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ノイズ対策は基本式を理解すれば必ずできる!

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07459-2
コード C3054
発行月 2015年09月
ジャンル 電気・電子

内容

実務に際してのノイズ対策は、いろいろなトラブル現象に応じて、後付で対応することが多い。ところが、設計者がノイズに強い設計を行う場合は、ノイズ源(特定回路)、伝搬経路、受信部ともに、すべてEMCの基本式である<Vn=(L-M)dI/dt>に従って設計する。この式、そしてそれぞれのパラメータを丁寧に解説するとともに、それを使って、あらゆるノイズ現象、ノイズ対策回路、そして対策事例を紹介する。

鈴木茂夫  著者プロフィール

(すずき しげお)
1976年 東京理科大学 工学部 電気工学科卒業
フジノン(株)を経て(有)イーエスティー代表取締役
技術士(電気電子/総合技術監理部門)
【業務】
・EMC技術等の支援、技術者教育
Eメール rd5s-szk@asahi-net.or.jp
【著書】
「EMCと基礎技術」(工学図書)、「主要EC指令とCEマーキング」(工学図書)、「Q&A EMCと基礎技術」(工学図書)、「CCDと応用技術」(工学図書)、「技術士合格解答例(電気電子・情報)」(共著、テクノ)、「環境影響評価と環境マネージメントシステムの構築―ISO14001―」(工学図書)、「実践ISO14001審査登録取得のすすめ方」(共著、同友館)、「技術者のためのISO14001―環境適合性設計のためのシステム構築」(工学図書)、「実践Q&A環境マネジメントシステム困った時の120例」(共著、アーバンプロデュース)、「ISO統合マネジメントシステム構築の進め方―ISO9001/ISO14001/OHSAS18001」(日刊工業新聞社)、「電子技術者のための高周波設計の基礎と勘どころ」(日刊工業新聞社)、「電子技術者のためのノイズ対策の基礎と勘どころ」(日刊工業新聞社、台湾全華科技図書翻訳出版)、「わかりやすいリスクの見方・分析の実際」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい高周波技術入門」(日刊工業新聞社、台湾建興文化事業有限公司翻訳出版)、「わかりやすいCCD/CMOSカメラ信号処理技術入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい高周波技術実務入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすいアナログ・デジタル混在回路のノイズ対策実務入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい生産現場のノイズ対策技術入門」(日刊工業新聞社)、「読むだけで力がつくノイズ対策再入門」(日刊工業新聞社)、「ノイズ対策のための電磁気学再入門」(日刊工業新聞社)、「デジタル回路のEMC設計技術入門」(日刊工業新聞社)、「トコトンやさしいEMCとノイズ対策の本」(日刊工業新聞社)

目次

第1章 EMC基本式とエネルギー保存の法則によりEMC技術を考える
1.1 EMC基本式Vn=(L-M)・dI/dtの概要
1.2 回路を構成する基本要素はすべてEMC性能に影響する
1.3 波形の立上り、立下りの変化は入力電力となる
1.4 エネルギー保存の法則からEMCを考える
1.5 EM(Iエミッション)の規制はノイズ電力の大きさで規制されている
1.6 電磁波の発生と受信に関する基本法則
1.7 空間と回路内部の等価性(EMC基本式Vn=(L-M)・dI/dt)
1.8 逆起電力は反作用、力学と電磁気のパラメータ及び波形

第2章 抵抗R、キャパシタンスC、インダクタンスLがEMCに与える影響
2.1 抵抗Rはエネルギー吸収源
2.2 オームの法則を電界Eと電流密度Jで表す
2.3 抵抗RとEMCの関係
2.4 インダクタンス(磁力線の発生効率)の定義
2.5 自己インダクタンスと相互インダクタンス
2.6 ループインダクタンスとは
2.7 コモンモード電流に対するインダクタンスの作用
28 インダクタンスがEMCに及ぼす影響
2.9 キャパシタンスの定義と変位電流
2.10 キャパシタがEMCに及ぼす影響

第3章 共振現象がEMC性能に与える影響
3.1 LC直列共振回路の振動波形
3.2 LC並列共振回路の振動波形
3.3 共振による2つのタイプのアンテナができる
3.4 伝送路の特性インピーダンスと反射
3.5 伝送路が直列共振と並列共振を起こすとき
3.6 共振によるループアンテナとモノポールアンテナの強度
3.7 力学の共振現象と電気的共振現象

第4章 EMCの基本式はVn=(L-M)・dI/dt
4.1 電子回路の基本式はV=I・Z
4.2 EMCの基本式はVn=(L-M)・dI/dt
4.3 特性インピーダンスをもった伝送路の逆起電力(コモンモードノイズ源)
4.4 EMC基本式に基づいた技術の考え方
4.5 インダクタンスによる逆起電力が電子機器のアンテナ構造を作る
4.6 EMC基本式に基づくノイズ伝搬経路への対策
4.7 EMC基本式をイミュニティに適用する
4.8 EMC基本式Vn=(L-M)・dI/dtに基づくノイズ対策の要点

第5章 電磁波はどこからどのようにして放射されるのか
5.1 電子回路を作るとループアンテナとモノポールアンテナができる
5.2 アンテナに流れる電流の分布(定在波)
5.3 理想アンテナとプリント基板上のアンテナの違い
5.4 電磁波はどこから放射されるのか
5.5 クロック波形と電磁波の形
5.6 基本アンテナの放射電界強度
5.7 アンテナからの放射強度を下げる方法
5.8 スロットアンテナからの放射
5.9 放射(エミッション)は波形の形、受信(イミュニティ)は周波数選択

