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おもしろサイエンス
食品包装の科学

定価(税込)  1,728円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07550-6
コード C3034
発行月 2016年03月
ジャンル ビジネス 化学

内容

食品を包装する目的は、できるだけ長い時間、食品を変性させないということだ。そのために中の食品によって、包装に使われる材料、充填剤、包装方法など、細かく設計され工夫されて最適なモノが作られている。本書では、この食品包装について科学の視点から具体的なエピソードを交えながらわかりやすく解説していく。

石谷孝佑  著者プロフィール

(いしたに たかすけ)
(社)日本食品包装協会理事長。1943年鳥取県生まれ、農学博士。1967年東京農工大学農芸化学科卒業。同年、農林水産省食品総合研究所入所、1980年同研究所食品包装研究室長。1990年農業研究センター総合研究チーム長。1996年同作物生理品質部長。1999年国際農研企画調整部長・副所長。2002年日中農業研究センター首席顧問(北京)。2005年より現職。フードシステム学会理事、青果物鮮度保持包装研究会会長、包装技術学校運営委員、食品産業センター評議員他。

日本食品包装協会  著者プロフィール

国民生活に不可欠な食品包装に係わる食品業界、包装資材関連業界、教育界、公的研究機関・大学等の学術団体、環境関連団体、消費者等の相互の連携・協力を促進し、食品包装に係る社会制度等の適正化、生産・利用活動の強化、経済活動の活性化を図るとともに、食品包装に係る科学技術の振興、食の安全・安心の向上、環境の維持・向上、消費者への適切な情報提供、国際協力の推進等に必要な諸事業を行い、もって日本国民の生活向上に寄与することを目的としている。

目次

第1章 食品包装っていったい何だろう?
1  「食品包装」は太古の昔からあった
2  ガラス容器には2000年の歴史がある
3  食品包装容器の革命はナポレオン?
4  戦後の包装技術の進展で新しい食文化が生み出された
5  包装は時代を代表する文化のバロメーター―包装は商品の一部
6  包装によって食料資源の有効活用と食品ロスの低減が図られている
7  包装は、食品の多様性を見極め、様々な食品の変質と闘う
8  食品の様々な特性を損なわずに、いかに適正な包装ができるか

第2章 いろいろな食品包装に使われる包材の秘密
9  スチール缶の80%は飲料缶と食缶(食品缶詰)―日本独自の技術「錫無し鋼板」(TFS)
10  コーヒー缶にもアルミ缶が増えている―缶の約4割のシェアに
11  ガラス容器は進化している―丈夫で熱に強く軽く
12  ガラス容器を密封するキャップにも様々な種類が
13  多様なプラスチック包材があり、特性によって様々な用途に使われる
14  食品流通には欠かせないプラスチック容器―大きな影響を及ぼしたPSPトレー
15  プラスチックフィルムは縦横に延ばされ、優れものになる
16  ハイバリアーペットボトルは、つゆ、たれの風味を向上、ワイン、清酒を軽量に
17  カップ麺のカップやスープ、加薬の包装には様々な工夫が
18  レトルト食品の袋は「レトルトパウチ」 商業用レトルト食品は日本発祥
19  プラスチックの多層化で酸素遮断性を向上―マヨネーズやケチャップ用チューブ
20  紙パックは大別して4種類―キャラメルの箱も代表的な紙容器

第3章 食品を守るための包装の秘密
21  プラスチック包装容器は、多水分食品の微生物による変敗にも対応できる
22  魚肉ソーセージの包装を「ロケット包装」という
23  ウィンナは無菌化して二酸化炭素置換、低温流通、スライスハムは「スキンパック」で無菌化、低温流通
24  納豆は包装容器の中で発酵させる、容器の通気性が命
25  味噌や醤油の包装は風味保持と変色防止の酸素遮断性が命
26  削り節の包装はフレッシュさを保持する
27  袋の包装形態にはいろいろある―お茶はアルミ箔積層のガゼット袋
28  ティーバッグの袋は、緑茶の茶葉の変質を防いでいる
29  油を使ったスナック菓子は「ハイバリアー軟包装」―防湿と酸化防止と風味保持と破損防止
30  食品のレトルト殺菌、膜分離、フリーズドライなどは、日本で広く実用化され、日本が牽引している技術
31  野菜の鮮度保持包装―呼吸のために包装袋に小さな穴があけられているものもある

