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日本型第4次ものづくり産業革命
経営者よ、このままで生き残れるか

定価(税込)  1,760円

編著
著者
サイズ 四六判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07432-5
コード C3034
発行月 2015年06月
ジャンル ビジネス

内容

中国、インドなど新興国が製造業における力を強め、日本はコストだけでなく技術面でも敗北の危機に直面する。世界に挑むカギはIoT(モノのインターネット)。ビッグデータを活用し、ものづくりを変えていく。またIoTは少子高齢化の課題を解決する手段にもなる。本書では日本のものづくりが進むべき道を説く。

吉川良三  著者プロフィール

(よしかわ りょうぞう)

日韓IT経営協会会長。元サムスン電子常務、現在東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員。著書「サムスンの決定はなぜ世界一速いのか」「ものづくり維新」他。

日韓IT経営協会  著者プロフィール

森田 良民(もりた よしたみ)

日韓IT経営協会諮問委員。都庁・自治省勤務を経て㈱オプティマ設立、現在同社相談役、地方自治経営学会理事、情報サービス産業協会理事などを歴任。1990年代はじめ「ネオダマ」を提唱。


菅谷 修(すがや しゅう)

日韓IT経営協会事務局長。㈱日立製作所コンピュータ事業部(現 情報通信システム社)にてコンピュータ教育や販売支援業務に従事。


奥出 昌男(おくで まさお)

日韓IT経営協会役員。損害保険会社で商品・サービス開発、拠点リーダー育成などの業務に従事、2010年に生活エンジン㈱を設立、現在同社取締役会長。


深川 修(ふかがわ おさむ)

日韓IT経営協会監事。双日㈱(旧日商岩井)にて基幹系システムの開発従事、インフォコム㈱にて情報管理・J-SOX監査・プライバシーマーク・人事・総務従事。

目次

はじめに

第1部 日本のものづくりはこのままでいいのか
 第1章 日本が置かれている立場を知る  
 原因を六重苦に求めても意味がない/グローバル化の意味/
 「デジタルものづくり」というイノベーション
 ちょっと一息 Chapter1. ドラマに描かれる「夢」
 第2章 世界の目は新興国の巨大市場に向いている  
 BRICs、ネクスト11、VISTA/地政学的ものづくりの遅れ/
 巨大市場における「made in Japan」のブランド力
 第3章 なぜ抜かれたのか  
 「技術立国」のおごり/「技術の力」について考える/日本に残された道/
 「秘伝のタレ」を活かそう

第2部 「IoT」で輝きを取り戻す
 第1章 「つくり」で勝負する
 「ものづくり」論から見えてくるもの/「もの」で勝負する道/
 高い「つくり」の技術を活かす
 ちょっと一息 Chapter2. 改革・技術の習得を実践
 第2章 目指すべき生産現場の姿  
 「IoT」の可能性/「IoT」を支える多種多様な技術の発展/
 製造業におけるビッグ・データの4段階活用/
 アメリカやドイツのものづくりへの取り組み
 第3章 「仕組み」を売る  
 工場を丸ごと売る/真似できないビジネス/日本が誇るインフラビジネス
 ちょっと一息 Chapter3. 血塗られた家族争い

第3部 ビジネス創出の手掛かりを探る
 第1章 座標軸から見えてくるシーズとニーズ 
 日本におけるコンドラチェフの波と産業革命/シーズとニーズを入れ替える/
 座標軸の交差点には新規ビジネスが眠る/個人生活の情報化は始まったばかり/
 公共インフラの民間開放はビジネスの種/ビジネスのBCGトライアングル/
 2つの顔を持つ「C」/消費から流通、流通から生産へ/
 少子高齢化はビジネスチャンス/日本の年齢構成とその課題
 ちょっと一息 Chapter4. 新しい国づくりを実現した伝説の男
 第2章 「ネオダマ」の再来  
 新しい座標軸を設定する/社会の構造変化と先端的な技術革新/
 「ネオダマ」という視点で整理/
 ものづくりのパラダイムシフトは第2の「ネオダマ」/
 第2の「ネオダマ」の具現化/「ネオダマ」が導く新ビジネス構想/
 「ネオダマ」は地域活性化の救世主/アベノミクスが起こす改革
 第3章 IoTの姿を見つめる 
 IoTの構成要素と「6CON」/IoTの発展経過/
 6CONモデルの構成要素/情報を取り込む/取り入れた情報を伝える/
 集められた情報を解析する/分析・解析された情報を制御する
 第4章 6CONが新たなビジネスを生む  
 付加価値はネットの活用で/製造業でのIoT活用/
 公共・医療・農業でのIoT活用

