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おもしろサイエンス
天変地異の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07570-4
コード C3034
発行月 2016年05月
ジャンル ビジネス 環境

内容

近年、火山噴火、地震、津波の発生が多くなり、異常気象の影響から豪雨が多発、土砂崩れや洪水が起こり、一方で旱魃が広がっている。これら天変地異はなぜ起こるのか?本書は地球の構造、仕組み、システムをわかりやすく丁寧な図解で科学の視点から解説し、これらの現象の本質を解明していく。

西川有司  著者プロフィール

(にしかわ ゆうじ)
1975年早稲田大学大学院資源工学修士課程修了。1975年~2012年三井金属鉱業(株)、三井金属資源開発(株)、日本メタル経済研究所。主に資源探査・開発・評価、研究などに従事。
現在 放送大学非常勤講師、国際資源大学校講師、EBRD(欧州復興開発銀行)EGP顧問
著書は、トコトンやさしいレアアースの本(共著、2012)日刊工業新聞社、トリウム溶融塩炉で野菜工場をつくる(共著、2012)雅粒社、資源循環革命(2013)ビーケーシー、資源は誰のものか(2014)朝陽会、おもしろサイエンス地下資源の科学(2014)日刊工業新聞社、おもしろサイエンス地層の科学(2015)日刊工業新聞社ほか、地質、資源関係論文・記事多数国内、海外で出版。

目次

第1章 天変地異にさらされる地球の謎
1 天変地異にさらされる地球
2 天変地異を知るためにまずは地球をよく理解しよう
3 宇宙という壮大なシステムの中で動いている地球
4 宇宙の構造と地球の関係―宇宙と地球の境目
5 地球は表面も内部も秩序をもって動いているのだ
6 地球の構造は、地殻、マントル、コアの三層からなる
7 地球・宇宙の研究からおこる大転回―天動説から地動説へ

第2章 巨大災害と地球システムとの関係
8 巨大災害の発生とシステムの崩壊
9 地球のシステムってなんだろう?
10  地球のシステムに影響を与える人工システム
11  空、海、大地が一体となり動き、生きている地球
12  地球システムはどうしてできたか
13  地球は様々なシステムが複雑に絡み合う
14  大陸移動説からプレートテクトニクスへ

第3章 地球のいろいろな動きから天変地異を探る
15  天変地異はどうして起こるのか
16  地球はあらゆる動きをし、その中で天変地異が起こる
17  地球システムを動かす熱エネルギー
18  大気はいろいろな形で循環している―気圏のシステム
19  水の循環は一定の収支バランスの中で行われる―水圏のシステム
20  岩石の循環によって大陸は移動する―地圏のシステム
21  気圏、水圏、地圏の三つのシステムのつながり
22  地球温暖化はどうして起こるのか
23  天変地異を引き起こすシステムの破壊

第4章 地震、津波とマントル循環システム
24  迫りつつある巨大地震と津波
25  地震、津波の発生のメカニズム
26  プレートの特徴とその動くスピード
27  プレートテクトニクスとマントル循環システム
28  海底が広がる、大地が裂ける、酸素が地球外へ流出?
29  地層・資源の形成における循環システム
30  火山活動とプレートテクトニクス

第5章 地球温暖化が炭素循環システムを破綻させる
31  炭素循環システムの破綻の現実
32  炭素の固定、地殻の中の炭素と動き
33  温暖化の原因は石炭・石油など炭素化合物の大量利用か?
34  二酸化炭素の増大で海の異変が起きている―死海が広がっている
35  深刻になってきた温暖化による異常気象
36  多発する気象異常による災害

第6章 大爆発―破局噴火と火山活動
37  生物を死滅させる破局噴火とその巨大さ
38  火山はどうして噴火するのか―火山噴火の仕方
39  火山噴火の予知はなぜ難しいのか
40  火山活動は繰り返される
41  目に見えない地殻変動と火山活動のシステムの関係
42  地球内部のマントル対流運動と火山噴火の関係
43  火山噴火による災害は大きく広がる―生活の痕跡が残らない広域災害

