買い物かごへ

小型貫流ボイラのトラブル対策
―現場で起きた故障事例と対処法―

定価(税込)  2,376円

監修
著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-07636-7
コード C3053
発行月 2016年12月
ジャンル 機械

内容

ボイラにトラブルが起こると、生産活動をはじめさまざまな社会生活に支障をきたす。本書は、実際に起こったボイラのトラブルの原因、対処法、およびトラブルを減らすための対策を、専門メーカーである三浦工業の事例を中心にわかりやすく解説する。現場に即した内容が特徴。

小山富士雄  著者プロフィール

(こやま ふじお)
1945年 広島県生まれ
1967年 東京大学工学部燃料工学科卒業
1969年 東京大学工学系大学院修士課程終了
1969年 三菱化成工業株式会社(現三菱化学)入社。水島工場、本社にて石油化学部門の生産管理・技術管理・事業企画などを担当、その後本社環境安全部にて環境管理・安全管理を担当
2005年 東京大学環境安全本部 特任教授
2011年 東京工業大学総合安全管理センター 特任教授
2015年 東京大学環境安全研究センター 客員研究員
東京工業大学 非常勤講師
横浜国立大学環境情報研究院研究員
所属 NPO法人 日本環境管理監査人協会理事長
一般社団法人 エコステージ協会理事
NPO法人 リスクセンス研究会理事
NPO法人 放射線安全フォーラム理事
【主な資格】
公害防止管理者(大気1種、水質1種、騒音)、高圧ガス作業主任者(甲種化学、甲種機械)、エネルギー管理士、ボイラー技士(特級)、危険物取扱者(甲種)、衛生管理者、環境省・化学物質アドバイザー
【主な著書(共著)】
・「化学実験における事故例と安全」オーム社
・「安全活動の源流―内田嘉吉『安全第一』を読む」大空社
・「個人と組織のリスクセンスを鍛える」大空社
・「安全な実験室管理のための化学安全ノート」丸善出版

芦ヶ原治之&トラブル対策プロジェクトチーム  著者プロフィール

(よしがはら はるゆき)
1946年 山口県県生まれ
1969年 東京理科大学理学部第一部応用化学科卒業
1969年 大手化学会社関連電子部品会社に入社。電子部品向け絶縁材を中心に商品開発業務と量産化工場立ち上げ、後に霞が関の本社開発部にて企画開発業務
1986年~ 米国資本企業(国内)を2社経験:電子材料の商品開発業務と研究管理業務。優れた新規開発の功績で米国親会社から会長賞を受賞。米国親会社からの技術導入を担当、後に品質管理と工場管理業務。
2001年 ジャパンゴアテックス株式会社入社:特殊高分子フィルム材料の電子材料向け用途開発とその商品化研究。NEDOプロジェクトで産総研と共同研究など。
2010年 技術士事務所 芦ヶ原環境エネルギー開発企画を開設独立。 技術顧問、省エネ診断、エコアクション21審査、環境経営・省エネなどのテーマにて講演・執筆など
所属 技術士事務所 芦ヶ原環境エネルギー開発企画代表、公益社団法人 日本技術士会会員、一般財団法人 省エネルギーセンター エネルギー使用合理化専門員、茨城県地球温暖化防止活動推進センター省エネルギー診断員、審査会社の外部審査員(ISO14001及びISO9001)、NPO法人 茨城県環境カウンセラー協会会員、技術士協同組合員、NPO法人 日本環境管理監査法人協会会員
【主な資格】
技術士(化学部門)、エネルギー管理士、エコアクション21審査人、労働安全コンサルタント、公害防止管理者(水質1種・騒音)、危険物取扱者(甲種)、環境カウンセラー、作業環境測定士(有機溶剤1種)、うちエコ診断士、その他(高等学校理科教諭、ボイラー技士、通訳検定など)
【主な著書(共著)】
・「技術英語の聞き方・話し方」オーム社
・「上記中国語版(台湾にて出版)」建興文化事業有限公司 
・「ISO 安全・品質・環境 早わかり」日本規格協会
・「省エネのすすめ」NPO法人 日本環境管理監査人協会・一般社団法人 エコステージ協会



