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数学フリーの「化学結合」

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 148頁
ISBNコード 978-4-526-07598-8
コード C3043
発行月 2016年09月
ジャンル 化学

内容

化学結合は分子構造、化学反応の基礎となる領域。その結合は、原子間の結合と分子間の結合に分けることができるが、それぞれに種類があり、特徴がある。本書は、その化学結合およびそれに関連する基礎知識について、数式をできるだけ使わずに、学問の重要な部分をイメージで理解し、技術者の素養を育てる本。数式が嫌いな人でも苦労することなく、知らず知らずのうちに化学結合を理解することができる。

齋藤勝裕  著者プロフィール

(さいとう かつひろ)
1945年生まれ。1974年東北大学大学院理学研究科化学専攻博士課程修了。
現在は愛知学院大学客員教授、中京大学非常勤講師、名古屋工業大学名誉教授などを兼務。
理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。
著書は「絶対わかる化学シリーズ」全18冊( 講談社)、「わかる化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『レアメタルのふしぎ』『マンガでわかる有機化学』『マンガでわかる元素118』(以上、SBクリエイティブ)、『生きて動いている「化学」がわかる』『元素がわかると化学がわかる』(ベレ出版)、『すごい! iPS細胞』(日本実業出版社)など多数。

目次

第1章 量子化学 
1-1 量子化学とは 
1-2 エネルギーの量子化 
1-3 空間の量子化 
1-4 ハイゼンベルクの不確定性原理 
1-5 電子の存在確立 
1-6 シュレディンガー方程式と波動関数 

第2章 原子構造 
2-1 原子をつくるもの 
2-2 原子核を作るもの 
2-3 原子量、分子量とモル 
2-4 電子と電子殻 
2-5 電子殻のエネルギー 
2-6 電子殻と電子軌道 
2-7 軌道の形と関数 

第3章 原子の電子構造 
3-1 電子配置 
3-2 電子配置の意味 
3-3 周期表 
3-4 イオン化エネルギーと電子親和力 
3-5 電気陰性度 

第4章 化学結合の種類 
4-1 化学結合とは 
4-2 化学結合のエネルギー 
4-3 イオン結合 
4-4 金属結合 
4-5 金属結合の性質 
4-6 共有結合の本質 
4-7 共有結合のイオン性 

第5章 σ結合とπ結合 
5-1 σ結合とは 
5-2 π結合とは 
5-3 一重結合 
5-4 二重結合 
5-5 三重結合 

第6章 sp3混成軌道 
6-1 混成軌道とは 
6-2 sp3混成軌道 
6-3 メタンCH4の結合 
6-4 アンモニアNH3とアンモニウムイオンNH4+の結合 
6-5 配位結合とヒドロニウムイオン 
6-6 配位結合と分子間結合 

第7章 sp2混成軌道とsp 混成軌道 
7-1 sp2混成軌道 
7-2 エチレンH2C=CH2の結合 
7-3 ブタジエンH2C=CH―CH=CH2の結合 
7-4 ベンゼンの結合 
7-5 sp 混成軌道 
7-6 C=O、C=N 結合 
7-7 特殊な結合 

第8章 結合の変化 
8-1 結合の切断と生成 
8-2 分子ラジカルの生成と反応 
8-3 イオンの構造と安定性 
8-4 特殊なイオン 
8-5 σ結合とπ結合の相互変化 
8-6 環状化合物におけるσ―π相互変化 

第9章 分子軌道法 
9-1 分子軌道法とは 
9-2 結合性軌道と反結合性軌道 
9-3 電子配置と結合エネルギー 
9-4 結合エネルギーと結合強度 
9-5 π結合のエネルギー 
9-6 共役二重結合の安定性 
9-7 分子軌道と化学反応 

第10章 分子間力と超分子 
10-1  分子間力 
10-2  結晶の格子間力 
10-3  簡単な構造の超分子 
10-4  分子膜 
10-5  生体中の超分子 
10-6  一分子機械 

はじめに

 『数学フリーの化学』シリーズ第二弾の『数学フリーの化学結合』をお届けします。
 本シリーズはその標題のとおり『数学フリー』すなわち、数学を用いない、数学が出てこない化学の解説書です。化学は科学の一種です。科学の共通言語は数学です。科学では複雑な現象の解析、その結果の記述を数学、数式を用いて行います。化学も同様です。
 しかし、化学には化学独特の解析、表現手段があります。それが化学式です。化学式とそれを解説する文章があれば、数式を用いた解説と同等の内容を表現することができます。本書はこのような化学の特殊性を最大限に生かして、数学なしで化学の全てを解説しようとする画期的な本です。
 『化学結合』は現代化学の最先端な分野です。化学はいろいろある科学の中でも、特に昔から研究されてきた分野といってよいでしょう。
 化学は医薬品、毒物と切り離せない関係にあります。社会や国家を支配しようと企む野心家が化学に目を向けないはずはありません。また、化学反応は思いもかけない新物質を誕生させます。「鉄や鉛など価値の低い金属を金や銀などに換える」ことができるかもしれません。錬金術は中世ヨーロッパの最先端の科学でした。
 しかし錬金術師たちの飽くなき挑戦と、数知れない失敗の歴史から導き出されたのは元素の不変性と、その原子を元にした分子の概念でした。鉄や金などの元素は常に変わることはありません。しかしそれらを含む分子は融通無碍にいかようにでも変化するのです。そして、その変化の基本にあるのが化学結合の概念だったのです。
 化学結合の概念の誕生は古代ギリシアに遡ることも可能でしょうが、現代的な意味での化学結合が考え出されたのは19世紀であり、まして現代のわれわれが持っているような化学結合の理論体系ができたのは20世紀も初頭を過ぎた頃といってよいでしょう。
 20世紀初頭というのは相対性理論が生まれ、量子力学が生まれ、量子化学が誕生した時期です。つまり、化学結合は量子化学を背景にして誕生した概念なのです。化学結合を根本から理解しようとしたら、量子化学、さらには量子力学を理解することが必要です。しかし、量子化学は数学の塊のような理論です。それを理解するための時間と、数学的素養を全ての人が備えていることはありえません。
 本書は化学の基礎となる化学結合を理解したいという熱意は人並み以上であるものの、数学を理解するための時間と素養に支障のある方のために書かれた本です。
 それでは本書は底の浅い、ウスッペラな中身だけのつまらない本なのか?といわれれば、それは著者が自信を持って否定します。普通の本が数式と数学で解説し、「式を見ればわかる!」といっているところを、「式を見なくてもわかる!」ように図とグラフと表と解説文で解説しているのです。
 本書を読むのに基礎知識は一切必要ありません。必要なことは全て本書の中に書いてあります。みなさんは本書に導かれるままに読み進んでください。ご自分で気づかないうちにモノスゴイ知識が溜まってくるはずです。そしてきっと「化学結合は面白い」と思われるでしょう。それこそが、著者の望外な喜びです。
 最後に本書の作製に並々ならぬ努力を払って下さった日刊工業新聞社の鈴木徹氏、並びに参考にさせて頂いた書籍の出版社、著者に感謝申し上げます。
2016年7月 
齋藤 勝裕

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