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ついてきなぁ!組立知識と設計見積り力で「設計職人」

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07498-1
コード C3053
発行月 2016年01月
ジャンル 機械

内容

「ついてきなぁ!」シリーズ第14弾。シリーズ中でも人気の高い「設計見積り」と新たに取り上げる「組立知識」が今回のテーマ。①部品組立の設計見積りができるように導く、②現地化の真の意味を知り現地の工賃に適した現地化設計を理解する、③溶接の加工知識や締結の組立て知識などに関する豊富な事例を示しながら組立知識と設計見積りの知識を身につけさせる、ことで国内外で評価され、生産現場にも喜ばれるような「設計職人」になれるように手取り足取り教える本。

國井良昌  著者プロフィール

(くにい よしまさ)

技術士(機械部門:機械設計/設計工学)
日本技術士会 機械部会
横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師
首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師
山梨大学工学部 非常勤講師
山梨県工業技術センター客員研究員
高度職業能力開発促進センター運営協議会専門部会委員

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事した。1999年、國井技術士設計事務所を設立。設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師として活動中。
以下の著書が日刊工業新聞社から発行されている。


「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」などの「ついてきなぁ!」シリーズ 全13冊

URL:國井技術士設計事務所   http://a-design-office.com/

目次

はじめに:モノづくりで忘れた組立性と現地化

第1章 本書を理解するための基礎知識
1-1 設計見積りができなければ戦えない
1-1-1 原価って何?コストって何?(まずは単語を覚える)
1-1-2 原価見積り(原価計算)とは
1-1-3 原価×3=定価、原価=定価×1/3
1-1-4 とっくに潰れている?複写機とプリンタメーカー
1-1-5 暴利(?)のインクカートリッジ/トナー/薬品/たこ焼
1-2 設計見積りの求め方
1-2-1 設計見積りの実務公式集
1-3 事例:百円ショップの 樹脂製 ブックエンドの設計見積り
1-3-1 事例: 樹脂製 ブックエンドの材料費を見積る
1-3-2 事例: 樹脂製 ブックエンドの加工費を見積る
1-3-3 事例: 樹脂製 ブックエンドの型費を見積る
1-3-4 事例:なぜ、 樹脂製 ブックエンドが中国生産なのか?
1-3-5 部品のロット倍率(量産効果)の作り方
1-4 事例:百円ショップの 板金製 ブックエンドの設計見積り
1-4-1 事例: 板金製 ブックエンドの材料費を見積る
1-4-2 事例: 板金製 ブックエンドの加工費を見積る
1-4-3 事例: 板金製 ブックエンドの型費を見積る
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

第2章 現地化戦略に必要な設計知識
2-1 現地化戦略とは何か?
2-1-1 生産現場を知らないで設計はできない
2-1-2 事例:VTR用ベースに見る現地化設計
2-1-3 事例:部品の一体化を分離する現地化設計
2-2 生産現場のコスト知識
2-2-1 間接費/直接費/賃率/工賃とは?
2-2-2 日本企業の工賃は正規分布を成す
2-2-3 工賃が40指数(円)以上の企業は負け組となる
2-2-4 海外生産における工賃
2-2-5 事例:カレーライスのコストを算出する
2-3 事例:海外生産の成功と失敗
2-3-1 日本企業における海外生産の60%が失敗
2-4 お客様は次工程
2-4-1 設計のお客様は次工程である加工現場
2-4-2 加工と組立の得手不得手だけ理解すればよい
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

