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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい染料・顔料の本

定価(税込)  1,620円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07526-1
コード C3034
発行月 2016年02月
ジャンル ビジネス 化学

内容

化粧品、衣料、印刷物、テレビなど、私たちの身の周りの製品に色をつけるために必要となるのが、染料と顔料である。これらは、着色だけではなく、耐水性、耐熱性、耐光性などの用途も求められる。本書では、染料と顔料の種類、性質、違いから、様々な用途をトコトンやさしく解説する。

中澄博行  著者プロフィール

(なかずみ ひろゆき)

1973年 大阪府立大学大学院工学研究科中途退学。同年 大阪府立工業技術研究所 研究員、1976年 大阪府立大学工学部 助手、1980年スイス工科大学 博士研究員、1991年 大阪府立大学工学部 講師、1994年 大阪府立大学工学部 助教授。1995年より大阪府立大学大学院工学研究科 教授、2010年 大阪府立大学21世紀科学研究所 機能性有機材料開発研究センター所長。工学博士。色材協会理事、副会長、近畿化学協会理事を歴任。

【主な著書】
「機能性色素の最新技術」シーエムシー出版(共著)、「機能性色素のはなし」裳華房、「顔料の事典」朝倉書店(共著)、「色彩科学ハンドブック 第3版」東京大学出版会(共著)、「機能性色素の科学」化学同人(共著)、「化学便覧 応用化学編 第7版」丸善(共著)など

福井 寛  著者プロフィール

(ふくい ひろし)

1974年 広島大学大学院工学研究科修士課程修了。同年 (株)資生堂入社、工場、製品化研究、基礎研究〈粉体表面処理〉などの研究に従事。香料開発室長、メーキャップ研究開発センター長、素材・薬剤研究開発センター長、特許部長、フロンティアサイエンス事業部長、資生堂医理化テクノロジー㈱社長などを歴任。
現在、福井技術士事務所代表。工学博士、技術士(化学部門)、日本化学会フェロー、東北大学未来科学技術共同研究センター客員教授。信州大学地域共同研究センター客員教授。また、山梨大学、近畿大学、千葉工業大学にて非常勤講師として勤務。

【主な著書】
「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」日刊工業新聞社(共著)、「おもしろサイエンス美肌の科学」日刊工業新聞社、「トコトンやさしいにおいとかおりの本」日刊工業新聞社(共著)、「トコトンやさしい界面活性剤の本」日刊工業新聞社(共著)、「トコトンやさしい化粧品の本」日刊工業新聞社など
“Cosmetic Made Absolutely Simple” Allured books

目次

第1章 染料・顔料が彩る世界
1 この世は色に満ちている[自然の色、人間社会の色]
2 赤の世界[情熱、血、紅花、柿右衛門]
3 青の世界[静的、空、ブルージーンズ、群青]
4 黄の世界[陽気、富、ウコン、クチナシ]
5 緑の世界[自然、草木、クロロフィル、コバルトグリーン]
6 紫の世界[高貴、貝紫、紫根、モーブ]
7 白の世界[純潔、雲、雪、漆喰、酸化チタン]
8 黒の世界[陰気、お歯黒、カーボンブラック、黒錆]

第2章 染料・顔料って何?
9 染料と有機顔料の違い[染料と顔料の定義]
10 染料の基本的な性質[染料の化学構造の特徴と染色性]
11 有機顔料の基本的な性質[有機顔料の種類と微細化]
12 合成染料はいつごろできた?[合成染料の歴史]
13 色が出るもとは何?[色素の発色原理と見える色]
14 色をはかる[可視光の吸収成分の分析と色を表すものさし]
15 色の予測[コンピューターによる吸収波長や分光反射率の計算]
16 色の見える感度[周りの明るさによる視感度の変化と色覚異常]
17 顔料の性質[粒子の大きさと形状]
18 表面は別の顔[顔料の表面積、吸着、等電点などの性質]
19 顔料の触媒作用[顔料の酸点、塩基点、酸化、還元作用など]
20 顔料が油などに均一に混ざるためには[顔料の分散と濡れ]
21 機械の力で顔料を細かくする方法[顔料の解砕]
22 顔料の分散安定化[電荷の反発と浸透圧効果]
23 顔料の表面処理[表面を変化させるか他物質を被覆させる方法]

第3章 衣食住を彩る役者たち
24 化粧は神代の昔から[メーキャップと顔料・色素]
25 美しい肌の演出[自然なファンデーション]
26 髪の色を染める[ヘアカラーの仕組み]
27 紺屋の白袴[藍はなぜ染まるのか]
28 美味しい色[食と着色料]
29 土と炎の芸術[やきものに色をつける]
30 ジャパンの色[漆に使われる顔料]
31 アルタミラの色彩[絵の具の歴史、種類]
32 グーテンベルグの贈り物[印刷と印刷インキ]
33 家もカラフル車もカラフル[塗料と顔料]
34 標識[色により区分される道路標識やトリアージ・タッグ]

第4章 いろいろな合成染料とその特性
35 綿やナイロン繊維を染色する[直接染料]
36 化学結合して染色する[反応染料]
37 羊毛やナイロンを染色する[酸性染料]
38 アクリル繊維を染色する[塩基性染料]
39 ポリエステル繊維を染色する[分散染料]
40 セルロース繊維を染色する[建染染料]
41 白い布を輝く白さに[蛍光増白剤]
42 発ガン性のある染料やアミン類[染料の安全性]

