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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい電磁気の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07622-0
コード C3034
発行月 2016年10月
ジャンル ビジネス 電気・電子

内容

電磁気は難解であるため、仕事上、電磁気の基礎は知っておきたいが、教科書を手にしても難解な数式だらけで読み始める気になれないという人も多い。本書は、数式だけでなくイメージイラストも盛り込み、必要最低限に絞った項目と内容で、電磁気の基本概念を的確に伝える。初学者には最適の1冊。

面谷 信  著者プロフィール

(おもだに まこと)

東海大学工学部光・画像工学科教授
電子ペーパー、視覚認識、3D表示等の研究に従事 

1955年 鳥取県境港市生まれ
1974年 米子東高校卒業
1980年 東北大学大学院機械工学第二専攻修士課程修了。同年日本電信電話公社(現NTT)入社(横須賀電気通信研究所に勤務)
1987年 工学博士(東京大学)
1997年 東海大学工学部光学工学科助教授
2002年 東海大学工学部光・画像工学科教授

【学会活動】
日本画像学会会長、日本印刷学会理事、SID日本支部長、JBMIA電子ペーパーコンソーシアム委員長
(Society for Imaging Science and Technology, 日本画像学会, 画像電子学会 各フェロー)

【主な著書】
「デジタルハードコピー技術」(共著)共立出版、2000年
「紙への挑戦 電子ペーパー」森北出版、2003年
「電子ペーパー」(監修)東京電機大学出版局、2008年

目次


第1章 そもそも電気とは何か?
1 電気現象とは? 「摩擦帯電現象から電気現象の本質を知る」
2 導体と絶縁体の違い 「自由電子の有無により性質が大きく異なる」
3 電荷同士に働く力は距離の2乗に反比例 「クーロンの法則は万有引力の法則とそっくり」
4 力の単位ニュートンを実感する 「単位系の確認と力学の復習」
5 クーロン力を計算してみよう 「1[C]は巨大な電荷量」
6 物質の電荷量とは? 「物質内の驚くべき電荷量」
7 ベクトルとしてのクーロン力 「知っておくと便利な「重ね合わせの原理」」
8 電荷の周囲には電界ができる 「電界(電場)は重力場と同様に力を発生させる」

第2章 電気の世界をどう表現するか?
9 電位は標高のようなもの 「電界に逆らって単位電荷を動かすためのエネルギーが電位」
10 電位の定義式 「1[C]の電荷を移動させるためのエネルギーが2点間の電位差」
11 点電荷の周囲の電位 「無限遠方をゼロ電位として計算」
12 等電位面と電気力線 「等電位面は電気の世界の等高線」
13 等電位面を描く 「点電荷の等電位面は球面」
14 電荷の周囲の電界を求める便利な方法 「ガウスの法則」
15 ガウスの法則で電界を求める 「「ガウス面を貫く電気力線」と「ガウス面が包む電荷」を計算」

第3章 電気の世界における基本法則
16 ガウスの法則の積分表現 「閉曲面を突き抜ける電気力線本数を面積分で表す」
17 ガウスの法則の微分表現 「ミクロな観点での電荷Qと電界Eの関係」
18 電気力線の湧き出しとは 「電荷のあるところに発散(div)あり」
19 電気の世界における斜面の傾き 「傾きには方向がある」
20 電位の傾きと電界の関係 「「電界」と「電位の傾き」は正負が逆のベクトル」
21 電界と電荷の関係 「ラプラス・ポアッソンの式」
22 ラプラスの式を解く 「最も簡単な微分方程式の解法」
23 境界条件でラプラス方程式の答えを確定 「電位から電界を求める」
24 電位と電界と発散を視覚的に理解する 「電位の微分が電界でそのまた微分が発散」

