買い物かごへ

ベテランの技を盗め!
設計ミス防止のための検図の着眼点と進め方

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07589-6
コード C3053
発行月 2016年08月
ジャンル 機械

内容

本書は、検図の基本的な考え方や方法を学ぶ入門書。品質やコストの妥当性、また不良を出しにくい図面とするためにどのような準備(チェックシート作成など)や着眼点が必要か、また検図のさらなる効率化のためのツール(3D解析・3Dプリンタなど)の使い方の使いこなしをケーススタディや実際の事例をもとに理解する。検図にまつわるベテランのノウハウや暗黙知をどのように社内に蓄積・使いこなしていくかヒントを提供する。

岡村 大  著者プロフィール

(おかむら はじめ)
1961年 高知県立幡多農業高等学校卒業
1963年 工学院大学専修学校機械科卒業(夜間2ヶ年)、其の後も同大学で工学を聴講生で学びその後1980年~2002年の内で20年間を母校・専門学校で機械設計やCADの非常勤講師を務め、2002年~2005年には同・工学院大学評議員となる。
1961年 ㈱協伸製作所設計課配属(日立製作所の圧縮機関係)その後2メーカーでは機械(研究実験)開発設計とエンジニアリング経営を経験する。
1988年 設計テックス有限会社設立 経営と製品装置の設計で現在に至り継続中、現在特許取得すみ3件、と1件の特許出願中。
1999年 設計技術者向けセミナー講師 日刊工業新聞社主催
2002年~2009年 機械設計技術者試験1級、2級の応用・総合と機械製図の講師、
2003年~2005年 社団法人日本食品機械工業会・機械設計部門講師や、基礎製図や3次元CADの非常勤講師、東京都・機械設計の非常勤講師
現 在 設計テックス㈲代表取締役 品川区ビジネスカタリスト
    公立大学法人首都大学東京3次元CAD設計、非常勤講師
    株式会社DEMS、ファブレス(fabless)を2015年に設立して活躍中
著 書 「はじめての機械設計」「専門用語を理解する機械設計」(ともに日刊工業新聞社)

目次

第1章 検図力とは、すなわち設計力である
1 -1 なぜ今、検図力強化が必要なのか
1 -2 検図作業のポイントとは何か
1 -3 社員全員が設計者になれ
1 -4 設計では、失敗を折り込むことが重要
Column ① 3 次元CAD 設計では、計画図と組立図は一体である!
1 -5 まずは、設計の方向性を検討する
1 -6 設計のどんな場面で検図が必要になるか
1 -7 検図には、補助ツールを上手に使おう
1 -8 検図には、どれだけの人数と時間が必要なのか
1 -9 図面に表現されていることだけではわからないことがある
Column ②納期や予算は図面だけではわからないよ!
1 -10 設計を知っているだけでは検図はできない
1 -11 検図マイスターを育てよう
1 -12 設計プロセスの各段階で必要な検図
1 -13 リンク機構の検図例

第2章 検図の対象と目的を確認しよう
2 -1 漏れのない検図をするにはどうするか
2 -2 組立図と部品図を行きつつ戻りつつ検図する
2 -3 組立図の検図チェック項目をリストアップしよう
(1) 概念設計の組立図
(2) 構想設計の組立図
(3) 計画詳細設計の組立図
(4) 生産図面の組立図
2 -4 部品図の検図チェック項目をリストアップしよう
(1) 部品図全般に関するチェック
(2) 加工と表面処理に関するチェック
(3) 寸法記入漏れや図形不足への部品図チェック
2 -5 コストダウンの検図チェック項目を確認する
2 -6 グローバル図面の検図チェック項目を確認する
(1) 技術的確度を上げるための「技術情報+図面」のチェック
(2) 組立図のチェック
(3) 部品図のチェック
2 -7 目的ごとの検図チェック項目をリストアップしよう
(1) ノウハウ技術に関する検図ポイント
(2) 強度・性能計算に関する検図ポイント
(3) 一般機械検図の例
(4) 加工検図
(5) 組合せ寸法検図
(6) 規格検図
(7) 干渉検図
2 -8 仕様技術表で検図精度を高める
(1) 設計基本思想を確立しているか―高温対応ロータリーバルブの開発

第3章 ケーススタディで学ぶ検図の着眼ポイントと設計の改善策
3 -1 粉砕機の検図ポイントと改善策
(1) 粉砕機計画図の説明
(2) 粉砕機断面図の軸回りの検図説明
3 -2 小型加振機の設計・検図ポイント
(1) 企画概念図の設計・検図ポイント
(2) ベース、支柱まわりの設計・検図ポイント
(3) 回転円盤~電動機まわりの設計・検図ポイント

