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誰も教えてくれない
「工場の損益管理」の疑問
そのカイゼン活動で儲けが出ていますか?

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07549-0
コード C3034
発行月 2016年03月
ジャンル 経営

内容

工場が改善活動や原価管理をいくら徹底をしても会社全体としては儲からず、給与が増えないのはなぜかに迫る。棚卸や配賦、償却など工場関係者が日常ほとんど使わない会計の最低限の知識を噛み砕いて伝え、企業トータルで儲けが出る工場の損益管理の方法を指南する。

本間峰一  著者プロフィール

(ほんま みねかず)
1958年東京都生まれ。電気通信大学電気通信学部応用電子工学科卒業。NEC製造業システム事業部、みずほ総合研究所コンサルティング部を経て、2012年に経営コンサルタントとして独立(株式会社ほんまコンサルティング事業部)。製造業者のための利益改善、在庫マネジメント強化、生産管理システム活用などの支援コンサルティングを得意としている。大手から中小までさまざまな企業において、本書で紹介したアプローチを用いて多額の利益改善を実現してきた。
東京都中小企業診断士協会会員
東京都中小企業診断士協会中央支部認定「生産革新フォーラム研究会」代表
ICT経営パートナーズ協会理事  日本生産管理学会会員
主な資格:
中小企業診断士、情報処理技術者(システムアナリスト、システム監査、プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニア)
主な著書:「コストダウンが会社をダメにする」「社長が『在庫削減!』を言い出した会社は成長しない」「受注生産に徹すれば利益はついてくる!」(日刊工業新聞社)、「サプライチェーン・マネジメントがわかる本」「失敗しないERP導入ハンドブック」(日本能率協会マネジメントセンター)など

目次

はじめに

第1章 闇雲に工場が努力しただけでは儲からない
1–1 いくら現場改善活動をしても企業利益につながらない
1–2 安い外注会社や海外工場を使ったのに利益が得られない
1–3 原価計算は損益の管理のために行うわけではない
1–4 個別原価計算だけが原価計算ではない
1–5 流通業と製造業では原価の定義が違う
1–6 原価実績の収集に現場が協力してくれない
1–7 個別原価を管理するだけでは利益は増えない
1–8 価格見積りのための原価計算は矛盾にあふれている
1–9 原価差異は工場だけの責任ではない
1–10 トップが損益分岐点を下げろと言ってきた
1–11 工場にとって期末実地棚卸は苦痛な作業
1–12 在庫削減に尽力も経理が急に在庫を増やせと言ってきた
1–13 部門評価重視が余計な部門対立を生み出している
1–14 赤字になっても倒産しないのに、黒字で倒産した
column インダストリー4.0のリスク

第2章 利益向上のために工場がすべきこと
2–1 スループットが作業経費を上回れば黒字になる
2–2 スループットと作業経費の間隔は開いているか
2–3 最初にスループット目標額を決める
2–4 内製化を推進するだけでも利益は生み出せる
2–5 ネック工程を管理して利益を増やす
2–6 真の平準化生産を心がけて操業度を高める
2–7 在庫を使って操業度をコントロールする
2–8 リードタイムを短縮して利益体質を強化する
2–9 生産進捗を監視してムダな作業をなくす
column そして下請け工場がいなくなった

第3章 誤った利益改善に陥らないために押さえておくべきこと
3–1 使う人によって違う生産性の定義
3–2 現場改善活動を成功に導く大事なポイント
3–3 工場と営業が力を合わせる大切さ
3–4 MRP生産管理が工場の損益を悪化させる
3–5 工程管理システムの導入には気をつけよう
3–6 相場変動品の損益管理はどうすればいいか
3–7 外注会社へ部品を支給する理由
3–8 日本と欧米のグループ経営の違いに気をつけよう
3–9 製造子会社経営で注意すべき点
3–10 なぜ社長は工場投資よりもM&A投資を優先するのか
3–11 なぜ工事進行基準で売上計上するようになったのか
3–12 どんなに苦しくても不正会計に手を出してはならない
3–13 東芝不正会計事件のからくり解説
column 「プリウス」はなぜ半年待ちなのか