第4部 日本が再び世界に羽ばたくとき
 第1章 「医・職・住(民)」が日本の秘伝のタレになる  
 「衣・食・住(居)」は時代とともに変化していく/
 地域社会の構造改革はビジネスチャンスをもたらす/
 戦後70年の変革と最近の動向/「医・職・住(民)」が地域の課題に/
 公共・私との連携が重要/「職」をめぐる環境は変わった/
 社会的環境をグループに分けて考える/
 第2グループ「地域の特性を活かしたビジネス」/
 第3グループ「コミュニティビジネス」/
 第4グループ「公共施設の運営の民営化ビジネス」
 第2章 新しい人と人のつながり  
 地域の現状を見直す/日常生活と地域社会の新しい枠組み/
 ビジネスの種の焦点を絞ろう/韓国政府がいち早く進めたネットの大衆化
 ちょっと一息 Chapter5. オモニが見せる強さ
 第3章 パラダイム変化に対応する「人財」の育成  
 柔軟な発想を持ったはみ出す人財/出る杭は打たないで抜いて育てる/
 マーケティングは「市場調査」から「市場発掘」へ

おわりに

はじめに

 ものづくりの環境が大きく変化しています。この変化はそれまでの常識や価値観が革命的に変わる「パラダイムシフト」といえるほどの劇的なものです。

 分岐点はちょうど20世紀から21世紀に変わる2000年あたりです。この頃から経済活動が広く地球規模で展開される「グローバル化」が進み、ものづくりの主流は「アナログ」から「デジタル」に変わっていきました。

 ものづくりのデジタル化がもたらしたのは、ハイテク製品といわれた機能や性能がモジュール化されたために、一定の品質のものが、いつでも、誰でも、どこでもつくることができるという状態です。これによって古い技術が価値を失い(技術の陳腐化)、また製品の均質化によって差や違いが不明瞭になるコモディティ化が進みました。

 その後に起こったのはグローバル市場の構造変化です。新興国の台頭によって市場の価値観も大きく変わりました。なおかつ国際的勢力関係において、巨大市場を有する新興国の存在感が大きくなり、いまや世界の経済はかつての先進国中心の時代とは大きく異なる論理で動くようになっています。

 日本の多くの企業が低迷しているのは、こうした世界で起こった大変革に真正面から目を向けていなかったり、うまく対応できていないからに他なりません。逆にいえば、そのことを理解して大変革を前提にした戦略に切り替えていけば、巻き返しを図ることは十分可能であると思われます。

 私たち日韓IT経営協会の有志メンバーは、研究会を起ち上げてそうしたことをずっと考えてきました。本書はその研究成果をまとめたものです。日韓IT経営協会は2006年10月に設立された任意団体で、韓国へ進出するIT企業への情報提供やアドバイス、さらには今後、社会のさまざまな課題に対応するときのカギになるICT(情報通信技術)に関する情報収集や情報発信などを行っています。その中の有志メンバーによる研究会では、企業活動におけるICTの活用や、それを使ったニュービジネスの開発などについて検討してきました。

 私たちが特に注目したのは「IoT(モノのインターネット)」で、これが巻き返しを図るときの日本の大きな武器になると考えています。日本の明るい未来をつくる切り札、それがIoTであると考えているのです。

 IoTは最近になってさまざまなところで聞かれるようになったものですが、この言葉を聞いても多くの人はなんのことかさっぱりわからないかもしれません。詳しいことは本文の中で触れますが、IoTは「モノのインターネット」と訳されているように、パソコンや携帯電話だけでなく、自動車やテレビなどさまざまな「モノ」がインターネットでつながっている仕組みのことだと考えてください。

 そして、このネットワークは、ICTや情報通信機器、あるいはそれらを使いこなすためのソフトや情報通信に関するインフラの整備が進んだことで、以前とは比べものにならないくらいの飛躍的な進化を続けています。このようにハードとソフトが充実してさまざまな形の情報交換や相互制御が行われる中で、これまでになかった新しい付加価値を生み出すことができる可能性が高まっているのです。最近よく聞かれる、いわゆる「ビッグデータ」を活用したサービスなども、IoTによって生み出されている付加価値の1つです。

 日本ではまだそうしたメリットが広く理解されていないようですが、IoTによる革命はすでにドイツやアメリカでは活発に進んでいます。今後は、社会や企業などの仕組みと活動にイノベーションをもたらしながら、世の中のパラダイムをシフトさせていくことになるでしょう。

 私たちの研究成果を綴った本書を通じてそのことが理解されて、日本におけるパラダイムシフトが早く進み、世界を席巻する新たな活用法やニュービジネスがこの日本から次々と生まれてくることを心から願っています。

 本書は第4部から構成されており、第3部以降は少々専門的な言葉と我が国の政治、経済の最近の動きなどを詳細に述べております。IoTやICT技術の動向など、さらに関心のある方は第3部、第4部を精読していただければ幸いです。第1部、第2部で本書が現在の日本の直面している課題、これから日本は何に傾注していくべきか、その方向性を述べたつもりです。また、第4部第3章ではこのようなパラダイム変化に対応できるような人財(人材ではありません)育成はどうあるべきかを述べています。参考になれば幸いです。

 また、韓国の歴史ドラマから地政学的なものの考え方が見えてくるのではないかと思い、コラム「ちょっと一息」として取り上げてみました。グローバル時代にはものづくりに限らず常に相手の国の文化や環境、政治など地政学的な知識が必要だと考えます。

 
平成27年4月吉日        
日韓IT経営協会会長 吉川 良三 

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