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技術大全シリーズ
工業塗装大全

定価(税込)  3,456円

著者
サイズ A5判
ページ数 288頁
ISBNコード 978-4-526-07518-6
コード C3043
発行月 2016年02月
ジャンル 化学

内容

工場内で工業製品に対して行われる工業塗装は、製品の表面を保護するとともに美観により付加価値を高める重要な技術である。工業塗装の企画段階から塗装方法、塗料の選定から品質評価に至るまでの工程に関わる理論と実務を解説する。

坂井秀也  著者プロフィール

(さかい ひでや)
1946 年 東京都に生まれる
1969 年 武蔵工業大学工学部経営工学科卒業
同大学生産基礎工学研究室研究助手
1970 年 富士通㈱入社 塗装技術係を担当(工場設備計画、品質管理、工場管理、VE 等)
1973 年 富士通㈱退社
㈱星秀社取締役就任(工場経営)
㈱工塗技術研究所取締役就任(新製品開発および販売、システムエンジニアリング)
1992年  技術士登録により、坂井技術士事務所開設
現在、国際工業塗装高度化推進会議アドバイザー、日本工業塗装協同組合連合会技術顧問、すみだ中小企業センター技術相談員を兼任
●著 書
「塗装実務のトラブル対策」、「絵とき 「塗装」基礎のきそ」(日刊工業新聞社)

目次

はじめに

第1章 なぜ塗装するのか
1.1 塗装の優位性
1.2 色彩などの美装効果
1.2.1 マンセル表色系
1.2.2 オストヴァルト表色系
1.2.3 色と光
1.2.4 表面加飾の採用
1.3 下地保護効果
1.3.1 腐食への対応
1.3.2 腐食事故
1.3.3 重要なのは点検と診断
1.4 特殊機能付加効果
1.4.1 光触媒効果
1.4.2 自己修復効果
1.4.3 遮熱効果
1.4.4 機能効果のあれこれ

第2章 塗膜の理論
2.1 付着性の理論
2.1.1 付着理論のあれこれ
2.1.2 濡れと付着
2.1.3 分子間力と付着
2.1.4 劣化と付着
2.1.5 塗膜特性と付着適性
2.2 粘膜性の理論
2.2.1 塗膜の粘弾性
2.2.2 微小変形のレオロジー
2.3 塗膜寿命の理論
2.3.1 大変形のレオロジー
2.3.2 大変形のレオロジー特性
2.3.3 塗膜の耐候性

第3章 塗装するものは何か
3.1 素材と表面
3.1.1 表面処理への取り組み
3.1.2 表面処理の制御方法
3.2 被塗物の前処理
3.2.1 水系洗浄の採用
3.2.2 脱脂浴液の安定化
3.2.3 水洗水の減量化
3.2.4 無排水の取り組み
3.2.5 化成皮膜処理の選定
3.2.6 代替技術の評価
3.3 用途と置かれる状態
3.3.1 被塗物の要求課題
3.3.2 被塗物の用途機能

第4章 どのように塗装するのか
4.1 おもな塗装方法
4.2 噴霧塗装
4.3 接触塗装
4.4 浸漬塗装

第5章 どの塗料系にするのか
5.1 塗料の生い立ち
5.2 環境適応型塗料の選定
5.2.1 塗料選定の課題
5.2.2 ハイブリッド系塗料
5.2.3 水系塗料
5.2.4 粉体塗料
5.2.5 紫外線硬化塗料
5.2.6 分散型塗料

第6章 どのような塗装方法で行うのか
6.1 塗装方式の種類
6.1.1 個別塗装方式
6.1.2 連続塗装方式
6.1.3 変種変量生産への対応
6.2 塗膜硬化方法の選定
6.2.1 光硬化
6.2.2 電子線硬化
6.2.3 マイクロ波硬化
6.2.4 赤外線加熱
6.2.5 熱風加熱
6.3 設備機器の選定
6.3.1 設備計画の構築
6.3.2 設備計画の手順
6.3.3 塗装FA 化への取り組み
6.4 塗装システムのバランス
6.4.1 基本的な設備配置
6.4.2 ラインバランスの検討

第7章 塗装の設計ポイント
7.1 試験測定技術による塗膜分析
7.1.1 計測のポイント
7.1.2 塗装に関わる測定項目
7.1.3 塗装現場での検査
7.2 塗膜の高品質化
7.1.1 顧客志向への姿勢
7.1.2 モノづくりの品質コスト
7.3 塗装とデザイン