第4章 利益確保に向けた工場各部門の役割
4–1 生産管理部:生産をコントロールして操業度を上げる
4–2 製造部:生産効率を上げて生産能力を最大発揮させる
4–3 生産技術部(設備部):生産能力の高い生産設備を整備する
4–4 購買部:外部購入費用が高くならないように気をつける
4–5 設計部:製造コストが高くならないための設計を心がける
4–6 物流部:物流ネックによる生産停滞を防止する
4–7 営業部:受注量や納期調整によって工場の平準化を実現する
4–8 経理部(会計企画):正しい利益管理をリードする
4–9 総務部、労務部、情報システム部:ムダな経費を管理する
column 現場のExcel利用の危険性

補章 ちょっと詳しい損益管理の知識
S–1 財務会計と管理会計
S–2 販売価格決定
S–3 設備投資と減価償却
S–4 配賦計算とABC会計
S–5 下請代金支払遅延法

参考文献

索 引

はじめに

 「おたくの工場では、製品の原価もわからずに仕事をこなしているのですか?」——。
 小説「下町ロケット」に出てくるような銀行員からそのように言われたら、あなたはどう答えますか?


 下町ロケットの世界に限らず、銀行員は「原価」にこだわる傾向があります。また、銀行員だけではなくコンサルタントや取引先の購買担当者の中にも、原価低減の話ばかりをする人がいます。こうした意見を聞いた企業経営者が、工場に対して原価管理の徹底やカイゼン活動の強化を指示することはよく行われます。
 

ところが、工場が原価管理を強化したりカイゼン活動に力を入れたりしても、企業の利益にはなかなかつながらない工場を目にします。そして、日本の工場のカイゼン活動が利益につながらない現実にしびれを切らした経営者が、新興国へ生産移転を進めることもあります。こうした状況を憂いた人たちの間で、このままでは日本からモノづくり技術が消えるかもしれない、と危惧する声も聞かれます。


 日本の工場が置かれている、こうした現状に対する危機感にかられて執筆したのが本書です。なぜ上記のような問題が生じるのか、どうすれば工場現場のカイゼン努力が企業利益につながっていくか。海外重視の経営者から日本のモノづくりを守るためにはどうすればいいか。このような課題に関して、工場の損益の視点から整理し直しました。本書で紹介する改善アプローチは、実際に多くの製造企業で効果を上げてきたものですので、みなさんの会社の損益改善にも必ずお役に立てると確信しています。


 ところで、本書を執筆するに当たり出版社と懸念したことがあります。それは、大半の工場関係者は会計用語を煩わしいと感じているのではないか、ということです。会計用語と言えば、棚卸だとか、配賦だとか、償却などと日常生活ではほとんど使われない専門用語の嵐です。できるだけ会計用語からは遠ざかりたいと思っている工場関係者も多いはずです。

 しかしそれでは、経理部門との適切な損益管理に関する本音の議論ができません。製造現場の業務を知らない経理担当者の言いなりになって、余計な作業をさせられる心配もあります。そこで本書では、あえて会計用語はそのままにして、できるだけ会計用語をわかりやすく解説することを心掛けました。本書を読み進めることにより、経理部門との間で、正しい現場主導の利益改善議論を展開できるようになると思います。


 本書の第1章では、工場現場にあふれるさまざまな業務指示と、工場の損益との関係を整理しました。業務指示の中には、利益にはつながらないものもあります。せっかくの努力が水泡に帰すのでは意味がありません。
第2章では、工場が継続的に利益を上げていくための原則を紹介します。考え方はシンプルですが、数多くの工場で利益増を実現してきたアプローチです。

 第3章では、さらに追加で知っておくべき製造企業の損益管理のポイント項目を紹介します。今までよくわからずに聞いていた話題の意味を、理解していただけるのではないかと期待しています。

 第4章では、工場が利益を出すためには、工場の各部門が具体的に何に注意して業務を行えばよいかを整理しました。各部門の役割に落とすことで、工場の損益改善アプローチを身近なものとしてとらえていただけるでしょう。



 本書の出版に際しては、さまざまな方にお世話になりました。過去のコンサルティング活動を通じて知り合った多くの企業や、コンサルタントのみなさまからは、企業経営の現実を教えていただきました。また、本書を出版する機会を与えていただきました日刊工業新聞社、およびご多忙な中、本書で取り上げた会計用語の確認をしていただきました公認会計士の伊藤浩平先生には大変にお世話になりました。みなさまのご多幸をお祈り申し上るとともに、心より感謝申し上げます。
最後になりましたが、本書が日本の製造企業の利益向上と、モノづくりの発展に少しでもお役に立つことを願っております。


平成28年2月

本間 峰一

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