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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい発酵の本
第2版

定価(税込)  1,620円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07572-8
コード C3034
発行月 2016年05月
ジャンル ビジネス 化学

内容

醤油や酒などの食料品からビタミン剤・抗生物質など、多くの身近なものが微生物たちの醸しだす発酵技術に支えられている。本書では発酵の種類やしくみ、それを支える微生物の働き、環境エネルギー分野で活躍する発酵技術などをイラスト図解で紹介。初版の読みやすさそのままに、最新情報にアップデートした好評書籍の第2版。

協和発酵バイオ株式会社  著者プロフィール

世界トップレベルの発酵の技術を利用して、アミノ酸、核酸関連物質、糖関連物質、有機酸など多岐にわたる製品を製造している。これらの製品は主に医薬品、健康食品、食品、飲料の原料として、世界各国で医薬・医療・ヘルスケアの領域で使われている。

●執筆者
橋本信一 (はしもと しんいち)
阿部哲也 (あべ てつや)
三宅浩一郎 (みやけ こういちろう)
鈴木誠 (すずき まこと)
矢ケ崎誠 (やがさき まこと)
三橋敏 (みつはし さとし)
米谷良之 (よねたに よしゆき)
林幹朗 (はやし みきろう)

目次

第1章 発酵ってなに?
1 身近な発酵製品「周りを見ればすぐに見つかる発酵食品」
2 世界の発酵食品「それぞれの土地に根ざした発酵食品がある」
3 発酵のはじまり「人類の最初の発酵食品は酒だった?」
4 酒とともに発展した発酵「ローマ時代にヨーロッパ各地にワインが広まる」
5 発酵はなぜ起こる「微生物学の発展とともに進む発酵の解明」
6 発酵の犯人は微生物「天才科学者の犯人探し」
7 発酵の展開「微生物により物質変換技術が実用化」
8 遺伝子の時代「遺伝子組換え技術は、発酵の領域を大きく拡大」
9 発酵と腐敗はどう違うの「腐敗も発酵も同じ物質変換」

第2章 身近な発酵のいろいろ
10 アルコール発酵でお酒をつくる「酵母やカビのおかげで今夜も気分は上々」
11 ふっくらしたパンをつくる「アルコール発酵させて炭酸ガスを発生」
12 乳酸発酵でつくるヨーグルト「ちょっとすっぱいのは乳酸菌のせい」
13 多種多様なチーズをつくる「微生物の種類や強さによって風味が変わる」
14 地方色豊かな味噌、醤油「麹カビと乳酸菌、酵母の連携で熟成される」
15 糸を引く納豆をつくる「原料の大豆以上に栄養豊かにする納豆菌」
16 酒の後にできる酢「酢酸発酵ですっぱくなる」
17 日本の保存食である漬物となれずし「なれずしは、現在の寿司の原型」
18 香り高い鰹節をつくる「和食の基本の材料にも発酵が関与している」
19 お茶は発酵していない?「普通のお茶は微生物が関与しない」

第3章 産業に使われる発酵
20 新たに発見されたうま味「日本人が発見し製造方法を確立したうま味調味料」
21 人体に欠かせないビタミン「生物が必要な有機化合物で、微量だけど必須な成分」
22 農業に利用される発酵技術「種なしブドウも発酵のおかげ」
23 アミノ酸発酵技術の発展「アミノ酸を微生物につくらせる」
24 晶析による発酵生産物の精製「結晶にして不純物を除去」
25 微生物による物質生産の特長「合成化学プロセスとの比較」
26 微生物は医薬品生産工場「抗生物質の発見と微生物がつくる医薬品」
27 発酵でつくられる化学原料「脱石油社会の担い手として注目される発酵」
28 産業に利用される微生物の酵素「微生物の酵素は産業上有用な触媒」
29 環境浄化に利用される発酵「微生物は地球の掃除屋さん」

第4章 発酵を担う微生物たち
30 微生物とは?「地球上のあらゆるところに生息する生き物」
31 酵母はパンやお酒をつくる発酵の代表選手「酵母は糖濃度の高いところを好む」
32 古くから利用されてきたカビ「発酵の下ごしらえから薬まで」
33 放線菌は薬づくりの名人「放線菌がつくる二次代謝産物は多種多様」
34 ヨーグルトや漬物をおいしくする乳酸菌「乳酸菌は発酵によって乳酸をつくる真正細菌の総称」
35 納豆菌は枯草菌の変わった仲間「熱しやすく冷めやすい菌」
36 お酢をつくる酢酸菌「ナタ・デ・ココも酢酸菌が関与」
37 アミノ酸をつくるコリネバクテリウム「発酵工業では極めて重要な菌」
38 廃水から燃料をつくるメタン菌「メタンを利用するために必要な菌」
39 極限環境で生きる微生物「驚くべき性質を持った菌たち」

第5章 発酵の仕組み
40 ワインのつくり方「糖から直接アルコールを発酵する形式は単式発酵」
41 ビールのつくり方「単行複式発酵でつくられるビール」
42 日本酒づくりは複雑かつ巧妙「並行複式発酵でつくられる日本酒」
43 糠味噌はなぜ混ぜる?「乳酸菌の活動には酸素が必要」
44 上手な発酵に必要なこと「増殖・生産に適した条件」
45 菌の中で何が起きている?「微生物内で進む化学反応」
46 酵素は働き者、怠け者?「生産調整をする微生物」
47 遺伝子の働きも大切「2つの転写制御を持つ遺伝子」
48 良い菌、悪い菌「菌をさまざまな方法で育てる」
49 協力して働く微生物「微生物に分業させて目的化合物を得る」

