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きちんと知りたい!
自動車エンジンの基礎知識

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07468-4
コード C3053
発行月 2015年10月
ジャンル 機械

内容

『きちんと知りたい!自動車メカニズムの基礎知識』、『きちんと知りたい!バイクメカニズムの基礎知識』に続くメカニズムを丁寧に解説する好評技術書「きちんと知りたい!」シリーズ第3弾。シリーズのコンセプト「より多くの図・イラストを用いて丁寧に解説する」を踏襲。基本メカニズムの「なぜそうなるのか?」という理屈の部分を中心に、図・イラストで段階的に解説するとともに、「燃費の向上とダウンサイジング」「ガソリン以外のエンジンと新世代の動力源」についても取り上げている。

飯嶋洋治  著者プロフィール

(いいじま ようじ)
1965年東京生まれ。学生時代より参加型モータースポーツ誌『スピードマインド』の編集に携わる。同誌編集部員から編集長を経て、2000年よりフリーランス・ライターとして活動を開始。カーメンテナンス、チューニング、ドライビングテクニックの解説などを中心に自動車雑誌、ウェブサイトで執筆を行っている。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。
◎著書:『モータースポーツ入門』『ランサーエボリューションⅠ~Ⅹ』『モータリゼーションと自動車雑誌の研究』『モータースポーツのためのチューニング入門』(以上グランプリ出版)、『スバル サンバー』(三樹書房)ほか。

目次

はじめに  

第1章 エンジンとクルマの関係
1. エンジンに関わる基礎知識
1-1 エンジンを含めたクルマの全体像  
1-2 エンジンの動作原理と役割  
1-3 エンジンの搭載位置と駆動方式  
1-4 トルクと出力(馬力)の違い  
COLUMN1 スポーツカーはMRが定番なのに、なぜポルシェはRR?  

第2章 動力を生み出すエンジンの中心部
1. 4サイクルエンジンの種類と動き
1-1 乗用車用エンジンの種類  
1-2 4サイクルエンジンの動作  
1-3 レシプロエンジンの種類  
1-4 直列エンジン、V型エンジンの特徴  
1-5 多気筒エンジンのメリット・デメリット  
2. エンジンの基本的な構造
2-1 4サイクルエンジンを構成するパーツ  
2-2 シリンダーヘッドの構造  
2-3 シリンダーブロックの構造  
2-4 燃焼室の構造  
2-5 圧縮比とノッキングの問題  
2-6 エンジンの大きさを決めるもの  
2-7 ロングストロークとショートストローク  
3. ピストンとそれをパワーに変える周辺パーツ
3-1 ピストン運動(上下運動)から回転運動へ  
3-2 ピストンの工夫  
3-3 オフセットピストンの効果  
3-4 ピストンリングの必要性  
3-5 フライホイールとバランスウェイトの役割  
COLUMN2  進化した燃料噴射装置でディーゼルとガソリンを近づける? 

第3章 性能に直結するエンジンの心臓部
1. 吸排気バルブの役割
1-1 吸排気バルブのしくみ  
1-2 バルブスプリングの工夫  
1-3 2バルブと4バルブの違い  
1-4 カムの形状とカムリフト量  
2. 吸排気バルブの駆動方式
2-1 カムシャフトが回転する理由  
2-2 バルブ駆動方式の種類(その1)  
2-3 バルブ駆動方式の種類(その2)  
3. 吸排気バルブの動きとエンジン性能
3-1 バルブタイミングの重要性  
3-2 可変動弁システムの進化(その1)  
3-3 可変動弁システムの進化(その2)  
3-4 ポンピングロスの影響  
COLUMN3  わかるようでわからない?
DOHCエンジンとOHCエンジンの差  

第4章 エンジンを呼吸させる吸排気システム
1. エンジンの呼吸を受け持つ吸排気システム
1-1 空気をエンジンに取り入れるしくみ  
1-2 インテークマニホールドの工夫  
1-3 可変吸気システムの効果  
1-4 アクセルを踏むとエンジン回転が上がる理由  
1-5 電子制御スロットルの効果  
1-6 排気の経路(排気バルブからマフラーへの流れ)  
1-7 排気ガスによる大気汚染を防ぐための工夫  
2. 肺活量を飛躍的に大きくできるターボチャージャー
2-1 ターボでパワーが出る理由  
2-2 インタークーラーの効用  
COLUMN4 意外と手軽にできる? 吸排気効率のアップ  

第5章 動力の元となる燃料に関連するシステム
1. エンジンへの燃料供給システム
1-1 燃料供給装置の役割としくみ  
1-2 混合気と理論空燃比  
2. シリンダー内への燃料噴射
2-1 キャブレターの役割としくみ  
2-2 燃料噴射装置(インジェクション)の役割  
2-3 電子制御式インジェクションの制御  
2-4 燃料を噴射するインジェクターのしくみ  
2-5 運転状況に応じた燃料噴射量  
COLUMN5  “キャブレターからインジェクション”が若者のクルマ離れの元凶? 

