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よくわかる「設計手法」活用入門
どんな場面でどんな手法を適用するかがわかる!

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 186頁
ISBNコード 978-4-526-07590-2
コード C3053
発行月 2016年07月
ジャンル 機械

内容

本書では、なぜ手法を使った設計が必須なのか、設計のどんな場面でどんな手法を適用するかなど実践的な解説をするとともに性質や規模が異なる複数の設計事例を示し、その適用イメージを固めていく。design for x(x:組立、製造、保守、環境適合性)などの戦略設計手法をはじめ、価値、機能、性能、安全性など目的ごとの手法による作り込み、またこれらを統合して全体最適へと導くシステム設計の考え方やポイントを紹介する。

目次

はじめに

第1章 設計からデザインへ
1.1 設計とはどこからどこまでを言うのか
1.2 この製品はなぜこの大きさ、この重さなのか
1.3 どこが価値になるかは製品ごとに異なる
1.4 “音”のデザインを例に考えてみよう
1.5 設計からデザインへ
1.6 難関に遭遇したときどうするか

第2章 何のための設計手法か
2.1 設計上流で設計手法が使いづらい理由
2.2 設計のトレンドと設計手法
2.3 何のための設計手法か

第3章 設計手法はいつどんな目的で用いられるか
3.1 設計手法はどんな目的でどんなものがあるか
3.2 設計プロセスと設計手法
3.3 製品ライフサイクルと設計手法
3.4 製品形態と設計手法
3.5 システム設計技術は不可欠な設計手法

第4章 具体的にどんな設計手法がどう役立つか
4.1 戦略的製品開発のための設計手法
 4.1.1 日本に勝つために生まれたDfX
 4.1.2 製品開発の上流をデザインする
 4.1.3 3つの手法を組み合せたDfXの具体例
4.2 価値評価のための設計手法
 4.2.1 感性設計で顧客の心にインパクトを残す製品をつくる
 4.2.2 日本人の感性を強みととらえる
 4.2.3 価値=価格なのか?
 4.2.4 コストを上げずに価値を高める
 4.2.5 感性を含めた広義の価値を高める設計
 4.2.6 感性設計のPDCAを考える
 4.2.7 感性設計の例としての「音のデザイン」を見てみよう
 4.2.8 感性設計の今後
4.3 機能評価のための設計手法
 4.3.1 機能評価のための最適化手法
 4.3.2 より良い設計解を得るための最適化手法
 4.3.3 最適解とはどんなものか
 4.3.4 最適化問題の構成
 4.3.5 設計における最適化の位置づけ
 4.3.6 最適化手法の事例
 4.3.7 設計プロセス自体の最適化
 4.3.8 最適化手法の今後
4.4 性能評価のための設計手法
 4.4.1 設計機能検証方法としてのCAE
 4.4.2 シミュレーションの定義と分類
 4.4.3 製品開発におけるシミュレーションの役割
 4.4.4 シミュレーションの方法
 4.4.5 シミュレーションの実際
 4.4.6 シミュレーションの検証方法
 4.4.7 シミュレーションの可能性と限界
 4.4.8 シミュレーションを設計に活かすために
4.5 システム評価のための設計手法

第5章 設計手法適用事例
5.1 ノートPCの設計
 5.1.1 ノートPC開発の特徴
 5.1.2 ノートPC開発上の制約
 5.1.3 ノートPC設計上の特徴
 5.1.4 ノートPCの設計に必要な個別技術
 5.1.5 熱シミュレーションによる設計支援
5.2 宇宙機器の設計
 5.2.1 宇宙機器開発の特徴
 5.2.2 重力発生装置開発の事例
 5.2.3 開発プロセスの概要と適用手法
 5.2.4 設計プロセスの最適化
 5.2.5 機能最適化設計
 5.2.6 統合シミュレーション
 5.2.7 協調設計に必要な情報共有
 5.2.8 あるべき設計プロセスと設計手法
5.3 メカトロ機器の設計
 5.3.1 メカトロ機器設計の現状
 5.3.2 メカトロ機器設計と設計手法
 5.3.3 メカトロ機器設計への分散協調設計技術の適用
 5.3.4 メカトロ機器設計へのDfX手法の適用
 5.3.5 メカトロ機器設計の今後

