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おもしろサイエンス
機能性野菜の科学
-健康維持・病気予防に働く野菜の力-

定価(税込)  1,728円

編著
サイズ A5判
ページ数 120頁
ISBNコード 978-4-526-07569-8
コード C3034
発行月 2016年05月
ジャンル ビジネス 化学

内容

野菜にはビタミンの他にも、健康維持、病気予防に効果のある数多くの機能性成分が含まれている。機能性成分を多く含む機能性野菜は今後の農業ビジネスで高付加価値な作物として期待される。機能性成分とそれらを豊富に含む野菜、野菜の機能成分を高含量化する技術を紹介する。

佐竹元吉  著者プロフィール

(さたけ もとよし)
1964年、東京薬科大学卒業。同年、国立衛生試験所(現・国立医薬品食品衛生研究所)入所。
91年、国立衛生試験所生薬部長。
2001年、国立医薬品食品衛生研究所退官。
02年よりお茶の水女子大学生活環境教育研究センター教授。
06年より同センター客員教授。
13年より同センター研究協力員。
15年より昭和薬科大学薬用植物園薬用植物資源研究室研究員。学術博士。

著書:
「スキルアップのための漢方相談ガイド」(共著)(南風堂)、
「薬用植物・生薬開発の最前線」、
「薬用植物・生薬開発の新展開」(監修)(以上、シーエムシー出版)、
「日本の有毒植物」(監修)(学研教育出版)、
「おもしろサイエンス 薬草の科学」、「おもしろサイエンス サプリメント・機能性食品の科学」(共著)、「おもしろサイエンス 毒と薬の科学」(編著)(以上、日刊工業新聞社)

執筆者

佐竹 元吉〔昭和薬科大学 薬用植物園 薬用植物資源研究室 研究員〕

高野 昭人〔昭和薬科大学 薬用植物園 薬用植物資源研究室 教授・薬用植物園長〕

中根 孝久〔昭和薬科大学 天然物化学研究室 准教授〕

牛島 光保〔湧永製薬㈱ 創薬研究所〕

奥山 恵美〔城西国際大学 薬学部 教授〕

数馬 恒平〔富山大学 和漢医薬学総合研究所 助教〕

神田 博史〔広島国際大学 薬学部 薬用植物園 教授〕

小寺 幸広〔湧永製薬㈱ 創薬研究所〕

代田 修〔徳島文理大学 香川薬学部 生薬・天然物化学講座 教授〕

竹谷 孝一〔東京薬科大学 名誉教授〕

西川 可穂子〔中央大学 商学部 教授〕

矢原 正治〔熊本大学 薬用資源エコフロンティアセンター〕


 イラスト
北島 潤一〔昭和薬科大学 名誉教授〕

目次

はじめに

第1章 野菜の機能成分はどんなものがあるか

1 体のいろいろな機能を調節する野菜の機能性成分
2 活性酸素を抑えて様々な病気を予防するポリフェノール
3 虫歯予防・抗アレルギーにも働くタンニン
4 辛味成分の果たす生体調節機能
5 甘味成分の果たす生体調節機能
6 匂い成分の果たす生体調節機能
7 新しい機能性表示制度で野菜も機能性を表示可能になる  

第2章 機能性成分は植物生体内でこうしてつくられる
8 機能性成分は野菜自体には何の役割もない?
9 ポリケチドをつくる酢酸-マロン酸経路
10 イソプレノイドをメバロン酸経路
11 セサミンをつくるシキミ酸経路
12 フラボノイドをつくるシキミ酸 酢酸-マロン酸経路
13 アルカロイドをつくるアミノ酸経路
  
