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食品衛生7Sで実現する!
異物混入対策とフードディフェンス

定価(税込)  2,376円

監修
監修
編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07452-3
コード C3034
発行月 2015年08月
ジャンル 生産管理

内容

意図せずに異物が混入してしまう異物混入、そして悪意をもって異物を混入させるフードテロ、この2つは今、食品製造業で大きな問題となっている。そこで本書は、食品衛生7Sを実行することで実現できる異物混入対策とフードディフェンスの具体的なやり方をわかりやすく解説する。

米虫節夫  著者プロフィール

(こめむし さだを)〈監修・第3章〉

大阪市立大学大学院工学研究科 客員教授、食品安全ネットワーク 最高顧問(前会長)、大阪大学大学院発酵工学専攻博士課程中途退学、大阪大学 薬学部助手、近畿大学農学部講師、助教授、教授をへて定年退職

(一財)日本規格協会、(一財)日本科学技術連盟などの品質管理、実験計画法などの講師・運営委員など担当、「デミング賞委員会」元委員、日本防菌防黴学会 評議員、理事、会長、などを歴任、現在、顧問。日本ブドウワイン学会 編集委員長、評議員、理事などを歴任、現在 顧問・名誉会員。「環境管理技術」誌、「食生活研究」誌 編集委員長。日経品質管理文献賞受賞(1977、2000、2006、2011)


細谷克也、米虫節夫、角野久史、冨島邦雄監修「HACCP実践講座」(全3巻)、日科技連出版、1999.10〜2000.06

米虫節夫、角野久史、冨島邦雄監修「ISO22000のための食品衛生7S実践講座、食の安全を究める食品衛生7S」(全3巻)、日科技連出版社、2006年

米虫節夫、加藤光夫、冨島邦雄監修、編集:月刊食品工場長 編集部:「現場で役立つ 食品工場ハンドブック」改訂版、日本食糧新聞社、2012.09

など 著書、論文など多数

角野久史  著者プロフィール

(すみの ひさし)〈監修・まえがき〉

現職 株式会社角 野品質管理研究所  代表取締役 

経歴 ‌1970年京都生協入協、支部長、店長、ブロック長を経て1990年に組合員室(お客様相談室)に配属され以来クレーム対応、品質管理業務に従事する。

2000年10月株式会社コープ品質管理研究所設立

2008年3月10日京都生活協同組合定年退職

2008年3月11日株式会社角野品質管理研究所業務開始

食品安全ネットワーク会長

消費生活アドバイザー

京都府食品産業協会理事 

京の信頼食品登録制度審査委員 

京ブランド食品認定ワーキング・品質保証委員会副委員長

日本惣菜協会「惣菜製造管理認定事業(JMHACCP)」審査員


著書

・編著‌「こうすればHACCPができる」「こうすればHACCPシステムが構築できる」
「こうすればHACCPシステムが実践できる」―日科技連出版社

・編著「食品衛生7S活用事例集1・2・3・4・5・6」-日科技連出版社

・編著「食品衛生7S活用事例集7」-㈱鶏卵肉情報センター

・編著「やさしい食品衛生7S入門」-日本規格協会

・編著「通信教育ー食品衛生7S入門」ー日本技能教育開発センター

・編著「フードデイフェンス」ー日科技連出版社
・監修「食品衛生7Sかるた」-㈱鶏卵肉情報センター

・編著「食品の異物混入時におけるお客様対応」―日科技連出版社 その他

食品安全ネットワーク  著者プロフィール

田中 達男(たなか たつお)〈第1章〉

1952年兵庫県出身。関西大学大学院工学研究科博士課程前期課程修了。株式会社ニチフ端子工業技術部品質保証グループ長、日本インシュレーション株式会社TQC部長、株式会社赤福品質保証部長を経て、2012年から株式会社赤福品質保証部補佐。

食品安全ネットワーク 役員、きょうと信頼食品登録制度 検査員、一般社団法人日本規格協会 講師、一般社団法人日本科学技術連盟 講師、一般社団法人日本品質管理学会 正会員、標準化戦略研究会 会員、モチベーション研究会 会員、ISO9001審査員補、ISO14001審査員補、第一種衛生管理者。




尾野 一雄(おの かずお)〈第2章〉

1972年兵庫県神戸市出身。関西大学大学院にて生物工学を専攻した後、イカリ消毒に入社。有害生物管理の業務を経験。現在は同社のコンサルティンググループ シニアコンサルタントとして、主に食品安全の規格認証、異物混入防止対策、微生物対策、5Sサポート、有害生物管理プログラム設計などのコンサルティング、講演、原稿執筆を行っている。その他、FSMS審査員補、中級食品表示診断士などの資格を有している。




