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技術大全シリーズ
シリコーン大全

定価(税込)  4,104円

監修
編著
サイズ A5判
ページ数 384頁
ISBNコード 978-4-526-07501-8
コード C3043
発行月 2016年01月
ジャンル 化学

内容

スーパーマテリアルとも呼ばれる「シリコーン」は、高強度、高耐熱性、安全など優れた特性をもつ化学物質で、組成によりオイル、ゴム、レジン、シランといろいろと形を変え、幅広い分野で使われている。本書では、そんなシリコーンの基礎の化学から、それぞれの応用分野での特性、特徴などを広く網羅して解説する。

山谷正明  著者プロフィール

(やまや まさあき)
1952年生まれ。1978年京都大学工学研究科修士課程工業化学専攻修了。
同年信越化学工業(株)入社、2007年4月シリコーン電子材料技術研究所第一部長。
2009年6月よりシリコーン電子材料技術研究所長。

信越化学工業  著者プロフィール

著者一覧
第1章 池野 正行  信越化学工業(株)シリコーン電子材料技術研究所
第2章 峯村 正彦   〃 〃
第3章 入船 真治   〃 〃
第4章 吉川 裕司   〃 〃
第5章 五十嵐 実   〃 〃
首藤 重揮   〃 〃
栁沼 篤    〃 〃
坂本 隆文   〃 〃
第6章 樋口 浩一   〃 〃
亀井 正直   〃 〃
工藤 宗夫   〃 〃
青木 俊司   〃 〃
濵嶋 優太   〃 〃
櫻井 孝冬   〃 〃
井原 俊明   〃 〃
髙田 有子   〃 〃
黒田 泰嘉   〃 〃
井口 良範   〃 〃
松村 和之   〃 〃
櫻井 郁男   〃 〃
田部井 栄一   〃 〃
栁沼 篤    〃 〃
岩崎 功    〃 〃
第7章 松井 智波   〃 群馬事業所品質保証部

目次

はじめに

第1章 シリコーン化学
1.1 シリコーン工業
1.2 シリコーンの性質
1.3 シリコーンの製造方法

第2章 シラン
2.1 オルガノシラン
2.2 カーボンファンクショナルシラン(CFシラン)
2.3 シリル化剤

第3章 シリコーンオイル
3.1 シリコーンオイルの種類、性質
3.2 シリコーンオイルの応用
3.3 変性シリコーンオイル

第4章 シリコーンレジン
4.1 シリコーンレジンの性質
4.2 シリコーンレジンの種類
4.3 シリコーンレジンの応用

第5章 シリコーンゴム
5.1 シリコーンゴムの性質
5.2 過酸化物硬化型シリコーンゴム
5.3 LIMS(Liquid Injection Molding System:液状射出成形システム)
5.4 付加硬化型シリコーンゴム
5.5 縮合硬化型シリコーンゴム
5.6 紫外線硬化型シリコーンゴム

第6章 シリコーンの応用
6.1 シリコーンハードコート
6.2 化粧品用シリコーン
6.3 コンタクトレンズ用シリコーン
6.4 繊維処理剤
6.5 消泡剤
6.6 離型剤
6.7 シリコーン粘着剤
6.8 シリコーンパウダー
6.9 放熱材料
6.10 LED用シリコーン材料
6.11 太陽電池用シリコーン
6.12 シリコーンシーラント

第7章 シリコーンの分析法
7.1 シリコーン分析の特徴
7.2 シリコーンの構造解析
7.3 シリコーン製品の分析事例

索引

はじめに

 ケイ素(Si)は無機化学の主役である。ケイ素の地球表層部に存在する重量比率(クラーク数)は25.8%であり、酸素の49.5%に次いで多い。そのケイ素と酸素とは親和性が極めて高く、エネルギー的に安定なSi-O-Si結合(シロキサン結合)を形成し、しかもケイ素の結合手が4本あるため、岩石の頑丈な立体的骨格を形成している。岩石が熱にも光にも強いのは、このシロキサン結合で形成されているからである。まさに、無生物の世界の主役はケイ酸塩であると言っても過言ではない。ケイ素原子を含むものを思い浮かべると、シリカ、石英、ガラスなどの酸化物、金属ケイ素の単結晶、SiCなどのセラミック材料等無機材料ばかりである。
 一方、周期律表でケイ素の上に位置している炭素は、僅か0.08%しか存在しない。しかしながら、生命体の世界を構成している主役である。ケイ素と炭素が同じ第Ⅳ族に属する典型元素で、隣同士でありながら、無機化学と有機化学の代表者であるのは大変面白い。
 金属と有機基が直接結合している化合物は有機金属化合物と呼ばれ、特異な反応性を示す化合物が多く、通常の有機化合物とは区別される。ケイ素原子を1個だけ有する有機ケイ素化合物(シラン化合物)も有機金属化合物に分類される。シラン化合物を加水分解しシロキサン結合に誘導した有機置換基を有するポリマーはシリコーンと呼ばれるが、自然界には存在しないまさに人工物であり、無機と有機が融合したハイブリッド・ポリマーと呼ぶに相応しい材料である。
 シリコーンは、岩石から受け継いだ有機化合物では達成できない優れた耐熱性や耐候性を有している。さらに、シロキサン結合が分極しているので、その電気的影響を最小にするため、直鎖状のポリシロキサン化合物はらせん状のヘリックス(バネ)構造を採ることができる。バネ構造により伸び縮みできる能力が大きく、応力緩和など機能性材料の設計に大きく貢献しており、他の有機系ポリマーにはないユニークな特徴となっている。この構造から優れた界面活性能力も発現し、シリコーンは別名「魔法の砂」と呼ばれ、電気・電子、自動車、建築、化学、化粧品、繊維、食品などの様々な分野で使用されている。無機構造を主骨格とするポリマーで、大きな工業にまで発展したのはシリコーンだけである。
 シリコーンは、このように興味深い特性を示し、構造の制御、各種有機官能基の導入などにより新規素材が生まれ、性能の向上が図られ、応用分野もさらに拡大していった。工業生産が開始されてから60年以上が経過しているが、出願される特許は年々増加しており、さらなる発展が期待され、注目されている。
 このようなシリコーンに関して、総合的にまとめたものとして、当社の先輩諸氏が、1990年日刊工業新聞社から「シリコーンハンドブック」という本を出版した(現在絶版)。この本のスタンスを踏襲して、本書は、シリコーンの基礎的性質、製造方法に触れながら、その後の技術的進展と新規用途を加えて、新しいケイ素化学の一端を紹介するよう努めた。 同じ第Ⅳ族ながら、炭素とは全く異なる世界を形成しているシリコーンの不思議な魅力を感じてもらい、これまでにない新しい用途が開拓されることを期待している。
 なお、本書は、当社のシリコーン電子材料技術研究所の研究者が分担して執筆したため、もしかしたら内容にある種の偏りがあるかもしれない。
 今後読者各位の御叱正により逐次補正していきたいと考える。
 最後に、本書を発行するにあたって、終始熱心に尽力して頂いた日刊工業新聞社の藤井浩氏をはじめ、関係者の皆様には心から謝意を表したい。

2016年 1月
執筆者を代表して  山谷正明  

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