第3章 食卓でおなじみの野菜に含まれる
機能性成分
14 野菜の機能性表示食品第1号になった大豆もやし
15 カボチャの果肉が黄色いのは β-カロテンが豊富だから
16 赤系トマトは、がん・動脈硬化を防ぐリコペンがより豊富   
17 キャベツは胃潰瘍や動脈硬化も防ぐ
18 ブロッコリーは胃がん予防にも有用
19 レタスの苦味成分には鎮静・催眠促進作用もある
20 辛味成分だけではないトウガラシの機能性成分
21 ピーマンは血管補強にも有用
22 ニンニクのパワーの源は多種多様なイオウ化合物
23 タマネギを切ると涙が出る原因は動脈硬化予防成分
24 日本人しか食べないゴボウの根は機能性成分の宝庫
25 レンコンのねばねばにも機能性成分が発見される
26 緑化栽培されたウドは疲労回復成分が豊富
27 セサミンはゴマの機能性成分リグナンの代表格
28 ショウガは生薬としても需要が大きい
29 ミョウガの辛み成分は風邪予防にも作用
30 ワサビの辛み成分から抗がん・抗アレルギー作用も発見
31 刺身のツマのヤナギタデには高血圧改善作用もある
32 キクの花には抗酸化作用、葉には血糖値抑制作用
33 ウメにはクエン酸の他にもいろいろ機能性成分が見つかっている  

第4章 野菜の機能性を高める技術
34 交配育種で成分含量の高い品種を開発
35 遺伝子組み換えで野菜の機能性も向上
36 植物工場は野菜の機能性成分も高くできる

第5章 地域特産の機能性成分に富んだ野菜
37 京都の伝統野菜の機能性が解明される
38 ローカルから全国区の野菜になったゴーヤは糖尿病予防作用ももつ
39 広島菜の機能性成分は通常の白菜を上回る
40 伊豆のアシタバは脂肪燃焼・血糖値低下作用もある
41 熱帯から熊本に伝わったスイゼンジナに血圧降下作用
42 油用作物ベニバナの葉も食用となる
43 フランスでは食材のタンポポには発がん抑制作用もある
44 韓国で野菜としても食される薬草ツルニンジン
45 血糖値抑制作用のあるアンデスの野菜ヤーコン
46 強精剤として有名になったマカはアンデスではおなじみの野菜

はじめに

 野菜には、従来からよく知られていた糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素の他にも、細胞の老化を防ぐポリフェノール、免疫細胞を増やすイオウ化合物、がんの予防・抑制などに効果のあるカロテノイドなど、数多くの機能性成分が含まれていることが近年の研究でわかってきました。今日食材として栽培されている野菜の多くは、もともとは薬草として利用されていた植物なのです。
 機能性成分は本来、野菜に微量に含まれるものですが、この含有量を高める技術の開発も進められています。近年増加してきた植物工場も、培養液や照明波長を制御することによって機能性成分の含有量を高めることが可能です。
 2015年4月より食品の機能性表示制度が施行され、食品に対して「健康の維持・増進に役立つ」機能性が表示できるようになりました。健康に関する表示ができる食品として従来からある特定保健用食品(トクホ)は、体への効果を証明するための大がかりな調査・研究を事業者自らが実施しなければなりませんが、新たに始まった機能性表示制度は、表示の科学的根拠を消費者庁に届け出るだけでよく、加工食品だけでなく野菜のような農産物も対象となりました。
 野菜を積極的に食べることを推奨する動きは近年世界的に活発で、とりわけアメリカでは熱心に取り組まれ野菜の消費量は増えています。しかしながら日本では野菜の消費量は低下しており、特に若い世代で目立ちます。機能性成分に富んだ野菜を食べることは健康増進の第一歩であるので、野菜の消費を拡大するためには機能性成分が重要なセールスポイントとなっています。機能性成分を多く含む野菜は今後の農業ビジネスで高付加価値な作物として期待されます。
 最近、日本各地でその地域特産の野菜の宣伝・普及を図る動きが進んでいます。沖縄のゴーヤに代表されるように、地方だけに限られていた食材から全国的に広まるものも今後いろいろ出てくるでしょう。アンデス原産の野菜だったトマトやピーマンは今では全世界で広く食べられていますが、最近ではヤーコンのような新顔のアンデス野菜も日本のスーパーマーケットで売られるようになってきました。
 この本では、食卓ですでにおなじみの野菜だけでなく、地域特産や日本ではまだなじみの薄い機能性成分に富んだ野菜も取り上げました。身の回りにある野菜がいろいろな面白い機能性をもっていることに気づかれることでしょう。

2016年5月
佐竹 元吉 

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