猫西 健太郎 (こにし けんたろう)〈第2章〉

特定社会保険労務士。1975年大阪府出身。中京大学体育学部卒業。学生時代は自転車競技に没頭する。試合の最高位は全日本インターカレッジ3位。約15年間のサラリーマン生活を経て、社会保険労務士事務所「猫西経営労務サポート」を開業。また、サブとして保険代理店業務も営む。専門分野を活かし、「真のフードディフェンスは労務管理が基本」をモットーにセミナー、執筆活動、従業員研修等を行っている。社会保険労務士の立場から「従業員のモチベーションや満足度向上」が前提に無ければ「フードディフェンス」は成り立たないことを分かりやすく解説している。

【ホームページ】http://www.neko-sr.com/




衣川 いずみ(きぬかわ いずみ)〈第4章〉

1969年大阪府出身。神戸女子薬科大学(現神戸薬科大学)博士前期課程修了。外食企業で品質保証業務に従事したのち、食品安全・品質のコンサルティング会社である(株)QA-テクノサポートを設立。現場の7S活動やFSMS/FSSC/QMS/HACCPの構築・運用指導に従事。三現主義を徹し、人を育てることに主眼を置いたコンサルティングを得意としている。薬剤師、QUS/FSUS/FSSC主任審査員。

【ホームページ】 http://qa-techno.co.jp/




鈴木 厳一郎(すずき げんいちろう)〈第5章〉

1970年生 和歌山県出身。自動車整備用工具メーカーで製品開発及び設計業務を担当後、2001年9月にフードクリエイトスズキ有限会社に入社。食品メーカーへの品質管理・衛生管理及び食品衛生7S活動に関するコンサルティング業務を担当。また品質マネジメントシステム主任審査員としてISO9001の審査業務を行いつつ、品質マネジメントシステム(ISO9001)、食品安全マネジメントシステム(ISO22000、FSSC22000)認証取得の支援業務を行っている。食品安全ネットワーク事務局長。




名畑 和永(なばた かずなが)〈第6章〉

1963年 岐阜県出身。大学卒業後、重電関係の電気制御設計会社に入社。地元明宝を愛し、明宝特産物加工株式会社に転職。総務であったが、当時の社長より食品衛生推進担当者に任命され初代7Sチームリーダーに就任。衛生管理の構築を目指し、熟練工などと衛生管理について議論しながら、経営陣との折衝で工場内改築などを進めた。食品安全ネットワークに参加し、食品衛生7SやHACCPなどの衛生管理システム構築を学び、ISO22000などの取得を推進する。現在、同社の専務取締役となる。




奥田 貢司(おくだ こんじ)〈第6章〉

1962年 高知県出身。名古屋にて、IT関連企業に就職し、後に食品関連卸会社に転職し在庫管理システムの導入の参画。新規参入のPCO業務の立上げメンバーになり、食品衛生管理等の業務に携わる。PCO業務では、外食産業の品質管理室と協力し、レスケミカルを中心にした防虫管理を提案し実践導入も行った。その後、食品安全ネットワークなどの活動に参加し、食品衛生7SやHACCPなどの衛生管理システム構築をサポートするコンサルティングを展開している。




前川 佳範(まえがわ よしのり)〈第7章〉

1977年 兵庫県出身。徳島大学工学部化学応用工学博士前期課程修了。四国化工機株式会社入社後、工場品質管理課から営業職にも従事。現在は食品事業生産本部 品質保証部に在籍。直接生産に関わらない間接部門として、品質的な部分について、社内の統一した基準や仕組みづくりなど、品質的な部分で、工場(生産)と営業(販売・お客様)の間を取り持つ支援業務を行っている。

目次

はじめに

第1章 食品衛生7Sとは
1.1 食品衛生7Sの誕生
1.2 食品衛生7Sの定義と目的
1.3 清潔と衛生的、異物としての微生物
1.4 躾の重要性

第2章 異物混入とフードテロ事件の実態
2.1 異物混入の歴史と現状
2.2 フードテロの歴史と現状
2.3 意図的な異物混入事件の検討    
―他人事ではなく身近な所で起こっている―
2.4 意図的な異物混入による経済的損失    
―ひとたび事件を起こされると国や企業としてこんなに損失が発生する―
2.5 ‌解決策―特に日本企業としてどのような対策を取るか―

第3章 異物混入対策もフードディフェンスも“根”は同じ
3.1 異物とはどのようなものを指すのか
3.2 苦情・クレームにしめる異物混入の割合
3.3 偶然による異物混入
3.4 悪意をもった人による異物混入
3.5 異物混入対策の根は同じ

第4章 食品衛生7Sで防ぐ異物混入―実践方法
4.1 食品衛生7Sのクレーム削減効果
4.2 異物は歩く
4.3 異物となりうるものが存在しない環境のつくり方
4.4 マネジメントの重要性
4.5 食品衛生7S活動で安心・安全のレベル向上へ

第5章 食品衛生7Sで行うフードディフェンス
5.1 悪意のある異物混入
5.2 悪意はなぜ起こるのか
5.3 なぜマニュアル通りの作業が必要か
5.4 ルールを守るための躾の三原則
5.5 労務管理によるフードディフェンス

