買い物かごへ

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい熱利用の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07441-7
コード C3034
発行月 2015年07月
ジャンル ビジネス 機械

内容

電気エネルギーを熱エネルギーに変換して利用したり、その逆に熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術を紹介する本。とくに最近では、熱を効率的に利用し、熱エネルギーの損失を少なくする技術の活用などが色々な製品で進められている。本書は、熱に関する科学現象の基本と、熱力学の法則から学び、熱を制御、活用する色々な技術をトコトンやさしく紹介するもの。

福田 遵  著者プロフィール

(ふくだ じゅん)
技術士(総合技術監理部門、電気電子部門)

1979年3月東京工業大学工学部電気・電子工学科卒業

同年4月千代田化工建設㈱入社

2002年10月アマノ㈱入社

2013年4月アマノメンテナンスエンジニアリング㈱副社長
(社)日本技術士会青年技術士懇談会代表幹事、企業内技術士委員会委員などを歴任
日本技術士会、電気学会、電気設備学会会員
資格:技術士(総合技術監理部門、電気電子部門)、エネルギー管理士、監理技術者(電気、電気通信)、宅地建物取引主任者、ファシリティマネジャーなど


著書:『トコトンやさしい電気設備の本』、『トコトンやさしい発電・送電の本』、『トコトンやさしい実用技術を支える法則の本』、『技術士第一次試験・第二次試験「電気電子部門」受験必修テキスト第3版』、『技術士第一次試験「基礎科目」標準テキスト第2版』、『例題練習で身につく技術士第二次試験論文の書き方第3版』、『技術士第二次試験「電気電子部門」対策と問題予想第3版』、『技術士第二次試験「建設部門」対策と問題予想第3版』、『技術士第二次試験「機械部門」対策と問題予想第3版』、『電設技術者になろう!』、『アリサのグリーン市民への旅』(日刊工業新聞社)等

目次

第1章 熱に関する基礎知識を学ぶ
1 熱と温度 「熱とは何か」
2 燃焼による熱の発生 「化学反応による発熱」
3 温度と状態変化 「物質の三態」
4 比熱と熱膨張 「熱による物質変化」
5 ボイル−シャルルの法則 「温度 ・ 圧力 ・ 体積の関係」
6 化学反応熱 「化学反応によって熱を得る」
7 エネルギーとしての熱 「社会の二大エネルギー」

第2章 熱の特性を知り計測する
8 熱力学の法則 「熱力学の四つの法則」
9 熱伝導 「物体内を移動する熱」
10 対流伝熱 「固体と流体間の熱移動」
11 放射伝熱 「電磁波による熱の移動」
12 沸騰と凝縮 「相変化を伴う熱伝達」
13 温度計測器 「物理現象を利用して温度を測る」
14 温度センサ 「規定温度に達したのを知る手法」

第3章 熱を作り出す手法
15 ボイラ 「電力を蒸気で作る仕組みの中核」
16 抵抗加熱 「ジュール熱による加熱」
17 赤外加熱 「離れた場所から加熱する手法」
18 アーク加熱 「放電によって金属を溶解する」
19 誘導加熱 「導電性素材の内部から加熱する」
20 誘電加熱とマイクロ波加熱 「分子の振動によって加熱する」
21 ビーム加熱 「熱電子やレーザを照射して加熱する」
22 ヒートポンプ 「大気熱の有効利用」
23 冷凍機 「冷熱を作り出す仕掛け」

第4章 熱を制御する技術
24 耐火材と断熱材 「熱を閉じ込める材料」
25 建物の断熱 「建物の省エネルギー性能」
26 換気と全熱交換器 「熱を残して空気を入れ替える」
27 伝熱素材 ・装置 「熱を除去する手法」
28 熱交換器の種類 「多用な分野に使われている熱交換器」
29 熱交換器の構造 「使用環境による材料と構造の違い」
30 爆発現象と花火 「爆発力を制御する」
31 原子炉 「核分裂を制御する」

第5章 熱を活用できるエネルギーに変換する
32 ピストンエンジン 「自動車等の動力源」
33 ガスタービン 「連続燃焼する熱機関」
34 蒸気タービン 「蒸気で風車を回転させる」
35 排熱利用 「電気とともに熱も利用する」
36 廃棄物減量化 「廃棄物から熱を作る」
37 地熱発電 「火山の熱を利用する」
38 地中熱利用 「地表から地下200mの深さの熱」
39 温泉熱利用 「温泉以外の熱利用」
40 雪氷熱利用 「冬場のやっかいものを利用する」
41 太陽熱利用 「低密度の太陽熱を集めて利用する」
42 温度差利用 「近くに存在する温度差を活用する」

