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切れ味を長もちさせる
切削工具の再研削技術&ノウハウ

定価(税込)  2,808円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07628-2
コード C3053
発行月 2016年11月
ジャンル 機械

内容

切削工具の切れ味は加工精度や能率を決定する重要な要素であり、高品質な加工のためには工具を常に良好な状態に保つ必要がある。30年以上にわたって切削工具の再研削を行ってきた著者の経験と知識を元に汎用の万能工具研削盤による切削工具の再研削の技術・ノウハウを解説する。

青木 渉  著者プロフィール

(あおき わたる)

ビーティーティー㈱ 取締役会長・シニアフェロー
国家検定一級技能士(切削工具研削)
1953年生まれ。 
1976年、大同大学工学部機械工学科卒業。祖父の代に名古屋市に設立された切削工具の再研削メーカー㈱光研磨に入社。
1988年、㈲ビーティーティー設立。切削工具の再研削とともにオーダーメイドの切削工具の製作も行う。
1998年、ビーティーティー㈱に社名変更。
2013年、グッドデザイン賞受賞(難削材用エンドミル「さくら」の開発)
2016年、名古屋市工業グランプリ市長賞受賞(SiC単結晶工具の開発)。

目次

目  次


はじめに

《プロローグ》
切削工具の再研削技術を知ることは 工具本来の機能や特長を知ることである

第1章 切削工具の再研削の理論と準備
1-1 再研削と2次元切削モデル
穴あけ加工とフライス加工
2次元切削モデルを考える
切削条件とは
刃先はまるで「雷おこし」
面を点にしてやるのが再研削
1-2 万能工具研削盤の選び方
万能工具研削盤とは
万能工具研削盤に必要な基本機能
制御軸の1軸をNC化した簡易NC工具研削盤
直径1mm以下の工具も再研削できる小径工具研削盤
1-3 万能工具研削盤の使い方
テーブルと砥石軸の可動部分
主軸台の可動部分
工具に特化した器具
難しい再研削を自動で行う専用機
複雑な形状の工具はプロファイル研削盤で
初心者でも再研削が可能な専用工具研削盤
1-4 砥石の選び方
「研削」と「研磨」の違い
砥石を選ぶ際に注目したい5つの要素
切削工具の再研削に使用する研削砥石の種類
粒度が高いものは仕上げ用、粒度の低いものは粗研削用
結合度はアルファベットで表示
砥粒の集中度が低いほど目詰まりしにくい
結合剤はレジンが一般的
1-5 砥石のメンテナンス
使用前には砥石を「研ぐ」ドレッシングが不可欠
スティックでダイヤモンド砥石をドレッシング
時には砥石の形状を整えるツルーイングも必要
ダイヤモンド砥石、cBN砥石のツルーイング方法

第2章 ドリルの再研削
2-1 ドリルの再生と粗研削
ドリルは切れ刃の逃げ面を再研削
再生のポイントは経済性を考慮した切断位置
再生時間短縮には粗研削が有利
逃げ面の形状は平面二段刃と円錐刃の2種類
平面二段刃の粗研削
円錐刃の再生と粗研削
2-2 平面二段刃付けの仕上げ研削
砥石はカップル型砥石を選ぶ
ドリルはワークヘッドのチャックに装着
万能工具研削盤の機械段取りを行う
いよいよ逃げ面を研削する
スパークアウトで研削終了
最後は三番逃げ面を研削
2-3 円錐刃付けとシンニング
円錐刃付けは専用アタッチメントや専用機で
ドリル専用研削盤を使って実際に研削
ドリルの食い込み良くするシンニング
シンニング形状は、ひらき角、シンニング角、すくい角で決まる
2-4 小径ドリルの製作(1) 小径部の削り出し
改良品の需要が多い段付きドリル
段付きドリルの大径は小径の3倍まで
大径ドリルの切れ刃角が湾曲する不具合
既製ドリルの改造は片受け支持加工で
2-5 段付きドリルの製作(2)段付き部の刃付けと検査
段付き部の刃付けの機械段取り
段付き部の刃付けは首部の処理に注意
段付きドリルを再研削する場合は切断量を最小に
小径長さや面取り部の角度を検査
発注者の意図を正確につかむことが大切

