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きちんと知りたい
粒子分散液の作り方・使い方

定価(税込)  2,484円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-07631-2
コード C3043
発行月 2016年11月
ジャンル 化学

内容

分散技術の応用分野は、インキ・塗料・化粧品・食品・製紙・電子材料・光学材料・磁性材料など幅広い。共通しているのは「粒子を分散して、さまざまなものを混ぜ、きれいに塗り仕上げる」というプロセスである。そのプロセスにおける分散配合設計や分散機、分散剤に関する基本的で具体的な事柄を取り上げ、Q&A形式で解説する。実務に役立つ1冊。

小林敏勝  著者プロフィール

(こばやし としかつ)

1980年 京都大学大学院工学研究科工業化学専攻修士課程 修了
同 年 日本ペイント株式会社 入社
1993年 京都大学博士(工学)「塗料における顔料分散の研究」
2000年 岡山大学大学院自然科学研究科 非常勤講師(2000 年度のみ)
2002年〜 社団法人色材協会理事
2002〜2005年 色材協会誌編集委員長
2010年 社団法人色材協会 副会長 関西支部長
2010年〜 東京理科大学理工学部 客員教授
2010年 日本ペイント株式会社 退職
2011年 小林分散技研 代表
2014年〜 一般社団法人色材協会 副会長 関西支部長
工学博士

1989年 色材協会賞 論文賞、1997年 日本レオロジー学会賞 技術賞、1998年 色材協会賞 論文賞、2009年 大阪工研協会 工業技術賞

主な著書
「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」、日刊工業新聞社(共著)
「塗料における顔料分散の考え方・進め方」、理工出版社

目次

はじめに

第1章 粒子分散液を作る
1.1 粒子分散とは  
1.2 粒子分散の単位過程  
1.3 水性系での粒子分散  
1.4 有機溶剤系での粒子分散  
1.5 溶解性パラメーターと表面張力  
1.6 分散剤  
1.7 分散機・分散プロセス  
1.8 粒子分散状態の評価  

第2章 粒子分散液を使う
2.1 粒子分散液の性質  
2.2 粒子分散液と何かを混ぜる  
2.3 粒子分散液を塗工する  
2.4 粒子分散液を乾燥・固化させる  

索 引  

はじめに

 本書は粒子分散液の製造に関わる技術者はもとより、粒子分散液を購入し、それを使用した製品を設計・製造する技術者も対象として執筆いたしました。
 新規物質に対する労働安全衛生法や化審法の厳しい規制の下で、新しい化学構造の物質を製造して新しい機能を発現させるという手法が、適用し難くなっています。結果として、多くの産業分野では、既存の化学物質を複合化させ、「合わせ技一本」で、より優れた機能を発現させることが、モノづくり手法の主流となっています。
 異なる物質を複合化させる手段としては、積層化、固溶体化、合金化などに加えて、分散系にすることが大きな選択肢の1つです。
 また。分散系にすることは、分散質の微粒化による、輸送や成形、パターニングなどでの優位性の確保につながります。さらに、粒子径をナノサイズ(100 nm以下)にすることで、量子サイズ効果というバルクでは見られなかった性質が発現します。融点降下や電磁波吸収などが、その性質の例です。
 分散系にすることには上に示したように多くの利点がありますが、反面、連続相(分散媒)と粒子との間に膨大な面積の界面が生じます。「固体は神が創造し、界面は悪魔が作り出した」と言われるように、一般的に界面は不安定ですので、分散系もまた不安定になりがちです。特に液相に固体粒子が分散した粒子分散液では、粒子間引力が大きいので、微粒化が困難であったり、分散液がボテボテとした流動性を示して取り扱いが厄介であったりします。また、分散媒と粒子との比重差が大きいので、粒子が貯蔵中に沈降してしまう問題もあります。分散系を作成するということは、いかに膨大な面積の界面を作り出し、安定化させるかだ、と言っても過言ではありません。
 著者は、2014年に元資生堂の福井寛博士と共著で日刊工業新聞社から「きちんと知りたい 粒子表面と分散技術」という書籍を上梓させていただき、この中で粒子分散系の製造における分散配合設計の基本的な考え方や、水性系、有機溶剤系での具体的な方策、分散機や分散剤に関する基本的な事項などについて解説しています。
 本書では、上記の書籍では取り上げきれなかった項目を付け加えたのは当然ですが、Q&A形式にすることによって、より平易な言葉で理解していただきやすいようにしました。また、課題解決型のQ項目で、前著では複数の節・項にまたがる内容を有機的に関連付けて、解説するようにしました。前著が教科書的な内容で織り布の縦糸とすれば、本書は前著の行間や裏話とともに、現場で生じる問題からの視点を加えた横糸的な性格があります。
 本書の第1章は粒子分散液を製造する際に必要な知見や、生じそうな疑問に対する回答で構成されています。
 さらに、粒子分散液を自分では製造しないが、どこからか買ってきて使用する立場の技術者も多数おられることを、現在の技術コンサルタントという立場になって知りました。本書の第2章は、このような技術者に知っておいて欲しい項目を中心に取り上げています。また第1章の第5節や第8節も、ぜひ知っておいて欲しい項目です。
 粒子分散液の製造・使用に関わる全ての技術者に、本書が少しでもお役に立つことを祈念いたします。
2016年9月25日
小林敏勝

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