第4章 真空でないときの電気現象は?
25 電気を貯めるコンデンサ(キャパシタ) 「平行平板電極の特性」
26 優れたコンデンサとは 「コンデンサの能力を決める要素」
27 導体内の電荷分布はどうなっているか 「導体内では電界はゼロ」
28 導体に映る電荷の鏡像 「実在電荷の鏡像を導体内に仮定して電気力線を描く」
29 鏡像法で電界を求める 「複雑な電界も簡単に求まる」
30 誘電体内では電界が弱まる 「誘電体内で何が起きるか」
31 誘電体の分極現象が電界を弱める 「双極子モーメントと分極」
32 物質内でも不変な指標「電束密度」 「電束線は物質に入っても変化しない」
33 比誘電率ですべて片付く 「誘電体内における各種法則」

第5章 電流が流れると磁界ができる
34 電流と抵抗 「オームの法則」
35 回路計算の基本 「キルヒホッフの法則」
36 キルヒホッフの法則で電流を求める 「ループ電流で考える」
37 電流は磁界の発生源 「磁界を求めるアンペアの法則」
38 円柱導体の内部と外部の磁界(その1) 「まず円柱導体外部の磁界を求める」
39 円柱導体の内部と外部の磁界(その2) 「導体内部の磁界を計算」
40 磁界の特徴と表現方法 「磁界Hと磁束密度B」
41 コイルの作る磁界 「ソレノイドを貫く磁界」

第6章 磁界中の電流には力が働く
42 磁界が電流に及ぼす力 「モーターを回す力の源」
43 平行電流間に働く力 「平行電流は力を及ぼし合う」
44 磁界中の電荷に働く力 「電荷の速度に比例した力が磁界により働く」
45 発電機の原理 「磁界中で動かした導線には電界が生じる」
46 発電機による交流電流 「磁界中で回転させたコイルには電界が生じる」

第7章 磁気現象をミクロに見る
47 電流と磁界のミクロな関係 「アンペアの法則の微分形」
48 rotation (渦)とは何か 「rotは渦の軸方向を向くベクトル」
49 rot計算の簡易な表現 「行列式でシンプルに表す」
50 円柱電流による磁界の渦と磁界 「電流が磁界の渦(磁場の源)を作る」
51 磁界の渦の意味 「rot Hは電気の世界でのdiv Eと同じ位置づけ」
52 物質中の磁界 「物質中の電界と同様に考える」
53 強磁性体の履歴現象 「ヒステリシス特性」

第8章 電界と磁界の相互作用
54 電磁誘導の発見 「ファラデーの失敗実験から」
55 ファラデー電磁誘導の法則 「電磁誘導の定量表現」
56 マクスウェルの方程式とは 「電磁気現象を4つの式ですべてカバーする」
57 マクスウェル方程式の導出 「ファラデーの法則の積分表示」
58 マクスウェル方程式の完成 「マクスウェルの見つけた最後のピース」
59 マクスウェル方程式の色々な表し方 「4つの式で電界/磁界の時間/空間的性質を網羅」

第9章 電磁波の発見(光は電磁波 だった)
60 波とは何か? 「電磁波導出の準備」
61 真空空間は波動を伝えるか? 「媒質の拘束条件が波動の存在を決める」
62 マクスウェル式から波動方程式へ 「電磁波の存在とその速度がわかった」
63 光とは何か? 「波長が人間の目のセンサの感度域にある電磁波が光」
64 電磁波の表現方法 「1次元にシンプル化」
65 電磁気学の構造 「本書で学んだことを振り返る」

コラム
●クーロンの法則の発見
●点電荷とは何か?
●地形の傾きより1次元多い電位の傾き
●努力家ファラデーの業績と人望
●基本単位・基本定数の意外な定義順
●直流派エジソンと交流派ウェスチングハウス社の対決
●演算子は文明の象徴?
●マクスウェルによる電磁波理論とヘルツによる実証
●人の行列も波動を伝える?