第6章 回路の基礎となる電源・GND、(L-M)の最小化
6.1 電源・GNDは2次元に伝搬する波の伝送路である
6.2 電源・GNDプレーンに関する3つの特性
6.3 電源・GNDプレーンの共振
6.4 2次元から1次元の電源・GNDプレーン構造にする
6.5 電源変動によってループに発生する逆起電力
6.6 電源分配システムにおけるターゲットインピーダンス
6.7 デカップリングキャパシタの性能を上げる方法
6.8 電源・GND回路の電流源
6.9 電源パターンのループインダクタンスを最小にする
6.10 電源・GNDプレーンの共振周波数

第7章 EMC基本式に基づいた、部品の選定・実装、配線、レイアウト、コネクタ配置
7.1 EMC性能に影響を及ぼすデジタルICの特性
7.2 抵抗R、インダクタL、キャパシタCのループインダクタンスを最小にする実装
7.3 配線のループインダクタンスを最小にする
7.4 ループインダクタンスを最小にすればクロストークも最小となる
7.5 ループインダクタンスを最小にするコネクタ配置
7.6 スリットがあるとループインダクタンスは大きくなる
7.7 コモンモードノイズ源の低減と電磁波の閉じ込め
7.8 ループインダクタンスを最小にするシールド

第8章 差動信号伝送とEMC
8.1 差動信号とコモンモード電圧に対するインピーダンス
8.2 配線の構造による差動インピーダンス
8.3 結合度合いによるリターン電流の重なり
8.4 コモンモードノイズ電圧が発生するとき
8.5 シールド付ツイストペアケーブルがコモンモードノイズに強い理由
8.6 シールドなしツイストペアケーブルのコモンモード電流による放射強度
8.7 相互キャパシタンス結合による差動性能への影響

第9章 EMC基本式Vn=(L-M)・dI/dtに基づいたノイズ対策のポイント
9.1 エミッションとイミュニティのモデル
9.2 EMC基本式に基づいた考え方
9.3 信号回路のノイズ対策
9.4 電源回路のノイズ対策
9.5 アナログ・デジタル混在回路のノイズとその対策
9.6 微弱信号回路のノイズ対策
9.7 インバータ機器のノイズ対策
9.8 モータ駆動回路のノイズ対策
9.9 スイッチング電源のノイズ対策
9.10 ケーブルのノイズ対策
9.11 配線系のノイズ対策
9.12 PCBとシステムGND(筐体)のノイズ対策
9.13 静電気ノイズ対策
9.14 電源ライン伝導ノイズ対策
9.15 雷サージノイズ対策

第10章 補  足
10.1 さまざまな形状のインダクタンスとキャパシタンス
10.2 ノーマルモード電流が流れる配線から距離rにおける電界Eの計算
10.3 EMC基本式=回路の周囲長×電界(Vn=(L-M)・dI/dt=E・l)
10.4 EMC基本式は共振を示す
10.5 アンテナの実効長の計算式(λ/4、λ/2アンテナ)

参考文献
索  引

はじめに

 製品に関するEMC(電磁環境適合性)規制は従来に比べて規制される周波数領域は高くなり、そのハードルは高くなる一方です。電子・電気製品機能の高度化、多機能化によって電子回路が高速になり、その結果、高周波電力は大きくなりノイズが放射しやすく、また低電圧動作のためノイズの影響を敏感に受けやすくなっている。製品からノイズを放射しない電子機器でも機器が置かれる環境ではノイズの影響を受ける可能性が十分にあり、このような機器もエミッション(EMI)と等価なイミュニティ技術を駆使しないと製品が意図した機能を発揮することができなくなってしまいます。
 本文は第1章から第10章で構成されていますが、本書の中心はEMC基本式に基づいて設計・ノイズ対策をするときの重要ポイントを述べているのが特徴です。第1章はEMCに関する基本原則、EMC基本式について求めそれぞれのパラメータから何をすればよいか考えられるような基礎指針。第2章では回路の基本素子(部品、分布定数)である抵抗、キャパシタ、インダクタそれぞれがEMCに与える影響を述べ、EMC性能をよくするための考え方。
 第3章は電子機器内部で回路はもとよりインダクタンスLとキャパシタンスCによる共振現象とそれによるEMCへの影響、その影響を緩和する方法。第4章ではEMCの基本式の成立とその考え方、技術対策への適用。第5章は電磁波の発生、アンテナモデル、電磁波の形、アンテナの種類とアンテナからの放射強度、アンテナからの放射強度を下げるためには何をすればよいか。第6章は回路の土台となる最も重要な電源・GNDについてループインダクタンスを最小にする方法、電源・GNDプレーンの共振現象及びその影響を低減する方法。第7章はEMC基本式に従って部品の選定から配線、PCBへの実装、レイアウト、コネクタ配置の最適化の基本的な考え方。第8章はEMCの分野で使用される差動信号伝送方式とEMC特性の関係、差動信号伝送方式からコモンモードノイズの発生メカニズム、配線構造による差動性能への影響など。第9章はEMC基本式に基づいてノイズ対策のポイントを解説しています。
 こうした内容によりEMC技術全般について理解できるよう平易に解説しているので、基礎原理を基に実務でも応用できるように配慮しています。広くノイズ対策の業務(設計、評価、対策など)に従事される又は、これから従事される方のために参考にしていただけるよう配慮しました。
 読者の皆様方の業務に本書が少しでもお役に立てれば幸いであると願っております。
 最後に本書をまとめるにあたり、原稿の校正、注意点等有益なご指導をいただきました日刊工業出版プロダクション 北川 元氏並びに出版局書籍編集部 部長 鈴木 徹氏に心から感謝いたします。

2015年8月 鈴木 茂夫

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