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レーザ加工で進める工法転換
製品設計に必ず役立つ実践ノウハウ

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07539-1
コード C3053
発行月 2016年03月
ジャンル 機械

内容

レーザ加工機の普及に伴い、製品図面を描く設計者にもレーザ加工に関する知識が求められるようになっている。本書は、製品設計者が知っていれば、効率化やコスト削減、軽量化、納期短縮などに役立つレーザ加工(切断、溶接、熱処理など)の知識をわかりやすく解説する。

金岡 優  著者プロフィール

(かなおか まさる)

三菱電機株式会社 産業メカトロニクス事業部主管技師長



1983年 北海道大学大学院修士課程終了

1983年 三菱電機株式会社入社、同社名古屋製作所配属

1993年 学位(工学博士)

1997年 同社レーザシステム部加工技術課長

2000年 同社レーザシステム部品質保証課長

2002年 同社GOSグループマネージャー

2013年〜現職
その間、名古屋大学非常勤講師と光産業創成大学院大学非常勤講師も歴任。



主な著書

「機械加工現場診断シリーズ レーザ加工」(日刊工業新聞社)1999年

「絵とき レーザ加工の実務-作業の勘どころとトラブル対策-」(日刊工業新聞社)2007年

「絵とき レーザ加工の実務-CO2&ファイバレーザ作業の勘どころ-」(日刊工業新聞社)2013年

などがある。

目次

はじめに

第1部 レーザ加工を活用した工法転換ノウハウ

第1章 コスト削減
1.1 テーラードブランクによる性能と歩留りの改善
1.2 管構造における部品点数の削減
1.3 レーザ切断時の材料歩留りの改善
1.4 パーツインパーツによる歩留りの改善
1.5 切削部品から板金部品への置き換え
1.6 プレス成形品の切断における金型の削減

第2章 品質改善
2.1 溶接精度の向上
2.2 薄板の溶接、異種材料の溶接、差厚材の溶接
2.3 穴加工におけるプログラムの指定
2.4 曲げ加工時の変形問題
2.5 ニブリング切断面の品質改善
2.6 寸法精度の補正における注意点
2.7 保護シート付きステンレスの勧め
2.8 切断における反りを削減
2.9 立体成形品の高精度切断
2.10 パイプフレーム構造の勧め
2.11 スリット加工による加工性能の向上

第3章 生産性向上
3.1 ほぞ加工による位置決め精度の向上
3.2 部品分割する設計の検討
3.3 キット加工の考え方で部品管理
3.4 切断とケガキの連続加工
3.5 コーナーR面取り指示の勧め
3.6 広範囲を高速溶接する方法
3.7 カシメの効果を活用
3.8 切断と熱処理(焼入れ、焼戻し)の連続加工

第4章 性能向上
4.1 ダウンサイジングの検討
4.2 ハイブリッド加工による溶接性能の向上
4.3 深絞り加工にレーザ溶接を適用
4.4 管材や形鋼材を利用した改善
4.5 板金加工における曲げ最小高さを改善
4.6 金属とプラスチックの接合
4.7 金属積層造形(3Dプリンター/AM)の採用
4.8 微細な切断性能を活用
4.9 微細な表面改質を応用
4.10 切断面のテーパを考慮した精度指定

第5章 納期短縮
5.1 鋳物構造から板金構造への検討
5.2 積層金型への応用
5.3 積層部品の考え方

第2部 レーザ加工の理解を深める基礎知識

第1章 基礎のきそ
1.1 レーザ加工性能に影響を及ぼす要因
1.2 主な加工用レーザの種類
1.3 レーザ加工の種類と特徴
1.4 CW出力とパルス出力
1.5 光学系(レンズ)の集光特性と切断特性への影響
1.6 ノズルからのアシストガス流れの特性
1.7 CO2レーザ加工機用の加工(切断)ヘッドの構造と機能
1.8 ファイバレーザ加工機用の加工(切断)ヘッドの構造と機能
1.9 レーザ加工システムの構成
1.10 溶融加工(熱加工)とアブレーション加工(非熱加工)
1.11 板金のサイズとレーザ加工機のテーブルサイズ

第2章 切断の基礎
2.1 レーザ切断のメカニズム
2.2 焦点位置と切断特性の関係
2.3 切断とアシストガスの種類
2.4 レーザ出力と切断の関係
2.5 レーザ切断で発生する熱影響
2.6 レーザ切断性能に影響を及ぼす材料表面の要因
2.7 ほかの加工方法と比較したエネルギー密度の違い

