買い物かごへ

今のままでは命と会社を守れない!
あなたが作る等身大のBCP

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07594-0
コード C3034
発行月 2016年08月
ジャンル 経営

内容

現実問題として、いざという時に本当に役立つBCPを作ることは非常に難しい。特に中小企業では費用や人材の面などいかんともしがたい所がある。そこで本書では、問題点を正面から指摘し、改良案を提示、BCPに積極的に取り組み、いざという時、必ず役立つ会社の実情にあった等身大のBCPが策定できるようにする書。

昆 正和  著者プロフィール

(こん まさかず)
 BCP策定支援アドバイザー。主に中小企業のBCP策定指導や研修、講演活動を行っている。最近は登山のリスクマネジメントやレジリエンスに関する研究も。主な著書に『どんな会社でも必ず役立つあなたが作るやさしいBCP第2版』、『山で正しく道に迷う本』
(以上日刊工業新聞社)の他、『リーダーのためのレジリエ ンス 11 の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティ ワン)。

目次

はじめに 

第1章 納得のいかないBCPをムリに作ってはいけない
①BCPをめぐる疑問と反論 
②想定外はBCPが作りだす!? 
③ITと防災の奇妙な関係 

第2章 ここがヘンだよ日本のBCP
①BCPの理解をはばむ要因 
②“中核事業の選定“はどこまで必要か 
③目標復旧時間を設定してはいけない!? 
④「重要業務」は空っぽの箱!? 
⑤「代替手段」を考えすぎると破たんする!? 
⑥競争社会に「困ったときの助け合い」は甘すぎる 
⑦“大地震に備えるBCP”にはついていけない 

第3章 “これからのBCP“ のアプローチ
①危機に合理的な考え方なんて通用しない 
②使えるBCPを作るコツは「とりあえず主義」 
③新しいBCPの策定ステップの概要 

第4章 BCP策定の準備
STEP0  ウォーミングアップ 
STEP1-1 緊急対策チームを結成する 
STEP1-2 BCPの目的を明確にする 

第5章 命を守る基本ツールを作る
STEP2-1 避難計画を作る 
STEP2-2 安否確認とコミュニケーション手段 
STEP2-3 非常時の備蓄を準備する 
STEP2-4 帰宅困難者を守る 

第6章 緊急対応ツールを作る
STEP3-1 緊急対応プラン(ERP)の役割と成り立ち 
STEP3-2 情報を制する者は危機を制す 
STEP3-3 最も警戒すべきリスクを特定する 
STEP3-4 火災対応ERPの作り方 
STEP3-5 地震対応ERPの作り方 
STEP3-6 水害対応ERPの作り方 

第7章 ビジネスの継続/復旧ツールを作る
STEP4-1 重要業務の継続方法 
STEP4-2 効率よく復旧を進めるために 

第8章 プラスαの防災・減災対策
STEP5-1 防災・減災対策に着手する前に 
STEP5-2 ワンランクUPのさまざまな対策 

第9章 BCPの文書管理と訓練のことなど
①BCP文書の作成と配布 
②いざという時〈使えるBCP〉にするために 
③安・近・短の訓練を習慣づける 

APPENDIX
附録A.BCPサンプル文書 
1.BCPの目的・緊急対策組織 
2.避難計画 
3.安否確認・コミュニケーション 
4.非常時の備蓄 
5.帰宅困難者対応 
6-1.火災対応ERP 
6-2.地震対応ERP 
6-3.水害対応ERP 
7-1.重要業務の継続 
7-2.復旧活動 

附録B.補助シート・リストの一覧 
B-1.緊急通報・連絡先リスト 
B-2.安否確認シート 
B-3.被害状況調査シート 
B-4.重要顧客・取引先リスト 
B-5.重要設備・備品・ファシリティ関係業者リスト 
B-6.情報資産バックアップリスト 

附録C.BCP充足度チェックリスト 

coffee break
1 リスクへの対処は逆転の発想で! 
2 わが家の“災害マップ”を作ろう 
3 緊急対応のためのプランいろいろ 
4 わしらは無事だ! - つながる力の本質 
5 「BCPは投資である」のウソ

