買い物かごへ

目で見てわかるスローアウェイチップの選び方・使い方

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07612-1
コード C3053
発行月 2016年10月
ジャンル 機械

内容

現在、生産現場で使用される切削工具の多くがスローアウェイ(刃先交換式)工具であり、さまざまな加工に利用されている。本書は、写真および図を多用して、スローアウェイチップの種類、性能、機能などとともに、使いこなすための知識をわかりやすく解説する。現場で使える実用書。

澤 武一  著者プロフィール

(さわ たけかず)
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 准教授
博士(工学)、ものづくりマイスター、1級技能士(機械加工職種、機械保全職種)

1977年3月 滋賀県生まれ
2004年2月 国家検定1級技能士取得(機械加工職種、機械保全職種)
2005年3月 熊本大学大学院修了 博士(工学)
2005年4月 職業能力開発総合大学校 精密機械システム工学科 助手
2005年6月 富士フイルムグループ フジノン佐野株式会社
(現:富士フイルムオプティクス株式会社)にて実務研修
2010年4月 東京電機大学 工学部 機械工学科 准教授
2013年4月 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 准教授
2014年7月 厚生労働省ものづくりマイスター認定

専門分野
固定砥粒加工、臨床機械加工、技能継承

著 書
・目で見てわかる「使いこなす測定工具」―正しい使い方と点検・校正作業―
・目で見てわかるミニ旋盤の使い方
・目で見てわかるエンドミルの選び方・使い方
・目で見てわかるドリルの選び方・使い方
・目で見てわかる研削盤作業
・目で見てわかるフライス盤作業
・目で見てわかる旋盤作業
・目で見てわかる機械現場のべからず集―研削盤作業編―
・目で見てわかる機械現場のべからず集―フライス盤作業編―
・目で見てわかる機械現場のべからず集―旋盤作業編―
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしいマシニングセンタの本」
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい旋盤の本」
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい切削工具の本」
・絵とき「旋盤加工」基礎のきそ
・絵とき「フライス加工」基礎のきそ
・絵とき 続「旋盤加工」基礎のきそ
・基礎をしっかりマスター「ココからはじめる旋盤加工」
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業2級」手順と解説
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業3級」手順と解説
……いずれも日刊工業新聞社発行

目次

はじめに

第1章 チップの種類と性質
1-1 スローアウェイチップとは?
1-2 スローアウェイチップに求められる性質
1-3 スローアウェイチップの材種と特性
①超硬合金(P、M、K、N、S、H)
②超微粒子超硬合金
③サーメット
④セラミックス
⑤CBN
1-4 コーティング方法の種類と特性(PVDとCVDの選択指針)
1-5 コーティング膜の種類

第2章 チップに備わるさまざまな機能
2-1 チップ主要部の名称と働き
2-2 チップブレーカとは?(切りくずを分断する機能)
2-3 チップブレーカの種類(溝形と突起形を使い分ける)
①切れ味の違い
②等級(精度)の違い
③切りくず分断能力(切りくずを分断できる切削条件の範囲)の違い
2-4 切りくずがらせん状になるメカニズム
2-5 溝形チップブレーカの溝幅とバイトの送り量の密接な関係
2-6 チップポケットの見方(荒加工用と仕上げ加工用の見分け方)
2-7 ホーニング刃
2-8 ホーニング刃の種類(丸形と面取り形)
2-9 ランド(Land)
2-10 すくい面に施されたランドと切込み深さおよびバイトの送り量の最小値の関係
2-11 さらい刃

第3章 チップを使いこなすための知識
3-1 チップの形状と刃先強度の関係
3-2 チップの形状と保持力の関係
3-3 チップの形状と経済性の関係
3-4 チップの厚みと取り付け穴の有無による耐衝撃性
3-5 トルクスねじとチップの取り付け穴の形状
3-6 コーナ半径と表面粗さの関係
3-7 必要な表面粗さからバイトの送り量を決める方法
3-8 コーナ半径と適正切込み深さの関係(切削方法と向きに注目!)
3-9 コーナ半径と切り取り厚さの関係(上滑り、むしれとコバ欠けの抑制)
3-10 コーナ半径による削り残しと隅Rによる制約
3-11 刃先角と表面粗さの関係
3-12 チップの保持方法の種類と特徴
①クランプオン式
②ピンロック式(レバーロック式)
③クランプオン式&ピンロック式
④ねじ止め式(スクリューオン式)
⑤ウェッジロック式
⑥カムロック式
3-13 切込み角によるチップとホルダの選択(外径加工の場合)
3-14 切込み角によるチップとホルダの選択(内径加工の場合)
3-15 加工硬化しやすい材料の削り方
3-16 バイトとチップの勝手