トラブル対策プロジェクトチーム
本書執筆のため、ボイラメーカで構成されたチーム 。チームメンバーに小型貫流ボイラメーカ在職の西岡茂昭氏(1992年ボイラメーカ入社、以降小型貫流ボイラシステムの提案業務などに従事)など。

目次

はじめに

第1章 ボイラの市場動向と技術動向
1-1 出荷台数の推移
1-2 発生蒸発量の推移
1-3 ボイラの技術動向

第2章 ボイラの種類
2-1 炉筒煙管ボイラ
2-2 水管ボイラ
2-3 貫流ボイラ

第3章 知っておきたいボイラの技術
3-1 関係法令
3-2 ボイラの構造
3-3 ボイラの制御一般
3-4 ボイラの用語解説
3-5 付属設備

第4章 トラブルはなぜ起こるのか
4-1 原因分析
4-2 技術的原因
4-3 人的原因
4-4 経済的原因

第5章 トラブルを減らすためのアプローチ
5-1 機械系トラブル
5-2 システム系トラブル
5-3 運転方法トラブル
5-4 その他のトラブル
5-5 トラブルを減らすためのアプローチ

第6章 トラブル事例、その原因と対処法
6-1 給水ラインのトラブル
タンクヘッド不足による給水不良
キャビテーションによるポンプ性能低下
軟水装置の選定ミスで硬度漏れの発生
塩の固結現象による軟水装置再生不良
ボイラ水の逆流でポンプ破損
ボイラ負圧による満水トラブル
ドレン回収改造によるトラブル
6-2 薬注装置のトラブル
薬液切り替え時の注意事項
熱による薬剤外部漏れ
6-3 燃料ラインのトラブル
燃料膨張での配管油漏れ
オイルポンプエア抜き弁の閉止不良による外部漏れ
燃料配管の詰まり
スス付着による効率低下
6-4 蒸気ラインのトラブル
エア混入による蒸気熱伝達不良
ドレン溜りによるウォータハンマ現象
安全弁の故障
ディスクトラップを保温して開弁不良
蒸気配管の伸縮不足によるトラブル
6-5 腐食のトラブル
異種金属の接触不良
A重油の硫黄による腐食
排ガス中の水分凝縮で腐食
ボイラ水のアルカリにより黄銅が腐食
6-6 排気筒のトラブル
燃焼時の通風力の影響
通風抵抗
集合煙道の形状トラブル
ばい煙測定でのトラブル
排気筒の壁貫通時は接続部などに注意
ドレン抜きがないため、ドレンがボイラまで逆流
長期休缶後の運転注意事項
排気筒の振動と音
6-7 配線のトラブル
ボイラ到着時の端子台
ボイラ付属機器の故障でボイラ停止?
台数制御が正常に働かない
圧力信号や流量パルスを直接分岐しない
6-8 その他のトラブル
ボイラ室換気の不具合
排水配管のいろいろなトラブル
高圧吹き出しが予想される配管は固定を徹底
密着設置時に接近したアンカー施工は割れの元
ボイラの固定が不十分だと地震の際に転倒の恐れ
ボイラ出荷時の防錆処理
高効率ボイラに変更したが……
送風機の吸込み口のゴミ詰まり
中圧・低圧の蒸気を供給する場合の注意事項
保温材の劣化
燃焼量に適した水位でなかったため異常加熱

第7章 トラブルを未然に防ぐためのヒント
7-1 取り扱い
7-2 保 守

第8章 ボイラの安全とリスク対策
8-1 ボイラ安全運転の重要性
8-2 安全とリスク管理
8-3 ボイラに内在する危険源

第9章 省エネ診断の視点と実効のあげ方
9-1 すぐに役立つ省エネへの取り組み方とは
9-2 実効のあがる省エネ活動と実施の流れ
9-3 省エネ活動の実施
9-4 現場主導での実行がポイント

