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ムダの向こうに見えたもの
山田日登志の改善魂

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ B6判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07522-3
コード C3034
発行月 2016年12月
ジャンル 生産管理

内容

大野耐一氏に師事し、現場実践を通じたトヨタ生産方式研究の第一人者がムダ取りの思想と手法を語る。顧客に必要とされる・儲かる・楽しいモノづくりに向けた改善の切り口をわかりやすく提案。改善活動を率いるリーダーの指針を語録形式でテンポ良く紹介していく。

山田日登志  著者プロフィール

(やまだひとし)
南山大学文学部卒、中部経済新聞社、岐阜県生産性本部を経て、1978年に(株)PEC(PEC産業教育センター)を設立。現在、PEC協会会長。トヨタ生産方式の創始者である大野耐一氏の知遇を得て、独特な現場教育を開発。トステム、ソニー、NEC、キヤノンなど大企業の製造現場へも導入を果たし、そのほか中小企業の経営改革でも大きな成果を上げる。㈶日本生産性本部「トヨタ生産方式研究講座」、名古屋工業大学、人間環境大学講師も兼任。
「NHKスペシャル 常識の壁を打ち破れ」「プロフェッショナル 仕事の流儀」(以上、NHK)、「ガイヤの夜明け」(テレビ東京系列)などに出演。
主な著書
「トヨタ生産方式をトコトン理解する事典」(日刊工業新聞社)
「トヨタ生産方式と作業改善実践マニュアル」(日本生産性本部)
「ムダとり」(幻冬舎)など

目次

第1章 夢が自分を突き動かす
人生 
幸福感 
知性、感性、理性 
個性って、いつできるのか 
似合う 
長所 
一日 
行動と考え 
悩み 
ひらめきとは 
生きるって、なんや? 
なりたい自分 
本当の自分 
働くということ 
モノづくりに入魂する人 

第2章 志で仕事は変わる
思う 
好きな仕事 
損得 
稼ぎを得る 
仕事の優先順位 
仕事と作業の違い 
明日の仕事をいただける働き方 
仕事は無情? 
できないと言うこと 
仕事の三要素 
2人の仕事を考える 
仕事こそ人生 〜一人ひとりが夢へ挑戦 
現場を変える志は冷めやらず 

第3章 人に優しく会社に強く
経営者に必要な利益感覚 
経営とは仲間づくり 
価値は決められない 
学者と経営者 
社長は夢を語れ 
全方位に気配り 
真似て学ぶ 
社長の誇り 
トップの器量 
失敗 
肩書き 
管理と改善 
残業 
ホウ・レン・ソウ(報告、連絡、相談) 
良いリーダー 
儲ける 
戦略と戦術 
経営って、簡単なことだ 
強い経営に必要なこと 

第4章 現場が教えてくれること
企業の目的は顧客満足を得て 
利益を上げること
現場とは現象が起こるところ 
現場は原価を発生させるところ 
現場を尊重する 
現場を見るとは 
自発的な作業 
付加価値に変える 
作業者の動きを見る 
仕掛品をなくし、ムダを定義する 
前を向く 

第5章 トヨタ生産方式を取り入れる
省人化への挑戦 
ジャスト・イン・タイムの追究 
トヨタの現場 
トヨタ生産方式で学んだ人間のムダ 
もっとモノづくりを効率的に 
製品をつくり上げる能力 
分業、一人屋台、セル生産 
トヨタを築いた人 
トヨタ生産方式は永遠である 

第6章 前に進むために忍ぶ
努力が必要な訳 
本当の徳 
教育より大切なこと 
人生と徳の関係 
社会への参画と学び 
教養を積む 
大人の教育 
勉強してたどり着くところ 
義務教育で教えて欲しいこと 
知るとは 
訓練 
民主主義 
人間を分類すると 
改めて人間を問う 
最後に儲かる人 
成功の秘訣 
民衆 

第7章 改善する人の成り立ち
円と和 
日本の「和の心」をつくった人 
新しい日本 
尊敬される人 
ケンカと戦争 
大のつくのは悪いこと 
わが人生の確信 
病気は気から 
生かされている 
愛と憎 
竹に節あり 
間の取り方 
生きる幸せ 
人間は地球より重い 
強い人になりたい 
仕事って、何することや? 