第4章 事例で学ぶ検図の勘どころと改善案の創出
4 -1 剛性・強度の視点からの検図例―垂直搬送装置の検図
(1) 検図対象
(2) 設計の読み解きと検図ポイント
(3) 類似の検図例
4 -2 機能・性能・安全・寿命の視点からの検図―ロータリバルブの検図
(1) 検図対象
(2) 設計の読み解きと検図ポイント
4 -3 コストと小型化の視点からの検図例―反応釜の検図
(1) 検図対象
(2) 設計の読み解きと検図ポイント
Column ③検図力にコスト低減力のアイテムを持とう!
4 -4 コンベヤ駆動機構の検図
(1) 検図対象
(2) 設計の読み解きと検図ポイント
4 -5 装置の重心バランスの視点からの検図―コンベヤ装置の検図
(1) 検図の対象とポイント
4 -6 装置の全体バランスの視点からの検図―バケットリフター反転装置の検図
(1) 検図対象
(2) 設計の読み解きと検図ポイント
Column ④ベテラン検図者の設計技術を盗もう!
4 -7 3DCAE を使った検図例―構造梁りのたわみ解析検図
4 -8 寸法記入方法の良否の検図
(1) 検図対象

第5章 検図結果を反映した再設計例
5 -1 圧縮機のクランクシャフトの再設計
(1) 検図の指摘内容と再設計の概要
5 -2 粉体搬送用コンベヤの再設計
(1) 検図の指摘内容と再設計の概要
Column ⑤開発した機械ユニットは自分で仮組立しよう!
5 -3 生ゴミ攪拌機の再設計
(1) 検図の指摘内容と再設計の概要
5 -4 ボールネジによる位置決め装置の再設計
(1) 検図の指摘内容と再設計の概要
(2) よくある類似の設計
Column ⑥各種ピンとその性質

第6章 検図を効果的・効率的に進めるためのポイント
6 -1 他人の図面は読み解くのがたいへんだ
6 -2 検図にはどのくらいの時間が必要か
6 -3 チェックリストを用いて効果的な検図をしよう
6 -4 リストを取り交し、発注者設計仕様と納入会社との確認を行う
6 -5 最良な検図解を得るための鉄則

おわりに
索引

はじめに

ものづくりは、設計に始まって設計で終わるというのが、長年ものづくりに関わってきた筆者の実感です。ほんの些細な設計上の懸念や、たとえ一個所でも製図の記入漏れがあれば、ものづくりはひたすら手戻りを繰り返します。仮に、設計サイドが終了したと思っても、現場で組み立てるときに干渉があれば再度やり直しが必要になり、設計はいつまでたっても終わりません。
 加えて、設計の責任とは言えないようなトラブルが起こったときでさえ、設計には、トラブル対策や、不良再発防止策を求められることになります。さらには、納入先の機械使用者や消費者からのクレームがあっても、まずは設計の対応が求められるのというのが製造業全般で見られる光景ではないでしょうか。
 本書のテーマである検図は、こうしたものづくりのプロセス全般にわたって発生する各種不良やポカミス、また客先クレーム等を、いかに設計で未然に防止するかという目的を持って実施されています。
 昨今、製造業の海外進出に伴って、特に海外工場で作られた製品と、国内工場で作られた製品との品質の開きで苦慮しておられる企業が多くみられます。同じ構図は、グローバル調達の現場でも多く見られます。こうした問題を見ても、あらためて検図を見直すことに大きな意義があることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
 検図は、設計図に表現されている設計者のアイデアや意図、またものづくりの方法を表現した経緯を丹念に辿り、今より上等なやり方やノウハウを加えてさらに良くしようというものなので、元来、たいへん経験を求められる、難易度の高い作業です。一方、設計者による自己検図についても、ルーティン作業であるとは言え、アイデアも含めて高いレベルの技術や引出しを求められるミッションと言えます。
 筆者は幸なことに、1960 年代始めから現在に至るまで、55 年にわたって設計の第一線で実務に携わることができました。その一方で、大学やセミナーでの講師経験を通じて、工学教育にも長年携わらせていただいており、現在でも、2 足、3 足のわらじを履いたエンジニアとして営みを続けています。本書では、そうした経験をもとに、検図や良いものづくりに必要な視点をできるだけ多く提供したつもりです。本書の内容が、読者諸氏の設計・開発に活用され、少しでもお役に立てることを願ってやみません。
平成28年8月 吉日
著 者

買い物かごへ