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図解 
基礎からわかるはんだ付

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07502-5
コード C3054
発行月 2016年01月
ジャンル 電気・電子

内容

近年、微小高密度化が進むマイクロソルダリングの世界で、「はんだがうまくつかない」「はずれる」トラブルを防ぐために、作業ノウハウのみならず物理・化学・金属学・材料力学の観点から現象を理解できるよう解説。より確実で信頼性の高いはんだ付が行えるよう図解で説く。

大澤 直  著者プロフィール

(おおさわ ただし)

1940年、山形県上山市生まれ。1963年、山形大学理学部卒。工学博士(東京大学)。元青山学院大学理工学部講師。金属材料および金属の接合(ろう付、はんだ付)の研究に従事してきた。


[主な著書]

ろう接の生産技術(編著):溶接新聞社(1982)

電子材料のはんだ付技術:工業調査会(1983)

最新接合技術総覧(編著):産業技術サービスセンター(1984)

はんだ付技術の新時代:工業調査会(1985)

はんだ付の基礎と応用:工業調査会(2000)

はんだ付のおはなし:日本規格協会(2001)

金属のおはなし:日本規格協会(2006)

アルミニウムの基本と仕組み:秀和システム(2010)

銅の基本と仕組み:秀和システム(2010)

閑話百題:エディトリアルハウス(2010)

はんだ付技術なぜなぜ100問:丸善出版(2011再版)

はんだ付工学:丸善出版(2012)

金属材料の基本と仕組み:秀和システム(2015)

目次

まえがき

第1章 はんだ付の意義
はんだ付の進歩なくして電子工業の発展はあり得ない
1.1 はんだ付は古くて新しい
1.2 はんだ付を制する者は電子工業を制する
1.3 はんだ付は“溶接”として位置づけられる
1.4 はんだ付はプリント配線板の実装に不可欠

第2章 はんだ付の基礎
1つの技術には1つの科学がある
2.1 はんだ付現象の科学的解明がなぜ必要なのか
2.2 なぜ、はんだが“付く”のか
2.3 はんだ付の命は“ぬれ”と“表面張力”
2.4 はんだ付性を知る尺度は接触角
2.5 溶けたはんだは狭いすきまに流入する
2.6 はんだの溶け分かれ現象
2.7 はんだ付過程でのはんだ溶食(食われ)
2.8 はんだ付継手に形成される合金層
2.9 はんだ付界面に発生するボイド
2.10 はんだ付継手に発生する熱起電力
2.11 はんだ付継手部の腐食
2.12 活性化エネルギーがはんだ付現象にも関与する
2.13 ソルダペーストのレオロジー特性
2.14 はんだの力学特性が硬さ試験から予測できる

第3章 はんだという電子材料
はんだは合金である
3.1 はんだの選定が重要
3.2 はんだの純度が大切
3.3 融点が450℃近傍のはんだがなぜ存在しないのか
3.4 はんだの合金学からの理解が必須
3.5 はんだとして共晶合金が使われる
3.6 はんだ合金の三元系状態図
3.7 Snは低温でもろくなる
3.8 “スズ泣き”は結晶変形の為せる業
3.9 はんだも疲れる
3.10 Au(金)はんだも使用される
3.11 急冷凝固はんだが使われるわけ
3.12 ソルダペーストが多用される
3.13 Pbフリーはんだが求められるようになった理由
3.14 Sn-Ag系Pbフリーはんだの特長
3.15 Sn-Bi系Pbフリーはんだの特長
3.16 Sn-Zn系Pbフリーはんだの特長
3.17 Pbフリーはんだ合金のめっきは難しい

第4章 はんだ付を支えるフラックス
フラックスは化学反応で作用する
4.1 はんだ付にはフラックスの使用が必須
4.2 フラックスの選定が重要
4.3 フラックスは酸化膜を除去する
4.4 はんだ付用フラックスとしての“松やに”
4.5 活性化フラックスがはんだ付性を高める
4.6 ZnCl2-NH4Cl系は高温はんだ付用フラックス
4.7 ハロゲンフリーフラックスの役目
4.8 はんだに自己フラックス効果が生ずる
4.9 反応はんだ付という接合方法

第5章 はんだ付の方法と装置
技術と装置は表裏一体
5.1 はんだ付の前処理が大切
5.2 はんだ付の原点はこてはんだ付法
5.3 はんだ付法のエースは浸漬はんだ付
5.4 なぜジェット噴流はんだ付法が必要なのか
5.5 リフローの代表は赤外線リフロー法
5.6 気化潜熱がはんだ付に利用される
5.7 微小はんだ付に適用されるレーザ光
5.8 超音波がはんだ付に応用される
5.9 プラズマリフロー法は最新のはんだ付法
5.10 はんだ付ロボットはなぜ開発されたのか
5.11 ステップはんだ付が必要になる
5.12 ガラスもはんだ付ができる
5.13 アルミニウムのはんだ付が難しい理由
5.14 ステンレス鋼のはんだ付は難しい