第6章 熱を使って材料や製品を作る
43 石油精製 「原油を成分に分離する」
44 液化天然ガス 「液化して輸送体積を減らす」
45 溶鉱炉 「純金属を抽出する技術」
46 製鋼法 「銑鉄から利用できる鋼を作る」
47 鉄の熱処理 「鋼材の特性を制御する」
48 合金と製品成形 「金属材料生成と加工における熱利用」
49 プラスチック成型 「熱に対するプラスチックの性質」
50 ガラス製造 「透明な素材を作る」
51 炭素繊維 「さまざまな製品に使われる強化複合材」
52 セメント製造 「社会インフラ整備の基礎素材」
53 やきもの 「古代から生活に使われた焼成技術」
54 セラミックス 「古くて新しい素材」
55 砂糖製造 「甘さの素をつくる」
56 即席麺製造 「時間をかけずに食物を準備する」

第7章 熱を生活に活かす技術
57 燃料の特性 「燃料特性と環境への配慮」
58 燃焼装置 「燃料を効果的に燃焼させる手法」
59 工業炉 「被加熱材に合わせた加熱手法」
60 熱搬送技術 「熱発生場所と熱利用場所をつなぐ」
61 熱量調整技術 「熱量を効果的に制御する」
62 温熱感覚 「人における熱感覚」
63 蓄熱技術 「熱の需給ギャップを埋める」
64 超伝導 「冷却して電気抵抗をゼロにする」
65 トライボロジー 「摩擦熱を削減する技術」
66 冷却技術 「熱を除去する仕組み」
67 生活と熱利用 「省エネルギーの意識を変える」

【コラム】
●熱利用の歴史
●電子レンジは便利だけれど
●熱エネルギーの効率的な利用
●火の神様
●ヒートアイランド現象
●熱利用で企業を成長させた男
●地球温暖化

参考文献

はじめに

 人類は太古から生活の中に火を活用する術を見出して、自然の脅威から自分の身を守るとともに、炎熱による加工によって多彩なものを食べやすい形に作り変えていきました。さらに、熱の発生に伴って発生する光を活用する方法により、太陽が隠れてしまう夜間における生活を安全にするとともに、生活時間帯の拡大も図ってきました。このように、人類には古代から熱をうまく利用して、生活を豊かにしてきた歴史がありました。また、大きな社会革新が起きた背景には、新しい熱利用技術の貢献がありました。たとえば、産業革命においては、蒸気機関の発明が大きな転換点になったのは周知の事実です。熱で蒸気を発生させて、その力で産業機械を駆動する仕組みが人間の身体能力以上の効果を生み出しましたし、移動手段としての蒸気機関利用も活動域を大きく拡大するのに貢献しています。
 
その後、蒸気を使って発電機を回して電気を生み出す仕組みを使って、水力発電を中心とした発電から、火力発電で電力を生み出す社会を作り出し、さらに多くの電力が使える環境を作りました。これによって、電力をより安価で大量に利用できる社会が形成されてきました。また、陸上交通の世界でも、ガソリンを使ってエンジン機関を駆動する自動車の発明により、多くの荷物や人を、より速く移動させる仕組みができ上がっていきました。
 
ただし、熱が暴走してしまうと、生活に不都合が生じるだけではなく、人の安全にも悪影響を及ぼす結果となるため、熱を制御する技術も熱利用技術と共に発達していきました。断熱によって熱を遮断して温度の上昇を抑える仕組みや、保温して長期間温度を保つ仕組みは、人類の生活をより便利で快適にしました。また、化学製品の製造プロセスなどにおいては、熱を交換して不要な場所から除去したり、必要な場所に伝えたりする仕組みも、熱利用の効率を高めることに寄与しています。しかし、熱を輸送しようとすると、大きな損失が避けられないのも事実です。そのため、熱を一度電気に換えて、電気から再び熱を作り出す技術も数多く開発されてきました。電気で熱を作り出す技術の場合には、特定場所に希望する時間、所定の熱を加えることができますので、熱の制御には欠かせない手法となっています。そういった技術によって、新しく作り出せるようになった製品や生活習慣もあり、さらなる快適性の創造に寄与しています。こういった工夫をしているにも拘らず、熱エネルギーの損失は依然として大きなものとなっており、貴重なエネルギーの有効な利用にはまだ程遠いともいえます。
 
このような視点で熱利用の現状を見てみると、熱利用技術がなければ、人間の進化も現在の社会も作り上げられなかったことがわかります。また、情報技術も含めて、技術の多くの部分に熱が関与しており、熱の制御手法は人類にとって重要な技術であり、これからもその重要性は不変であると感じます。そういった内容を本著では簡便に解説してみたいと考えます。
 
最後に、このような機会を与えてくださった、日刊工業新聞社出版局の鈴木徹氏に心から感謝申し上げます。

 
2015年6月

福田 遵

買い物かごへ