第7章 天変地異からいかに自分を守るのか
44  地球の恵みの利用と異常気象は表裏一体
45  地球は天変地異の大変動時代に入ったのか?
46  地球システムに逆行する原子力の利用
47  天変地異と人類の生活圏の拡大と限界
48  人類の営みによる地球システムへの影響
49  大異変となる火山爆発、津波、気候変動、隕石衝突はつながっている
50  天変地異からあなたは身を守れるか


column
ポーランドに生まれたコペルニクスの町「トルン」
宇宙ビジネスとスペースデブリの影響
隕石衝突の現実性
日本列島の天変地異
石油の時代はいつまでか
火山エネルギーの利用
海の異変と海水面の上昇

はじめに

2011年3月11日の東日本大震災は、まさしく天変地異の出来事でした。自然現象による地震、津波からの大災害に人為的な原因も加わった福島原発事故は大地震とともに東日本の景色を一変させました。そして人々の生活や経済に未曾有ともいえる大打撃を与えたのです。5年たった2016年、復旧に向かってはいるもののまだ具体的見通しはたっていません。
 天変地異は巨大災害を引き起こします。科学が発達する以前は、「神の仕業」などと宗教が関係していましたが、コペルニクス以降、科学の発達とともに天変地異の原因は明らかになってきています。
 私たちが生きる地球は宇宙のシステムの中で動いています。その動きの中で火山が噴火し、地震が起こり、津波が発生し、洪水に見舞われ、宇宙からの惑星が衝突し、時に天変地異といえる多大な犠牲者を生み生活の場が破壊されます。時計は歯車が動いて針が時を刻むように、地球の中心にある5500℃という超高温のコア(核)が動力源となり、地球のシステムが動くのです。この熱を放出するために短針に相当する動きがマントル対流で、長針が大陸移動、秒針が火山の噴火と、考えられるような動きです。地球は太陽を回り、宇宙に出ていく熱と、太陽からの熱で気流が生まれ、気候がつくられ、海流を生み出しています。
 天変地異は、この地球システムを狂わし、破綻させますが、再生しながら熱の放出を続けなんとか正常に動いています。しかし、人間生活は地球システムに噛み合わず、独自に文明を発達させ、人類自ら天変地異を引き起こし始めました。70億人の人類が環境を悪化させているのです。
 本書は天変地異とは何か、地球の動きとどのように関係するのか、という根本的なことをはじめとし、地球の熱の放出、マントルとの関係、火山噴火、隕石衝突などを網羅し、プレートテクトニクスの役割、大変動期にある日本についてわかりやすく説明しました。また宇宙の中の地球や地球の動きを踏まえ大局的、多角的な視点から「天変地異がなぜ起こるか」を科学としてとらえ、〝生きている地球〟を描きました。
 46億年という気の遠くなるような地球の歴史の中で、地球の動きとともにシステムが崩れ、天変地異が引き起こされます。システムが回復しても再び火山が噴火し、地震が起こり、津波が発生し、繰り返す大災害によって、私たちの生活も破壊され、再生を繰り返してきました。さらに、産業革命以降の人的行為が地球システムに大きな影響を与えるようになってきています。
 天変地異は「いつ」「どこで」起こるか、科学的研究は進んでいますが、残念ながら予知の能力はまだ十分ではありません。2016年4月に起こった熊本地震も予知はできませんでした。天変地異および身近に起こる自然災害への原因は地球システムと深くかかわります。温暖化による異常気象など地球システムに逆行する人類の営みが、天変地異にもつながりかねない状況となっています。
 地球システムも天変地異もまだまだわからないことがたくさんあります。本書を通して科学的な眼で天変地異を理解していただければ、筆者の望外の喜びです。
 日刊工業新聞社藤井浩氏には執筆の機会を与えてくださり、執筆編集のご指導をいただき、深く感謝を申し上げます。
2016年5月 
西川有司 


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