買い物かごへ

イチから知る! IR実務

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-07548-3
コード C3034
発行月 2016年03月
ジャンル 経営

内容

上場企業の決算発表や説明会はIR担当者が中心となって仕切っている。しかし、現場の立場から証券市場向けに自社のIR情報の発信業務のイロハを平易に解説した本は少ない。本書は企業のIR担当者や広報関係者、広報・IR業界の関係者や個人投資家向けに、内外のIR動向に詳しいIR業界ベテランの著者がIRという仕事の実際と今後の課題について書き下ろした入門書。業界内で注目のコーポレートガバナンスコード、スチュワードシップ・コードについても解説。

米山徹幸  著者プロフィール

(よねやま てつゆき)
1948年生まれ。慶應義塾大学仏文科卒業。同大学院文学研究科修了。
81年大和証券(国際本部)に入社。ロンドン、パリに勤務。大和インベスター・リレーションズ、大和総研・経営戦略研究所を経て、2010年より埼玉学園大学経済経営学部/大学院経営学研究科教授。2014年から同特任教授。主な著書に、「大買収時代の企業情報―ホームページに『宝』がある」(朝日新聞社)、「個人投資家と証券市場のあり方―証券市場の健全な発展のために」(共著 中央経済社)、「21世紀の企業情報開示」(社会評論社)。2009年日本アドバタイザーズ協会・WEB広告研究会の「WEB仕事人」に選ばれる。2010年から毎年、英国IR協会「IRベストプラクティスガイドライン」の日本語版冊子を編集・刊行する
PFP(Project Future Proof)の創設メンバー。

目次

はじめに

第1章 IRの始まりと仕事
(IRの始まりを知って、ビジネスの原点を押さえる)
1.IRの役割
・IRの始まり
・変わるIRの定義
・IR/IRO(IR責任者)の仕事
2.エンロン、サブプライム事件に学ぶIR担当者の教訓
・エンロンIROが語る決算発表
・金融危機時の情報ミスリードで告発されるIRO
・NIRIの「IR実務の基準と指針」/「IR資格認証」

第2章 IR部門の仕事を知ろう(Ⅰ)
(IR担当者の社内向け仕事を知る)
1.IR活動はどの部署に属するか
・広報・IR部のIR活動
・業務一覧でわかるIR担当者の仕事
・米企業の年間活動プラン
・年間プランに5つのアドバイス
2.情報開示方針(ディスクロージャー・ポリシー)の作成
・その位置づけと役割
・ディスクロージャー・ポリシーを作成する
~全米IR協会(NIRI)の作成例文から~
・日本企業のディスクロージャー・ポリシー:KDDI、ミネベアの例
・ディスクロージャー・委員会
3.投資提案の立案~ドイツの化学最大手
BASF/英旅客輸送ゴー・アヘッド・グループ~
4.IR業務リポートの作成
・過次・月次のIR報告書
・取締役会向け四半期IRブリーフィング

第3章 IR部門の仕事を知ろう(Ⅱ)
(社外向けIR情報の仕事を知る)
1.有価証券報告書
・有価証券報告書
・リスクファクター(リスク要因)を開示する
2.決算短信
3.事業報告と株主通信
・株主にかならず届く冊子
・株主アンケートは宝の山
4.英文の決算プレスリリース
・NIRI:四半期決算発表プレスリリース
・日本企業の英文プレスリリース
・プレーン・イングリッシュ(平明な英語)で書く
5.アニュアルリポート
・2つのアニュアルリポート
・アニュアルリポートを作成する
・アニュアルリポートの読者
・読者フレンドリーのアニュアルリポート
・アニュアルリポートはIR担当者が書く
・MD&Aの執筆者はIR担当者が適任
・米国企業「10-Kラップ」の時代
・新たなオンライン・アニュアルリポートの登場
・英国IR協会のIRベストガイドライン:アニュアルリポート
・IRベストプラクティス賞
・「統合報告書」に向かう
6.IRサイト
・ノキア・モデルの登場
・ウェブサイトの基本コンテンツ
・失敗を招く8つの事柄
・英文サイトの注意点
・英文サイトとADR(米国預託証書)
・英国IR協会のベストウェブサイト・ガイドライン
・投資家やアナリスト「IRサイトに不満あり!」
7.ソーシャルメディア
・ソーシャルメディアで投資家に迫る
・ソーシャルメディアIRに取り組む
・米英のIR協会:ソーシャルメディアのベストプラクティス