第6章 マイクロソルダリングへの応用
現代を代表する微小接合技術
6.1 マイクロソルダリングは接合技術の華
6.2 電子機器の小型化の鍵を握るマイクロソルダリング
6.3 はんだ付技術の進歩と実装法の変遷
6.4 マイクロソルダリングで重用されるCCB法
6.5 セルフアラインメント効果の利用
6.6 実装技術の主流はBGA法
6.7 “部品立ち”はツームストン現象
6.8 リフトオフは特異な現象
6.9 BGA端子に発生するブラックパッド
6.10 マイクロソルダリングには問題が多い
6.11 はんだ付を凌駕する実装法は開発されていない

第7章 はんだ付の欠陥・検査・信頼性
検査は信頼性を確保する最善の方途
7.1 はんだ付を疎かにする者は、はんだ付に泣く
7.2 はんだの原材料をAuやAgと同等に扱わなければならない
7.3 はんだ付欠陥はなぜ発生するのか
7.4 はんだ付における“はじき”
7.5 Auめっき部材のはんだ付には注意が必要
7.6 ウィスカの発生が問題になる
7.7 はんだ付部に発生するマイグレーション
7.8 はんだ付の検査は必須事項
7.9 はんだ付性試験として重宝される界面張力法
7.10 BGA実装の検査ではプルテストが重要
7.11 はんだ付におけるPPM管理とFIT管理

column




◇“はんだ”の語源
◇福沢諭吉もはんだ付を研究していた
◇博物館病
◇はんだ付が環境汚染に関わるようになった
◇公害は今も昔も
◇はんだにとって室温は高温環境
◇はんだ付は老テクのローテクにあらず、
鑞テクにしてハイテクなり

参考文献

索引

はじめに



“はんだ付”は誰もが知っている技術であり、誰でも一度は経験したことのある接合技術ではないでしょうか。しかし、はんだ付が現代の私たちの豊かな生活を維持し発展させている大きな陰の力になっていることは、あまり知られていないように思われます。

 はんだ付と聞けば大方の人は“はんだごて”を思い浮かべるに違いありません。こてによるはんだ付は、確かに今でも重要かつ基本的な方法に位置づけられていますが、それだけでは現在の電子機器を製造する接合法としてはとても対応できません。たとえば、携帯電話機の内部を覗くと一目瞭然ですが、米粒よりも小さな部品がぎっしり詰まっていることがわかります。

 当然のことながら、これらの部品は単に詰め込まれているだけではなく、それぞれ配線回路に接続されています。1台の携帯電話機はおよそ600から700個の電子部品から構成されており、それらのほとんどがはんだ付によって接続されています。これらの小さな部品を接合するためには、こてはんだ付ではとても対応できません。それには、まさに究極の接合技術とさえ言われる微小はんだ付技術(マイクロソルダリング)が適用されます。

 そのような高度なはんだ付技術は一朝一夕にして開発されたわけでなく、これまでの幾多の技術の蓄積によって確立されたことは言うまでもありません。はんだ付にも新しい技術の開発が不可欠になっています。

 また、微小部品の接合がはんだ付によって可能になったばかりではなく、それらの接合部、つまり、はんだ付接合部の信頼性が飛躍的な進歩を遂げたことを見逃すことができません。かつて人工衛星の打ち上げ失敗が相次ぎましたが、現在ではそれがほとんどなくなりました。その背景の1つに、衛星に積み込まれる電子機器のトラブルがなくなったこと、つまり電子回路のはんだ付部の信頼性が確保されたことがあげられます。これはとりも直さず、接合技術として適用されているはんだ付の信頼性が確立されたことに他なりません。

 この信頼性を高めるためにNASA(アメリカ航空宇宙局)は、はんだ付を修得するための専門学校ソルダリングスクールを創設し、この学校を修了しなければ人工衛星のはんだ付作業に携わることが許されないことになっています。さらに、生活必需品であるテレビやパソコン、電話、冷蔵庫、電子レンジ、あるいは自動車、医療機器などには電子制御が採用されており、それらにはすべてはんだ付が適用されています。この事実は、はんだ付が私たちの日常生活に深く関わっている重要な技術であることを意味しています。

 本書では、はんだ付とはどのような技術なのか、その技術にはどのようなメカニズムが秘められているのか、そしてその技術がどのような分野に応用されているのかを、わかりやすく基礎から記述することを目途としました。はんだ付の真の内容を理解すると、私たちの生活が意外なほどに、はんだ付に負うていることに驚かされるに違いありません。はんだ付が果たしている役割の重要さを理解する上で、本書がいささかでもお役に立てば幸いです。

 最後に、本書の出版にあたって大変お世話になった日刊工業新聞社出版局の矢島俊克氏に厚くお礼申し上げます。



2016年1月

大澤   直

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