第6章 発酵を支える新しいバイオテクノロジー
50 遺伝子は酵素の設計図「遺伝子は、アミノ酸の順番と種類が書かれた設計図」
51 ゲノムは微生物の設計図「ゲノムはある生物の遺伝子1セット」
52 生物の共通性を利用した遺伝子工学「酵素の設計図の書き方は生物に共通」
53 酵素の性質を変える「設計図を変更し、改変した酵素をつくる」
54 古典的変異育種で微生物の性質を変える「研究者のセンスや工夫が活きる育種」
55 組換えで微生物の性質を変える「複数の生物の遺伝子を組みあわせて新たな生合成経路をデザイン」
56 極端な性質の酵素「極限環境で生きる微生物がつくる“ハイパー酵素”」
57 環境から遺伝子を直接集める「環境中のDNAから遺伝子を増幅させる」
58 メタゲノムの成果「シロアリ腸内細菌の木質系バイオマス分解能力の利用」

第7章 広がる発酵の力
59 地球環境維持に活躍する発酵「小さな生物が大きな地球を救う」
60 バイオエタノールで自動車を走らせる「カーボンニュートラルなエネルギー」
61 発酵でプラスチックをつくる「石油代替製品の旗手」
62 発酵原料も発酵の力でつくる「食用原料を使わないバイオエタノールの生産」
63 微細藻類で石油をつくる「食糧と競合しない新たな燃料となるか?」
64 身体の中で起きる発酵「「もうひとつの臓器」が健康を支えている」
65 腸内フローラを改善する「腸内環境をコントロールして健康に役立てる」
66 医療とヘルスケアに貢献する発酵「微生物を使って健康に役立つモノづくり」
67 発酵と私たちの未来「ちっぽけな存在の生物が大活躍」

【コラム】
●パスツールとコッホ
●風土を映し出す発酵
●抗生物質の発見とノーベル賞
●微生物の採り方
●火落ち
●微生物で植物由来医薬品をつくる
●発酵とエネルギー

参考文献
索引

はじめに

「『和食:日本人の伝統的な食文化』がユネスコ無形文化遺産に登録!」(2013年12月)
「大村智先生がノーベル生理学医学賞受賞!」(2015年10月)
 どちらのニュースも、この本で紹介する「発酵」に関連したものといえるのではないでしょうか。和食の味付けに不可欠な、醤油、味噌、酒、酢、鰹節などは、微生物の力を利用した伝統的な発酵によってつくられます。また、納豆のように発酵の過程で栄養価の高まる食品も多く、塩こうじブームの影響もあって発酵食品が注目されています。一方、大村智先生の業績は「寄生虫による感染症の治療法に関する発見」です。この治療薬のもとになった物質をつくる微生物の発見が先生の大きな業績で、この薬が実用化された結果、多くのアフリカの人々を寄生虫感染症による失明から救うことになりました。これは、20世紀になってペニシリンが発見されてから始まった研究の流れ、つまり、微生物が生産する物質から様々な薬効を示す物質が探索されてきた流れにある研究の1つの成果です。この本では、まず伝統的な発酵を、さらにより広い意味で、微生物の物質生産能力を利用する発酵を紹介したいと思います。いずれの場合も、微生物の力を人のために利用するという意味において違いはありません。
 人類は有史以来、微生物を経験的に利用してきました。しかし、その仕組みは何千年にもわたって神秘のベールの向こうにありました。それが目に見えない小さな生き物「微生物」によって起こるということが判ったのは、たった150年ほど前のことなのです。この時の微生物学の考え方がきっかけとなって、微生物を利用する技術が飛躍的に進歩しました。この分野の研究は日本のお家芸であるといわれます。多くの世界的な新知見が、日本の研究者・技術者によって見出されたものであるからです。この本の中にもそのような発見や技術がたくさん出てきます。
 現代では発酵は私たちの生活のあらゆる場面に関係があります。一体どこに? と不思議に思われるでしょう。そう思われる方は是非、この本を読んでみてください。スマートフォンやハイブリッドカーのようにスタイリッシュではありませんが、発酵は私たちの生活になくてはならないものなのです。
 微生物は人間よりはるか昔に地球上に現れ、地球のありとあらゆるところに存在しています。深海にも地中にも、人や動物の体の中にも。一体何種類いるのか誰も知りません。今でも信じられないような能力を持った新しい微生物が次々と見つかっています。目に見えないほど小さいけれど、微生物は生命のワンダーランドなのです。
 20世紀、生命科学は大きく進歩しました。その進歩には微生物も多大な貢献をしています。と同時に微生物の利用の仕方も大きく変わり発展しました。発酵と微生物には新しい可能性が拓けているのです。21世紀は発酵の世紀になるかもしれません。
 それでは私たちの身近にありながら、目立たなくも奥深い発酵の世界にご案内しましょう。

2016年5月
協和発酵バイオ株式会社 

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