第3章 リーマの再研削
精度の高い穴あけにはリーマを併用
リーマの種類
リーマは食付き部のみを再研削
リーマ再研削の機械段取り

第4章 エンドミルの基礎知識
エンドミルは端面と外周部の両方に切れ刃がある
底刃の形状や数で用途が異なる
外周刃やシャンク、ねじれの形状もいろいろ
必要以上に長いエンドミルは加工精度を下げる

第5章 ラジアスエンドミルの再研削
5-1 2枚刃スクエアエンドミルの底刃の再研削
スクエアエンドミルの再研削は底刃のみ
切断はユーザーに相談のうえ、慎重に行う
二番面の逃げ角とすかし角の設定
底刃の再研削に必須のギャッシングとは
短刃と長刃をつくる理由
二番面、三番面はトラバース研削で
エアカットとスパークアウト
ギャッシングの実際
切断したエンドミルの底刃を再製作する
ギャッシングすくい面の精度を上げる
5-2 多刃スクエアエンドミルの底刃の再研削
多刃のスクエアエンドミルは側面加工や仕上げ加工に用いる
多刃スクエアエンドミルのギャッシング
長刃と短刃では切込み方が違う
多刃エンドミルのギャッシングはタイプ別に整理
フラットランドで底刃コーナーのチッピングを防ぐ
5-3 スクエアエンドミルの外周刃逃げ面の再研削
フランク摩耗以外にダメージがなければ外周逃げ面のみ再研削
外周逃げ面はエキセントリック刃形に
砥石の傾きと外周刃の二番逃げ角の関係
外周刃のエキセントリック刃研削は熟練が必要
右手はワークヘッドを回転、左手はベッドを移動
切断面の状態で砥石の位置を調整
往復研削がポイント
5-4 スクエアエンドミルの外周刃すくい面の再研削
逃げ面の幅が大きいので三番面を研削
NC軸を付加した万能研削盤を使用

第6章 ラジアスエンドミルの再研削
スクエアエンドミルのコーナー部分にRを付けたものがラジアスエンドミル
R刃の再研削はワークヘッド旋回台を使って行う
実際の研削手順
R刃のすくい面は3パターン

第7章 ボールエンドミルの再研削
まず先端を切断するかどうか決める
R刃のすくい面から再研削
R刃ギャッシングポイントはここ
R刃の研削の手順
小径のボールエンドミルの再研削

第8章 工具の測定と切れ刃状態の観察
工具の直径をマイクロメータで測定
レーザ測定器でエンドミルの外径を測定
投影機で工具の形状精度を測定
工具顕微鏡で切れ刃角度を測定
高精度工具形状測定器で精密な形状を測定
シャンク工具の形状精度の測定
仕上がった工具の状態を工具観察台でチェック

索 引

はじめに

 刃先が摩耗したり傷ついたりして、切れなくなったり、切れ味が悪くなった切削工具は、研ぎ直すことで切れ味の良さを取り戻すことができる。これが再研削だ。再研削を繰り返すと、次第に工具としての精度が落ちてくるが、荒切削など用途を選べば長期間にわたって利用でき、経済的だ。にもかかわらず、切削の現場では安価であるという理由だけで切削工具が使い捨てにされている現実がある。
 もちろん切削工具の再研削は簡単ではない。しかしかつては、どこの工場にも工具技術者と呼ばれる人がいて、専門の再研削業者に対して的確に再研削の仕様を指示したものだった。工具技術者を通じて切削の現場には、それぞれの仕事に適した工具の選び方や使い方、さらには再研削のノウハウが伝承されていったのである。本書はこうしたノウハウを後世に残そうという試みでもある。
 著者は現在、工具の再研削や工具の改造だけでなく、工具そのものの設計・製造を行っている。著者が切削工具の設計や製造の基礎を学んだのは、こうした工具技術者とのやり取りからだ。切削工具の再研削技術を知ることは、工具本来の機能や特長をよりくわしく知ることにも通じる。実際に自分で再研削をしようと思わなくても、切削加工に従事しているなら工具再研削の原理、ノウハウを知っておくことは重要だ。
 本書では、著者が30年以上の経験から得た知識と技術を基に、ドリルやエンドミルを再研削する際に押さえておくべきポイントをまとめた。特に図を多用することで、言葉ではなかなか伝わらない再研削のポイントが初心者にも理解しやすいように配慮した。さらに工具の再研削に不可欠な汎用の万能工具研削盤や砥石の選び方、使い方も詳しく解説している。
 本書がモノづくりの現場で切削工具の再研削を「再発見」するきっかけとなれば幸いである。
2016年11月
青木 渉

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