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機械製図CAD作業技能検定試験突破ガイド
1、2、3級実技試験対応

定価(税込)  3,024円

著者
サイズ A5判
ページ数 300頁
ISBNコード 978-4-526-07447-9
コード C3053
発行月 2015年08月
ジャンル 資格試験 機械

内容

機械製図技能士試験は、実技試験の難しさがネックとなって、技能検定試験の中でも難関な試験の一つにあげられる。本書は、その実技試験への対応を含めた試験対策と製図を学ぶ技術者、学生のために書かれた設計者のスキルアップのための実践書。

河合 優  著者プロフィール

(かわい まさる)
1949年 愛知県に生まれる
1972年 豊田工業高等専門学校電気工学科卒業
1976年 小島プレス工業株式会社入社
生産設備開発を中心に多様な職場を経験
1986年 一級機械製図技能士
1990年~98年 機械製図部門 技能検定委員 愛知県職業能力開発協会
1996年~98年 技能グランプリ 機械製図部門全国第二位
2006年~12年 豊田高専 非常勤講師、特命教授を歴任
2012年 名城大学理工学部 非常勤講師「機械設計システムⅡ」

主な著書
「自動化設計のための治具・位置決め入門」 日刊工業新聞社 2014年

目次

はじめに
推薦の辞

第1章 CAD機械製図技能士試験
1-1 CADでの受験
1-2 実技試験の概要
1-3 1級実技課題の解読例
1-4 2級実技課題の解読例
1-5 3級実技課題の解読例

第2章 機械製図
2-1 CAD機械製図
2-2 製図と図面
2-3 製図と製図用語

第3章 CAD機械製図とJIS規格―実技試験の線の使い方―
3-1 適用範囲
3-2 引用規格
3-3 図面の大きさと様式
3-4 尺度
3-5 線及び優先順位
3-6 文字

第4章 CADの図形の表し方―実技試験の図形の描き方―
4-1 投影図の表し方
4-2 断面図
4-3 図形の省略
4-4 特殊な図示法
4-5 図形線は面を代表している

第5章 CADの寸法の表し方―実技試験の寸法記入―
5-1 基本事項
5-2 寸法補助線と寸法線
5-3 穴の寸法の表し方
5-4 特定の対象物と寸法記入
5-5 実用的な寸法記入

第6章 その他の指示事項―実技試験の重点項目―
6-1 表面性状の指示記号
6-2 寸法公差
6-3 幾何公差

第7章 組立図の解読―実技課題の解読の手順―
7-1 ねじ製図
7-2 ねじ構造
7-3 封止構造
7-4 軸受のはめあい
7-5 カバーのはめあい
7-6 交差する円筒形状
7-7 リブ構造と回転図示断面図
7-8 鋳肌面と切削面
7-9 加工に配慮した形状
7-10 ばね

第8章 1級の計算問題―1級実技試験準備―
8-1 はめあいの計算Ⅰ
8-2 軸間距離の計算Ⅰ
8-3 軸間距離の計算Ⅱ
8-4 はめあいの計算Ⅱ
8-5 六角ボルトの適正本数の計算
8-6 焼きばめの把持力
8-7 水きり溝の寸法
8-8 キー幅の計算
8-9 ボルト本数とピン径の計算
8-10 ウォーム歯車の要目表
8-11 面圧の計算
8-12 はすば歯車の要目表

第9章 学習の手順―製図入門者、学生に向けて―
9-1 トレース教材
9-2 ねじ製図
9-3 スケッチから製作図面
9-4 表面性状の指示記号
9-5 幾何公差
9-6 現物のスケッチと製作図面
9-7 組立図から製作図の作成