第8章 塗装工場の構想計画と運用
8.1 塗装産業の新たな動向
8.1.1 変化する周辺環境
8.1.2 変化への対応
8.1.3 共生への改革
8.2 新規計画に対するフォロー
8.2.1 工業計画への踏み込み
8.2.2 設備計画
8.3 競争力のある工場プロセスづくり
8.4 現場ノウハウによる専業力アップ
8.5 多能工化と技術技能継承

第9章 塗装現場の運用チェック
9.1 塗料類が産業廃棄物になるまでの流れ
9.1.1 マテリアルバランスからLCA
9.1.2 塗装現場の運用課題
9.1.3 溶剤類と産業廃棄物
9.2 作業資格と現場整備
9.2.1 塗装業界の挑戦
9.2.2 保守保全の力
9.2.3 設備点検の事例内容
9.3 作業現場のリスク対応
9.3.1 災害防止の基本
9.3.2 塗装現場のリスク防止
9.4 省エネと環境への取り組み
9.4.1 省エネルギーの計画手順
9.4.2 省資源・省エネルギーの検討課題
9.4.3 環境経営の取り込み

第10章 塗装現場の改善手法
10.1 現場改善の流れ
10.2 現場改善の先進事例

第11章 新塗装技術への取り組み
11.1 工業塗装における基盤技術のテーマ
11.1.1 着手テーマの絞り込み
11.1.2 基盤技術としての取り組み
11.2 新機能膜の探求
11.2.1 自然に学ぶ
11.2.2 先人の知恵に学ぶ
11.3 技術の高度化による新製法
11.3.1 最近の新技術情報と技術予測
11.3.2 求められる発想の転換
11.4 塗装工学における融合技術

おわりに

索 引

はじめに

 塗装の歴史は、古代よりものとの「つながり」を持っています。漆器工芸品などに漆を塗ることを英語でjapan と訳されるように、日本における塗装の位置は深く、また広いものであります。それを裏付けるように、色彩の世界では日本の色名の持つ感性が育み、ものの価値を高めていますし、海に囲まれていることからの防蝕技術やモノづくりからの多用途の機能開発など、さりげなき存在を生み出しています。
 1970 年代までは、工場で塗装する被塗物が金属のため、多くの専業が「金属製品塗装業」として操業していました。その後、基幹産業の高度化に伴う工業生産の拡充により、量産化や構造デザインなどが重視されるとともに、樹脂成形品や新材料の採用が高まり、多くの素材と用途に対応する工場内塗装を「工業塗装」と言うようになりました。これが塗装技術者によって使われ始めると、塗装業界も従来の「金属塗装」から「工業塗装」に団体名を改称するなどの動きが表面化し、浸透しています。
 塗装の手段も、手塗り作業から設備機器の活用を主体とした自動化技術や連続生産の工業生産体制となり、塗料類や塗装方法のさらなる拡充を図り、生産の効率化や合理化を求めた生産技術面などの管理導入を行い、多様なものづくり産業に深く関わり社会に貢献しております。そして、塗装の用途は生活品や社会インフラから、医療関連や移動体関連などにまで採用され、それぞれに適合した特異性機能効果を発揮しています。
 塗装の技術は、複雑かつ多面的な要素が複合かつ多重に絡み合う総合工学で成り立っています。それぞれの分野でのハイレベルでハイタッチな技術情報をIT 活用で深耕的に入手することができますが、これら工業塗装に係わる縦糸的な基本技術体系とこれを取り巻く横糸、すなわち横断的な経営工学などの工場関連技術体系を集約するシステムエンジニアリングとの構築が求められております。
 さらに進展する先端技術に応えるべく、優れた新技術情報と実務的な現場ノウハウとの融合によって、工業塗装に関わる材料や塗装手段などの新たな研究開発や改善改良に努め、工業塗装の立ち位置を強くしなければなりません。それには、塗装産業における中堅技術者の育成と塗装技術の高度化を推進し、異国や異分野そして異業種との接点をも強め吸収して、塗装専業の「特異化」を強化していただきたい。
 特に、本著においては、工業塗装に対する工場計画的な取り組みについて筆を進めていますので、今後さらなる挑戦をされる現場管理者から経営層までの方々に拝読していただければ幸いです。
坂井 秀也

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