第4章 進化する食品の機能性包装
32  食品包装の新技術はまさにイノベーション―さらに一層の多様性を帯びてきている
33  食品に脱酸素剤を入れて包装するという方法は、日本で商品化され、世界に広がった
34  ガス置換包装は古代中国に遡る―二酸化炭素置換包装で微生物を抑え込む
35  高機能包材には、酸素吸収剤練込み包材 ハイバリアーフィルムなどもある
36  大量の水物を無菌充填して使うバッグインボックス(BIB)、バッグインコンテナ(BIC)、バッグインドラム(BID)
37  密封性と開封性を両立させてこそ良い包装―開封性には様々な種類が
38  易開封性フィルムはプラスチックの性質を利用―易開封技術は注目技術
39  蓋を剥がす「イージーピールフィルム」―プラスチックの性質を巧みに利用
40  豆腐パックの開封にも様々な技術―最近では『開楽パック』が話題に
41  チョコレート包装にはアルミ箔が最適―必要な様々な要素を満たしている
42  揚げたて焼きたてのパリパリを維持する吸湿性段ボール―ピザパイ、フライドチキン
43  卵パックの「八角錐形」は理想の形

第5章 食品包装のリサイクル
44  食品包装容器の廃棄物は絶えざる増加圧力―スチール缶リサイクルで電力の節約
45  アルミ缶の再生は高い経済性を持つ
46  ワンウェイ瓶はカレットにし、カレットを原料に添加してガラス瓶を作る
47  PETボトルには法律による識別マークの表示義務―リサイクルには2つの方法がある
48  期待される様々な高機能包材―軽量化や耐熱化、バイオマス由来も進む?
49  普及し始めたバイオプラスチック食品容器―課題も克服されつつあるポリ乳酸
50  日本でも開発進むバイオマス由来の容器包装―バイオPET、eモールド、HI―CUP―Bio等々

経木は、包装の美しさとともに美味しさと作った人の心も包み込む
「コンビニおにぎり」の包装は〝優れ物〟
現在のオブラートは日本人の発明によるもの―食べられる包材
日本伝統の食品包装は祈りであり、美術であり、記憶にとどめさせるもの
ラムネの玉もガラス瓶の栓
牛乳キャップは鉄道切符の技術開発にも貢献
ラップフィルムの食品への普及は、女性の「まあキレイ、私も欲しい」から

参考資料

はじめに

 もしかしたら、皆さんの中には、「包装はごみであり、無包装が理想だ」と思っておられる方がいるかもしれません。でも、包装がないと持ち運びに不便ですし、消費期限、賞味期限などの表示もできなくなります。また、生ものは衛生的に扱えなくなりますし、日持ちもしません。そもそも包装があって初めて実現した多くの食品がなくなってしまいます。例えばレトルト食品や無菌包装食品は私達の食生活を便利にしていますし、包装容器がないと、液体の食品はほとんど流通できなくなります。冷奴の上にかける削り節も、綺麗な色としっとり感が小袋の中で長期に保持されています。海苔や煎餅もすぐ湿っけてしまいます。また、小分けの調理食品は、少人数の家族には有難い商品になっています。さらに、災害時に使う備蓄用の乾燥米飯などは包装によって5年以上も保存することが可能になっています。包装がないと、昔のように豆腐を買うためにお店に鍋を持って行ったり、醤油や油を買いに瓶を持って行ったりしなければならなくなるのです。
 包装は、現代生活にとって不可欠なものですが、「食品包装」のわかりやすい良い本は、残念ながらほとんどありません。その理由は、食品が非常に多様であり、その変質も多様であり、包装容器、包装の機能も多様であることから、全体像をわかりやすく説明することが難しいからではないかと思っています。
 食品にとって、包装の役割は、第一に内容物を保護することです。これは、生鮮食品の鮮度を保ち、衛生的に荷扱いをし、微生物による腐敗や食品成分の酸化・変色、乾燥食品の吸湿などから食品を守るということです。第二の役割は、商品を小分けにしたり、組み合わせたり、荷扱いしやすくすることです。第三は、人目を引くデザインにしたり、表示をして品質や賞味期間の目安を示したり、成分や使い方を説明したりすることです。
 本書では、多様な食品、多様な包装資材の組合せで、知恵を絞って食品の保存性を高め、簡便性を高め、魅力ある食品づくりをしている事例から「食品包装」の技術・工夫の面白さに触れていただき、少しでも食品包装へ興味を持っていただければ幸いです。

2016年 3月
一般社団法人 日本食品包装協会 
理事長 石谷 孝佑 

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