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トヨタから学んだ本当のカイゼン

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 172頁
ISBNコード 978-4-526-07586-5
コード C3034
発行月 2016年07月
ジャンル 生産管理

内容

トヨタ生産方式(TPS)の根底に流れる思想は「徹底的なムダ排除による原価低減」。しかもその活動は、業種を問わずあらゆる現場において応用実践可能なものである。本書では、まずトヨタ式のカイゼンの概要、なぜ導入した方が良いのかなど基本的なことを説明するとともに、中小企業がカイゼン活動を進める上で頻出する問題について解説する。著者陣はトヨタグループで40年以上、トヨタ生産方式を実践してきたカイゼンのエキスパート集団。

(株)カイゼン・マイスター  著者プロフィール

【著者紹介】
株式会社カイゼン・マイスター

2007年に設立。
社員は全員がトヨタ自動車及びその子会社である元セントラル自動車(現トヨタ自動車東日本株式会社)を定年退社したベテランで、「お返しの人生」を社是とし、「中小企業のよき相談相手」を経営理念に掲げ、分かり易く、改善ができる人づくりを主体に支援を実施している。
トヨタ生産方式を基本にした改善支援は、その後、多くの信用金庫や地方銀行、或いは日本政策金融公庫など、金融機関や公的支援機関経由での支援依頼の他に、直接のアプローチを含めて、日本全国に広まっている。改善支援先は製造業だけでなく、農林水産業や食品加工業、病院や大学、地方銀行などへも浸透している。


【執筆者一覧】
株式会社カイゼン・マイスター
  代表取締役 小森 治※
  チーフアドバイザー 鈴木 利治
  チーフアドバイザー 石川 一男
  チーフアドバイザー 志貴 正尚
  チーフアドバイザー 清水 伸悦

 執筆協力者
  チーフアドバイザー 石川 信
  チーフアドバイザー 神山 立彌
  チーフアドバイザー 鎌田 定明

※代表取締役  小森 治 略歴
1964年トヨタ自動車工業入社。
トヨタ自動車理事、トヨタ英国製造副社長、トヨタオーストラリア社長、セントラル自動車社長を経て、(株)カイゼン・マイスターを設立。
法政大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授、東京大学インストラクター養成スクール講師等歴任。中小企業診断士。

目次

第1章 身に付けたい改善の見方・考え方の基本  
1-1 改善の心構え5箇条  
1-2 改善の基本にかかわる問答集  
1-3 あるべき姿を実現する改善手法はどのようなものがあるか  
1-4 改善活動を定着させるには  
1-5 自工程の改善は全体最適の視点で取り組むとは
どういうことか  
1-6 標準を決めて異常を見つけるとはどういうことか  
1-7 7つのムダとはなにか  
1-8 管理者は何を管理したらよいのか?  
1-9 「見える化」はなぜ必要か?  
1-10 4Sは改善の入口であると言われる理由は?  
1-11 4Sの4つのSとはなにか  
1-12 4Sの本当の目的はなにか  
1-13 作業域と通路を明確にするメリットはなにか  
1-14 所番地を明確にするメリットは  
1-15 4Sはどうしたら定着するか  

第2章 品質について知っておきたいこと  
2-1 品質とはなにか  
2-2 品質を良くすれば『原価低減』になると言うが本当か?  
2-3 後工程はお客様って何のこと?  
2-4 なぜ品質管理が必要なのか  
2-5 自動化と自働化はなにが違うか  
2-6 品質管理はどう進めたらよいか  
2-7 ヒューマンエラーを減らすには  
2-8 変化点管理はどの様に行うのか  
2-9 品質不具合の再発防止はどのようにしたらよいか  
2-10 自工程完結とは  
2-11 簡単に全数検査する方法はないか  

第3章 生産について知っておきたいこと  
3-1 稼働率と可動率はなにが違うか  
3-2 作業標準と標準作業はなにが違うか  
3-3 自働化による生産性のメリットはなにか  
3-4 人・モノ・情報の流れとはなにか  
3-5 沢山まとめて造るより小ロット化するメリットはなにか  
3-6 なぜ在庫は減らないか?  
3-7 生産の遅れ進みが分かる現場にするには  
3-8 生産変動への対応をどうしたらよいか  
3-9 在庫を減らすにはどうしたらよいか  
3-10 中間在庫を減らすにはどうしたらよいか  
3-11 段取り時間を短縮するにはどうしたらよいか  
3-12 生産のリードタイムを短縮するにはどうしたらよいか?  
3-13 人による作業のバラツキをなくすには?  
3-14 受注量に応じた人員編成はどうやって組めばよいか  
3-15 可動率を向上するにはなにが必要か  
3-16 非量産品の標準書はどのように作成すればよいか  
3-17 工数を低減するにはどうすればよいか(その1)  
3-18 工数を低減するにはどうすればよいか(その2)  
3-19 工数を低減するにはどうすればよいか(その3)  
3-20 工数を低減するにはどうすればよいか(その4)  
3-21 工数を低減するにはどうすればよいか(その5)  
3-22 自動化を導入するにあたっての注意事項は?  

