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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい生産技術の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07496-7
コード C3034
発行月 2015年12月
ジャンル 経営 ビジネス

内容

売れる製品の開発、量産を視野に入れた工程設計・製造技術の確立、製品の信頼性・耐久性の確保などに大きく関わる「生産技術」について図解詳述。大局的に理解できるよう「生産管理との関わり」「付加価値増大のための方策」「現場で必要とされる事項」をやさしく説き明かす。

坂倉貢司  著者プロフィール

(さかくら こうじ)
1981年、名城大学理工学部機械工学科卒業
トヨタ系自動車部品1次下請メーカーで生産技術部生産技術開発、トヨタ生産方式プロジェクト員、自動車用外装部品設計開発、安全装置設計開発を担当
紡績テキスタイル製造会社で短繊維テキスタイル事業部天然繊維工場勤務。生産技術開発担当、同工場製造部長、生産統括部長、品質保証部長を歴任
自動車部品2次下請メーカーで製品企画Gグループリーダー兼品質保証Gサブグループリーダーを経て本社工場長を務める
プロリンクスKS経営技研合同会社 社長
この間、金属・樹脂・繊維の加工および表面処理技術開発、商品開発設計、品質管理、一貫生産工場の工程管理、生産管理、外注工場管理に携わる
中小企業診断士、繊維製品品質管理士
日本生産管理学会会員 標準化研究学会理事
著書:不良低減 実践現場の管理と改善講座 主筆 日本規格協会

目次

第1章 生産技術の基本を知ろう
1 生産技術とは何か「ねらいの品質を製品に転写する技術」
2 ものづくりと生産技術との関係「付加価値を高める技術」
3 企業の中での生産技術の位置付け「利益を向上させる技術」
4 生産技術の目的とは「ねらいの品質の転写作業と安定化」
5 生産技術はなぜ必要か「基本的な要素技術」
6 生産技術に期待すること「企業活動の効率化」
7 生産技術はどこで使うのか「新製品立ち上げと工程維持管理」
8 生産技術はどのように使うか「行いたいことを可能にする技術」
9 生産技術は誰が行うか「積極的に使えば付加価値が増える」
10 ISOと生産技術の関係「管理の統一化を図る」
11 企業利益と生産技術の関係「ものづくりと利益活動」  

第2章 生産技術の種類を知ろう
12 生産技術の分類「ハードウエアとソフトウエア」
13 生産技術で使う技術には何があるか「ねらいの品質で使い分けよう」
14 トヨタ生産方式とは「ムダ取りの技術」
15 生産方式の種類と生産技術「生産量で決まる生産方式」
16 生産管理と生産技術の関わり「生産技術が支える生産管理」
17 SCMとの関わりを知ろう「情報とものの流れ」

第3章 生産技術の大切な役割を知ろう
18 生産技術の歴史を知ろう「産業革命から現代まで」
19 生産性と生産効率「効率は100%がベスト」
20 ムダの排除「ムダは全工程で考えよう」
21 工数低減へのアプローチ「作業を見直す」
22 自動機・半自動機・手動機の選択はどうする?「製品特性を考えよう」
23 設備効率を考える「ロスの低減を図る」
24 設備導入のステップ「効率・安全・費用対効果の良い設備」

第4章 新製品開発や品質管理との関わりを理解しよう
25 製品の機能特性とは「品質には4つの種類がある」
26 工程計画の立て方「引き合い段階から計画しよう」
27 工程設計の進め方「工程設計も設計である」
28 製品の要求性能「PQCDSMと品質コスト」
29 生産前品質保証体制を構築する「各部門の役割分担を明確にしよう」
30 新製品の立ち上げ方法「仕様決定段階に参画しよう」
31 設備の取扱説明書はどうつくる?「汎用機と専用機で使い分ける」
32 工程の確かさを証明する方法「決定した特性値は確認できること」
33 自工程完結活動に関わろう「自工程の責任を持つ」

第5章 QCDは生産技術力で向上できる
34 QCDとは何か「企業活動の基本行動」
35 生産技術とQCDの関わり「QCDを支える技術」
36 一個流し生産を学ぼう「目で見る管理を使おう」
37 IEの基礎知識「ムダの排除に役立てよう」
38 安全管理は大事「労働安全衛生法の遵守は最低条件」
39 目で見る管理も大切「生産の見える化をしよう」
40 5Sは生産技術でも基本「5Sはすべての管理の基本」
41 段取りは外段取りとシングル段取り「段取り時間を短縮する」
42 TOCを学ぼう「制約条件の理論とは」
43 不良低減は生産技術が深く関わること「設計段階で不良の芽が出る」
44 リードタイムの短縮は生産技術力が必要「企業の総合力と生産技術力が問われる」

第6章 他社に勝てる生産技術力を磨こう
45 固有技術とは何か「企業のめしのタネ」
46 基礎技術開発力はどのようにする?「固有技術は基礎技術の上にできる」
47 工程で品質をつくり込む「工程で場当たり的にしてはいけない」
48 失敗事例に学ぶ「失敗は貴重なデータの宝庫」
49 ノウハウの蓄積方法「人と仕組みを工夫する」
50 マニュアル化・標準化で知恵を共有「PDCAでレベルを上げよう」
51 VE・VAは生産技術力を向上させる「機能と価値を考える」
52 人を育てる「技術者は広く関心を持つ」
53 技術者を育てる「スキルマップの活用」