第6章 これからの設計手法
6.1 設計の目指すところ
6.2 これからの設計手法としての1DCAE
 6.2.1 1DCAEの目的とは何か
 6.2.2 1DCAEはどんな考え方か
 6.2.3 1DCAEによる全体適正設計
 6.2.4 ものづくりのための1DCAE
 6.2.5 ひとづくりのための1DCAE

おわりに
参考文献
索引

はじめに

設計手法を使えるようにするためにはどうすればよいか

 設計はものづくりにおいて重要にもかかわらず、日本においては具体的取り組みが明らかになっていない。これは、日本独自の擦り合わせものづくり技術と設計現場の情報が各社のノウハウとして表に出ないことにある。これは日本全体のものづくりを考えたうえで好ましい状況ではない。
 そこで、本書では著者の企業での長年の経験、学会等での活動を通して設計なるものを手法と事例と言う形で視える化するものである。特に、設計手法に関しては、その実態に関しては必ずしも正しく伝わっていない。また、設計手法の源泉は、設計の現場にあり、その効果、問題点は明確にはされていない。また、設計手法を提供する側にあるソフトウェアベンダにおいても現場の声(VOC)は断片的なものにならざるを得ない。
 設計とは製品開発現場における人間系を中心とした活動であり、そこで使われているさまざまな手法の総称が設計手法である。一方で、設計を学問的視点から見据え、体系化したものが設計工学である。したがって、設計手法と設計工学は等価ではない。設計工学の成果が実際の設計への適用を通して、設計手法へと進化する。
 設計手法は多岐にわたるが、本来、目的、製品分野に応じて適材適所で使われるべきである。ここでは、設計手法の現状に関して概説するとともに、適材適所のポイントについて紹介する。設計手法には、
 ・戦略(考え方)としての設計手法
 ・戦術/武器(手法/ツール)としての設計手法の2種類があり、種々の設計手法の本来の目的、限界を正しく理解して実際の設計に適用することが重要である。
 設計手法のハウツー的な本は多く存在する。しかしながら、それらの多くは個別の手法のマニュアルが書かれているに過ぎず、実際の設計でどう使ったらいいのか、またはこういう使い方をしてはいけないといった読者(設計者)が本当に知りたいことに関しての記述が少ない。これは設計手法を開発あるいは研究対象としている人が、設計の実務者でなく、その本当の効果を理解していないからである。そこで、本書では設計手法そのものの説明は最低限にとどめ、設計手法の使い方、使われ方に重点を置く。細かい厳密性が損なわれている箇所もあると考えるが、意図するところをマクロに捉えていただければ幸いである。
 本書の内容は筆者の企業での35年余りの実務経験と、学会活動、特に、筆者が主査を務めている日本機械学会設計研究会(http://www.jsme.or.jp/dsd/A-TS12-05/)の活動を通して、考えたものである。設計手法の分類等は設計研究会での活動の成果である。種々の事例に関しては、私が所属した企業の関係各位にご協力をいただいた。黒岩正氏(最適化手法)、森俊樹氏(DSM)、亀山研一氏(VR)、横野泰之氏(PC設計)、故小沢正則氏(パーフォーマンス・サイジング)に感謝申し上げる。CAEの多くの事例に関してはコベルコ科研殿に提供いただいた。深くお礼申し上げる。私が設計に関する本を書こうと考えた経緯はスタンフォード大学の製造モデル研究所(MML)の故石井浩介先生との交流に起点を発する。先生の想いの一端でも本書で実現できていれば幸いです。
2016年7月
大富 浩一

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