第4章 原価・安全・人事教育について知っておきたいこと  
4-1 原価低減活動はどの様に進めたらよいか  
4-2 製品別原価の把握を簡単に出来ないか  
4-3 固定費を減らすには  
4-4 安全対策は原価を高めるだけか  
4-5 なぜ同じ怪我が出てしまうのか  
4-6 保護具の着用を守らせるには  
4-7 新人や多能工を早く育てるにはどうしたらよいか  
4-8 QCサークル(小集団活動)を活性化させるためには
どうしたらよいか  

はじめに

 私どもはトヨタ自動車及びセントラル自動車(現トヨタ自動車東日本)を定年で退職してから、2007年に株式会社カイゼン・マイスターを設立し、以来製造業だけでなく、農業や水産加工業や金融業をはじめとするサービス業など累計二百数十社の様々な業種の現場改善に携わってきた。
 本書の著者であるメンバーは、現役時代に製造部門、生産技術部門、生産管理部門、調達部門、品質保証部門等を経験したエキスパートであり且つ関連会社のトップ等の経験を通じて経営にも携わったが、いずれもトヨタグループの自主研究会活動等を通じてトヨタ生産方式(Toyota Production System 以下TPSと省略)の考え方を実践を通じて身に付けてきた背景がある。
 そのような訳で、本書のタイトルである「トヨタから学んだ本当のカイゼン」は、教師である「トヨタ自動車」の関係者に改めて敬意を表す意味も込めてつけたものである。
 ところで、TPSに関する書物は色々な形で巷に溢れているが、実際に自社の現場に導入する段になるとどうしてよいのか分からないという話を聞く事が多い。
 何事においても理論を学ぶこととそれを現場で実践する事の間にギャップがあることは当然であるが、TPSも例外ではない。そのギャップを埋めるために何が必要であろうかと考えた末に、日刊工業新聞社とも相談の上、本書は皆さんが疑問に感じている事に出来るだけ分かりやすく一つひとつ応えようと問答形式をとることにした。
 多くの企業の現場改善の支援活動をしていると、経営者だけでなく現場のリーダーが本当に知りたい事や共通の課題が見えてきたものである。それらの課題を問答形式で漏らさず提供しようというのが本書の目的である。
 なお本書とは別に、実際の改善事例集をまとめた「カイゼン・リーダー養成塾」(2012年6月、日刊工業新聞社刊 小森治編著)や月刊誌「工場管理」に毎年カイゼン・マイスター特集記事として多くの改善事例を長期にわたって掲載してあるので、本書の問答集と共に具体的な現場での改善事例集にご興味があれば一読される事をお薦めしたい。
 トヨタ生産方式の狙いは、一言でいうと「徹底的なムダの排除」に尽きるが、そもそもムダと言うものは、現場では「私はムダです」という顔をせずに、いかにも「私は必要不可欠な仕事である」という顔をしているものである。
 特に同じ仕事を長い間続けていると「今は何でもない」と思っている仕事の中に多くのムダが隠れている事に気づかずにいる事が多い。
 そこで、今の仕事を見直すきっかけの1つとして「正味作業時間比率」という視点を持つ事をお薦めしたい。
 まずモノの4つの状態を知ることは、現場を見る時の基本である。
 モノの4つの状態とは、①停滞、②検査、③運搬、④加工の事を言う。
①停滞とは、何もされていない状態で在庫になっているもの
②検査とは、加工されたものの良否を確認されている状態
③運搬とは、ものが移動している状態
④加工とは、ものの状態が変わることで、切削されたり、溶接されたり、組付けられたりしている状態
 この中で加工だけが形が変わるので付加価値がついて最終工程に近づく。
 それ以外の停滞、運搬、検査は、モノを造る上でどうしても必要な工程ではあるが、それ自体に付加価値は付いていないので、最小限に抑えるべき工程である。
 停滞、運搬、検査は工数をかければかけるほど、原価が上がる。
 加工は付加価値を上げ、停滞、運搬、検査は原価を上げるだけと言われる所以である。
 現在皆さんの工場で原材料から完成品になるまでのリードタイムの中で、加工だけの比率(正味作業時間比率)を測って見ると驚くほど低い事に気づくはずである。
 材料や仕掛品として在庫の状態で停滞していたり、長い動線を運搬している事が仕事であると勘違いされている方も少なくない。
 正味作業時間比率というものが、圧倒的に低いことに気づけば、改善のネタは無限にあることに気づくはずである。
 本書は改善に取り組むに当たり、まずは改善の心構え5箇条と、改善に取り組むモチベーションや物の見方の重要性などについて、基本問答集として触れることにした。
 また、具体的な現場の問答集では、皆が知りたいと思われる事を問答形式で対応する内容としたので、具体的な現場の問答集から読み始められても結構だが、心構え5箇条と改善の基本問答集も取り組む際に重要な視点を提供しているので是非目を通して頂ければ幸いである。

2016年7月 
(株)カイゼン・マイスター

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