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英文ライティング「冠詞」自由自在

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07642-8
コード C3050
発行月 2016年12月
ジャンル その他

内容

英語表現で冠詞を迷いなく使えるようになるための入門書。基礎編では、冠詞使い分けの基本的ルールを紹介。ここだけをマスターするだけで冠詞表現の70%以上を理解できる。応用編では、基礎編に収まらない例外やさらに文章をブラッシュアップさせるための知識とテクニックを紹介。冠詞表現は、単純なルールにしたがって使い分ければよいのではなく、随伴先である名詞が文章全体の中でどのような意味を持つかを把握することが必要になるため、基礎編、応用編ともに冠詞を含む文例を掲載し、使い分けのコツを身に付けていく。

原田豊太郎  著者プロフィール

(はらだ とよたろう)
1941年 台北市で生まれる。
1963年 東京大学工学部卒業 応用物理学専攻。
◎著書:新版例文詳解 技術英語の動詞活用辞典、例文詳解 技術英語の同義語活用辞典、例文詳解 技術英語のキー構文・キーワード活用辞典、例文詳解 技術英語の冠詞活用入門(以上日刊工業新聞社)、理系のための英語論文執筆ガイド、理系のための英語最重要「キー動詞」43(以上講談社)、科学技術英語 例文でみる英文化技法(アグネ技術センター)

目次

まえがき  
本書の使い方  

Chapter.0 事物の特定と冠詞の役割

基礎編
Chapter.1 不定冠詞の世界
1-1 数えられる名詞の話
1-2 1を表わす
1-3 a〔数えられる名詞〕は不特定の一つの事物を表わす
1-4 a〔数えられる名詞〕は特定の一つの事物をさす
―パラドックスの謎を解く―
1-5 a〔数えられる名詞〕はカテゴリーのなかの一つを表わす
1-6 a〔数えられる名詞〕は任意の一つの事物をさす
1-6-1 個別のことがらを述べる
1-6-2 一般的なことがらを述べる
1-6-3 実世界における「任意」

Chapter.2 無冠詞の世界
―あいまいさがつきまとう〔C〕sと雲をつかむような〔U〕―
2-1 バラエティーに富んだ〔U〕
2-2 〔数えられる名詞〕sの意味と用法
2-3 〔数えられない名詞〕の意味と用法

Chapter.3 定冠詞の世界
書き手と読み手の間に共通の認識をつくる
3-1 二度目に現われた名詞にtheをつける
3-2 唯一物をさす場合
3-3 文脈によって特定される場合
3-4 修飾語句により特定される場合
3-4-1 形容詞の最上級や特定の形容詞
3-4-2 of句により特定あるいは限定される場合
3-4-3 関係代名詞節により修飾された場合
3-5 名詞の意味により特定される場合
3-6 カテゴリー全体をさす場合(総称のthe)

応用編
Chapter.4 古くからの冠詞の難問
4-1 「特定」の a〔 数えられる名詞〕もこれで納得
4-2 〔数えられない名詞〕が〔数えられる名詞〕に変身する時
4-3 there is構文の冠詞はむずかしくない
4-4 三つの総称表現とその使い分け

Chapter.5 冠詞の用法に迷うとき
5-1 a first とthe first
5-2 二度目の名詞にtheがつかないことがある

Chapter.6 同格表現のいろいろ
6-1 that節を伴なう名詞の冠詞―the fact thatとevidence that―
6-2 同格表現A of Bの冠詞
6-3 名詞を並列する同格表現の冠詞

Chapter.7 修飾語句と冠詞
7-1 主格関係と目的格関係のof句の冠詞
7-1-1 主格関係のof句の冠詞
7-1-2 目的格関係のof句の冠詞
7-2 前置詞の目的語としての関係代名詞

Chapter.8 表現力を身につけよう
8-1 固有名詞と冠詞
8-2 一般論は基本的にはφ〔C〕sを用いて書く
8-3 思考実験に登場するa〔数えられる名詞〕
8-4 命名の表現
8-5 the+形容詞は総括表現の一つ
8-6 冠詞の省略

参考文献  
あとがき  
索引  

Column
冠詞はネイティブの子供にもむずかしい  
冠詞のある言語とない言語  
誰でも誤用はする  
特定の意味のa〔C〕どう扱われてきたか  
〔C〕が〔U〕に変身する時  
there is構文は他の言語では?  


本書の使い方
(1) 無冠詞(ゼロ冠詞)については場合により記号φを用いる。
(2) 数えられる名詞、数えられない名詞については場合により、それぞれ〔C〕、〔U〕と表記する。
(3) 例文に関連した例文をところどころあげているが、その場合(12?1)のように枝番号を用いて表記する。
(4) 本文中で引用した文献については、著者名に続けて(2010:30)のように記す。( )内の最初の数字は出版年、後の数字はページ数を表わす。
(5) 英文の例文の出典については次のような略号を用いる。
   Financial Times → FT
   International New York Times → Int’l NYT