はじめに

 機械製図技能士(CAD作業)試験は、CADを使用して、組立図から指定された部品図を、JIS規格に基づいて制限時間内に作成する課題に取組むもので、設計者の総合的な図面作成能力を評価している。職業能力開発促進法に基づく国家資格であり、並行して同じ課題図を用いて行われている機械製図技能士(手書き作業)は、昭和34年から継続的に行われている。製図作業が手書きからCADに移行したことにより、全国で年間約5000人の受験者のうち85%以上がCADで受験している。
 この本は、機械製図技能士(CAD作業)試験対策と製図を初歩から学ぶ技術者、学生ともに使えるように配慮してある。第1章に課題図の解読と作図の手順が紹介されており、第2章から第6章は課題を解読するための基礎知識が解説されている。第7章(組立図の解読)は、ねじ製図を中心に、設計者に理解してほしい製図及び関連の工学的知識を解説している。第8章(計算問題)は、過去に出題された1級の計算問題の解読法が紹介されている。第9章(学習の手順)は初歩から学ぶ技術者や学生諸氏が、練習問題を解いてゆく過程で、製図規格の要点を学べるようにまとめられている。
 今回の書籍は、筆者の40年に渉る技術者としての活動及び、製図教育に関する経験を集約したものである。製図教育に係わるきっかけは、筆者が全社の業務効率の向上を目的とするTQM推進部に席をおいていたことに由来する。設計を社内で行い、金型製作からモノづくりまでを仕入先で行っている部品を、担当する技術部門から設計者の残業を減らしたいと相談があった。3次元CADに関する教育を充分行っており、モノづくりがうまくいくのは設計がよいことを立証しており、設計者の力は充分あると考えているが、残業時間が減らない、何が問題か、どのような教育が有効か、提案してほしいと依頼があった。
 設計者のヒアリングから出てきた問題は、「仕入先に手がかかる、図面を理解して知恵を出して進めてほしい」という設計者の苦情だった。そこで、仕入先に出向いて事情を聞くと、「3次元データで金型を切削する前に、ばらつきに関してどこにどのような配慮をするべきかの情報がない」と訴えてきた。それで、どうしているのと尋ねると、「多くの時間を割いて、設計者と打ち合わせを行い、注意点を聞き出しているが、質問し忘れは製作側の責任でもあり、打ち合わせ時間は、長時間にわたってしまう」何とかできませんかと。図面を見せてもらうと、はめあい部分も寸法記入だけで、寸法公差の記入がなく、しまりばめなのか、すきまばめなのかの記載もない。はめあい部の金型をともに正寸狙いで型を作っているだけでは、はめあいにならない。具体的には、ヒンジの支点部はすきまばめが必要であり、事前に狙い寸法で造りこみ、“軸は細く/穴は大きく”を狙って、適正なすきまができるように造りこまないと、製品の完成後に不具合が発覚して型修正となる。設計者は発行した図面の完成度が低いことを棚に上げて、仕入先に問題を転嫁しているのである。図面の多くが例のごとく、図面を受け取る側が半歩下がった状況であり、問題点は現れてはこない。また、3次元CADシステムのメーカーが3次元CADの効果として、金型精度向上、短期間でモデル完成、設計の成立性検証、類似設計時のデータ転用などをPRすることから、設計者に3次元CADの講習を受けさせて、3次元CADを使って設計をすれば、設計に関する情報はすべて検証でき、発信できると勝手に思い込んでいる向きがある。3次元CADで取り扱えるのは、形状情報と正寸時の設計の成立検証である。量産時についてまわる、製作時のばらつきに関する配慮は、別の視点が必要であることに気づいているのは、モノづくりを担っている技術者たちである。
 このような状況の中、3次元CADの講習に加えて、機械製図に関する教育を取り入れて、紙の上に平面図形で表した図面情報が読み取れ、ばらつきに関する配慮をした指示事項を記入できる設計者を目指して、設計者教育を開始した。その結果、図面の完成度が向上し、図面作成時間が減少し、仕入先との打ち合わせ時間が減少し、加えて機械製図の技能検定の合格率が画期的に向上した。
 筆者はこのような実体験を基に、企業の製図教育や、大学で製図教育に取組んでいる。現在の設計活動の効率がCADにより画期的に向上したことは、周知の事実であるが、ばらつきや、製作上の許容差に関する情報を、図面に描く機械製図に関する教育をしないで、設計部門の効率向上を望むことはできない。
 以上のように、CADに関する教育と、機械製図に関する教育は、技術活動を進める両輪であり、切っても切れない関係である。CADの普及活動により、少し脇役のような扱いを受けていた機械製図であるが、機械製図技能士(CAD作業)の資格取得を通じて、設計者として成長する願いをこめて、現場を経験した設計者として、社員教育や、大学での教員と多くの場面での経験活かして、本書を取りまとめた。大いに活用していただきたい。
 NPO活動を通じて知己を得て、社員教育のチャンスをいただきました、新東エンジニアリング株式会社・成瀬社長さんには、今後、進度を増す技術のグローバル化に重要な機械製図の教科書と、推薦の辞をいただきました。この場をお借りして、お礼を申し上げます。
 いまだ浅学非才な小生に執筆のチャンスをくださった日刊工業新聞社書籍編集部の野﨑氏にこの場をお借りし、お礼申し上げます。

2015年7月 
著者

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