊維技術士センター 副理事長

目次

はじめに

第1章 身体を守る繊維の不思議
1 衣服内湿度を快適に保つ繊維─湿度に応じて通気性を自己調節する
2 蚊などの虫を追い払う衣服─デング熱、ジカ熱騒ぎで人気急上昇
3 血管に貼りつけて血流の速さを測る─感圧ナノファイバーによる極薄センサー
4 薄型のストレッチャブルひずみセンサー─カーボンナノチューブで指や関節の動きを検出
5 体調管理する繊維─身体や心の動きを読むウェア
6 自ら情報発信する繊維の不思議─ポリ乳酸繊維をウェアラブルに
7 燃えにくい繊維─消防士を火から守る
8 凶器から身を守る繊維─防弾服・防刃服に打ってつけの素材
9 患者の血液を守る繊維─人工透析の秘密は中空糸
10 赤外線透視を防ぐ繊維─盗撮防止素材として利用される

第2章 生活を豊かにする繊維の不思議
11 吸湿発熱する繊維─上手に使って冬の暖か肌着で大ヒット
12 夏を涼しくする衣服─糸や布帛に工夫を凝らして清涼感を出す
13 皮膚の弾力や張りを良くする衣料─マヨネーズをつくった卵の殻の膜を繊維に配合
14 着ると潤いのある健康な美肌に─衣服でスキンケア、お化粧も
15 良い香りになる消臭衣料─糞便臭が香水の原料になる?
16 光は通すが、室内は見えにくいカーテン─レースカーテンの不思議
17 水をたくさん抱え込む繊維─自重の80倍もの量を吸水する
18 どんな形にもできる繊維─熱融着繊維の不思議
19 じんわりと暖かくなる羽毛─軽量、嵩高の秘密はダウンにあり
20 30%もの水を含んでも凍らない繊維─羊毛が快適な暮らしをもたらす
21 世界記録を水着で狙う─0.01秒差に挑戦する繊維
22 身体美と健康を増進させる下着─服の神が登場
23 ランニング能力を高めるウェア─股関節の伸展力をアシストし地面を強く蹴る
24 肌にやさしい衣服はこうしてつくられる─接触性皮膚障害を予防する手立てとは

第3章 社会に役立つ繊維の不思議
25 電気を流す繊維─技術の進化・多様化で用途が拡大中
26 地面の下の力持ち─下水管の修復に貢献する繊維
27 太陽光を受けて発電する織物─衣服やテントで発電できる
28 繊維で荒廃地を緑化─筒編地に土を入れて荒廃地に並べ、砂の飛散を防ぐ
29 コンクリートのひび割れを自己修復する補強繊維─維持管理や補修作業も楽々
30 汚濁水拡散を防ぐフェンス─放射能汚染水の拡散防止にも貢献
31 炭酸ガスが繊維に─植物が土中で分解する合成繊維に
32 がん治療に活躍する不織布─正常細胞を照射から守ってくれる
33 建物の免震装置として活躍する繊維─フッ素繊維の摺動性に目をつけた
34 自動車に使われるエコ繊維─環境に優しいケナフ繊維が高級車に
35 水を浄化する繊維─海水も下水も飲み水に
36 高温にも耐える繊維─極限状態で活躍する合成繊維の不思議
37 金属のように曲がるコンクリート─補強繊維の裏ワザで

第4章 未来に活躍する繊維
38 人工クモの糸の驚くべき強さ─世界で初めて工業化に成功
39 繊維でつくった人工血管─人や動物の血管に代わって大活躍
40 火星に探査車を着陸させたパラシュート─宇宙でも日本製ハイテク繊維が大活躍
41 光が透過する“見えない”繊維─波長より細くすれば透明になる
42 海水から金属を回収する繊維─鉱物資源小国に朗報
43 樹木や雑草から軽くて強い万能材料が生まれる─緑の多い日本は資源国入りなるか?
44 地球温暖化防止に貢献するカーボンファイバー─炭酸ガス削減は車の軽量化で
45 カーボンナノチューブ温度差発電不織布シート─薄く軽く柔軟、表裏の温度差で発電
46 繊維でつくる人工筋肉─組紐や筒編地の筋を空気で伸縮

Column
身体を内側から守ってくれる食物繊維
繊維量産工程での知られざる「スゴ技」
折り紙は繊維の特性を活かして生まれた
バイオミメティクスを先取りしてきた繊維産業

参考文献
索引

はじめに

 繊維製品は、気候の変化や外敵から身を守る衣服をはじめとして、これまでに多数が市場に投入されてきました。その結果、個性の表現や意匠性の追求として、多様なファッションを生み出すことにつながっています。
 最近では、衣料用繊維製品に新しい機能や性能を付与する技術が開発され、私たちの衣生活を豊かにしてくれています。工業や土木建築、農業、漁業など広範な産業分野の資材としても多用されています。また繊維を用いて、金属や天然素材にはない特性を持つ製品が数多く開発されるとともに、繊維の長い歴史の中で培われてきた化学や設備に関する技術が、先端科学や医療分野などの他分野でも多用され、繊維製品や繊維技術は世の中になくてはならない存在になっています。
 そこで、これらの中から最近開発された繊維製品を中心に取り上げ、以下に示す4つのテーマに分類し、それぞれが持つ技術的な意味合いを科学的な見地からわかりやすく解説することを心がけました。すなわち、繊維の持つ面白さやある意味での不思議さを知っていただきたいと思ったのが、本書を執筆することにした動機です。
1.身体を守る繊維
2.生活を豊かにする繊維
3.社会に役立つ繊維
4.未来に活躍する繊維
 執筆者の面々は、文部科学省所轄の国家資格である技術士(繊維部門など)を取得しており、長年にわたってそれぞれの分野の研究開発や生産の場で活躍してきた方、もしくは現在も第一線で活躍している人たちで構成されています。
 本書を通じて、多くの方に最近の繊維製品や繊維技術に触れていただき、繊維が持つ可能性の広さにぜひとも興味を持っていただければ、執筆者一同、この上ない喜びです。さらに、現在のレベルを凌駕する革新的な製品や技術の開発に結びつけていただくことを祈っています。
2016年12月
一般社団法人日本繊維技術士センター
理事長 井塚淑夫

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