第3章 組立の代表格:溶接の加工知識と設計見積り
3-1 第2次工程(組立)のお客様を知る
3-1-1 溶接は組立作業の代表格
3-1-2 溶接法の種類とそのランキング
3-2 溶接の得手不得手を知る
3-2-1 溶接部は錆びやすい
3-2-2 位置決め困難とその対策ワザ
3-2-3 溶接の位置公差
3-2-4 溶接最大の弱点
3-3 スポット溶接の設計ルール
3-4 スポット溶接の設計見積り方法
3-4-1 スポット溶接の基準段取り工数を求める
3-4-2 スポット溶接の段取り工数に関するロット倍率
3-4-3 スポット溶接単価のロット倍率を求める
3-4-4 スポット溶接に関する課題のまとめ
3-5 アーク溶接の設計ルール
3-6 アーク溶接の設計見積り方法
3-6-1 アーク溶接の基準段取り工数を求める
3-6-2 アーク溶接の段取り工数に関するロット倍率
3-6-3 アーク溶接単価のロット倍率を求める
3-6-4 アーク溶接に関する課題のまとめ
3-7 どちらが安いの?スポット溶接とアーク溶接
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

第4章 事例で学ぶ!上方組立/水平組立の知識と設計見積り
4-1 上方組立と水平組立の設計見積り方法
4-1-1 組立標準時間(ST)の考え
4-1-2 組立工数のロット倍率を求める
4-2 事例:文具の穴開けパンチ機から学ぶ組立知識
4-2-1 穴開けパンチ機を分解しよう
4-3 部品の上方組立は設計の基本
4-3-1 上方組立の設計見積り方法
4-4 部品の水平組立はコストアップ
4-5 部品の回転組立は回転テーブルが必要
4-5-1 回転組立の設計見積り方法
4-5-2 事例:中国生産における組立方式(おもちゃの電車)
4-6 EリングとCリングの装着
4-6-1 EリングとCリング装着の設計見積り方法
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

第5章 事例で学ぶ!締結の組立知識と設計見積り
5-1 EリングとCリングの設計知識
5-1-1 EリングとCリングの形状の相違
5-1-2 EリングとCリングの組立実装の相違
5-2 EリングとCリングのコスト(原価)の相違
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

第6章 ベルトとチェーンの組立知識と設計見積り
6-1 ベルトとチェーンの設計知識
6-2 ベルトとチェーンの形状の相違
6-2-1 事例:自動車エンジンルーム内のベルト類
6-2-2 事例:Vリブドベルトの組立設計見積り
6-2-3 事例:プーリ/アイドラ/テンションって何?
6-2-4 事例:タイミングベルトの組立設計見積り
6-2-5 事例:ドイツ車にみるチェーンドライブの組立設計見積り
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

第7章 コイルばねの組立知識と設計見積り
7-1 コイルばね(引張ばねと圧縮ばね)の設計知識
7-1-1 コイルばねの材料知識
7-1-2 コイルばねの加工知識
7-2 事例:ステンレス製圧縮ばねの設計見積り
7-2-1 材料費を求める
7-2-2 加工費を求める
7-3 コイルばねの装着に関する設計見積り方法
7-3-1 引張ばねの装着に関する設計見積り
7-3-2 事例:張力自動調整用の引張ばね装着に関する設計見積り方法
7-3-3 圧縮ばねの装着に関する設計見積り
7-3-4 事例:鉛筆削り器におけるばねの組立見積り
     〈組立/現地力・チェックポイント〉

おわりに
書籍サポートのお知らせ

はじめに

モノづくりで忘れた組立性と現地化

 以下、三つの問題点を掲げたいと思います。
  その一つ目が、「モノづくり」です。
 日本のお家芸と言われた鉄鋼、造船、家電、OA機器類が隣国工業界の急激な躍進で衰退しました。長引く国内不況の中で、このままでは復活できる体力も気力も失ってしまう危機感から、どこからか湧いた言葉が「モノづくり」です。

 「モノづくり、モノづくり」と言われてから久しい年月が経ちますが、「モノづくり」とは「物を作る現場」に向けての掛け声になったようです。
 「物を作る現場」とは、生産現場のことです。たとえば、さらなる効率化を求めた大量生産であり、自動機械による高精度な部品生産、そして、さらなる高品質。これらの主役が生産技術者です。

 一方、企画と設計部門が衰退したままです。それを知っているのは本人たちで、「モノづくり」に相当する掛け声の単語が、相変わらずの「グローバル化」だけ。 実は、これが二つ目の問題です。

日本企業の生産技術は、今でも総合力では世界第一。しかし近年、企画と設計力はドン尻らしいぜぃ。
どうもよぉ、液晶テレビとスマホのあたりから下降線だよなぁ!オメェら、努力してんのかぁ、あん?あのグローバル化はどうしたぁ?

