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絵とき「真空技術」基礎のきそ
これだけは知っておきたい必携知識

定価(税込)  2,484円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07559-9
コード C3053
発行月 2016年04月
ジャンル 機械

内容

真空技術を理解するためには、数学や物理学、化学の基礎的知識はもとより、幅広い学問分野を習得しておく必要がある。本書は、最低限知っておかなければならない重要ポイントを取り上げ、わかりやすく解説する。

飯島徹穂  著者プロフィール

(いいじま てつお)

東京理科大学理学部卒業
工学博士(北海道大学)
成蹊大学工学部 助手、講師
職業能力開発総合大学校東京校 教授
同大学校退官後、現在、ST教育研究所 代表

◎主な著書
「真空でなにができるか」(共著)日刊工業新聞社
「真空のおはなし」日本規格協会
「よくわかる最新真空の基本と仕組み」秀和システム
「はじめてのプラズマ技術」(共著)森北出版
「レーザ光のおはなし」日本規格協会
「レーザフォトニクス」(共著)共立出版
「微分積分」共立出版
「線形代数」(共著)共立出版
「アビリティ物理 物体の運動」(共著)共立出版
「アビリティ物理 音の波と光の波」(共著)共立出版
など多数

目次

はじめに

第1章 真空技術へのファーストステップ
1-1 真空の定義と特質
1-2 真空の圧力単位と換算
1-3 真空の分類と特徴
1-4 空気の組成とそれぞれの成分の分圧

第2章 真空技術を活用するために知っておきたい基礎知識
2-1 物質の状態変化と気体の状態方程式
2-2 気体の分子数密度と圧力
2-3 分子運動の速度分布と平均速度
2-4 分子の平均自由行程
2-5 壁面をたたく気体分子数と固体表面
2-6 気体の流れとコンダクタンス
2-7 気体の拡散
2-8 気体の粘性
2-9 気体の熱伝導
2-10 気体の透過
2-11 真空中の摩擦と摩耗
2-12 温度差があるときの圧力(熱遷移)
2-13 蒸発と沸騰

第3章 真空環境をつくるための基本的な考え方
3-1 真空排気の考え方と実際の排気操作
3-2 真空ポンプの排気速度
3-3 真空装置の排気時間と到達圧力
3-4 材料からのガス放出とベーキング

第4章 真空状態を生成するためのポンプ
4-1 真空ポンプの種類と分類
4-2 容積移送式の真空ポンプ
4-3 運動量輸送式の真空ポンプ
4-4 気体ため込み式の真空ポンプ

第5章 真空状態を評価するための真空計
5-1 真空計の種類と分類
5-2 力の平衡を利用した真空計
5-3 気体の輸送現象を利用した真空計
5-4 気体の電離現象を利用した真空計
5-5 分圧真空計

第6章 真空排気システムの実際
6-1 真空排気システムの構成
6-2 真空材料
6-3 真空部品とシール
6-4 真空装置のリーク
6-5 リークテスト

◆コラム◆
・“真空度”という用語はまぎらわしい
・大気圏外まで届く長いガラス管を、水銀槽に立てることができたら?
・真空技術で標準状態とはどのような状態をいうのか?
・気体の中で空気はもっとも熱を伝えにくい
・低真空排気装置と高真空排気装置で気体分子の排気に違いはあるのか
・真空はきわめて優秀な熱の絶縁材料
・モル(mol)という単位
・実際(高真空排気装置)の排気操作
・金属の熱伝導率の高いものは電気伝導率(導電率)も高いのか?
・標準状態において、気体1モルの占める体積は、すべての気体で同じになるのか
・真空ポンプはどのように機種を選定したらよいか
・真空装置が「枯れた」状態とは?
・常温とは何℃のことをいうのか
・真空計の選び方
・大気(atmosphere)と空気(air)の違いは?
・測定子の適切な取り付け方

豆知識


参考付表
参考文献
索引

はじめに

 空気の存在しない空間を生成する真空技術はIT関連のハードウエアをはじめとするモノづくり産業のための重要なマザーテクノロジーになっています。このため真空技術に関する参考書は今までに基本的なことがらを解説した入門書から専門書まで多数出版されていますが、これら一連の出版物では式の導出や専門用語の解説などは簡略に記されているのが一般的です。特に式の導出に伴う数式の扱いが不親切であったりして、数学の苦手な人にはほとんど理解が不可能であると思われます。
 また真空技術の教科書や参考書の内容を理解するためにはかなりの数学、物理、化学の基礎知識が必要になりますが、技術者は日々の仕事に追われ、系統的に学習する機会がほとんどないのが現実でしょう。そこで本書では、真空技術を理解するために避けて通れない重要な式の導出などは式の展開や変形を含め、できるだけ詳細に記述するように努めました。また従来の出版物の内容を見直し、項目を整理したので初めて真空を学ぶ方への真空技術の入門書として、さらに深く真空技術を学びたいと考えている方への参考書としても十分ご利用いただけるものと思っています。
 最近では、科学技術が高度に発達し、非常に複雑な内容になってくるにつれて、少し専門からはずれただけの科学技術者にとって、その内容を理解するためにはたいへんな努力が必要となってきています。そこでこの本では大切な重要なポイントのところを太字にして、要点がどこにあるのかをすぐにわかるようにしておきました。
 インターネットのウエブサイトで真空技術に関する用語を検索すると多くの関連サイトがヒットしますが、自分に合ったものはなかなか見つかりません。それらしい記述のなされている箇所があっても難解で理解できないという現実に直面する場合が多いのも事実です。
 本書の一番の特徴は第2章の“真空技術を活用するために知っておきたい基礎知識”の内容にあります。この章で取り上げた項目数は相当に多くなっていますが、従来の真空技術の出版物ではこのなかの一部の項目を取り上げて解説してあるものがほとんどです。真空環境をよりよく活用するためには大気圧下の空気中と真空環境下で起こる物理的・化学的な現象の違いをしっかりと把握しておく必要があります。
 本書の読者としては、主として新しく真空関係の業務に従事することになった方、あるいは次年度以降に真空に関係する機器の営業に携わることが決まっている方、真空環境を利用して自社の商品にもっと付加価値をつける方法を模索していて、必要に迫られて真空技術に関する知識を修得したいと考えている方、さらに真空技術の全般にわたり興味がある方を対象に考えています。
 執筆にあたり、多くの成書・文献を参考にさせていただいきました。これらのすべてを示すことはできませんが、主な参考文献として巻末に挙げておきました。ここにこれらの著者の方々に厚くお礼を申し上げます。また、本書を執筆する機会を与えていただきました日刊工業新聞社の奥村功出版局長、執筆、編集、校正に際し、ご懇篤なご指導、ご鞭撻を賜りましたエム編集事務所の飯嶋光雄さまにお礼申し上げます。
 なお、内容、文章表現などで不十分な点、理解しにくい箇所もあるかと思われますが、読者各位のご批判、ご教示をいただき改訂していきたいと考えております。

2016年4月
飯島 徹穂 

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