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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい橋の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07639-8
コード C3034
発行月 2016年12月
ジャンル 土木・建築 ビジネス

内容

どうしてその形になるのか? どこにどうやって架けるのか? 今、何が問題になっているのか? 橋を知りたい入門者のために、必要な基本知識をやさしく図解した。

依田照彦  著者プロフィール

(よだ てるひこ)

早稲田大学理工学術院創造理工学部教授


専門分野

構造工学、橋梁工学、構造力学


●略歴

1946年 東京都生まれ

1972年 早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了

1982年 早稲田大学理工学部土木工学科・助教授

1987年 早稲田大学理工学部土木工学科・教授

2006年 改組により理工学術院創造理工学部・教授 

2009年 日本橋梁建設協会・理事

2010年 土木学会・理事

2011年 日本学術会議・会員

2012年 日本工学会・理事

2012年 学術著作権協会・理事

2012年 日本鋼構造協会・理事

2014年 モニタリングシステム技術研究組合・理事長

2015年 土木広報センター・センター長
●受賞

2005年 土木学会田中賞(論文部門)

2006年 2006年度グッドデザイン賞(商品デザイン部門、日本産業デザイン振興会)

2008年 2006 Best Paper Award、Advances in Structural Engineering (An International Journal)

2010年 土木学会デザイン賞 優秀賞

2012年 2012 KSSC-POSCO Award、 KSSC

2015年 土木学会田中賞(研究業績部門)

2015年 第5回世界工学会議 功労賞

2016年 土木学会功績賞

●主な著書

「橋があぶない」共著、ぎょうせい、2010年

「構造力学」共著、彰国社、1999年

「鋼構造技術総覧〔土木編〕」(第3章 設計基準)日本鋼構造協会、技報堂出版、1998年

「土木工学ハンドブック 第4版」(第7編 構造力学)共著、土木学会、技報堂出版、1989年

目次

第1章 橋を知るためのはじめの一歩
1 橋とは何かを改めて知ろう 「求められる機能は「渡る」だけじゃない」
2 インフラとしての橋の役割 「当たり前の存在だけれどもないと困る」
3 橋の起源を想像する 「橋はどのようにして生まれたか」
4 橋と文明の密接な関係 「文明を育てた橋」
5 橋の形はどうやって決まる? 「その形には理由がある」
6 橋の基本構造を知る 「上部構造と下部構造」
7 橋の美しさの意味 「橋が未来に与える影響」

第2章 橋の形はどうやって決まる?
8 橋の形の起源と進化 「昔と今の橋の造り方の違い」
9 造り方の変遷 「長大化に影響を与えた要因」
10 橋の構造と力学 「橋にはどのような力が加わるか」
11 橋の材料と特徴 「橋にはどのような材料が使われるか」
12 様々な橋の分類法 「基本の形を理解する」
13 桁橋 「最も基本的な形」
14 アーチ橋 「上からの力に強い形」
15 トラス橋 「軽くすることができる形」
16 吊橋 「長くできる形」
17 斜張橋 「桁橋が進化した形」
18 石橋 「長持ちする橋」
19 木橋 「造り替えが容易な橋」
20 鋼橋 「長大橋を可能にした材料」
21 コンクリート橋 「現地で造れる橋」
22 プレストレストコンクリート橋 「RC橋をさらに進化させた橋」

第3章 橋はどのように造る?
23 橋を計画するときの考え方 「たくさんの検討事項がある」
24 橋を架ける場所 「どこにどう架けるか」
25 橋の形の選定 「総合的に判断して決まってゆく」
26 橋を設計するまでの考え方 「基準が整備されている」
27 橋を設計するときの基本 「4つのポイント」
28 設計のための基準 「いくつかの約束事がある」
29 橋に期待される性能 「求められる性能を明確化し実現する」
30 安全性を確保するための方法 「許容応力度設計法から限界状態設計法へ」
31 橋を造る前に考えること 「ライフサイクルコスト」
32 下部構造の造り方 「代表的な3つの基礎」
33 上部構造の造り方 「使用材料で大きく分かれる」
34 橋を架けるときの考え方 「「親切、丁寧、正直に」」
35 橋の架け方は昔からどう変わってきたか 「鋼橋の歩み」

第4章 橋の維持管理の秘訣
36 橋の一生はどのように決まるのか? 「急速に増える高齢橋」
37 高齢化が進む日本の橋 「保全活動と寿命予測の重要性」
38 日本の橋の数と種類の内訳 「道路橋の総数は現在70万橋以上」
39 橋の耐久性を上げる方法 「安全性と長寿命化の両立」
40 橋の点検は現場・現物・現状の“3現則” 「現場に行って目で確かめる」
41 橋を診断・評価する 「橋の損傷の原因」
42 橋の維持管理 「技術でいかに長持ちさせるか?」
43 橋の事故の事例と原因 「過去の教訓から学ぶことの重要性」
44 災害から命と財産を守る 「リダンダンシー(redundancy)」
45 防災と減災への対応 「人が主役の防災 ・ 減災」
46 橋の手入れは人の想像力が欠かせない 「補修と補強」
47 橋が架替えられる理由 「周辺の改修工事や寿命の問題」