第4章 IR情報を届ける相手を知ろう
(IR情報の相手はだれか。それぞれに企業情報の見方も違う)
1.アナリスト
・アナリストの役割(セルサイドとバイサイド)
・日米で違う業績予想のやり方
・アナリストの業績予想を評価する
・アナリストが評価するIR部門、IR担当者
~日本証券アナリスト協会「ディスクロージャー優良企業選定」から~
・“やってはいけない”セルサイド・アナリスト対応
・インベスター・デイ/アナリスト・デイの開催に向けて
・アナリスト向けイベント評価のアンケート
2.機関投資家
・米企業:変わる四半期決算の電話会議
・機関投資家とのワン・オン・ワン(個別面談)
~やるべきこと、やってはいけないこと~
・米国投資家とのワン・オン・ワン(個別面談):6つのポイント
・ウォルターズ・クリュワ、証券会社向け「ロードショー・ガイドライン」
・ロードショー担当の証券会社はアナリストで選ぶ
・機関投資家とのミーティング、ネット予約の動き
・株主名簿に実名が載らない株主を見つける
・日立製作所:株主判明調査にみる株主上位10位リスト
・株主を投資スタイル別に掲載する
~米衣料大手のリミテッドブランズ~
・機関投資家:投資スタイルの類別
・2つのコードの時代に~スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コード~
3.個人投資家
・個人投資家向けのIRコミュニケーション
・「個人投資家向け情報提供」の優良企業表彰
・広がる株主優待

第5章 プレゼンテーション
(プレゼンテーションはいつも初めての気持ちで)
・パワーポイント作成:
~見た目の効果、テキストの書き方、カラーの使い方~
・スライド・プレゼンテーションの前に
・プレゼンテーションで話すときは
・オンライン・プレゼンテーション

おわりに
(IR担当者の仕事は、これからもっとインテリジェントに)
・25年前のIR活動
・テクノロジーの進展で変わるIR活動
・新たなテクノロジーの登場へ
・投資家やアナリストとの信頼関係に向かって

はじめに

 本書は企業のIR(投資家向け広報)活動をわかりやすく、内外の多くの実例に沿って具体的に紹介するものです。そして、個々のIR活動では、その準備チェックリストや評価アンケートのサンプルを多く掲載しています。
 第1章は、「IRの始まりと仕事」についてです。ビジネスとしてのIRの始まりを追って、IRの役割や職業としての倫理を確かめています。第2章と第3章は、「IRの社内/社外向けの仕事について」です。一つの企業によるIR活動の全体を概観したものです。日本よりIR活動で先行する米企業の年間のIRプランは、今後を考えるときに参考になります。また週次・月次の業務リポートのサンプルも紹介しています。部外向けに用意する有価証券報告書、決算短信を取り上げ、また事業報告や株主通信のトレンドを追っています。英文の決算プレスリリースについてはガイダンスやプレーン・イングリッシュ(平明な英語)、さらにアニュアルリポートでは作成ポイントや最近の統合リポートの動きをまとめています。そしてIRサイトやソーシャルメディアについてのエッセンシャルを示しています。
 第4章は「IR情報を届ける相手を知ろう」という内容で、とくにIR担当者とコンタクトが多いアナリストや機関投資家、個人投資家について、IR担当者が基本的に知っておきたいポイントをまとめています。そして、アナリスト対応でやってはいけないこと、インベスター・デイ/アナリスト・デイの準備チェックリストや評価アンケートの例を掲載しています。機関投資家では、IR担当者が面談する前に行うチェックリスト、面談後に行うフィードバックのサンプルも用意しました。第5章の「プレゼンテーション」では、配布資料のパワーポイント作成での要点をあげています。
 私がIRの世界に関わってから30年あまりになります。最初にIRと出会ったのはロンドンです。30年あまり前、つまり1984年はサッチャー政府の民営化政策がブリティッシュ・テレコムの株式公開で170万人もの個人株主を獲得するなど前例のない大成功をおさめたころです。
 同じころ、東京証券取引所(東証)では欧米を中心とする外国企業の上場がたいへんな勢いで増え始めました。東証に上場する外国企業はそろって大手の投資家向けに説明会を開催し、上場後も毎年同様の会社説明会を続け、大手機関投資家との個別面談を行う例も少なくありませんでした。
 こうした欧米企業による投資家向けの会社説明会や毎回配布される資料の内容は、日本の企業や投資家にとって大きなインパクトでした。数年もまたず、配布資料の内容も含めて日本企業による海外投資家向け説明会のクオリティが大きく向上します。
 当時私はロンドンやパリから東証上場に関連する外国企業の情報開示の実態や日本企業の欧州各国の投資家訪問を通じて、この大きなIR活動の節目に立ち会いました。
 こうした30年あまりの経験から私が得た結論は、多くの欧米企業は文字通り「IR実学」を実践しているということです。これが本書で多くの英米企業の事例が引用されている理由の一つです。IRの現場で仕事をしている皆さん、これからIRの仕事を始める方々、そしてひろく企業情報やIRという仕事に関心を寄せるみなさんに本書をお読みにいただければ幸いです。
 本書の出版にあたっては、日刊工業新聞社出版局の阿部正章氏に大変お世話になりました。記してお礼申し上げます。
2016年3月
米山徹幸

買い物かごへ