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絵とき「貴金属利用技術」基礎のきそ

定価(税込)  2,484円

著者
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サイズ A5判
ページ数 276頁
ISBNコード 978-4-526-07576-6
コード C3057
発行月 2016年06月
ジャンル 金属

内容

本書は、工業材料としての貴金属の入門書。貴金属とは何か、その利用の歴史や産地、またどのようなところに使われ、どんな性質が利用されているのか、また具体的にどのように加工されて組み込まれているのか、貴金属利用の一部始終をわかりやすく解説している。

清水 進  著者プロフィール

(しみず すすむ)
1937年 東京都生まれ
1956年 田中貴金属工業株式会社入社
1963年 東京大学宇宙航空研究所 受託研究員
1970年-1977年 田中貴金属工業本店工場長、伊勢原工場長
1977年 同社工法開発部部長
1979年 同社神戸工場長
1993年 同社開発企画部副部長
2011年 公益社団法人日本技術士会金属部会部長 神奈川県支部副支部長
2015年 公益社団法人日本技術士会金属部会部長 名誉会員 神奈川県支部支部長
論文「交互積層構造を有する干渉発色繊維の変角反射特性」共著 2002繊維学会誌 他多数

村岸幸宏  著者プロフィール

(むらぎし ゆきひろ)
1947年 岐阜県生まれ
1970年 大阪大学基礎工学部卒業
1971年 田中貴金属工業株式会社入社 主に電話交換機用接点材料の開発に従事
1977年-81年 土木工事事業に従事
1982年 田中貴金属工業株式会社再入社 主に白金族金属関係の材料開発に従事
2003年 同社取締役に就任
2008年 同社顧問
2013年退社
著書「テストロニクスとその応用』共著、1994、日刊工業新聞社

目次

はじめに

第1章 貴金属とはどんなものか
1-1 貴金属とは
1-2 貴金属が使われている分野
(1)金の用途
(2)銀の用途
(3)白金族の用途
1-3 貴金属の種類とその性質
(1)金
(2)銀
(3)白金
(4)パラジウム
(5)ロジウム
(6)イリジウム
(7)ルテニウム
(8)オスミウム
1-4 各貴金属の性質比較
(1)機械的性質
(2)電気伝導率と熱伝導率
(3)融点
(4)熱膨張率
(5)密度
1-5 元素周期表と結晶構造
(1)元素周期表
(2)結晶構造
(3)状態図

第2章 貴金属の発見とその歴史
2-1 金の発見とその歴史
2-2 銀の発見とその歴史
2-3 白金族の発見とその歴史

第3章 鉱石から貴金属へ
3-1 鉱石から金と銀ヘ
3-2 金の供給と用途
3-3 銀の供給と用途
3-4 鉱石から白金族へ
(1)ニッケルや銅の硫化鉱に随伴する白金族の抽出
3-5 白金族の供給と用途
(1)白金の供給と用途
(2)パラジウムの供給と用途
(3)ロジウムの供給と用途
(4)イリジウムの供給と用途
(5)ルテニウムの供給と用途

第4章 貴金属を用いた製品例
4-1 電気接点
(1)銀系接点
(2)金系接点
(3)白金族系接点
(4)電気接点の使用例
①マイクロモーター用接点
②継電器用接点
③マルチワイヤーブラシ用接点
④コネクター
4-2 電子材料
(1)金ボンデイングワイヤー
(2)スパッタリングターゲット
(3)ペースト
(4)プリント配線板
(5)スパークプラグ
(6)バンプ形成
4-3 温度制御用材料
(1)熱電対
(2)白金測温抵抗体
4-4 触媒材料
(1)自動車の排ガス浄化触媒
(2)燃料電池触媒
(3)アンモニア酸化触媒
(4)そのほかの触媒
①石油精製触媒
②燃焼触媒・脱臭触媒
③金の触媒
4-5 ガラス溶解装置用材料
(1)機能性ガラス溶解装置
(2)ガラス繊維紡糸装置
(3)酸化物単結晶育成るつぼ
4-6 接合材料
(1)銀ろう
(2)金ろう
(3)ラジウムろう
(4)金はんだ
4-7 医療用材料
(1)歯科用材料
①鋳造用合金
②加工用合金
③ポーセレン焼き付け用合金
④歯科用アマルガム
⑤その他の合金
⑥歯科用ろう材
(2)抗がん剤
(3)循環器系材料
(4)ペースメーカー
(5)体外診断薬・検在キット
4-8 その他化学工業で利用される材料
(1)化学繊維紡糸口金
(2)不溶性電極
(3)化学分析用るつぼ、蒸発皿
(4)蛍光X線分析試料作製用ビード皿
(5)水素精製装罹用パラジウム-銀合金
(6)静電気需電防止用白金極細繊維
4-9 装飾材料
(1)貴金属地金の品位保証
(2)身を飾る材料
①銀・銀合金
②金・金合金
③白金・白金合金

