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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい自動車の化学の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07433-2
コード C3034
発行月 2015年06月
ジャンル ビジネス 化学

内容

自動車の技術を、化学の視点から解説した本。自動車の歴史を化学的な側面で見て、自動車燃料や自動車エンジン、電池、プラスチック材料など、そのつくり方(工程)、種類、利用法、規制など、知りたいことがよくわかる本になっています。また、それらにかかわる技術や歴史、化学的な性能、新しい化学技術などについて、丁寧にわかりやすく解説。自動車が好きな人なら「きっと知りたくなる」読んで楽しい自動車と化学の本!

井沢省吾  著者プロフィール

(いざわ しょうご)
1958年、愛知県東海市に生まれる。1984年、名古屋大学工学部大学院化学工学科修士課程修了。同年、自動車部品メーカーに入社。以降、プラスチックの成形加工技術の研究・開発に従事する。
著書:「トコトンやさしい化学の本」「プラスチック成形加工学の教科書」(日刊工業新聞社)

目次

第1章 地球環境にやさしい自動車用燃料の化学
1 自動車の燃料は、石油が原料 「石油は、再生不可能なバイオ原料」
2 自動車の燃料をつくる石油精製プラント 「プラスチックの原料と潤滑油も同時にできる」
3 儲かるガソリンを原油からより多く収穫する方法 「ガソリンは枝分かれ炭化水素のブレンド品」
4 プレミアムガソリンとは 「高オクタン価に改良する三つの秘策」
5 “軽”自動車の燃料ではない“軽油” 「すぐ燃えるには、まっすぐな分子が好ましい」
6 LPGを“プロパンガス”と呼ばないで! 「LPGエンジン」
7 M85はガソリンとメタノールの混合燃料 「クリーンエネルギーで再注目」
8 メタン(天然ガス)は採れるよ、いつまでも! 「期待の燃料“燃える氷”メタンハイドレート」
9 お酒の成分と同じエタノール燃料 「T型フォードで百年前に使われていた」
10 カーボンニュートラルなバイオエタノール 「食用植物のアルコール発酵でつくられる」
11 セルロースを原料とするバイオエタノール 「食料と競合しない未来の燃料」
12 水割りは厳禁、ストレートだけ! 「バイオエタノールの混合燃料としての留意点」
13 酵母に感謝!! なぜアルコールは発酵するのか 「微生物が生きるための必死な生命活動」

第2章 燃費向上を支える自動車潤滑油の化学
14 “油”“断”大敵、潤滑油を破断させてはダメ! 「潤滑の基本、「流体潤滑」と「境界潤滑」」
15 潤滑油は石油4兄弟の末っ子 「潤滑油も“母なる石油”から生まれる」
16 ベースオイルを調味料でドッピングして潤滑油に! 「調味料は酸化防止剤、防錆剤、摩擦調整剤」
17 心臓エンジンを守るエンジンオイルの役割 「人間にたとえれば「血液」」
18 オートマチックトランスミッション油 「動力を伝えるのがATFの最大のミッション」

第3章 自動車エンジン誕生を支えた化学の底力
19 黎明期のクルマの歴史、史上最初の交通事故とは? 「蒸気自動車→電気自動車→内燃機関自動車」
20 アリストテレスの四元素説 「自然は“真空”をきらう?」
21 ボイルの法則の発見 「「蒸気機関」の基本原理」
22 「マグデブルグの公開実験」 「馬をも止める大気圧の威力」
23 真空の研究から生まれた大気圧機関 「ワットの蒸気機関さらに蒸気自動車に発展」
24 世界初のクルマ、蒸気自動車の興隆と衰退 「外燃機関から内燃機関へパラダイムシフト」
25 ラボアジエの「燃焼理論」の発見 「「内燃機関」の基本原理」
26 最初は2ストロークのガスエンジンで始まった 「内燃機関の誕生」
27 “オット”驚くオットーの4ストロークエンジンの発明 「ダイムラーとベンツが自動車用に改良」

第4章 自動車の安全を守るタイヤのゴム材料
28 植物由来天然ゴムと石油由来合成ゴム、どちらが優秀? 「ゴムはどのようにつくられるのか?」
29 ゴムとプラスチックは何が違うのか? 「ゴムの分子は変幻自在に形を変える!」
30 ばねとゴムでは伸縮の原理が「月とスッポン」ほど違う 「エネルギー弾性とエントロピー弾性」
31 日本の自動車タイヤの起源は“地下足袋” 「タイヤ1位ブリヂストンを興した石橋正二郎」
32 ハイブリッド車のタイヤはハイブリッドゴム 「合成ゴムの種類「汎用ゴム」と「特殊ゴム」」
33 タイヤの歴史は5千年、空気入り自動車タイヤの歴史は120年 「ミシュランタイヤの走りは最高級の『三つ星』?」

第5章 自動車を美人に化かす塗料の化学
34 塗料とは4成分混合系のカルテット 「車のイメージをいかに色彩として表現するか」
35 塗膜はこのように形成される 「有機溶剤塗料と水性エマルション塗料」
36 自動車ボディ塗装のお色直しは3回 「下塗り、中塗り、上塗り」
37 環境にやさしい自動車塗装とは 「VOCとCO2の排出抑制に向けて」
38 真っ赤なポルシェはなぜ赤く見えるのか? 「“色”とは何か?「光の3原色の原理」」