参考文献
本書で使用する数学の基本公式集

はじめに

 電磁気学と聞いてやさしい科目とイメージする人はまずいないのであろう。実は著者自身もその1人であったことが、特に平易な入門書をめざした原点である。本書は難解と思われる電磁気学の全貌を特にやさしく解説し、電磁気は何となくわかった(苦手意識がなくなった)という段階まで読者をお連れすることを到達目標として、思い切って内容を絞っている。電磁気をより詳しく学びたい場合は、本書で全貌を把握した後に、詳しい教科書で必要箇所を学び直すという手順をお勧めしたい。回り道に見えるかもしれないが、最初から詳しい教科書に取り組み、全貌把握の前に挫折するよりは、堅実かつ効率的であろう。
 本書の読者層としては、電磁気を楽しくかつしっかり理解したい大学生および社会人を想定している。初めて電磁気を学ぶ人、現在勉強中の人、一度は習ったがあまり理解できなった人、のいずれの読者にも応えられる内容を目指して執筆したつもりである。もちろん本書では、高校までの教科書とは異なり、微積分、ベクトル、行列等の積極活用により、電磁気をより簡潔に記述している。数学は苦手という読者も、臆することなく読み進めていただきたい。電磁気学の分野においては、微積分をはじめとする数学手法が実に便利な記述~解析手段として活用されている。高校までは数学の学習と物理の学習が並行して進むため、せっかくの便利な数学手段が物理教育に十分に活用されていないが、大学以降の電磁気では、その縛りから解放され、存分に数学を活用することができる。一方、特に本書で用いる数学は、高校数学でも基本公式のレベルで、数学自体の試験問題になるような応用問題を解く能力は不要な範囲に留まっている(本書で用いる数学公式については巻末にまとめたので適宜参照されたい)。数学が大工仕事におけるノコギリやカンナのように物理の「便利な道具」であることを、本書を読み進めつつあらためて実感していただきたい。
 本書は摩擦帯電という身近な電気現象により電気の本質を理解する導入から始まり、最終的に電磁波とは何か? 光とは何か? を理解するところまでを守備範囲としている。その過程で難解な式の代名詞のようにいわれるマクスウェルの方程式については、特にわかりやすい説明に努めたつもりであるので、読了後にはその意義と役立ち方を実感していただけることを期待している。
 本書の扱う範囲はいわゆる古典電磁気学といわれる分野であり「古典」の枕詞は、量子論の知見をまだ使わず、すなわち物質を基本的に連続体とみなして論理展開を進めることを意味する。それにもかかわらず、本書では特に電気とは何かという導入部分等では原子レベルの説明もあえて取り混ぜて進めている。古典電磁気の考え方からはやや逸脱し、専門家の観点からは中途半端な印象を持たれる可能性があるが、電気現象の所在の直観的理解のためにあえて原子レベルの説明も適宜加えている。本書で用いた原子レベルのモデル図や説明は、特に導電体と絶縁体との違い等を読者に感覚的に理解していただくために大胆に単純化したものであるので、量子論を前提とした現代物理学の観点からは怪しい説明といわれかねないことも承知の上での確信犯であることをお許しいただきたい。
 なお、物理学共通の約束事として、電磁気学においても、方向と大きさを持つ量であるベクトル量と、大きさのみを持つ量であるスカラー量とを意識して見分け、使い分けることが重要である。本書中で物理量は物理学の慣例に従ってすべて斜体字で表記しているが、中でもベクトル量は「E」のように太字の斜体、スカラー量は「E」のように細字の斜体で表記して明確に書き分けてあることに留意いただきたい。
 ちなみに、本書は物理分野の教科書としては珍しく縦書き表記であるが、数式は本来縦書きになじまないため横書きを基本として縦書き本文中に混在させており、やや読みにくい面もあることをお許し願いたい。
 最後に、本書の執筆において有用なアドバイスを数多くいただいた同僚や先輩諸氏、中でも全般にわたり懇切かつ的確なご指摘を頂いた若木守明博士(東海大学名誉教授)に改めて深く感謝の意を表したい。また、本書出版きっかけをいただいた同級生の原島茂博士、本書の企画?着手段階で筆者を巧みに誘導いただいた日刊工業新聞社の土坂裕子氏、根気強く仕上げていただいた同社の木村文香氏に改めて御礼申し上げたい。最終的に本書がわかりやすく、かつ読者の知的興味にも応えられる入門書となっていることを願っている。
2016年10月
面谷 信

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