第4章 チップの呼び記号(形状を表す記号)
4-1 呼び記号とは?
①形状を表す記号(1桁目の記号)
②逃げ角を表す記号(2桁目の記号)
③等級を表す記号(3桁目の記号)
④取り付け穴の有無、取り付け穴の形状、チップブレーカの有無を表す記号(4桁目の記号
⑤切れ刃の長さと内接円を表す記号(5桁目と6桁目の数字)
⑥チップの厚さを表す記号(7桁目と8桁目の数字)
⑦コーナ半径を表す記号(9桁目と10桁目の数字)
⑧切れ刃の形状を表す記号(11桁目の記号)
⑨勝手を示す記号
⑩補足記号(工具メーカ独自の記号、チップブレーカの形状)

参考文献
索引

はじめに

 切削工具は刃先交換式のものが主流になり、刃先の役割をするチップも多種多様なものが市販されています。また、モノの流通がグローバルになり、海外製の刃先交換式工具やチップも手軽に入手できるようになりました。選択肢が増えることは喜ばしいことですが、目的や用途に合った適正なチップを選ぶには選択する側の知識が必要になります。
 このような視点から、これまでに「目で見てわかるエンドミルの選び方・使い方」、「目で見てわかるドリルの選び方・使い方」の2冊を発刊し、多くの方に愛読していただいております。そして本書は、これらの書籍に引き続き、「スローアウェイチップ」に着目して解説しました。本書は主として旋盤加工用のスローアウェイチップを例に解説していますが、スローアウェイチップに関する知識は正面フライス、エンドミル、ドリルすべての刃先交換式切削工具に共通するため、本書の解説を基準にしていただければ、刃先交換式切削工具の種類に関わらずスローアウェイチップを正しく選び・使える知識を習得していただけると思います。また、既刊の「目で見てわかるエンドミル、ドリル」に加えて、本書の3冊すべてを読んでいただければ、切削工具に関する基本的な知識はほぼ網羅しているといっても過言ではないと自負しています。金属加工に携わっている方にはぜひ全3冊すべてを読んでいただきたいと思います。きっと切削工具を見る目が変わり、正しく選び、使えるようになるでしょう。
 さて近年、スマートフォンの音声アシスト機能や自動車の自動運転機能のように、AI(Artificial Intelligence:人工知能)が注目されています。AIの特徴は不足した情報でも自ら考え、指示できることです。そして、機械加工分野も例外ではなく、AIが導入されようとしています。近い将来、切削距離に応じて工具寿命がもっとも長くなる切削条件や、加工形状の剛性に合わせたツールパス、1本の切削工具で加工できるツールパスなど、従来ノウハウといわれていたことが自動で抽出・設定されるようになるかもしれません。ただし、金属加工は不安定な要素が多いため、人工知能(デジタル)と人(アナログ)の融合が重要なポイントになると考えます。つまり、これからの機械加工技術者に求められる能力は、たとえば、突発的な工具損傷、切りくずの飛散方向や詰まり、びびりなど不確定・不安定要素に基づき、適正に切削工具の選定、切削条件、ツールパスを調整することだと考えます。本書が次世代の機械加工を担う方々のレベルアップの一助になり、1つでも得るものがあったなら著者として大変幸せです。
 最後になりましたが、本書の出版にご賛同いただき、貴重なスローアウェイチップをご提供いただきました三菱マテリアル株式会社さまに謹んでお礼申し上げます。特に、窓口として無理な要望に応えていただきました三菱マテリアル株式会社 小林祐典さまに心から御礼申し上げます。また、本書を執筆する機会を与えていただきました日刊工業新聞社の奥村功出版局長、執筆、編集、校正に際し、ご懇篤なご指導、ご鞭撻を賜りましたエム編集事務所の飯嶋光雄さま、DTPを努めていただきました志岐デザイン事務所の大山陽子さまにお礼申し上げます。
 本書は上記の方々のご協力、ご支援がなければ完成しなかったことを記し、重ねて深謝申し上げます。
2016年10月 
澤 武一

買い物かごへ