第5章 いろいろな橋の姿と役割を見てみよう
48 道の起点としての橋 「日本橋」
49 生活に根差し、健康状態も確かめやすい橋 「歩道橋」
50 船が下を通るときに動く橋 「可動橋」
51 なぜ電車が通る橋はトラス構造が多いのか? 「鉄道橋」
52 アーチリブから真下を観察できる橋 「シドニーのハーバーブリッジ」
53 脇役だけれど欠かせない高欄と防護柵 「よく見てみると面白い?」
54 橋の中央部は支点部より少し高く造る 「製作キャンバー」
55 橋の伸び縮み対策 「伸縮装置(エキスパンションジョイント)」
56 橋の上部構造を支えるいろいろな構造 「支承部」
57 橋の橋脚を数えてみよう 「隅田川に架かる特徴的な橋の下部構造」
58 様々な角度から眺められる長大橋 「レインボーブリッジ」
59 近代技術が造った河川と橋 「パリのセーヌ川に架かる橋」
60 日常ではあまり見られない変わった橋 「水路橋」

第6章 これからの橋と社会を考えよう
61 日本の橋とイノベーション 「新たな技術とのコラボレーション」
62 インフラ高齢化社会における橋の役割 「長く大事に使わなければならない」
63 持続可能で豊かな社会と橋 「何事も事前準備が大切」
64 橋と環境保全 ・再資源化 「環境にやさしい橋」
65 輸出産業としての日本の橋 「発展途上国を中心に大きなニーズ」
66 橋を愛することが一番 「私たちが橋にできること」

【コラム】
●スコットランドの20ポンド紙幣に描かれている日本人
●波形鋼板ウェブ橋
●虹橋の模型を作る
●橋はなぜ落ちるのか
●なぜ明石海峡大橋の中央支間は2000mではなく1991mなのか?
●防災減災のはなし

参考文献
是非とも見てほしい橋リスト
索引

はじめに

 この本は、橋を専門とする方やこれから工学を専門に研究しようとする技術者や学生のための本ではありません。橋を専門にしたい方は、橋に関する教科書や専門書を読んでください。この本は、橋に興味をもっている方や理工系の出身でない方、はじめて橋に関する仕事を始める方、そのような方々を対象に執筆した入門書です。したがって、この本を読んで少しでも橋への興味が高まったら、世の中にある橋の専門書を読み広げてみてください。

 もし、この本を読んで分からないことがあっても、橋に関する興味を失わないでほしいです。実を言うと、この本を書いている私も橋についてはまだ分からないことだらけなのです。初心者と専門家の違いは、どこが分からないかが分かっているかどうかという点だけかもしれません。したがって、分かったところと分からないところが明確になれば、この本を読んだ甲斐があったということになります。

 2016年現在、日本には、70万橋以上の道路橋と10万橋以上の鉄道橋があります。これらの橋は、永久に頑丈で壊れることはないと断言することはできません。人間と同じで、長く生きていれば、疲れもたまり、いろいろ弱った箇所がでてきます。これらの箇所を点検して、弱いところを補修・補強して、元気にしてあげるのが人間の役目です。橋は、人間と違って不平不満を言うこともできなければ、毎日の食事で栄養をとっているわけでもありません。さらに過酷な条件として、橋は災害時にもその場所から逃げ出すことができないのです。このような状況ですから、耳をすませば橋のつぶやきが聞こえるかもしれません。我々専門家としては、橋が悲痛な声で叫んでいるのだけは見逃したくないと考えています。

 このような橋の面倒を見られるのは、現在のところ人間しかいないと言ってもいいでしょう。1つの橋の面倒を見るのに1人必要だとすると、70万橋あれば70万人の世話人が必要になります。現実的には、70万人も橋の技術者はいません。
 
 そこで、多くの人々に橋を好きになってもらい、お世話をしてもらいたいと思っています。郷土の橋を愛していただきたいとの思いです。昔は、「男は度胸、女は愛嬌」と言われていましたが、これからの時代は、男も女も「愛橋」です。もちろん、愛嬌も大事ですが。愛情をもって接してもらえれば、橋の寿命は確実に延びます。
 
 橋を好きになるのは、橋のことが分かったときのような気がします。この本によって、橋を少しでも好きになってもらえたら幸いです。そして、日々の暮らしの中で、ほんの少し、橋のことを考えていただければ光栄です。
 
 最後になりましたが、出版にあたって大変お世話になりました平川透氏に深甚なる感謝を申し上げます。

 
2016年11月30日

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