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設計者は図面で語れ!
ケーススタディで理解する公差設計入門

定価(税込)  2,376円

編者
著者
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サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07583-4
コード C3053
発行月 2016年08月
ジャンル 機械

内容

ものづくりに必要な公差の基礎知識をケーススタディを通じて学ぶ本。公差設計の手順やポイントを、板金、切削物、シャフト等の要素を盛り込んだ事例で解説。設定した公差に不都合があった場合、公差値の変更だけでは対応できないケースも多い。その場合の形状変更についても例を挙げて説明する。さらには幾何公差による図面への表記や、加工の結果を設計にフィードバックするための3次元測定のポイントも紹介する。

目次

はじめに 

第1章 設計者は設計意図を図面に込めろ 
1. 公差設計とは-設計者の意図と製造上の要求をバランスさせる 
2. 公差設計ができない設計者が増えている 
3. 設計者は正しい図面を志向せよ 
4. 公差一つでどれだけコスト増になるか 
5. 公差設計のPDCA 
6. 実際の公差計算を見てみよう(寸法公差) 
7. 寸法公差はサイズを,幾何公差は姿勢や形状を規制する 
8. 公差計算と幾何公差はセットで検討せよ-GD&Tの考え方(1) 
9. 設計意図を正しく伝える図面とはどんなものか-GD&Tの考え方(2) 
Column 公差設計を軽んじたがために生じた失敗例 

第2章 公差計算の基礎知識 
10. 互換性の方法と不完全互換性の方法 
11. 公差計算のための予備知識①-正規分布の性質 
12. 公差計算のための予備知識②-母集団とサンプル 
13. 公差計算のための予備知識③-平均値と標準偏差の求め方 
(1)平均値 
(2)標準偏差 
14. 公差計算のための予備知識④-正規分布の表し方 
15. 公差計算のための予備知識⑤-分散の加法性 
16. 不良率計算のための予備知識①-正規分布の確率 
17. 不良率計算のための予備知識②-不良率の求め方 
18. 不良率計算のための予備知識③-正規分布の規準化 
(1)正規分布の規準化 
(2)正規分布の規準化の式 
19. 不良率計算のための予備知識④-工程能力指数(Cp)の算出 
20. 不良率計算のための予備知識⑤-工程能力指数(Cpk)の算出 
21. 不良率計算のための予備知識⑥-CpとCpkの使い分け 
22. 不良率計算のための予備知識⑦-片側規格の場合の工程能力指数

第3章 ケーススタディでわかる公差設計の勘どころ 
23. ケーススタディの概要-機械装置の公差設計の流れ 
24. 機械装置の公差設計の準備①-部品構成と公差要因 
(1)機械装置の構成と寸法 
(2)機械装置の公差要因 
25. 機械装置の公差設計の準備②-公差情報の収集 
(1)A.板厚 
(2)B.フランジ厚 
(3)C.Eリング厚 
26. 機械装置の公差設計①-Step.1 現状図面の公差計算(その1) 
27. 機械装置の公差設計②-Step.1 現状図面の公差計算(その2) 
28. 機械装置の公差設計③-Step.2 公差値のみの改良案検討 
29. 機械装置の公差設計④-Step.3 構造変更を伴う改良案の検討 
30. ガタは公差にどう影響するか-レバー比の計算 
31. その他の公差計算方法-モンテカルロシミュレーション 
32. 3次元公差解析ソフトを利用した公差設計事例-SigmundWorksによる解析 
(1)オートループ機能 
(2)ロールダウン機能 
33. 3次元公差解析ソフトを利用した公差設計事例-SigmundABAによる解析 
ケーススタディ課題作成者インタビュー 公差は設計に何をもたらすか 

第4章 幾何公差で設計意図を正しく図面に盛り込む 
34. 幾何公差は何を目的としているか-寸法公差と幾何公差の違い(その1) 
(1)目的の違い 
(2)測定方法の違い 
35. 幾何公差は何を目的としているか-寸法公差と幾何公差の違い(その2) 
(1)公差域の違い 
(2)データムの存在の有無 
(3)国際的工業規格との関係 
36. 幾何公差の基本用語を知ろう 
37. 幾何公差の基準となる線,面-データムと形体を理解する 
38. 幾何公差を理解するための最も重要な概念-三平面データム系の構築 
Column データムの必要数 
(1)3平面で構築する場合 
(2)1平面と2つの穴の軸直線で構築する場合(その1) 
(3)1平面と2つの穴の軸直線で構築する場合(その2) 
(4)1平面・軸直線・中心平面で構築する場合 115
39. データムターゲットの目的と表記方法 
40. 共通データムとは何か 
(1)共通データム軸直線 
(2)共通データム平面 
41. データムの優先順位はどう決まり,優先度が高いとどうなるのか 
(1)データムの優先順位がB>Cの場合:検証結果OK 
(2)データムの優先順位がB<Cの場合:検証結果NG 
(3)つば部と軸直線に関するデータムの優先関係(その1) 
(4)つば部と軸直線に関するデータムの優先関係(その2) 
42. 様々な幾何公差の指示方法 
(1)データムの記号は三角形で表わす 
(2)幾何公差・データムの指示の仕方 
(3)形体の軸線・中心面に指示する 
(4)投影面の軸線に指示する 
(5)形体の限定された部分に指示する 
(6)共通公差域を指示する 
(7)輪郭度の全周指示をする 
43. データムによらない幾何公差-様々な形状公差(その1) 
(1)真直度 
(2)平面度 
(3)真円度 
44. データムによらない幾何公差-様々な形状公差(その2) 
(1)円筒度 
(2)線の輪郭度 
(3)面の輪郭度 
45. 姿勢のばらつきの許容値を決める-様々な姿勢公差 
(1)直角度 
(2)平行度 
(3)傾斜度 
46. 最も多用される幾何公差-位置公差とは何か 
(1)真位置度理論の考え方 
(2)公差域の考え方 
47. 最も多用される幾何公差-様々な位置公差(その1) 
(1)位置度 
(2)同軸・同心度 
(3)対称度 
48. 最も多用される幾何公差-様々な位置公差(その2) 
(1)線の輪郭度 
(2)面の輪郭度 
49. 回転物に対する幾何公差-様々な振れ公差 
(1)円周振れ 
(2)全振れ