第10章 ボイラへの省エネ投資効果と優先順位
10 -1 設備投資を考えるにあたって
10 -2 損益分岐点と関連用語
10 -3 投資回収年数(投資回収期間)
10 -4 まとめ

あとがき
参考資料
索引

はじめに

 安全で利便性の高い熱源機器として日本で小型貫流ボイラが誕生してから50年以上の年月が経過しました。小型貫流ボイラはその特徴として缶内に有する缶水量が少ないことから安全性が高く、最高使用圧力も1メガパスカル、伝熱面積も10平方メートル以下と小規模のためボイラ技師の免許がなくても、特別教育を受講すれば誰でも取扱可能であることより、蒸気ボイラの出荷台数の95%以上を占めています。加えて、近年の技術進歩によりボイラ1基当たりの発生蒸発量の増加、運転開始や停止の操作を含めて運転制御技術の向上、さらには従来の大容量ボイラに代わって必要に応じて運転台数を調整し、運転コストを最適化することを目的とした、複数台の小型貫流ボイラの並列使用の例も増えてきました。なかには古くなった比較的大型の水管ボイラの代わりに、十数台の小型貫流ボイラをコンパクトに配備し、自動台数制御により、変動の大きなニーズにも、きわめて高効率な運転対応がなされ、省エネが図られている例があります。
 小型貫流ボイラの出荷台数は長期的には緩やかな減少傾向にありますが、引き続きわが国の産業界における小規模ユーザや民生向けボイラ供給の大半を占めると同時に、特に高圧でない、ある程度の規模のニーズにも広く使われてゆくものと思われます。このように小型貫流ボイラが幅広く使用され、今後の発展が見込まれているにもかかわらず、これまでこの分野に関する書籍や教育資料として適切なものが見当たりませんでした。
 ここでは小型貫流ボイラの設置計画から設計製作、運転、トラブル時の対策を含めて小型貫流ボイラに携わる方に依頼し、求められる知識を取りまとめました。現場の担当の方にとって、使いやすく、実用的なやさしい専門書という要望に応えることを目的として編さんしています。
 本書の主な内容ですが、第1章では市場や技術など小型貫流ボイラを取り巻く環境、第2章では小型貫流ボイラを含めてボイラに関する基礎知識、第3章では小型貫流ボイラ管理者にとっての法令、構造、付属設備、熱計算など必要最低限の知識を紹介しています。
 第4章からはトラブルの原因と対策、トラブル防止に着眼し、第4章ではトラブル発生の要因、第5章ではトラブル減少のための各種アプローチ、第6章ではこれまで発生した各種トラブル事例についての原因と発生時の対処方法、第7章ではトラブル未然防止のための日常管理の重要性について触れ、第8章で小型貫流ボイラに内在するリスクや安全面の課題を総括としてまとめています。第9章、第10章では少し視点を変えてボイラにおける省エネの進め方、省エネ投資の考え方を記載しました。
 本書の作成にあたっては第1章から第7章まではボイラメーカで構成されたトラブル対策プロジェクトチームに、第9章、第10章は技術士事務所 芦ヶ原環境エネルギー開発企画の芦ヶ原治之氏にお願いし、第8章を小山が担当しました。
 なお、用語については本書では「ボイラ」で統一することとし、JISなどの解説部分についてはJISにそって「ボイラー」としています。
 本書はこれから小型貫流ボイラ設置導入を検討されている方、現に運転管理されている方、小型貫流ボイラの安全管理やトラブル防止に悩まれている方、改善や省エネを検討されている方にとって、手軽な座右の書として利用いただきたいと考えています。さらに技術資料や教育資料として活用されることはもとより、小型貫流ボイラに関与する方にとって新しい視点が得られることを期待しています。
 最後になりましたが、本書を発刊するにあたりましては多くの方々からご協力をいただきました。特に本書執筆の機会をいただきました日刊工業新聞社の奥村功出版局長、企画段階から多くのアドバイスをいただきましたエム編集事務所の飯嶋光雄氏に心から感謝申しあげます。
2016年12月
監修者 小山富士雄

買い物かごへ