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「作業の出来映え」で品質管理
作業標準で表せない動作・ノウハウの伝え方

定価(税込)  2,484円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07427-1
コード C3034
発行月 2015年06月
ジャンル 生産管理

内容

従来、行われている製品に主眼を置いた品質管理法(製品の出来映え)から、その製品がつくられる作業の過程(作業の出来映え)をプロセス管理することで、不良を生産・流出させない進め方と徹底法を紹介。生産現場に即した泥臭い手法やノウハウを満載する。

遠藤 勇  著者プロフィール

(えんどう いさむ)

㈱遠藤メソッド 代表取締役


1953年 兵庫県生まれ

1972年 兵庫県立兵庫工業高等学校機械科卒業

1972年 ㈱ノーリツ 明石工場入社
以来、36年にわたり製造・生産技術・事業管理室・業務部・生産管理・
品質管理・品質保証部門を歴任。この間、国内・海外の多数の部品メーカー
と現場で品質監査、品質改善活動を実践する

2008年 ㈱ノーリツ 品質保証本部品質保証部を退社

2008年 Endo Method Laboratory(通称:EMラボ)、品質アドバイザー事業で独立(8/30)

この間、行為保証の思考を体系化し、現場マネジメントシステムとして構築

2012年 ㈱遠藤メソッドとして法人化(1/11)

現在、品質向上のための行為保証コンサルティングに尽力し、
遠藤メソッドの普及に取り組む


[主な執筆歴]

日刊工業新聞社「工場管理」2011年3月号特集

日刊工業新聞社「工場管理」2013年12月号特集

「現場主義」で品質向上!、カナリア書房、2011年 1月

「行為保証」による現場品質向上活動、日科技連出版社、2014年3月

[主な掲載歴]

報道通信社「LEADER'S EYE」2013年8月号対談記事

日刊工業新聞2014年5月12日付著者紹介

目次

はじめに

第1章 経営者、管理責任者の著しい意識停滞
1–1 現場問題の断片的な劣化傾向・予兆
1–2 品質第一と言いながら本質的に品質重視できない経営者
1–3 なすべきことは全部できていると思い込む経営者
1–4 品質損金を正確にとらえていない経営者
1–5 品質管理部門が品質をつくり込んでいると勘違いする経営者
1–6 一定の不良発生はやむを得ずと考える経営者

第2章 ブレークスルーのカギとなる作業の出来映え管理
2–1 作業の出来映え管理を実現する行為保証の考え方
2–2 会社のノウハウを伝える製造技術標準の書き方
2–3 不良を見てつくる人、流す人はいない
2–4 リモコン基板のビット滑り不良の低減
2–5 もう1つのハインリッヒの法則「1:9の原理」
2–6 きちんと機能する品質・実施パトロール

第3章 第1ステージ:「仕組み」をつくる
3–1 仕組みづくりの第一歩は暗黙知の形式知化から
3–2 製造技術標準を運用するときの壁
3–3 製造技術標準の劣化を食い止める方法
3–4 製造技術標準と手順書は別物
3–5 製品出来映え管理からの脱却
3–6 製造技術標準を文字中心でまとめてはいけない
3–7 製造技術標準では曖昧語と機能表現を認めない
3–8 効果が出るとともに製造技術標準の枚数が伸び悩んできた
3–9 標準作成時の失敗例~加工調整品マーキングと調整品の混入
3–10 非定常作業の分析は不要
3–11 守破離の思想を大事にする
3–12 全社共有の価値観の形成
3–13 インデックスリストを書かずに製造技術標準を書かない
3–14 なぜ、10回のうち10回とも見なければいけないか?
3–15 「行為保証7つの原則」への理解不足
3–16 問題真因構造図の理解を優先しよう