第3章 溶接と熱処理の基礎
3.1 レーザ溶接のメカニズム
3.2 ビーム集光特性と溶接特性の関係
3.3 レーザ溶接の継手形状と能力評価
3.4 レーザ溶接欠陥の種類
3.5 平板の突合せ継手における注意事項
3.6 嵌め込み部品の突合せ継手における注意事項
3.7 レーザ表面改質のメカニズム
3.8 レーザによる表面改質の種類
3.9 レーザ焼入れ層の幅拡大における課題

参考文献
索引

はじめに

 私たちの周囲に存在する機械や機器などの工業製品のほとんどは、何らかの加工によって作られた部品で構成されています。そのため、構成部品の加工や組立が難しくなれば、工業製品の製造に支障を来す恐れがあります。具体的には、部品加工に採用する加工法によって、生産コスト、作業時間、製品性能、製品信頼性などが影響を受けます。また、設計者が加工方法を十分に認識せず、構成部品に過度な精度指定をすると、加工が困難になる可能性もあります。これらのことにより、製品設計者や機械設計者には機械要素や機械構造についての知識だけでなく、各種の加工方法を熟知することが求められます。
 
 特に近年は、熾烈なグローバル競争の中で製品の競争力が常に求められ、設計者は新たな技術を絶え間なく吸収し、製品設計や機械設計に反映しなければならない宿命にあります。これらの設計者からの要求に応える加工方法として、レーザ加工は大きな可能性を保有しています。このレーザ活用の効果を部品加工に発揮するには、レーザ加工の特徴を十分に理解し、その応用の可能性について理解を深める必要があります。
 
 しかし、業務が多岐に渡る設計者にとって、レーザ加工全般に渡る知識を深く追求することは、時間的な制約の面で困難であるという事実も存在しています。そのため、多くの設計者のレーザ加工に関する認識は、レーザ切断はタレットパンチプレスの代替、レーザ溶接はアーク溶接の代替、レーザ熱処理は高周波焼入れの代替など、既存の加工方法に対しての置き換えとの発想ではないでしょうか。これでは部品加工にレーザ加工の能力が十分に発揮されているとは言えません。
 
 過去に出版されたレーザ加工に関する書籍の多くは、レーザ加工機のオペレータ向けの指導書や、学生または研究・開発者向けの発振器や加工現象の解説書がほとんどでした。このような従来の解説書は、設計者にとって製品設計や機械設計に必要な情報を学ぶには不十分な内容であると言わざるを得ません。
 
 一方、レーザ加工の本格的な普及が始まって約30年が経過しましたが、その特徴を十分に理解して積極的に応用を図ってきたのが、レーザ加工機を使用したジョブショップやレーザ加工機を生産ラインに組み込んだ企業のレーザ加工部門の関係者です。しかし、彼らの保有する豊富なノウハウや経験が、設計者へ十分にフィードバックされているとは思えません。
 
 そのため、設計者向けに特化した製品設計や機械設計に反映できるレーザ加工技術の提案をすることの必要性を感じていました。この提案には次に記載する会社の皆様からもご賛同をいただき、レーザ加工のより実践的な活用に関する多くのアドバイスをいただきました。ここに、改めて心より感謝申し上げます。

   株式会社アミヤ

   株式会社荒木製作所

   株式会社インスメタル

   上野鉄工株式会社

   倉敷レーザー株式会社

   高健雷射精機股份有限公司

   フジイコーポレーション株式会社

   プレコ技研工業株式会社

   前田工業株式会社

   マツモト機械株式会社

   三菱電機エンジニアリング株式会社(五十音順)

 
 本書では、著者の経験と、各社より提案いただきました内容を基に、第1部では設計者に実践で役立つレーザ加工技術の内容をカテゴリー分けして記載しました。さらに、第2部ではレーザ加工の理解を深める基礎的な内容を記載しました。紙面の都合から、特に優先順位の高いと判断した内容に絞って掲載しています。しかし、レーザ加工は用途開拓の発展途上にある加工法と認識しており、今後も機会を捉えて設計者からの要求に応える最新レーザ加工の紹介を続けたいと考えています。本書が製品設計者や機械設計者の抱える課題の解決に、何らかの形で貢献できることを願っています。


2016年3月
金岡 優

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