Column
冠詞はネイティブの子供にもむずかしい
 石田氏は(2002:6)ハーバード大学のRoger Brownらによる、ネイティブの子供たちが英語を習得する過程に関する研究の一端を紹介している。それによると、大人がI will read the book.を子供に繰り返すように指示したところ、30か月未満では子供の会話において、冠詞が常に落ちているという。子供の場合、冠詞のような機能語の使用は名詞や動詞のような内容語に比べて遅れがちになるということである。
 フランス語の冠詞の話になるが、たまたま観たフランス映画“Ad?le(邦題:アデル、ブルーは熱い色)”に冠詞に関連した場面が出てくる。主人公のアデルが学校の先生になって低学年の小学生に書き取りの授業をしている場面がある。
 一人の生徒が黒板にDans cuisine maman ?pluche un ognon.(台所でママがタマネギの皮をむく)と書くと、アデルが「冠詞を忘れている。小さなことだけど次からは注意して」と生徒に注意する。la cuisineのlaが抜けているのである。また、ognonも綴りが間違っていて、正しくはoignon。なお、この映画は2013 年のカンヌ映画祭でpalme d’orを受賞した。

はじめに

 本書は初学者を始め、ビジネスマン、研究者や技術者、行政関係者、翻訳者、英語教師など英語に携わる広く一般の人向けにライティングにおける英語の冠詞の意味と使い方についてやさしく解説した本である。
 不定冠詞、冠詞、無冠詞とわずか三種類しかない冠詞ではあるが、いざ英文を書いてみると、どの冠詞を使ったらよいか迷うことが非常に多い。冠詞を決めるためには、取り上げる名詞が可算名詞であるか不可算名詞であるかわからなければならない。可算名詞の場合には、単数か複数かを決めなければならない。可算、不可算が決まり、可算の場合には単・複が決まるとこれらの名詞の特定、不特定、任意などの意味に応じて冠詞が決まってくるのである。
 このように、冠詞の問題は同時に名詞の問題でもある。ここに冠詞のむずかしさがある。冠詞はすべての名詞とペアになって使用されるので、その使用頻度は他の言葉を圧倒している。従って、慣れないうちは間違いも非常に多いということになる。冠詞は間違えても意味を誤解されないですむこともあるが、読み手の理解を遅くし、情報の伝達速度が遅くなる。従って英語の言葉のなかでずばぬけて使用頻度の高い冠詞を正しく使うことはライティングにおいてきわめて重要になってくる。

 本書は基礎編と応用編に分かれている。
 基礎編では不定冠詞、無冠詞、定冠詞の基本的な意味と使い方について述べる。三つの冠詞のなかでは不定冠詞の意味が私たちには最も理解しにくい。従来、多くの本では

 ・不定冠詞=不特定(不定)の事物をさす
 ・定冠詞=特定の事物をさす

と説明されているが、この 2分法だけでは説明できないケースがある。すなわち、不定冠詞が特定の事物をさす場合がある。この点については本文中で詳述する。基礎編で解説する冠詞の意味と使い方を理解すれば書く内容にもよるが、冠詞の7割くらいは正しく使え
るであろう。

 応用編では冠詞の基本的な使い方からはみだした例外的な使い方や、高度な冠詞の用法を取り上げる。例えば、a first、a second…とthe first、the secondの使い分け、関係代名詞節や of句によって修飾された名詞と冠詞の関係、同格表現における冠詞の問題、there is構文と冠詞の問題、さらには不可算名詞が可算名詞として使われる場合、などを扱う。最後の問題は一見冠詞の問題でないように見えるが、すでに述べたように名詞の可算・不可算が決まらなければ冠詞も決まらないので、冠詞の問題なのである。
 文法書を含めて、冠詞に関する本は数多く出版されているが、本書の特徴は次の通りである。
 (1)文のなかで冠詞が果たしている役割と、冠詞が使用されている場面の視点を入れて冠詞を解説した。単に意味を考えるだけでは冠詞を使いこなせないと考えたからである。
 (2)従来、十分に説明されていない不定冠詞のいくつかの意味について明らかにした。とりわけ、不定冠詞がもつ「特定」の意味がなぜ生じるのかという点を明らかにした。また、「任意」という意味がどこから生じ、どのように用いるのか、について明確にした。
 (3)名詞がさす事物について、実在する(あるいは実在した)事物か、あるいは単に頭のなかで描いた事物であるかを明確に区別して、冠詞の意味を考えた。従来、この区別があいまいであったように思われる。この区別を取り入れることにより、上の(2)の意味も明らかにすることができた。

 本を出版すること自体がますます困難になっているこの時期に出版を引き受けていただいた日刊工業新聞社にとりわけ深く感謝したい。
 本書の編集を担当した天野慶悟さんには執筆にあたって多くの貴重な意見をいただいた。また、武蔵野市吉祥寺図書館と中央図書館には多くの参考資料を取り寄せていただいた。合わせて深く感謝したい。
 例文を引用した英語の原著や引用文献は巻末にあげておいた。
 今回著者にとってとりわけむずかしかったのは不定冠詞のそれぞれの意味がなぜ生じるのかという問題であった。不定冠詞の世界を統一的にとらえようと考え、頭のなかが混乱する度に、妻と幾度となく議論しては論理的におかしな箇所を指摘してもらった。また、フランス語に関する知識についても多くを教えられた。また、長女の真理には中学校の英語教育における冠詞の説明の仕方について教えてもらった。

本書を妹に捧げる
原田 豊太郎

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