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明日使える光計測の基礎

定価(税込)  1,836円

編者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07556-8
コード C3054
発行月 2016年03月
ジャンル 電気・電子

内容

照明器具・ディスプレイ・赤外線ヒーター・半導体露光装置の光源など、あらゆる用途に「光」は利用されている。本書では、可視光から赤外光まで材料の光学特性を幅広く測定してきた著者が、光学計測技術に関する技術的知見やノウハウなどをわかりやすくまとめた。また、光を利用した技術・製品の事例、光学特性の評価方法なども紹介する。

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター  著者プロフィール

1921年に設立された府立東京商工奨励館に端を発し、都立の工業系試験研究機関との統合を経て、2006年に全国の公設試験研究機関に先駆け地方独立行政法人として新たなスタートを切った。

発足当初から、東京都の中小企業振興を目的に、技術相談、試験、研究などの技術支援を行っている。機械、電気・電子、材料、情報などの基盤技術に加え、環境・エネルギーや生活技術、3Dものづくりなど企業の製品化支援のための幅広い技術分野に対応する。

2010年2月に多摩地域に新しい産業支援拠点「多摩テクノプラザ」を開設、2011年10月に臨海副都心に新たに「本部」を開設し、都内5箇所で事業展開を行う。さらに、2015年4月には、タイ王国にバンコク支所を開設し、ASEAN地域での日系企業に対する技術支援も行っている。





【執筆者一覧】
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
光音技術グループ
    中島 敏晴
    海老澤瑞枝
    磯田 和貴
    横田 浩之
執筆協力:岩永 敏秀、中田 修、澁谷 孝幸、秋葉 拓也(光音技術グループ)
山本 哲雄、中村 広隆(交流連携室)
表紙グラフィックデザイン:櫛田 朱美(広報室)
※所属は平成28年2月末時点

目次

発刊にあたって

本書の目的と構成

第1章 知っておきたい光と熱の基礎
1.1  光の発生原理
 1.1.1 光の基本的な性質
 1.1.2 発光の原理と分光分布
1.2 光が物に当たったときの振る舞い
 1.2.1 光の反射と透過
 1.2.2 光の干渉と回折
1.3 熱放射を理解するための諸法則
 1.3.1 プランクの法則
 1.3.2 ウィーンの変位則
 1.3.3 ステファン・ボルツマンの法則
 1.3.4 特定波長域の放射パワー
 1.3.5 キルヒホッフの法則
1.4 身の回りにある熱放射
 1.4.1 太陽の放射
 1.4.2 電球

第2章 光と熱を利用した技術と製品
2.1 光放射を利用した技術と製品 
 2.1.1 照明、ディスプレイ
 2.1.2 紫外放射や赤外放射を利用した技術
2.2 赤外放射加熱を利用した製品と技術
 2.2.1 ‌近赤外線ヒーターおよび遠赤外線ヒーター
 2.2.2 ガス式遠赤外線ヒーター
 2.2.3 調理器具
 2.2.4 赤外レーザー
 2.2.5 ふく射冷暖房システム
2.3 光を透過・反射・吸収する製品
 2.3.1 透過性を利用した製品
 2.3.2 反射特性を利用した製品
 2.3.3 光の吸収を用いた製品
 2.3.4 色の表記方法と測定方法
2.4 熱を通す・反射・吸収する製品
 2.4.1 Low-Eガラス
 2.4.2 遮熱・断熱シート
 2.4.3 遮熱塗料
 2.4.4 赤外線窓材
 2.4.5 調光や発電への応用
2.5 光センサ
 2.5.1 光センサの原理
 2.5.2 光センサの波長感度
 2.5.3 一次元/二次元センサ
2.6 熱センサ
 2.6.1 熱センサの原理
 2.6.2 熱膨張を原理としたセンサ ―ゴーレイセル―
 2.6.3 ‌電気抵抗変化を原理としたセンサ ―ボロメータ―
 2.6.4 熱電効果を基にしたセンサ ―サーモパイル―
 2.6.5 焦電型センサ
 2.6.6 センサの利用例

第3章 材料・製品の光学特性の測定の実際
3.1 紫外から近赤外域の透過率・反射率の測定 
 3.1.1 ‌分散型の分光光度計を用いた透過率・反射率測定
 3.1.2 測定から得られた透過・反射スペクトルの見方
3.2 赤外域の分光透過率・分光反射率測定
 3.2.1 フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)とは
3.3 物体の質感を評価するBRDF
 3.3.1 BRDFの定義
 3.3.2 BRDFの測定例
3.4 赤外放射測定
 3.4.1 赤外分光放射率と赤外分光放射出力
 3.4.2 実際の測定方法
 3.4.3 赤外分光放射率の可変角測定
3.5 放射計による放射照度の測定
 3.5.1 放射計とは
 3.5.2 放射照度値の測定
3.6 サーモグラフィによる温度分布の測定
 3.6.1 赤外線カメラの一種、サーモグラフィ
 3.6.2 パラメータの設定についての注意事項
 3.6.3 サーモグラフィの用途
3.7 光による断層画像の観察
 3.7.1 OCTの測定原理
 3.7.2 OCTの用途
3.8 二次元複屈折計測
 3.8.1 ‌透明材料の分子配向や内部ひずみを定量可視化 
 3.8.2 計測法の原理
3.9 ‌分光エリプソメータを用いた薄膜の解析 
 3.9.1 ‌分光エリプソメータとその他の方法による薄膜光学定数解析 
 3.9.2 分光エリプソメータによる解析の概要