第5章 代表的な顔料とその扱い方
43 顔料の分類[有機顔料、無機顔料の種類と特長]
44 着色顔料[チタンと鉄の酸化物の特長]
45 ジェルから作る顔料[ゾル-ゲル法による合成]
46 金属顔料[金属光沢、導電性を特長とする顔料]
47 真珠光沢顔料[干渉色によってパール感をもつ顔料]
48 液晶の鮮やかな色[コレステリック液晶で色を出す]
49 蛍光・蓄光顔料[エネルギーを吸収して光る顔料]
50 紫外線防御顔料[透明なのに紫外線をカット]
51 ナノ粒子の不思議[表面プラズモンと量子ドット]

第6章 色素の機能と先端技術のなかの用途
52 光エネルギーを熱に変える[CD-RやDVD-Rに使われている色素]
53 光の進む方向を制御する[偏光フィルムに使われる二色性色素]
54 光で電荷が発生する[コピー機の有機感光体に使われている色素]
55 電荷を中和する[コピー機に用いられるカラートナー用色素]
56 熱で発色する[レシートや切符などに使われている色素]
57 温度によって発色、消色する[消せるボールペンに使われている色素]
58 熱で拡散する[熱転写フィルムに使う色素]
59 紫外線で光る[偽造防止のためのセキュリティ技術用色素]
60 電気を流すと発光する[有機ELに使われる発光する色素]
61 光で発色する[光で発色するいろいろな色素]
62 溶媒の極性をはかる[溶媒で色が変わる色素]
63 会合や凝集[会合や凝集状態で色が変わる色素]
64 紙に印字する[インクジェットプリンタに使われているいろいろな色素]
65 樹脂を選択的に着色する[液晶テレビのカラーフィルターに使われる色素]
66 電極を染める[有機太陽電池に使われるいろいろな色素]
67 ガラスを着色する[ブラウン管やガラスびんの着色被膜用色素]
68 生体成分を染める[臨床検査で使われる色素]

【コラム】
●虹色の世界
●青いバラ
●色の変わる動物
●染料の思わぬリスク
●セレンディピティ
●記録メディア革命

参考文献

索引

はじめに

 私たちの身の回りにある生活雑貨や衣類、化粧品、電気製品、自動車など、ほとんどすべてのものが彩色されているといっても過言ではありません。社会全体が色彩豊かになったのは、つい最近のことではありますが、原始の時代から、アルタミラやラスコーの洞窟壁画にみられるように、人類は色を使って何かを表してきました。また、古文書にも、色に関する表現が多く見られることから、古くから自然に存在する色のもととなる天然色素や無機顔料が使用されていたようです。聖徳太子が冠位十二階を制定し、位を冠の色で区別したり、高松塚古墳の石室壁画に描かれた人々が極彩色の衣服をまとっていることを思えば、古代の貴人たちも天然素材を用いた美しい色彩に包まれていたのではないかと考えられます。このように、様々な用途で使われてきた染料や顔料は数千種類にも及びますが、今なお開発が続けられています。

 本書では、古くから用いられていたり、近現代に新たに開発されたりした染料と顔料をトコトンやさしく解説するために、天然由来の色素や顔料と有機合成化学の技術で製造されるようになった合成染料や有機顔料の、違いや特長、使い方、実際に使用されている例などを平易な表現で1冊にまとめました。染料や顔料の全体像を把握するための入門書として見開き1ページで、大まかな内容がわかる構成となっていますので、どのページを開いていただいても、興味のある染料や顔料のことが即座に理解できるようになっています。

 これまで開発されてきた合成染料や有機顔料は、繊維やプラスチックの素材の開発とともに発展してきましたが、近年、CD-RやDVD-Rなどの情報記録、テレビやタブレット端末の液晶ディスプレイなどに多くの染料や顔料が利用されるようになりました。合成染料や有機顔料が今後もこれら情報家電や先端材料分野で欠かせない材料となることから、本書では最後の章に、これら応用分野で用いられている例を数多く紹介しました。

 人間の色の見え方には、染料や顔料の光吸収のように分子レベルでの理解や、顔料における分子の塊が引き起こす光散乱や干渉という視点からの理解も必要とし、実際の応用分野では、化学的、物理的な知見が求められます。本書が、染料や顔料の専門家やこれから染料や顔料を最先端技術に応用しようとする技術者の入門書としても有意義な指針となることを確信します。

 内容は6章の構成になっています。第1章では、染料・顔料が彩る世界として、赤、青、黄、緑、紫、白、黒の色のイメージや使用されてきた染料や顔料について平易に解説しています。第2章では、染料・顔料とは何かについて、染料と顔料の違い、染料と顔料の基本的な性質、顔料の作り方や分散について解説しました。第3章では、衣食住を彩る役者たちとして、身近なところで使われている染料と顔料を紹介しています。第4章では、様々な繊維に使われてきた合成染料の種類とその特性について解説しました。第5章では、代表的な顔料とその扱い方として、着色顔料、金属顔料、真珠光沢顔料、蛍光・蓄光顔料などを紹介しました。第6章では、色素の機能と先端技術のなかの用途について、具体的な例を解説しました。

 本書が、染料や顔料の専門家のみならず、広く色素を専門としない研究者、技術者、一般の読者の皆様方にとって、染料や顔料の体系と広がりを一望できる、有用で魅力的な入門書となることを願っております。

 最後に、本書をまとめるにあたりご協力を賜りました日刊工業新聞社の木村文香様をはじめ関係者各位に感謝申し上げます。
 
2016年2月
中澄 博行

福井  寛

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