はじめに

企業のホンネから見えてきたBCPのリアリティー
「はじめに」に代えて

 本書は効果的なBCP(事業継続計画)を策定するための考え方と作り方を解説した本です。しかし、これまでの本とはかなり色合いが異なります。今日、日本に行き渡っているさまざまなBCPガイドラインや指針、そしてこれらをベースに書かれた市販のBCP本(私が書いてきた本も含めて)の内容に、あれやこれや物言いをつけてしまった本だからです。

 東日本大震災から5年を過ぎた今、国のアンケート統計によれば、大企業のBCP策定率は6割、中堅企業は3割に達し、安心で明るい未来を予感させるような数字が並んでいます。しかし私としては、本当に公表されている数字どおりにBCPは普及しているのだろうか、という疑問をぬぐえずにいます。なにしろ本家本元のBCPに忠実であろうとすればするほど、企業の実態とかみ合わない、企業が望むものとはかけ離れたBCPができてしまうのです。大企業や中堅企業はそうした矛盾とどこまで折り合いをつけたのだろうかと思ってしまいます。

 中小企業の場合、この傾向はいっそう顕著です。BCP策定ガイドや市販の教科書をいくら読んでもなかなかうまく作れない、要領を得ないし納得もいかない。BCP講習会を開けば会場からブーイングが出たり、端から諦めムードに包まれてしまうといったことも。私はBCPの策定指導に当たる先生方にたずねてみたい。みなさんはどこまでBCPの原則論を理解し、どこまで自信をもってこれに則った指導に当たられているのでしょうか? 思わずそう問わずにはいられない数々のナゾが、BCPにはあるのです。
 歌舞伎の世界では、型を身につけた人が型を破ることを「型破り」と呼ぶそうです。私自身はBCPのすべてを知りつくした、型を身につけた者だなどと言うつもりはありません。が、「型」を知れば知るほどさまざまな謎や疑問が見えてくるからには、それを見て見ぬふりをすることはできんわけです。
 もともと欧米人がITを守るために考案したBCP。それを私たち日本人が巨大地震に立ち向かうためのツールとしてパワーアップしようとしたところに、何か大きな無理があったのではないか。ならば今現在のBCPの考え方をひとまずリセットし、これまでの体験から得られた企業の意見にもう一度しっかりと耳を傾けようと。そしてもう少し、自分で合点のいく現実的なBCPのあり方を導いてみよう。その目論みのもとに書いたのが本書なのです。

 第一部「なぜこれまでのBCPではうまくいかないのか?」では、日本型BCPの疑問点や矛盾を正面から考え直します。欧米生まれのBCPが、日本に紹介される過程でどのように変化してしまったのかを、みなさんといっしょに考えてみたいと思います。
 第二部「命と会社を守るリアルBCPの作り方」では、なるべくお金のかからない、組織の緊急行動にウェイトを置いたBCPの作り方を提案します。これまでの原則論と袂をわかち、企業目線に立った考え方と作り方の手順を解説しています。
 初めてBCPを策定する企業のみなさんは、第一部の事情はピンとこないと思うので、いきなり第二部から入っていただいてかまいません。すでに原則論に従ってBCPを策定してみたが、役立つものなのかどうか今一つわからんという企業のご担当者や、既存のBCPに懐疑的な講師や先生のみなさんは、参考までに第一部を流し読みいただき、そのあと第二部をお読みください。現実に即してどこまで対策を講じるのが妥当か、その境界が見えてくるに違いありません。
 また本書のBCPでは、災害リスクとして「火災」「地震」「水害」を中心に述べています。この3つのリスク対策の作り方のコツを一通りお読みいただければ、たとえばサイバーセキュリティの侵犯やオペレーション中の事故、パンデミックなど、他のさまざまな危機やリスクにも応用できるようになるでしょう。

 折しもこの4月、熊本を中心に震度7の巨大地震が二度も起こりました。加藤清正が手がけた熊本城も壊滅的な被害を受け、国の重要文化財である二つの櫓も崩壊したとのこと。思えば5年前に東日本大震災を経験して以来、私たちは「これだけの大災害が起こったのだから、今後しばらくは平穏な日々が続くに違いない」という根拠なき楽観を手にしたつもりになってはいなかったでしょうか。大地震に限ったことではありませんが、危機というのはいつでもどこでも起こり得ます。しかしその「いつ」と「どこ」がわからない。私たちは、このもどかしい現実と永久に向きあわなくてはならないのです。

2016年7月
昆 正和 

買い物かごへ