そんなのわかってますよ、厳さん!グローバル化に向けて日夜頑張っていますから。英会話のことですけど……。
そこで、来週は「ワークショップ」なんです。

なんだそりゃ、ワクワク・ショップって?
蚤の市か?あん?……ワクワクしちまうじゃねぇかい!

 ワークショップとは?Web上の辞書などでは、「体験型講座」や「双方向的な学びと創造のスタイル」など、難解な解説が数多くあり、筆者を悩ませます。
 一方、外資系企業においては、海外技術者との技術交流や、共同開発の技術打合せを「ワークショップ」と呼びます。
 もちろん、すべて英語。会議中も、ランチタイムも、そして、ディナー(会議終了後の食事会)も英語、英語、英語……。

そうですよ。
うちの会社では、「TOEIC 650点以上」でないと、課長推薦すらされません。推薦されてから昇格試験なんですよ。

おぉ、なるほど!そういえば、あの衣料品の企業や、ネットショッピングから始まり、今や銀行や旅行会社まで有するあの企業も、課長の昇格試験どころか、全社員の「公用語」が英語らしいなぁ?

 「グローバルで戦うには英語を学ぼう!」……学生は別ですが、今どきこのようなフレーズを発する企業は、相当な時代錯誤かもしれません。

  最後は三つ目の問題、それは、「現地化」。
 もっと詳しく言えば、「現地化設計」です。現地化設計って、一体、何のことでしょうか?例えば、身近な車を例に挙げれば、……

① その国の人々に適合した仕様でよい。
  例:インドでは、ドアミラーはドライバー側に一個あればよい。
  例:サウジアラビアでは、ガソリンが低価格であり燃費は優先しない。
② 信頼性は、始動一発で必ずエンジンがかかればよい。
③ 静粛性よりも低価格であること。

 現地化設計には、企画、設計、調達、製造、検査、保全と各部門が携わってきます。また、現地の文化や慣習、そして、賃率を含む経済力を現地で把握する必要があります。本書における、現地とは国内外の生産現場を意味します。

 実は、ここに大きな問題が潜んでいるのです。

まさお、オメェまさか、現地(現場)へ行ったこともねぇくせして、「現地化、現地化設計」なんて言ってるんじゃねぇだろなぁ?あん?
そんな甘い、職業はよぉ、この世の中にはねぇってもんよ。

げっ、厳さん!
実は、現地へ行ったことは一度もないんです。しかも、現地ってどこですか?品質を下げて安くすることが「現地化」なんですよねぇ?

 グローバル化とは英語?現地化とは品質を下げて安くすること?ちょっと、なさけないまさお君ですね。そこで本書は、狭い範囲ですが下記を提案します。

【コンセプト】
 本書は、工業製品のグローバル化の一つとして、現地化設計を取りあげる。さらに、「組立」とその「設計見積り」に的を絞り、設計職人における現地化のための基礎知識を身につける。現地とは国内外の生産現場を意味する。

【手段】
① 部品組立の設計見積りができるように導く。
② 現地の工賃に適した現地化設計を理解する。
③ 豊富な事例を提供する。

【目標】
 「グローバル化とは英語、現地化とは品質を下げて安くすること」という短絡的な知識から脱却し、簡単な部品の現地化を目で確認し、「高い、安い」の概念を数値で表現できる技術者を目指す。そして、国内外の生産現場も喜ぶ設計を目指す。

2015年9月
筆者:國井良昌

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