付録
困ったときの光計測活用事例/公設試験研究機関とは/東京都立産業技術センター 光音技術グループの紹介

索引

コーヒーブレイク
光の色付け
ますます利用が広がる蓄光製品
日常の中の放射
LEDによる青色光の影響
再帰反射
光の“チラツキ”
自然の中の光
遠赤外線ブームの昨今
構造色 ―色素によらない発色現象―

はじめに

【発刊にあたって】
 わたしたちは、光がないとものを見ることができませんし、生物の活動エネルギーの源は、太陽光です。このように、光は人間の生活になくてはならないものです。

 現代社会では、自然の光だけではなく、人工的に作り出した光を、さまざまな工業的・医学的・日常的な用途に利用しています。照明器具、信号機、電飾、ディスプレイ、コピー機、スキャナ、UV硬化、赤外線ヒーター、半導体露光装置の光源…などとても書ききれないほど多種多様な形で使われています。また、太陽光や人工光を制御する材料である、各種フィルム、塗料、薄膜もさまざまな用途で利用されています。

 東京都立産業技術研究センターでは、可視光から赤外光まで、材料の光学特性を幅広く測定し中小企業の製品開発を支援しています。光学特性については、カメラ、コピー機、ディスプレイ、照明など、光技術を利用した機器はもちろん、紙、日傘、化粧品、暖房器具のように、一見、光とはあまり関連がなさそうな分野の企業からも相談が寄せられます。こうした多種多様な要望に対応するため、分光光度計、顕微分光測定装置、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、分光エリプソメータ、光断層画像(OCT)測定システム、偏光イメージングシステムなど光学特性を多角的に評価するための装置をそろえています。専門の研究員がこれらの装置を活用して、企業からの技術相談や依頼試験等に対応しています。また、赤外放射強度や反射率の測定方法、微細構造を持つ材料の物性評価、ナノ粒子の形状制御などに関する研究を実施し、より質の高い技術支援に努めています。

 本書は、このような取組みの中で得た光計測技術に関する技術的知見、ノウハウなどをわかりやすくまとめたものです。教科書的な知識だけではなく、光を利用した技術・製品の事例を紹介し、それらの製品開発、利用を考えている方がどのように光学特性を評価すればよいのかを理解できるように構成しました。本書が光関連製品の開発や利用をする上での一助となることを心より願っています。
 
2016年3月
著者一同


【本書の目的と構成】
 光学特性とは、「電磁波に対する物質の応答や振る舞いについての性質」をいいます。ここで取り上げる「電磁波」とは、X線から光および電波までを指します。「電磁波」の中の「光」は、一般的には可視光線を指すことが多いのですが、広義的には紫外線から可視光線・赤外線をまとめていいます。電磁波における各波長域を図0.1に示します。

 本書では、紫外線から遠赤外線までの「光」の性質、「光」を照射したときの物質の振る舞い、あるいは物質から放射される「光」についての概要やこれらの測り方などをわかりやすく解説します。

 身近にある材料の一例として、住宅の窓に使われる一般的な透明板ガラス(フロート板ガラス 厚さ1.0mm)の紫外域から赤外域における分光透過率(正透過率)特性について、分光光度計を用いて測定した結果を図0.2に示します。このグラフからわかることは、波長域0.3~2.5μmでは90%以上の高い透過率特性を示しています。このため、人間の目では透明板ガラスの向こう側がはっきりと見えます。しかし、波長域2.5μm過ぎから長波長側では透過率が大きく低下し、波長域5μm付近より長波長域では透過率がほぼ0になり、光をまったく通しません。つまり波長域約5μmより長波長域では「透明な板ガラス」とはいえなくなります。

 このように、ガラス材をはじめとする、その他のいろいろな材料には、それぞれ特有の性質(光学特性)があります。この特性を測定したり解析したりすることが、光計測技術の主な役割です。

 「光」に関する原理や測定方法などを解説した専門書は数多く出版されていますが、はじめてこの技術分野に取り組もうとする方々にとっては、難解な内容であることが多いようです。

 本書は、はじめて「光」に関する計測技術を学ぼうとする方々を対象とした入門書です。厳密さよりも網羅性と平易な表現を優先し、少しでもこの技術に親しみを持っていただける書籍となるような記述に努めました。また、読者の方々が実際に測定することを想定して、測定方法やその原理、測定手順についても解説しています。

 本書の構成は以下の内容で構成しました。

・第1章 知っておきたい光と熱の基礎

 光の基礎を、「光放射」と「熱放射」に分けて、それぞれの原理や基本的な性質について解説します。

・第2章 光と熱を利用した技術と製品

 「光」を「光放射」と「熱放射」に分けて、その性質を利用した技術や製品について解説します。さらに、「光放射」や「熱放射」と材料の相互の特性を利用した技術や製品についても解説します。すべての製品や技術を取り上げることはできませんが、主に日常生活の中で使われる、あるいは目にするものを選びました。

・第3章 材料・製品の光学特性の測定の実際

 各光学特性の原理や測定手法について、紫外から可視、赤外の各領域における透過率・反射率測定や放射測定、非破壊・非接触測定などに分けて解説します。


 本文の中に光技術分野の研究員のこれまでの知見や実体験に基づいた光に関するエピソード、四方山話をコラム「コーヒーブレイク」としてまとめました。本文の息抜きとしてお読みください。

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