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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい油圧の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07482-0
コード C3034
発行月 2015年11月
ジャンル ビジネス 機械

内容

動力伝達システムとして使われている「油圧」。直接目に触れる機会が少なく、一般にはあまり知られていない存在だが、自動車や航空機、船舶、工作機械など、私たちの生活を支える機械に導入されている。また、機械の自動化や省人化に不可欠な存在だ。本書は、油圧の基礎から応用、関連機器まで捉え、独学で油圧の概要をマスターできる入門書。

渋谷文昭  著者プロフィール

(しぶや・ふみあき)

1950年5月9日埼玉県生まれ。1973年3月東京電機大学工学部精密機械工学科を卒業し、同年4月(株)東京計器に入社。以来、現在まで油圧システムの設計業務に携わる。

現在の油圧業界での活動
日本フルードパワーシステム学会フェロー、中央職業能力開発協会中央技能検定委員、日本フルードパワー工業会油圧システム分科会主査およびISO/TC131日本代表エキスパート

著書
『実用油圧ポケットブック』共著、日本フルードパワー工業会
『フルードパワーの世界 追補版』共著、日本フルードパワー工業会
『油圧機器べからず集』共著、(株)JIPMソリューション
『油圧基幹技術?伝承と活用』共著、日本フルードパワーシステム学会
その他、雑誌多数

目次

はじめに

第1章 油圧ってなに?
1 油圧の基本原理「液体による動力伝達」
2 油圧装置とは?「パスカルの原理にポンプと方向切換弁を加える」
3 油圧装置の長所「動力伝達を容易にする」
4 油圧装置の短所「外部の影響によって油圧の能力が変化」
5 油圧装置の基本構成「油圧装置は五つの機能に分類できる」
6 油タンク「大気開放形タンクの基本構造」
7 配管「油漏れを防止する配管施工の基本事項」
8 フィルタ「作動油の清浄に必要なろ過」
9 クーラ「適切な油温を維持する冷却装置」
10 シール「油圧装置からの油漏れをなくす重要部品」
11 水圧、空気圧との特性比較「それぞれに一長一短がある」

第2章 作動油の役割
12 作動油の役割「油圧機能を発揮させる補佐役」
13 粘性は漏れ防止の重要なポイント「しゅう動部分をシールする」
14 しゅう動部分の摩耗を抑える潤滑性「金属同士の接触を減らす」
15 液体を媒体とした動力伝達「非圧縮性の作動油でも無視できない場合がある」
16 油圧機器の冷却「機器の不具合を防ぐ」

第3章 流れの法則
17 SI単位「基準となる物理量の国際単位」
18 圧力「物体の面を押す力」
19 流量と流速「実務的には流れを定常流として扱う」
20 動力(パワー)「制御システムのエネルギー効率を比較する基準量」
21 ベルヌーイの定理「エネルギー保存の法則として実用性が高い」
22 層流と乱流「流れの状態はレイノルズ数で知ることができる」
23 管路の圧力損失「同じ流速でも分岐管部分の圧力損失は大きい」
24 すき間流れ「油圧機器の性能を支える重要な流れ」
25 オリフィスとチョーク「油圧機器の動作に重要な絞り機能」

第4章 油圧機器の仕組み
26 油圧機器の歴史「石油精製法の発展とともに水圧から油圧へ」
27 油圧ポンプの分類と特性「ポンプの特徴と主要な用途分野」
28 ピストンポンプの仕組み「斜板式定容量形ピストンポンプ」
29 ピストンポンプ可変容量の仕組み「可変容量形ポンプ」
30 ギヤポンプの仕組みと特徴「部品点数が少なく、構造が簡単」
31 ベーンポンプの仕組みと特徴「軸受に負荷が掛からない平衡形」
32 圧力制御弁の分類と特性「ばね力でバランスさせる構造」
33 リリーフ弁の構造と仕組み「最も基本的なのが直動形」
34 直動形圧力制御弁の仕組み「直動形圧力制御弁の構造と特性」
35 減圧弁の仕組み「最も汎用的な2次側圧力一定形」
36 流量制御弁の分類と特性「基本的な機能は三つ」
37 流量調整弁の仕組み「基本は圧力補償形フローコントロール弁」
38 方向制御弁の分類と特性「アクチュエータの方向を制御するバルブの総称」
39 チェック弁とパイロット操作チェック弁「油を流す方向によって使い分ける」
40 電磁弁の分類と構造「油圧機器に最も使われるバルブ」
41 比例制御弁の仕組み「電子的に遠隔操作可能」
42 積層弁とカートリッジ弁、マルチ弁の構造と特徴「工作機械、建設機械など幅広い分野で利用されている」
43 サーボ弁の仕組みと特徴「電気油圧サーボ機構の中で最も重要」
44 アキュムレータの構造と仕組み「油エネルギーを蓄積する圧力容器」
45 アクチュエータの分類と特性「流体エネルギーを機械的エネルギーに変換」
46 油圧モータの仕組みと特徴「油圧ポンプとは作動特性が大いに異なる」
47 シリンダの構造と仕組み「手足を動かす筋肉に相当する機構」

