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電子機器の熱流体解析入門 第2版
熱流体モデリング/シミュレーションの基本を完全マスター

定価(税込)  3,024円

編著
サイズ A5判
ページ数 328頁
ISBNコード 978-4-526-07449-3
コード C3054
発行月 2015年08月
ジャンル 電気・電子

内容

本書は電子機器設計者のために、熱流体解析の基本を総合的に解説した、「熱流体モデリング/シミュレーションの基本を完全マスター」するための本。第2版では各社の最新シミュレーションソフトに対応するとともに、第9章として「開発・設計における熱流体解析活用事例」を設け、ハイブリッドカー(プリウス)のPCU設計、自動車のECU設計、電源ユニット設計など、注目されているパワー関連設計用途での応用例も追加紹介している。

国峰尚樹  著者プロフィール

(くにみね なおき)
(株)サーマルデザインラボ 代表取締役 
kunimine@thermo-clinic.com
1977年沖電気工業(株)入社。2007年一念発起し、熱設計コンサルティング会社を設立。上流熱設計と熱解析の両輪による「熱問題の撲滅」をめざし、東奔西走の日々を送っている

目次

はしがき

第1章 熱流体解析の基礎知識
1.1 熱設計の変化と熱流体解析の位置づけ
1.2 熱流体解析が必要になった理由
1.3 熱流体解析で何ができるか
1.4 電子機器の熱流体解析の特徴
1.5 熱流体解析に必要な基礎知識

第2章 
基本的なモデリングテクニック(1)メッシュ分割と境界条件
2.1 メッシュ分割と計算精度
2.2 解析領域と境界条件
2.3 対称モデル

第3章 基本的なモデリングテクニック(2)流れと熱物性値
3.1 流れのモデル  ~層流と乱流~
3.2 物性値の入手
3.3 等価熱伝導率
3.4 非定常計算

第4章 筐体とプリント基板のモデリング
4.1 筐体のモデリング
4.2 通風口のモデリング
4.3 筐体の日射受熱
4.4 プリント基板のモデリング
第5章 半導体パッケージのモデリング
5.1 半導体パッケージの種類と構造
5.2 半導体パッケージの熱抵抗とその定義
5.3 半導体パッケージのコンパクトモデル
5.4 マイクロプロセッサ の発熱制御と温度管理

第6章 電気部品のモデリング
6.1 抵抗器
6.2 コンデンサ
6.3 コイル・トランス
6.4 モータ
6.5 HIDランプ
6.6 LED
6.7 電源ユニット

第7章 冷却用部品のモデリング
7.1 筐体のモデリング
7.2 ヒートシンク
7.3 接触熱抵抗とTIM(Thermal Interface Material)
7.4 ペルチェモジュール
7.5 ヒートパイプ

第8章 熱流体解析ソフトの特徴と使い方
8.1 ANSYS Icepak
8.2 FloTHERM
8.3 熱設計PAC
8.4 Autodesk CFD
8.5 FloEFD
8.6 NX Electronic Systems Cooling

第9章 開発・設計における熱流体解析活用事例
9.1 ハイブリッドカーにおける活用事例
   (株式会社豊田自動織機)
9.2 ECU設計におけるCAEの活用
   (株式会社デンソー)
9.3 設計者向けのカスタマイズシステム「放熱CAEアシスト」の構築
   (パナソニック株式会社)
9.4 電源ユニットの開発におけるCAEの活用
   (コーセル株式会社)

第10章 熱と温度の計測技術
10.1 部品温度測定の目的
10.2 測定環境条件
10.3 測定箇所と測定方法
10.4 熱電対による温度測定の注意点
10.5 放射温度計による測定
10.6 半導体パッケージの熱抵抗の測定