第6章 エンジンの生命線・電気システムと点火システム
1. 燃焼のきっかけをつくる電装系
1-1 電気システムの役割  
1-2 始動装置の役割  
1-3 発電と充電のしくみ  
2. 良い火花をタイミングよく点火するシステム
2-1 点火システムの流れ  
2-2 点火に必要な電圧(自己誘導作用と相互誘導作用)  
2-3 点火のしくみ(ポイント式とフルトラ式)  
2-4 ダイレクトイグニッション  
2-5 スパークプラグの構造  
2-6 点火時期と進角  
COLUMN6  プラグ端子がなくなった! 意外と高くつく
スパークプラグのトラブル  

第7章 エンジンパワーの損失を防ぐための潤滑系・冷却系
1. エンジンを守る潤滑システム
1-1 エンジンオイルの必要性  
1-2 エンジンオイルの供給  
1-3 エンジンオイルの分類  
2. エンジンを適正な温度に保つ冷却システム
2-1 ラジエターと電動ファンの必要性  
2-2 エンジンを冷却するしくみ  
2-3 オーバーヒートの原因と対処法  
COLUMN7 場合によって対処法が異なるオーバーヒート  

第8章 燃費の向上と小型軽量化(ダウンサイジング)
1. 環境に配慮したガソリンエンジンの工夫
1-1 リーンバーンエンジン  
1-2 オットーサイクルとミラーサイクル(アトキンソンサイクル)  
1-3 筒内直接噴射方式  
1-4 アイドリングストップ  
1-5 小型軽量化することのメリット  
1-6 エンジンに必要な要素  
COLUMN8  大きさというステイタスからの脱却
ダウンサイジングという現在の潮流  

第9章 ガソリン以外のエンジンと新世代の動力源
1. ガソリンエンジンだけではない、エンジンの新トレンド
1-1 ディーゼルエンジンの特徴  
1-2 進化したディーゼルエンジン  
1-3 ディーゼルターボのメリット  
1-4 ハイブリッドエンジン  
1-5 EV(電気自動車:充電式、燃料電池式)  
COLUMN9 水素を燃料とするFCVは究極のエコカー?  

索引  
参考文献  

はじめに

 自動車のエンジンというのは、特に一定の世代にとっては憧れの対象であったように思います。DOHC、ターボはもちろん、キャブレターの時代を知っている人ならば、ソレックス、ウェーバーなどの単語を見たり聞いたりしただけでワクワクした経験があるのではないでしょうか? いわゆる「スーパーカーブーム世代」ではV型12気筒、時速300 kmオーバーというのはひとつのキーワードだったように思います。
 私的なことですが、実家が自動車修理工場を営んでいたということもあり、私は同世代の人間に比べると比較的幼い頃から、自動車に興味を持ったように思います。工場にあるクルマのエンジンルームを覗いては、日産スカイラインのL20の直列6気筒エンジンやトヨタセリカのDOHC、2T―Gエンジンなどを見て、心をときめかせていたことを思い出します。

◎エンジンはパワーがあれば良い時代から環境を考えたものに変容した 
 一方で1970年代からはじまる排気ガス規制によって、それまでパワーを競争していたエンジンが環境に配慮するようになり、パワーがなくなったなどと当時の大人が嘆くのを聞き、子ども心に寂しい気持ちがしたことを覚えています。
 私が免許証を取得する頃になると、すでにキャブレターは姿を消しつつあり、インジェクションの時代に入っていました。とはいっても、若葉マークで乗っていたクルマにはソレックスのツインキャブが装着されており、エンジン始動時に「かぶらない」ように緊張を強いられたものです。ある意味牧歌的な時代とも言えるでしょう。また、後に乗ったインジェクション車はあまりにも気を使うことがなさすぎて、物足りなさも感じたものです。
 時代が下って1990年代に入ると、それまでのCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOX(窒素炭化物)の問題だけではなく、CO2(二酸化炭素)の排出量が問題となってきました。気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議)で京都議定書が採択されるなど、地球温暖化への対策が喫緊の課題となるにつれて、自動車メーカーが燃費の向上に技術力を集結させるようになります。
 リーンバーンエンジン、筒内直噴の成層燃焼などが脚光を浴び、トヨタとホンダがエンジンとモーターのハイブリッドエンジンを市場に投入してくるようになるなど、エンジンへの興味はマニアの趣味的なものから、地球環境全体を見据えた社会的なものへと変容していったように思います。それは時代の要請に応じた必然的なものだったとも言えるでしょう。
◎難しそうなエンジンも基本の部分は普遍
 本書では、専門知識がないと理解しづらいと思われがちなエンジンについて、なるべく平易に解説することを試みました。特に近年のエンジンはいろいろな新しい専門用語を用いて解説されることが多く、とっつきにくいイメージがありますが、基本は昔のエンジンと何ら変わることはありません。
 ハイブリッド、ダウンサイジングエンジンなども、その理屈から考えれば、それほど難解なものではないとご理解いただけるのではないかと思います。
 基本からエンジンを知ることにより、最新の技術にも興味を持っていただき、「クルマって面白い」「エンジンって面白い」と思ってくれる方が一人でも増えることを著者として願ってやみません。

2015年10月吉日 
飯嶋洋治 

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