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数学フリーの「有機化学」

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 148頁
ISBNコード 978-4-526-07629-9
コード C3043
発行月 2016年11月
ジャンル 化学

内容

「数学フリーの物理化学」「数学フリーの化学結合」に続く「数学フリー」シリーズ第3弾。有機化学は、物理化学(理論化学)、無機化学とともに化学の3本柱の1つとも言われる化学の基礎。本書は、それに関連する基礎知識について、数式をできるだけ使わずに、学問の重要な部分をイメージで理解し、技術者の素養を育てる本。
数式が嫌いな人でも苦労することなく、知らず知らずのうちに有機化学の基礎を理解することができる。

齋藤勝裕  著者プロフィール

(さいとう かつひろ)
1945年生まれ。1974年東北大学大学院理学研究科化学専攻博士課程修了。
現在は愛知学院大学客員教授、中京大学非常勤講師、名古屋工業大学名誉教授などを兼務。
理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。
著書は「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『レアメタルのふしぎ』『マンガでわかる有機化学』『マンガでわかる元素118』(以上、SB クリエイティブ)、『生きて動いている「化学」がわかる』『元素がわかると化学がわかる』(以上、ベレ出版)、『すごい! iPS 細胞』(日本実業出版社)、『数学フリーの「物理化学」』、『数学フリーの「化学結合」』(以上、日刊工業新聞社)など多数。

目次

はじめに

第1章 炭素原子の構造と性質
1-1 原子の構造
1-2 原子量と分子量
1-3 原子の電子構造
1-4 電子殻と軌道のエネルギー
1-5 電子配置
1-6 周期表

第2章 有機化合物を作る結合
2-1 共有結合
2-2 σ結合とπ結合
2-3 混成軌道
2-4 炭素原子の作る結合―①
2-5 炭素原子の作る結合―②
コラム アセチレン
2-6 共役二重結合
2-7 ヘテロ原子との結合

第3章 有機化合物の構造と命名法
3-1 有機化合物の種類
3-2 構造式の表現
3-3 異性体
3-4 有機化合物の命名法
3-5 アルカンの命名法
3-6 アルケン、アルキンの命名法

第4章 官能基と有機化合物の種類
4-1 置換基
4-2 置換基の種類
4-3 アルコール、エーテルの種類と性質
コラム お酒とアルコール
4-4 ケトン、アルデヒドの種類と性質
4-5 カルボン酸の種類と性質
4-6 窒素を含む化合物の種類と性質

第5章 有機化学反応
5-1 反応の種類
5-2 反応速度
5-3 反応エネルギー
5-4 遷移状態と活性化エネルギー
5-5 逐次反応の反応速度
5-6 酸・塩基
5-7 酸化・還元

第6章 飽和化合物の性質と反応
6-1 光学異性体
6-2 光学異性体の光学的性質と生理学的性質
6-3 一分子求核置換反応:SN1反応
6-4 二分子求核置換反応:SN2反応
6-5 脱離反応

第7章 不飽和化合物の性質と反応
7-1 シス付加反応
7-2 トランス付加反応
7-3 環状付加反応
コラム 合成反応
7-4 酸化・還元反応
7-5 互変異性

第8章 芳香族化合物の性質と反応
8-1 芳香族化合物の反応性
8-2 芳香族置換反応
8-3 芳香族置換反応の種類
8-4 芳香族置換反応の配向性
8-5 配向性の原因

第9章 官能基の性質と反応
9-1 エステル化反応
9-2 エステル化反応機構の解明
9-3 アミド化反応とエーテル化反応
9-4 置換基の変化する反応―①
9-5 置換基の変化する反応―②

第10章 有機化合物の先端技術
10-1 分子間結合
10-2 超分子
10-3 一分子機械
10-4 液晶
10-5 液晶モニタの原理
10-6 有機EL
10-7 有機太陽電池

はじめに

『数学フリーの化学』シリーズ第三弾の『数学フリーの有機化学』をお届けします。
 本シリーズはその標題のとおり『数学フリー』すなわち、数学を用いない、数学が出てこない化学の解説書です。化学は科学の一種です。科学の共通言語は数学です。科学では複雑な現象の解析、その結果の記述を数学、数式を用いて行います。化学も同様です。
 しかし、化学には化学独特の解析、表現手段があります。それが化学式です。化学式とそれを解説する文章があれば、数式を用いた解説と同等の内容を表現することができます。本書はこのような化学の特殊性を最大限に生かして、数学なしで化学の全てを解説しようとする画期的な本です。
『有機化学』はもともと数学とは無縁の分野であり、ことさらに仰々しく「数学フリー」などと強調することもあるまい、とお思いになる方もいるでしょう。確かにそうかもしれません。高校の化学教科書の「有機化学」の部分を開いてみると、およそ数学といえるような数式はもちろん、数学的な記述もありません。出てくるのはメタンやベンゼンなどの化学式、構造式、それを用いた反応式ばかりです。
 しかしそれは、高校化学教科書全体の1/4ほどしかない限られた分野に、膨大な量の「有機化学」の全貌を押し込めようとした結果に過ぎません。有機化学は広大な範囲と膨大な知見を持った、化学における最大分野の領域といってよい分野です。この分野には有機物理化学、有機光化学、有機不安定中間体化学、有機超分子化学、有機超伝導体化学、有機磁性体化学など、現代化学の最先端をいく分野が目白押しです。
 このような最先端の分野を研究するのには数学なしでは務まりません。特に有機化合物の結合、構造、物性、反応性の理解には量子化学に基づいた分子軌動法の知見なしに研究することはできません。それはエンジンのない船で太平洋に船出するようなものです。
 本書は「高校化学の有機化学」を「無難になぞる」ことを目的としたものではありません。もちろん、高校化学を復習することから始めますが、行き着く先は現代化学の最先端の紹介と理解です。そのためには本来ならば、高等数学に裏打ちされた分子軌道法の知識がないと困難です。本書の標題を『数学フリーの有機化学』としたのは、数学の助けを借りることなしにこのような最先端有機化学までをも紹介した、ということを強調したいためなのです。
 本書を読むのに基礎知識は一切必要ありません。必要なことは全て本書の中に書いてあります。みなさんは本書に導かれるままに読み進んでください。ご自分で気づかないうちにモノスゴイ知識が溜まってくるはずです。そしてきっと「有機化学は面白い」と思われるでしょう。それこそが、著者の望外な喜びです。
 最後に本書の作製に並々ならぬ努力を払って下さった日刊工業新聞社の鈴木徹氏、並びに参考にさせて頂いた書籍の出版社、著者に感謝申し上げます。
2016年10月
齋藤勝裕

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