引用文献一覧
【付録】 熱流体解析や計測に関連したサイト

著者紹介

はじめに

 電子機器の熱設計に熱流体シミュレーションソフトウエアが使われ始めたのは1990年頃でした。その後、電子機器向けの使いやすいソフトが販売され、電機メーカーを中心に広く普及しました。コンピュータの高速化や記憶容量の増加とともに、より実物に近いリアルなモデルをパソコンで扱うことができるようになり、今や構造解析と並んで身近なツールになっています。
 しかし、設計ツールとしてフル活用している企業もあれば、試行レベルで足踏みしている企業もあり、利用状況には大きな開きがあります。
 どんなシミュレーションも必ず精度とスピードが問われます。この壁を越えるためには粘り強い取り組みが必要です。ところが、短期的な成果を求められる昨今の状況では時間をかけてノウハウを蓄積していくことが難しく、道半ばで挫折する企業も少なくありません。
 2006年に上梓した「トラブルをさけるための電子機器の熱対策設計第2版」では、電子機器のモデリングについて断片的な解説を入れましたが、それでも反響は大きく、電子機器のモデリングノウハウを本にまとめてほしいという声が多数寄せられました。確かに熱流体解析関連の書籍はたくさんありますが、流体理論や数値解析手法に関するものがほとんどで、使う人向けに書かれたものは見当たりませんでした。
 このような背景から、2007年10月に日刊工業新聞社より本書の企画を頂きました。しかし、電子機器のモデリングはまだ研究レベルの部分も多く、体系化してまとめるには多くの専門家の英知を集める必要がありました。そこで第一線で日々この問題に取り組まれているCAEベンダーのスペシャリスト、先進的なCAE活用企業のキーマン、モデリング研究の第一人者、熱設計コンサルタント等、多数の方に執筆をお願いし、「熱流体モデリングドリームチーム」を編成しました。さらに学会、大学、計測器メーカなど各分野で活躍されている専門家の方々にも情報提供をお願いしました。
 第1回執筆会議は2008年2月19日に日刊工業新聞社で開催されました。しかし、執筆は予想以上に難航しました。そもそもそのモデリングで本当に合うのか? 汎用性があるのか? 全ソフトで同じ傾向になるのか? など、議論百出で、分筆した原稿をまとめるという目論見どおりの進め方は困難でした。解析や確認実験を行いながら、自信を持って提案できる内容か吟味し、合意しながらまとめていくという長い活動に入りました。このような作業を経て、ようやく執筆メンバの総意を一冊の本にまとめあげることができました。

 出版から5年を経た2014年に、第2版の企画を頂きました。ソフトウエアのアップデートはもちろん、読者の皆様から頂いたご意見やご質問も反映しました。しかし第2版の最大の目玉は「先進企業の活用事例」を盛り込んだ点です。開発・設計における他社の運用ノウハウや利用プロセスに関する情報は、CAEの推進上、大いに参考になると思います。

 本書は、5つの内容を10章に分けて解説してあります。
 第1章は、初めて熱流体解析に関わるかた向けに、熱流体解析の概要、伝熱用語などをまとめました。既に解析実務に携わっている方は確認の意味でご一読下さい。
 第2章、第3章は、熱流体解析の一般的モデリングについて解説しました。メッシュ分割や境界条件、物性値といった基礎事項について説明してあります。
 第4章~第7章は、筐体、基板、半導体部品、電気部品、冷却部品という電子機器に不可欠な構成要素についてひとつずつそのモデリング方法を詳説しました。
 第8章は、市販の熱流体解析ソフトについて、その特徴をユーザー視点で解説しました。ニーズに合ったソフト選定のための情報として活用して頂ければ幸いです。
 第9章には、先進企業における熱流体解析活用事例を紹介してあります。HEV、ECUといった車載機器から、デジカメ、電源まで、さまざまな製品でのユニークな取り組みについて各企業の推進リーダーに執筆をお願いしました。
 熱流体解析の展開などのミッションをお持ちの方には大変参考になるでしょう。
 第10章では、解析精度向上に欠かせない「温度測定方法」について、高精度化のノウハウを盛り込みました。また、最近急速に普及した過渡熱特性評価装置についても、原理から活用方法まで詳しい情報を掲載しました。

 図が白黒のため、温度分布などがわかりにくい点はありますが、できるだけ意図が伝わるよう説明を加えました。

 熱流体シミュレーションは今後ますます進展し、設計現場にさらに深く浸透していくものと思われます。モデリング手法は固定されたものではなく、ソフト、ハードの進歩とともに進化していくことでしょう。本書もこうした流れに追従し、更新を重ねていきたいと考えています。そのためにも皆様のご叱正を頂ければ幸いです。
 最後に、貴重な写真・文献・資料・データを提供していただいた多くの企業の方々、有益な助言や協力を賜った皆様、そして会議の設定から出版時期調整まで、全面的にお世話いただいた日刊工業新聞社出版局の鈴木徹さんに心から感謝いたします。

2015年7月1日             
執筆者代表 国峰尚樹

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