第7章 クレームやリコールを防ぐ生産技術の役割
54 チョコ停対策はなぜ必要か「品質不良が隠されていないか確認しよう」
55 自働化を推進しよう「品質の安定に活用」
56 稼働率と可動率の違い「使いたいときに使えないと困る」
57 技術レベル合わせの必要性「標準類の整備を行う」
58 海外工場への技術移転「製品品質特性区分表の整備」
59 海外工場の特性を知ろう「国内工場の常識は通じない」
60 設備管理を学ぼう「設備計画と設備保全」
61 量産工程の監査を行おう「監査の目的は仮説の検証」

第8章 これからの生産技術をつくり育てる
62 技術革新に積極的についていく方法「市場の動向を見極めてテーマを計画的に進めよう」
63 カタログ技術者にはならない「他社との競合に打ち勝つための心がけ」
64 設備中計は必要「技術中計の具体的な計画案」
65 インダストリー4・0とは「第4次産業革命の概要」
66 Internet of Things(IoT)とは「これからの生産技術の形態」

コラム
●絵に描いた餅を餅にする技術
●作業者も考えるラインをつくる
●生産性か人間性か?
●優秀なデザイナーは生産技術を考える
●生産技術者は大風呂敷を広げて自分を追い込む
●“プロジェクトX”は大げさなことではない
●開発設計担当者、デザイナー、品質管理担当者とは仲良く喧嘩しよう
●日本の製造業を守る立場の生産技術

参考文献
索引

はじめに

 ものづくりを尊ぶ時代の流れの中で、生産技術はそんなものづくりに欠かせない技術として認識されています。すでに30年以上も前のことですが、記録媒体としてC型磁気カセットと対応機器が発売され普及しました。次いで、ポケットに入る大きさの再生機が庶民でも購入できる価格で発売され、音楽がいつでもどこでも楽しめる時代が到来しました。まさにパーソナル空間が持ち運べる時代が来たと言えます。ここまでコンパクトな大きさにまとめることができた製品開発力と生産技術力に、当時驚いた覚えがあります。
 製品開発を行う上で、製造技術の確立と市場が受け入れる価格への落とし込み、耐久性の確保は重要な課題になりました。それとともに先行者利得、つまり最初に上市された画期的な新製品はデファクトスタンダード(実質的な標準規格)になる可能性が高く、市場での展開が有利となることから市場投入が急がれるようになりました。しかし、ヒットすれば大量受注への生産方法も課題となり、利益も確保しなければなりません。
 このように、ものづくりとは市場の要求や期待値を出発点とし、付加価値を増大させた“ものやサービスを提供する”ことを意味するようになりました。単にものをつくる作業や工程の工夫だけで済む時代ではなくなり、もはや企業全体の総力戦となっているのです。戦略を立て、戦術を展開し、それらが実行できるツールを準備して取り掛かります。そして、計画に過誤があれば修正していきます。
 JIS Z 8141:2001生産管理用語では、生産システムの中にMRPシステム、JITシステム、生産技術・情報システム、環境対応生産システムという言葉が並び、生産技術の項にはCIM、CAE、SCMなど生産管理の中で共通的に使われる技術用語が紹介されています。生産技術とは、生産管理システムに関わる技術なのか、設計支援システムなのか、製造技術なのか――。これからものづくりに携わり生産技術を取得しようとする初学者にとっては、いったいどんな技術なのか漠然としているという見方があることでしょう。
 従来の生産技術に関する書籍は、技術システムの細部の解説に紙数を多く割いています。それに比べて、本書はものづくりに関わる生産技術を大局的に理解できるように配慮しています。構成は次のようになっています。
 第1章と第2章は生産技術の基本として、ものづくりの中での立ち位置と生産管理との関係を説明します。第3章は、生産技術のこの間の歴史や生産技術担当として知っておきたいこと、また第4・5章ではものづくりの現場で生産技術を活用する際の基本事項を紹介しています。
 第6章では、生産技術ノウハウの構築と蓄積について触れます。いくら生産技術の時代と謳われていても、レベルアップの取り組みが実効しなければ、かけ声倒れに終わってしまいます。第7章は近年、この分野でつまずく企業が後を絶たない現状を踏まえ、見落とし事項がないか注意を促すつもりで記述しました。最後に、第8章では生産技術の時代にふさわしい技術者になっていただきたいとの願いを述べています。
 日本はこれまで生産技術力で他国を圧倒してきました。しかし、IT技術の開発やシステムの再構築の段になって、日本のものづくり基盤は揺らいでいます。競争相手は狭い市場のコンペティターではなく、海外に生産場所を構えるメーカーや異業種メーカーで、先進各国は生産技術の革新を国レベルで行おうとしています。そのような流れも本書で理解してもらいたいと考えています。生産技術という、当たり前で誰もが知っている用語で、しかもあいまいで総括しにくい技術のご理解の一助になることを願っています。
 本書の執筆に当たり、貴重な機会を与えていただいた日刊工業新聞社の編集担当各位、日本生産管理学会、標準化研究学会各位、参考にさせていただいた文献や書籍、ならびに実務資料の提供をいただいた株式会社セキデン殿に感謝を申し上げます。

2015年11月
著 者

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