第4章 第2ステージ:運用する「土壌」をつくる
4–1 つくっても使わなければ意味がない
4–2 製造技術標準の運用とは
4–3 伝わるように説明できているか
4–4 製造技術標準を見せず口頭で指導する
4–5 製造技術標準の運用時は嫌な顔せずラインに出向く
4–6 運用の基本は変化点を確認することから
4–7 できた順番から相手に見せながら使う
4–8 パトロールの実施率を保持する理由
4–9 品質パトロールが中断するケース
4–10 パトロール形骸化のツケ
4–11 ベテラン作業者の製造技術標準を逸脱した作業
4–12 パトロール参加者の脱落を食い止める
4–13 不安全行動を探せ
4–14 改善項目リストの整備の遅延を防ぐ
4–15 改善項目リストの役割を明確に
4–16 現場を見る行為を保証する工数を確保せよ
4–17 叱れない管理者はいらない
4–18 真因究明ストーリーと改善項目リストの関係
4–19 1つひとつの作業の対策にコピペできるものはない
4–20 組立加工品質マトリックス表の運用を徹底する
4–21 コンサルに任せっぱなしでは当然ダメ

第5章 第3ステージ:「文化」をつくる
5–1 再発不良やクレームを許さない
5–2 トレーナーがトレーナーを育てる
5–3 文化を根づかせるためベテラン作業者をコントロール
5–4 働きに見合った公平な人事評価
5–5 工場長の異動で崩れる
5–6 思想がないと製造技術標準は手順書になる
5–7 コミュニケーションツールとして使い込む
5–8 低層管理者と中高層管理者の乖離
5–9 ボトムが変われば意識が変わる
5–10 トレーナーは文化の伝道師
5–11 行為保証という定義の本質

第6章 作業の出来映え管理をさらに発展させる
6–1 作業の出来映え管理を担保する思想
6–2 暗黙知への対処
6–3 ISO9001との整合性
6–4 海外の製造現場への適用
6–5 行為保証という考え方の普及のために

索 引

はじめに

 
私は、目的意識を持った動作を保証するという意味の造語で「行為保証」という考え方を、住宅設備メーカーのノーリツに長年務めていて発見しました。そしてこれをベースに、品質確保のための新しいプロセス管理手法を確立したのです。この考え方は、現場作業の中のノウハウや暗黙知を形式知に置き換えるもので、現場作業における曖昧な指示や伝承内容がこれによって明確になり、現状行われているモノの出来映え管理を、プロセスの保証された出来映え管理に転換できる手法です。
 
わが国の産業界では、ノウハウや暗黙知を形式知化する取り組みが遅々として進まず、本質的な問題にまで発展しています。さらには、形式知化するための手法が確立されていないため、製造企業の中で常に堂々巡りしながらノウハウ蓄積が行われているのです。このような実態を目の当たりにして、何とか対策できないかと考えたことから執筆に至りました。


 行為保証(目的意識を持った動作の保証)という考え方がすでにこの世に存在していれば、おそらく私は中途退職せずに定年まで会社を勤め上げたでしょう。しかし、行為保証はまったく新しい概念であるため、それを見出した自分にしかこの考え方を広めることはできないとの思いが次第に強まったのです。この概念を広く知らしめて産業界に貢献したいと願い、慣れ親しんだ会社から離れて品質アドバイザーになることを決めました。今では、単独企業をはじめ協同受注や地域企業が多数参加できる形式での受注など、30~40社程度に行為保証の実践を手ほどきしています。

 なお行為保証を展開するに際して、これまでの経験に基づいた思考や常識から抜け出せないと、上辺だけの活動になってしまいます。すなわち、行為保証の導入は正直に言って一筋縄にはいきません。全社で継続的な展開とするためには、品質管理の本質に徹底的に迫り、品質に対する接し方(その会社の文化と言ってもいいモノづくりに対する思想)を根本から見直す必要があります。その指針となるべく、実務的な内容にこだわって本書を構成しました。


 この間、日刊工業新聞に記事として取り上げられ、月刊「工場管理」誌にも特集を組んでいただき、少しずつですが行為保証の考え方が産業界に認知されつつあります。この場を借りて錦織記者、久保編集長、矢島副部長に感謝します。またこの本の執筆に当たり、多くの方々にお世話になりました。ありがとうございます。行為保証という切り口が、みなさんの品質改革活動の参考になれば幸いです。


2015年5月

遠藤 勇

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