はじめに

はじめに ~現場改善に学ぶ

 このところ、巷では“卒婚”という言葉が流行っていると聞く。東京で働く女性の2人に1人は独身と言われている。男が弱くなって結婚できなくなったのか。はたまた、女性が強くなって結婚したくなくなったのか――。これでは日本の人口は減り続け、やがて日本が地球から消えてしまうのではないか、と心配するのは人口問題研究家や政治家ばかりではあるまい。
 ダーウィンの進化論以来、何世紀もかけて猿から進化した現代人には理解できないかもしれないが、両親から生まれた事実を認めつつ、神が生き物や地球をつくったと信じる私には、「生きている」「生かされている」のどちらが正しいかと問われれば後者の方だ。「生かされている」ことを感謝し、日々を過ごせるようになったのは何歳からだろう。そう生きることで幸せになれると教えてくれたのは、明治生まれの“産婆”だった母親である。
 もうひとつ、母親から繰り返し教えられたことは、「他人様の言うことにはよく耳を傾けなさい」だった。わが師、大野耐一先生のトヨタ生産方式の中で、真因を追究するために「なぜ?」「なぜ?」を5回繰り返す“なぜ5回”という概念がある。他人様に聞くのか自問するかは別として、生きること(=問題解決)を問い続けるところに人生があると考えている。

 人間はもちろん地球や太陽を創造したのは神、と信じる私の視点で歴史をひもとくと、各地の人間(今では種族と呼んでいるが)の間で争いに勝ち残った者を豪族と呼び、互いが戦争を起こさない程度に統一できた集団を“国”と称するようになったと想像する。国を統一する人を国王と呼び、その人種を統率するようになったのはいつからか。日本の神話によると神武天皇からで約2600年前、国譲りの出雲の国が生まれていたことは、それ以前となる。
 キリストが生まれたのは少し後の約2000年前で、それ以前は今日の西欧キリスト教文化は存在せず、日本の方がはるかに先進国であったことになる。キリストは聖母マリアから生まれてきたため、両親とりわけ父親はいなく、神の子と呼ばれ、西洋人の間ではそのように教えられてきたようだ。
 日本は神武天皇以来、天皇家という神が国を治め続けていると教育されるようになったのは仁徳天皇の頃だろうか。これらの神の御旗に、あわよくば国を治める権力を取ろうと戦争が起きたのは世界史が証するところである。
 神様を利用して争いを起こすものの、その勝負を決めるのはやはり神様だ。そんな国から逃げ出し、現地人に勝ち誇って成立したのが現在のアメリカ合衆国である。今日、世界を支配しているのはこの国と信じている人は多い。これに異を唱えている国の代表がロシアのプーチン大統領であり、世界一の人口を抱えた中国の習近平主席で、この3カ国が地球の盟主たらんとしているところに他の国々が翻弄されている、というのが現在の世界の姿であろう。

 国力とは、経済力と軍事力の合算である。その統率ができる人こそ国の指導者にふさわしく、その人をどう選ぶかは科学的にも人類学的にも解明されていない。私にはこれも神の仕業のように思える。こうした経済力と軍事力の源泉が産業社会であり、農業や工業という“モノづくり”である。
 そんなモノづくりに革命を起こしたものこそ大野先生が生んだトヨタ生産方式で、同じモノをつくり大量に販売して成功したアメリカ経営学に代わる手法として、世界を席巻している。私の脳は、師に会った瞬間から強く反応し、私をその思想の虜にした。これも神の仕業だろう。それ以降、現場改善に夢中になった。私のような男に、ソニーもキヤノンもLIXILもスタンレー電気も、長年おつき合いしてくれた。私が主宰するPECで改善リーダー養成を受け、自社へ帰って活躍する人は35年間で1万3000人を超えた。
 人間が何に夢中になり、どう行動を起こすかについての研究は、医学や心理学などの分野で進歩している。そんな中、「人間は何でできているのか?」という問いに対して、私は「心と体でできている」と答え、「心を分析すると、知性・感性・理性で構成されている」と言うようになった。知性は心のあるところ、すなわち心臓から発するもの。一方、感性とは五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)から感じ取るもので、知性と感性が脳細胞でブレンドされ、理性すなわち気となって人間の行動を起こさせていると思える。知性は代々、血で受け継いでいくことで高められ、感性は訓練によって発達するようだ。良い家柄と厳しい訓練。これこそ英国が教えてくれたことにもかかわらず、それを守れる人間はいない。だからこそ、人間は繰り返し失敗する生き物なのであろう。
 「神って、どこにいるのだろう?」
 現場改善に奮闘しながらそのように毎日思いつつ、書き留めたのが本書の内容である。これも神の仕業なのか。
著 者

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