第6章 事例-1 明宝特産物加工 食品衛生7Sからのステップアップ
6.1 食品衛生7Sへの取り組みスタート
6.2 異物混入対策とフードディフェンス
6.3 食品衛生7Sの実践事例
6.4 食品衛生7S導入による成果

第7章 事例-2 四国化工機グループ 食品衛生7Sでの仕組みづくりと人づくり
7.1 会社概要―安全・安心を追求する
7.2 異物混入対策とフードディフェンスへの対応
7.3 食品衛生7Sによる防御体制
7.4 改善事例
7.5 終わりに

はじめに

食品の安全に対する消費者や流通業者の要求が、益々厳しくなっています。食中毒予防に対する要求はもちろんですが、健康に危害を与えるおそれのない異物混入までも、マスメディアが大きく報じるようになったため、消費者や流通業者が食品企業に対して過度な対策を求めてくるようになりました。

しかし、このような異物(金属やガラス、プラスチック類、ビニール片、昆虫類、毛髪等)混入防止は、個別対策だけでは、短期的には効果があったとしても、しばらく時間がたつと、また元の木阿弥に戻ってしまいます。異物混入対策は、食品衛生7S(整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌・躾・清潔)の構築、維持によってこそ、根本的な対応ができるのです。

なぜなら、まず、食品衛生7Sにより工場内が清潔となり、異物混入の原因となる異物が現場から少なくなります。さらに、従業員に無意識の意識変革が起きて、異物混入の個別対策が総合的に働くようになります。その結果、異物混入が限りなくゼロに近づくからです。食品衛生7Sは食品安全の土台であるとともに、異物混入対策の第一歩なのです。

本書第1章の「食品衛生7Sとは」で、食品衛生7Sの定義と目的を詳しく記述しています。第4章の「食品衛生7Sで防ぐ異物混入」では、食品衛生7Sの構築の経過と異物混入対策の効果について具体的に記述しています。第6章、第7章では実際の製造現場で、食品衛生7Sの構築により異物混入対策が有効に働き、消費者からの異物混入の「お申出」が減少している事例を示します。

一方で、2013年A社で「食品への悪意をもった農薬混入事件」が発生し、これ以後、流通業者から監視カメラの設置などのフードディフェンスが求められるようになってきています。

このA社の「食品への悪意をもった異物(農薬)混入事件」の原因は、A社が製造現場で働く準社員の人事制度の見直しを行い、人事考課をして新しい給与制度の導入を行ったことに遠因があります。農薬を混入させた準社員はこの新給与制度の導入で、給与が下がったのです。ところが、この人事考課をした社員は、通常、あまり製造現場におらず、当該準社員の仕事ぶりを見ることなく、評価をしたのです。さらに、この人事考課の内容は、準社員に何の説明もなく、すなわち準社員の理解と納得もないまま給与を下げるというものでした。これでは、社員と当該準社員とのコミュニケーション不足は明白です。

工場の清潔度は悪くない状況だったと思われますが、それも工場長をトップとする社員、準社員の全員参加で構築したものではなく、トップダウンのみで行っていたのではないかと思われます。この事件は、食品衛生7Sを構築、維持・発展しておれば防げた事件です。

食品衛生7Sはトップが「何のために行うのか」という方針を明確にして、社員だけでなく、準社員・パート職員も含めた、その工場で働く全員参加でなければ構築、維持・発展はできません。食品衛生7Sは製造現場の代表によって食品衛生7S委員会を結成して、定期的に食品衛生7Sパトロールを行い、食品衛生7Sの定義にてらして指摘点を明確にして、全員で改善を行っていく取り組みです。これにより、工場全体のコミュニケーションが豊かになり、トップダウンもボトムアップも活発になります。そのような状況のなかで、工場で働く従業員の不満は解消され、従業員満足も出てきます。そのことについては第3章の「異物混入対策もフードディフェンスも“根”は同じ」と第5章「食品衛生7Sで行うフードディフェンス」で詳しく記述しています。また、第6章、第7章でも実際に製造している現場で、食品衛生7Sの構築によりフードディフェンスが有効に働いていることを示しています。
 
食品衛生7Sの目的は、会社を持続させて、社員とその家族の幸せを守ることです。さらに、食品衛生7Sを行うことは、異物混入対策になり、フードディフェンスにもなります。

本書は食品安全ネットワークの会員によって執筆されました。食品安全ネットワークの19年間の活動がなければ本書は誕生しませんでした。食品安全ネットワークの会員の皆様に改めて感謝申し上げます。最後に本書の刊行は日刊工業新聞社出版局書籍編集部藤井浩氏の献身的な協力なしでは誕生しませんでした。ここに、改めて感謝します。本当にありがとうございました。



2015年8月
食品安全ネットワーク会長

角野 久史

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