第5章 パーツを正しく計測し,計測結果を設計にフィードバックする 
50. パーツを測定して,加工の正しさをチェックする 
(1)測定の目的 
(2)測定の不確かさとその影響 
51. 幾何公差の普及の切り札となる非接触3次元測定機器の進化 
52. どんな幾何公差にどんな測定機器を用いるか 
(1)真直度測定 
(2)平面度測定 
(3)真円度・円筒度測定 
(4)平行度測定 
(5)直角度測定 
(6)傾斜度測定 
(7)位置度測定
(8)同軸度・同心度測定 
(9)対称度測定 
(10)線の輪郭度・面の輪郭度測定 
(11)円周振れ・全振れ測定 

はじめに

 設計意図を込める技術である「公差設計」とそれを正しく伝えるための技術である「幾何公差」は,ちょうど車の両輪のようなものである。

 グローバルなものづくりを展開するにあたって,今,多くの企業で注目しているのが,「幾何公差」ではないだろうか。どこの国で部品を作っても,どこの国で組み立てても,同じ品質の製品が出来上がるようにするためには,設計図面の改善が必須であり,「幾何公差」は,それを実現するためのツールである。現在では,3DAモデルの規格化も進められ,そのために「幾何公差」が必須だと言われていることで,さらに拍車がかかっている。

 筆者らが,お客様から相談を受けることの多くに,「図面を幾何公差化したら,測定工数が増えてサプライヤーからの見積金額が上がってしまった」というものがある。実は,寸法公差の図面をそのまま幾何公差化しただけでは,いたずらに測定箇所が増え,コストが上がってしまうのは当然だ。大事なのは,設計者として全ての部品に対して「どこを基準に,どこを押さえたいのか」という思想を明確にしたうえで,本当に管理したい個所(重点管理ポイント)だけを正しい幾何公差で表現することである。上記の悩みを解決する方法の1つが,公差設計と幾何公差(この2つを総称して「GD&T(※)」と言う)の両輪を実践することとなる。


※GD&Tとは,Geometric Dimensioning and Tolerancingの略で,公差計算を確実に実施して公差値を設定し,幾何公差を用いて的確に図面に表記する,設計者にとって必要不可欠なシステムのこと。TS16949で用いられている。


本書では,筆者らで16年間,公差一筋で教育およびコンサルを実施してきた中で,特に知っておいていただきたいノウハウを紹介する。

 本書の特徴は以下のとおりである。

・公差計算の基礎知識について幅広く解説している。

・ケーススタディは,ガタ・レバー比(p.82で説明)に入る前の公差設計の基礎知識を理解しているかどうかを確認するのに適している。

・幾何公差は初めて幾何公差を学習される方でも,すぐに実践できる内容にしている。

・最終章では,各幾何公差について,様々な測定機を用いた測定方法を紹介している。

 一方,GD&Tのメリットはわかっていても「公差計算を手で行うのが大変」という理由でなかなか実践業務に定着しないという声をよく耳にする。

 その課題解決のためには,GD&Tに関する理論的理解と,ITツールの活用が必要になる。現在,日本においてもいくつかの3次元公差解析ソフトが存在しているが,最近では,設計者が設計の中で容易に扱える設計者向けの3次元公差解析ソフトが登場し,公差計算はツールを使ってどんどん実施するという企業も増えてきている。本書の第3章では,ケーススタディで実施したものと同様の事例を用いて,3次元公差解析ソフトの説明を行っている。

 読者の皆様には,GD&Tの正しいプロセスを理論的に理解したうえでITツールを活用して,実務の中で効率的にGD&Tを実践していくことに,本書を活用いただければ幸いである。


 最後に,本書籍へのケーススタディの掲載にご協力をいただいたローランドディー.ジー.株式会社の杉山裕一様,本書執筆にあたり参考とさせていただいた文献の著者の方々や,写真などのご提供をいただいた各機関及び企業の皆様に深く謝意を表するとともに,出版にあたってご高配を賜りました日刊工業新聞社の関係者皆様に御礼を申し上げる。


2016年 7月 
株式会社プラーナー著者一同

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