第5章 貴金属の加工
5-1溶解・鋳造
(1)銀の溶解・鋳造
(2)金の溶解・鋳造
(3)白金の溶解・鋳造
(4)パラジウムの溶解・鋳造
(5)ロジウム・イリジウム・ルテニウムの溶解・鋳造
(6)ロストワックス法
5-2 鍛造
5-3 押出
5-4 伸線
5-5 圧延
5-6 プレス
(1)絞り
5-7 ヘッダー
5-8 溶接・接合
5-9 クラッド
(1)板のクラッド
(2)線材のクラッド
(3)溶射によるクラッド
5-10 粉末冶金
(1)銀-グラファイトの粉末冶金加工例
(2)銀-酸化物系材料の加工例
(3)強化白金の加工例
(4)白金-コバルト系磁性材料の加工例
5-1 表面被膜形成
(1)湿式めっき
(i)金めっき
(ii)銀めっき
(iii)ロジウムめっき
(iv)白金めっき
(v)パラジウムめっき
(vi)ルテニウムめっき
(vii)イリジウムめっき
(2)乾式めっき
5-12 回収・精製.
(1)加工工程からのリサイクル
(2)機械・装罹・部品からのリサイクル
(3)自動車の廃触媒からのリサイクル
(4)電気製品・携需電話などからのリサイクル
(5)貴金属含有廃液中からのリサイクル
(6)装飾品や歯科材料などからのリサイクル
5-13 分析
(1)機器による分析
(2)試料サンプリング
(3)分離方法

第6章 貴金属の熱処理と機械的性質
6-1 加工硬化
6-2 固溶体強化
6-3 析出硬化
(1)銀-銅合金の例
(2)金-白金合金の例
6-4 規則配列による強化
6-5 結晶粒の微細化による強化
6-6 微細酸化物分散による強化
(1)銀/酸化ニッケルの例
(2)白金/酸化物の例
6-7 非晶質化による強化

参考文献
索引

はじめに

 “貴金属”というと、金、銀、プラチナなどを使ったきらびやかな宝飾品を思い浮かべる方も多いかも知れません。しかし貴金属にはもう一つ別の顔があります。例えば、携需電話やパソコンなどの内部の部品として、あるいは自動車や化学プラント内部で触媒として、私たちの直接Hに触れないところで工業材料として欠くことのできない重要な役割を果たしているのです。
 触媒とは、自身は変わらずに、他の化学物質を変えるという離れ技をする物質です。とりわけ白金族の触媒利用は、化学工業、医薬品、食品などの製造に不可欠であり、今後も多くの可能性が期待されています。例えば燃料電池は、触媒として白金族が利用されており、2010年10月に炭素のクロスカップリング反応の研究でノーベル賞を受賞した北海道大学名誉教授の鈴木章専士ならびに米国パデュー大学特別教授根岸英一専士の成果はパラジウムを触媒とした研究です。
 また従来、金は触媒活性が乏しいと思われ、触媒としての研究が皆無であったものを、首都大学東京教授の春田正毅専士が大阪工業技術試験所在籍中に研究開発の端緒を開き、実用化され、現在さらに応用分野が広がっています。
 本書は、さまざまな形で貴金属を使った工業製品を開発したり、製造したりする業務につかれている方、また貴金属が持つ不思議な特性に興味を持つ学生や一般の方を対象に、貴金属とは何か、どこでどのように採れるのか、あるいはどんなところにどう使われ、どんな性質を持っているのか、そしてどのようにして加工・利用すればよいのかをわかりやすく紹介した入門書です。
 とくに金や銀についてはすでに多くの固書が出版されているので、ここでは産地が限られ、資源的に希少でありながら、新しい用途がさらに拡大しつつある白金族に関してできるだけ多くのページを割きました。最近はレアメタルが注目を集めていますが、レア(希少)中のレアである貴金属を使用したり、加工したりするときは一般の金属を扱うときとは異なる配慮が必要になります。さらに興味がある方には巻末に参考文献を添付しましたので、そちらを参考にしてください。
 本書の編纂にあたりましては、TANAKAホールディングス株式会社の全面的なご協力により、資料の提供ならびに多大な便宜を図っていただきましたことに感謝の意を表します。また、本誌に掲載しました写真は、ジョンソン・マッセイ社発行のA History of Platinum and its Allied Metals (DONALD McDONALD & LESLIE B.HUNT)、ならびにPlatinum等に掲載のものを一部使用させていただきましたことに御礼申し上げます。
 “貴金属”は、縁の下の力持ちとして、目に見えないところですでに非常に大きな役割を果たしていますが、まだまだ私たち人類の気づかない、未知の能力が潜んでいる材料でもあります。本書が読者の刺激となり、資源的にも希少な貴金属の有効利用に役立ち、さらには貴金属の再資源化技術の発展に向けた呼び水となれば望外の喜びです。
2016年6月
著者

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