第6章 電池の歴史と電気自動車EV・ハイブリッド車HEV用電池の化学
39 100年前に流行した電気自動車 「蒸気自動車、電気自動車、ガソリン車の戦い」
40 バクダッド電池は本当にあったのか? 「古代人が金めっきの電源に使った?」
41 カエルの解剖で発見したガルバーニ電池 「きっかけは、夫人病気療養のカエル料理」
42 「動物電気説」ではなく「金属電気説」 「ナポレオンが賞賛、世界初のボルタの電池」
43 起電力が低下しないダニエル電池 「十一月十一日は電池の日」
44 湿った電池から乾いた電池へパラダイムシフト 「日本の「乾電池王」は誰だ?」
45 使い捨て電池から充電できる電池へ 「「再生可能」は燃料より電池の方が先輩」
46 アイドルが立ち止まる?アイドリングストップ車用鉛電池 「高電圧化が進む自動車用電源」
47 リチウムイオン電池で注目される水島博士と吉野博士 「リチウム(Li)イオン二次電池開発の歴史」
48 電池の中を駆け回る?リチウムイオンLi+ 「リチウムイオン電池の動作原理とは?」
49 三度目の正直?電動化の機運 「電動車の興隆と衰退の歴史」
50 ハイパワーで長距離走れる電池を目指して 「300㎞走れるEV用リチウムイオン電池とは!」
51 まるで“集団お見合い”のような電気二重層 「異符号の電荷層が向かい合って電荷を蓄積」
52 電気二重層キャパシタは電池?コンデンサ? 「リチウムイオン電池の良きライバル!」

第7章 進化する燃料電池と次世代革新電池の化学
53 「水の電気分解」の逆、燃料電池の発電原理 「活物質水素と酸素を補充し続ける開放系装置」
54 最近注目の『エネファーム』で使われている燃料電池 「「エネルギー」と「ファーム(農場)」の造語」
55 自動車用の本命、固体高分子型燃料電池PEFC 「高分子膜と電極と白金触媒は、三位一体に!」
56 MIRAIは、自動車の未来を切り開くか? 「排出物は水だけ、究極のエコカー燃料電池車」
57 ポストリチウムイオン電池は何だ? 「リチウム・硫黄電池と金属・空気電池」

第8章 自動車の軽量化を支えるプラスチック材料とその成形技術
58 ノーベル賞を取ったポリプロピレン樹脂の重合技術 「バンパーなど車に最も多く用いられている樹脂」
59 自動車をより高性能にするエンプラ 「分子構造を工夫して耐熱性向上」
60 「アルミより軽く、鉄より強い」炭素繊維 「自動車軽量化の主役」
61 熱は通すが電気は通さない“えこひいき”な材料 「ハイブリッド車を支えるハイブリッド材料」
62 「流す・形にする・固める」が成形技術の基本 「「形にする」方法は、多種多様」
63 プラスチック成形の原点、押出し成形 「マカロニをつくる方法で車のモールもできる」
64 樹脂成形法のエース、射出成形法 「射出成形機でも自動車と同様に進む電動化」
65 古代からあるブロー成形でハイテク燃料タンクをつくる 「三次元の中空形状の製品をつくる方法」
66 BMWの電気自動車にも使われたRTM 「炭素繊維強化樹脂CFRPの成形技術?」
67 燃料電池車MIRAIの水素タンクの製造方法FW 「炭素繊維強化樹脂CFRPの成形技術?」
68 航空機をつくるオートクレーブ法で車ができるか? 「炭素繊維強化樹脂CFRPの成形技術?」

【コラム】
●カール・ベンツ~自動車の産みの親
●ゴッドリープ・ダイムラー~マイバッハとの二人三脚
●フェルナンド・ポルシェ(1875~1951)~20世紀最高の天才自動車設計者
●Charles RollsとHenry Royceが創ったロールス・ロイス
●イタリア最大の企業グループ、FIAT~その創業者ジュヴァンニ・アニェッリ
●ルイ・ルノー(1877~1944)~ヨーロッパ最大の自動車会社ルノーの創業者
●自動車の育ての親ヘンリー・フォード~自動車大量生産方式(フォードシステム)を確立
●GM中興の祖、アルフレッド・スローン~モデルチェンジとフルラインナップ戦略

はじめに

 読者の皆様は10月23日が何の日かご存知でしょうか?10月23日は、「化学の日」なのです。イタリアの化学者で「分子説」を唱えたアボガドロ(1776~1856)の貢献を称えて命名されたアボガドロ定数NAは、6・02×10の23乗です。この数は、1モルの物質中に存在する分子や原子の数を意味します。この10と23という数字に由来して、10月23日を「化学の日」と日本化学学会などが平成25年に制定しました。とっつきにくいイメージがある化学ですが、物質の構造や性質を研究する化学抜きにしては、自動車やエレクトロニクス分野の新素材開発、バイオテクノロジーの進展などは語れません。そこで少しでも化学に親しんでもらおうと、化学の日を制定したのです。自動車産業は現在の日本にとって大黒柱、なくてはならない存在になっています。その自動車が誕生する際に、あるいはその後の急速に技術的進展を遂げてきた歴史において、化学がそれに対してどのような貢献してきたのかを、わかりやすく解説することが本書のねらいです。自動車の歴史やしくみ、最近では電気自動車、ハイブリッドカー、燃料電池車に関する書籍は世間に溢れるばかり多く出版されています。また化学についても酸化と還元、電気化学、有機化学など各分野で多くの良書が生まれています。しかし、クルマと化学の接点に関する書物は皆無に近く、本書ではここにターゲットを当てて、おもしろおかしく解説します。本書を、日本全国のクルマおよび化学のファンの皆様、またファンとはいかなくても少しでもクルマと化学にご関心のある皆様方に是非ご購読して頂き、楽しいひと時を過ごして頂くことが筆者の願いであります。そして今以上にクルマと化学にご興味を持って頂けるようになれば望外の喜びです。

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