第5章 基本回路を知ろう
48 油圧回路とは?「図記号を使って油圧制御システムを表す」
49 図記号とは?「油圧システムと油圧機器の機能を表す」
50 基本油圧回路の種類と分類「基本回路の理解が油圧の理解」
51 アンロード回路「ポンプ吐出油を最小圧力で油タンクに戻す回路」
52 圧力制御回路(1)「リリーフ弁のベント圧制御は多段圧力制御の基本」
53 圧力制御回路(2)「縦型シリンダに背圧を掛ける基本回路」
54 圧力制御回路(3)「反転負荷に背圧を掛ける基本回路」
55 速度制御回路(1)「スタートショックの小さいメータイン制御」
56 速度制御回路(2)「制御性のよいメータアウト制御」
57 速度制御回路(3)「エネルギー損失の小さいブリードオフ制御」
58 閉回路「戻り油をポンプの吸込口に直接接続する回路」
59 省エネルギー回路(1)「代表的な省エネの基本回路と特性」
60 省エネルギー回路(2)「電気ダイレクト制御方式と回転速度制御方式」

第6章 活躍する油圧システム
61 快適性が求められる自動車「滑らかなハンドルさばきに貢献」
62 信頼性に応える油圧ショベル「世界に認められた制御性と省エネ性」
63 海での大役を担う船舶「最も効率的な大量移送手段を後押し」
64 安全な空の旅をかなえる航空機「飛行を支える信頼性が必須」
65 工作機械の代表NC旋盤「ワークを固定し高精度加工を実現」
66 大きさは最大5万t油圧プレス「小さな動力で巨大な力を発揮」
67 スピードが大切ダイカストマシン「瞬間的な大きな力が必要」
68 油圧が支える射出成形機「一連の工程で大活躍」


【コラム】
●洋上発電に採用! 大型油圧式風車が誕生
●スラッジ発生の原因はポンプ圧力?
●水から学ぶ網目状管路網の流れ
●ISO規格化に先行する日本の取り組み
●コンピュータで簡単に油圧システムの動特性が分かる
●油圧機器の統計から見える傾向

はじめに

 本書は初心者を対象とした油圧の入門書です。油圧は動力伝達システムとしてあらゆるところで使われていますが、直接目に触れる機会が少なく一般に知られていません。そこで、油圧の世界を知っていただきたいと思いまとめました。独学で油圧の概要をマスターできることに注力し、次の構成としました。
 1章「油圧ってなに?」では、油圧は液体を使い動力を伝達する装置であり、機械の自動化や省人化に使われるもので、油圧の原理、油圧装置の構成、油圧の長所と短所および水圧・空気圧との特性の違いを説明しています。
 2章は動力伝達の媒体である作動油を取り上げています。作動油の四つの役割である油圧機器のしゅう動部分の漏れ防止、同じく油圧機器のしゅう動部分の潤滑、油動力の伝達および油圧機器の冷却について要点を示しています。
 3章は流れの法則を取り上げています。液体の流れを理解しやすいように、すべて定常流れとして扱っています。また、冒頭に速度や圧力などの基準量で現在使われている国際単位系のSI単位を示し、その後の説明が理解しやすいようにしています。
 4章は油圧機器の仕組みとして、代表的な油圧機器を取り上げています。油圧システムを理解する基本は油圧機器の作動原理と特性を知ることですが、入門書としてここでは各油圧機器の作動原理の説明に注力しました。
 5章は油圧の基本回路です。初心者にとって油圧回路を理解するのは難しいと思いますが、油圧回路は油圧システムを表現するのに便利なツールであり、あえて取り上げています。まず、油圧回路の概要とその中で使用する「図記号」について説明しました。その後に、油圧回路を理解しやすくするため、基本回路の全体を網羅するのではなく最も基本的な回路を絞り込み、それについて油圧機器の内部構造を用いた回路で表現して、油圧回路の動作原理がマスターしやすいように注力しました。
 6章は現在油圧が使われている代表的な応用例を取り上げました。油圧は縁の下の力持ちとして部品の製造ラインによく使われていますが、ここでは主に自動車、船舶、航空機など皆さんがよく目にされるものを取り上げました。
 全体を通じて、初心者に「油圧とは何か?」を伝え、油圧の世界に興味を持っていただければと思いながらまとめてみました。読者のご参考になれば大変うれしく思います。
 また、出版にあたり、大変ご配慮くださった日刊工業新聞社の野﨑伸一様、土坂裕子様をはじめ関係者の方々に深く感謝いたします。

2015年11月
渋谷 文昭 

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